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第1話
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「君に頼みがあるんだ」
長年の婚約である王太子にそう言われて、オフィーリア・マベナス公爵令嬢はまたですか、という表情になった。
このフィルンシア王国は特産と呼ばれるものはないが、常に周辺国の情報を探り、常にその時の最適解を選択してきたため、小国ながらも何とか国の体裁を保っていた。
王太子のロメオは今年で17になる。
王族の例に漏れず金髪碧眼の彼は周囲の目を引く美形であり、公の場では一応それらしい態度を取ることができた。
だが、それだけである。
幼い頃からの家庭教師が必死に覚えさせた教養や礼儀作法は最低限しか身に付かなかった。
これが中流程度の貴族なたらまだ良かったのだが、ロメオは王太子である。
ロメオが9歳の時に急遽、婚約者の差し替えが行われ、容貌よりその中身重視でオフィーリアが婚約者とされたのだった。
突然の婚約話に当惑したのは本人だけではない。
マベナス公爵家でも降って沸いたような王太子との縁談に難色を示したが、相手は王家。
断る訳にもいかず、現状があるのだが。
オフィーリアは焦げ茶の眉を軽く顰めた。
「今度は何用でしょうか?」
最初の頃はもう少し優しく言っていたのが、こんなふうに頼みごとをされるのも一度や二度ではない。
そして最近はロメオの分の公務の手伝いも増え、既に王太子妃教育と学園の授業で時間を取られているオフィーリアに余剰な時間など無いに等しかった。
それでも自分は王太子の婚約者なのだ。
婚約者の失敗は自分の失敗。
今度は何を頼まれるのか、と身構えたオフィーリアの前でロメオは真剣そうな目をして話し出した。
「俺は真実の愛を見付けたんだ」
「……真実の愛、ですか」
予想もしなかった言葉に流石のオフィーリアの反応も鈍くなってしまう。
「ああ。そうだ。俺はシェリー・ピアーズ男爵令嬢と愛し合っているんだっ!!」
高らかに宣言したロメオに対するオフィーリアの反応は、というと。
「左様にございますか」
貴族令嬢としてまた王太子妃候補としては動揺したところなど見せられない。
オフィーリアの対応は貴族令嬢としては完璧なものだったが、目の前の相手はそうは取らなかったようだ。
「また君はそんな取り澄ました態度しか取れないんだなっ!! 婚約者が他に真実の愛を見付けた、と言ったんだぞっ!!」
激高したようにロメオが怒鳴り散らすがオフィーリアはその態度を崩さなかった。
「それでは婚約は解消にございますね」
冷静に返したオフィーリアには殆ど何の感情も浮かんでないように見えた。
「はっ、やはり俺の判断は正しかったようだな。喜べオフィーリア、お前との婚約は解消しない」
長年の婚約である王太子にそう言われて、オフィーリア・マベナス公爵令嬢はまたですか、という表情になった。
このフィルンシア王国は特産と呼ばれるものはないが、常に周辺国の情報を探り、常にその時の最適解を選択してきたため、小国ながらも何とか国の体裁を保っていた。
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だが、それだけである。
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これが中流程度の貴族なたらまだ良かったのだが、ロメオは王太子である。
ロメオが9歳の時に急遽、婚約者の差し替えが行われ、容貌よりその中身重視でオフィーリアが婚約者とされたのだった。
突然の婚約話に当惑したのは本人だけではない。
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断る訳にもいかず、現状があるのだが。
オフィーリアは焦げ茶の眉を軽く顰めた。
「今度は何用でしょうか?」
最初の頃はもう少し優しく言っていたのが、こんなふうに頼みごとをされるのも一度や二度ではない。
そして最近はロメオの分の公務の手伝いも増え、既に王太子妃教育と学園の授業で時間を取られているオフィーリアに余剰な時間など無いに等しかった。
それでも自分は王太子の婚約者なのだ。
婚約者の失敗は自分の失敗。
今度は何を頼まれるのか、と身構えたオフィーリアの前でロメオは真剣そうな目をして話し出した。
「俺は真実の愛を見付けたんだ」
「……真実の愛、ですか」
予想もしなかった言葉に流石のオフィーリアの反応も鈍くなってしまう。
「ああ。そうだ。俺はシェリー・ピアーズ男爵令嬢と愛し合っているんだっ!!」
高らかに宣言したロメオに対するオフィーリアの反応は、というと。
「左様にございますか」
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「また君はそんな取り澄ました態度しか取れないんだなっ!! 婚約者が他に真実の愛を見付けた、と言ったんだぞっ!!」
激高したようにロメオが怒鳴り散らすがオフィーリアはその態度を崩さなかった。
「それでは婚約は解消にございますね」
冷静に返したオフィーリアには殆ど何の感情も浮かんでないように見えた。
「はっ、やはり俺の判断は正しかったようだな。喜べオフィーリア、お前との婚約は解消しない」
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