2 / 9
第2話
しおりを挟む
「……何とおっしゃいました?」
「だからオフィーリア、君との婚約は解消しないと言ったんだ」
「どういうことでしょう? ロメオ様はそのピアーズ男爵令嬢を見初められたのですよね?」
「ああ。だが愛しいシェリーは残念ながらその身分が釣り合わないんだ。無理に王太子妃候補にしてもすぐに大臣達の反対にあってしまうだろう。そこで君の出番だ」
指摘されてまさか、とロメオの方を見ると得意げにオフィーリアの方を見ていた。
「私にこのまま王太子妃候補として過ごせとおっしゃるのですか?」
「ああ。その通りだ。君はいつも通りにしていてくれればいい」
思わずそんなバカな、というふうにオフィーリアがロメオの目を見るとどうやら本気でそう言っているらしい。
「……御子はどうされるのです?」
「それは心配ない。シェリーの産んだ子を次の王太子にすればいいだけだ」
立場上は側室にするしかないが、俺は彼女を幸せにするつもりだ。
「……」
「だから、君もこれからは何の心配も――」
「……は?」
とても低い声がした。
「誰かいるのかっ!?」
思わずロメオが人払いをした執務室内を見渡してしまう位には。
「今はまだ、と思っていました。まだ王太子であるならやり直しがきくと。ですが」
まさに怒り心頭、といった風情のオフィーリアがそこにいた。
「何を考えているんですかっ、このトリ頭はっ!!」
とんでもない声量とその迫力にロメオが数歩下がった。
「俺は王族だぞ」
「だから何です」
「は?」
オフィーリアはすう、と息を吸った。
「まだ未熟だから、と手を緩めていたのがいけなかったようですね。これしきの公務で根を挙げて私に助けを求めるとは。そして単に甘い言葉を掛けられただけで真実の愛? 子供の戯言ですか? 仮にも王族でしたらもう少し知性のあることを述べて欲しいですわ」
「王族である俺に向かって――」
「でしたら、これから公務は全てお一人でこなして下さるんですね?」
「待て。それは婚約者であるお前の責任――」
「貴方に課せられた公務です」
一言一言区切るように告げると漸くロメオが黙った。
「大体私が貴方の婚約者にならなければならかなった事情だってご存じのはずですのに、ここまで無知……世間知ら……、あら当たり障りのない言葉が思い浮かびませんわ。ごめんあそばせ」
そこで貴族令嬢らしくにこり、と笑みをはく。
「とにかく、そこでどうして王太子妃教育どころか上級貴族の礼儀も見に付けていない令嬢を迎えようとするのか、全く分かりませんけれど」
――まさか、御自分より格下の人物を側に置いて優越感に浸りたかっただけではありませんよね?
「だからオフィーリア、君との婚約は解消しないと言ったんだ」
「どういうことでしょう? ロメオ様はそのピアーズ男爵令嬢を見初められたのですよね?」
「ああ。だが愛しいシェリーは残念ながらその身分が釣り合わないんだ。無理に王太子妃候補にしてもすぐに大臣達の反対にあってしまうだろう。そこで君の出番だ」
指摘されてまさか、とロメオの方を見ると得意げにオフィーリアの方を見ていた。
「私にこのまま王太子妃候補として過ごせとおっしゃるのですか?」
「ああ。その通りだ。君はいつも通りにしていてくれればいい」
思わずそんなバカな、というふうにオフィーリアがロメオの目を見るとどうやら本気でそう言っているらしい。
「……御子はどうされるのです?」
「それは心配ない。シェリーの産んだ子を次の王太子にすればいいだけだ」
立場上は側室にするしかないが、俺は彼女を幸せにするつもりだ。
「……」
「だから、君もこれからは何の心配も――」
「……は?」
とても低い声がした。
「誰かいるのかっ!?」
思わずロメオが人払いをした執務室内を見渡してしまう位には。
「今はまだ、と思っていました。まだ王太子であるならやり直しがきくと。ですが」
まさに怒り心頭、といった風情のオフィーリアがそこにいた。
「何を考えているんですかっ、このトリ頭はっ!!」
とんでもない声量とその迫力にロメオが数歩下がった。
「俺は王族だぞ」
「だから何です」
「は?」
オフィーリアはすう、と息を吸った。
「まだ未熟だから、と手を緩めていたのがいけなかったようですね。これしきの公務で根を挙げて私に助けを求めるとは。そして単に甘い言葉を掛けられただけで真実の愛? 子供の戯言ですか? 仮にも王族でしたらもう少し知性のあることを述べて欲しいですわ」
「王族である俺に向かって――」
「でしたら、これから公務は全てお一人でこなして下さるんですね?」
「待て。それは婚約者であるお前の責任――」
「貴方に課せられた公務です」
一言一言区切るように告げると漸くロメオが黙った。
「大体私が貴方の婚約者にならなければならかなった事情だってご存じのはずですのに、ここまで無知……世間知ら……、あら当たり障りのない言葉が思い浮かびませんわ。ごめんあそばせ」
そこで貴族令嬢らしくにこり、と笑みをはく。
「とにかく、そこでどうして王太子妃教育どころか上級貴族の礼儀も見に付けていない令嬢を迎えようとするのか、全く分かりませんけれど」
――まさか、御自分より格下の人物を側に置いて優越感に浸りたかっただけではありませんよね?
153
あなたにおすすめの小説
【完結】真実の愛とやらに負けて悪役にされてポイ捨てまでされましたので
Rohdea
恋愛
最近のこの国の社交界では、
叙爵されたばかりの男爵家の双子の姉弟が、珍しい髪色と整った容姿で有名となっていた。
そんな双子の姉弟は、何故かこの国の王子、王女とあっという間に身分差を超えて親しくなっていて、
その様子は社交界を震撼させていた。
そんなある日、とあるパーティーで公爵令嬢のシャルロッテは婚約者の王子から、
「真実の愛を見つけた」「貴様は悪役のような女だ」と言われて婚約破棄を告げられ捨てられてしまう。
一方、その場にはシャルロッテと同じ様に、
「真実の愛を見つけましたの」「貴方は悪役のような男性ね」と、
婚約者の王女に婚約破棄されている公爵令息、ディライトの姿があり、
そんな公衆の面前でまさかの婚約破棄をやらかした王子と王女の傍らには有名となっていた男爵家の双子の姉弟が……
“悪役令嬢”と“悪役令息”にされたシャルロッテとディライトの二人は、
この突然の婚約破棄に納得がいかず、
許せなくて手を組んで復讐する事を企んだ。
けれど───……あれ? ディライト様の様子がおかしい!?
【完結】やり直しの人生、今度は王子様の婚約者にはならない……はずでした
Rohdea
恋愛
侯爵令嬢のブリジットは、大きな嘘をついて王太子であるランドルフの婚約者の座に収まっていた。
しかし、遂にその嘘がバレてしまう。
ブリジットの断罪の場で愛するランドルフの横にいたのは異母妹のフリージア。
そのフリージアこそがかつて本当にランドルフが婚約に望んだ相手だった。
断罪されたブリジットは、国外追放となり国を出る事になる。
しかし、ブリジットの乗った馬車は事故を起こしてしまい───……
ブリジットが目覚めると、なぜか時が戻っていた。
だけど、どうやら“今”はまだ、ランドルフとの婚約前。
それならば、
もう二度と同じ過ちは犯さない!
今度は嘘もつかずに異母妹フリージアをちゃんと彼の婚約者にする!
そう決意したはずなのに何故か今度の人生で、ランドルフから届いた婚約者の指名は、
フリージアではなく、ブリジットとなっていて───
運命の番より真実の愛が欲しい
サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。
ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。
しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。
運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。
それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。
地味令嬢を馬鹿にした婚約者が、私の正体を知って土下座してきました
ほーみ
恋愛
王都の社交界で、ひとつの事件が起こった。
貴族令嬢たちが集う華やかな夜会の最中、私――セシリア・エヴァンストンは、婚約者であるエドワード・グラハム侯爵に、皆の前で婚約破棄を告げられたのだ。
「セシリア、お前との婚約は破棄する。お前のような地味でつまらない女と結婚するのはごめんだ」
会場がざわめく。貴族たちは興味深そうにこちらを見ていた。私が普段から控えめな性格だったせいか、同情する者は少ない。むしろ、面白がっている者ばかりだった。
【完結】記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました
Rohdea
恋愛
誰かが、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
必死に“私”を呼んでいたのは見知らぬ男性だった。
──目を覚まして気付く。
私は誰なの? ここはどこ。 あなたは誰?
“私”は馬車に轢かれそうになり頭を打って気絶し、起きたら記憶喪失になっていた。
こうして私……リリアはこれまでの記憶を失くしてしまった。
だけど、なぜか目覚めた時に傍らで私を必死に呼んでいた男性──ロベルトが私の元に毎日のようにやって来る。
彼はただの幼馴染らしいのに、なんで!?
そんな彼に私はどんどん惹かれていくのだけど……
【完結】殿下は私を溺愛してくれますが、あなたの“真実の愛”の相手は私ではありません
Rohdea
恋愛
──私は“彼女”の身代わり。
彼が今も愛しているのは亡くなった元婚約者の王女様だけだから──……
公爵令嬢のユディットは、王太子バーナードの婚約者。
しかし、それは殿下の婚約者だった隣国の王女が亡くなってしまい、
国内の令嬢の中から一番身分が高い……それだけの理由で新たに選ばれただけ。
バーナード殿下はユディットの事をいつも優しく、大切にしてくれる。
だけど、その度にユディットの心は苦しくなっていく。
こんな自分が彼の婚約者でいていいのか。
自分のような理由で互いの気持ちを無視して決められた婚約者は、
バーナードが再び心惹かれる“真実の愛”の相手を見つける邪魔になっているだけなのでは?
そんな心揺れる日々の中、
二人の前に、亡くなった王女とそっくりの女性が現れる。
実は、王女は襲撃の日、こっそり逃がされていて実は生きている……
なんて噂もあって────
私は愛する人と結婚できなくなったのに、あなたが結婚できると思うの?
あんど もあ
ファンタジー
妹の画策で、第一王子との婚約を解消することになったレイア。
理由は姉への嫌がらせだとしても、妹は王子の結婚を妨害したのだ。
レイアは妹への処罰を伝える。
「あなたも婚約解消しなさい」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる