死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?

神崎 ルナ

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第19話 捜索 ②

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 帝国が得た情報としてコントワーズ王国内の不穏分子のことを話すと、フォンデル公爵は渋い表情をした。

「それらのことが分かっていながらこちらには特には、いやそれに関しては何も言わないでおきましょう」

 国内外の情報を集めるのは貴族としては当然のことである。

 そのことに対しフォンデル公爵が苦言を申し出るのはおかしいし、更に話を聞くとフォンデル公爵も自身の情報網である程度の察しは付けていたらしい。

 だがまだ奏上する段階まで精査されておらず、もう少し情報を纏めようとしていた矢先だったようだ。

「北の方で不穏な動きがあることは察しておりましたが、まさか宰相であるクラスター公爵がそのようなことを目論んでいたとは」

 黒幕がクラスター公爵だとはっきりとは分かっていなかったらしい。

 ただ少々怪しい動きがいくつか見られ、気取られないよう監視の体制を整えようとしていたようだ。

 フォンデル公爵の他にもこういったことを調べている貴族はいるだろうが、フォンデル公爵はそれらの貴族との連携までは考えていなかったようだった。

「まだ未確定の情報ばかりでしたから。ですがこうなれば話は別です」

 急遽、俺の情報も交え対策と捜索をすることになったのだが、正直に今の状況を説明する訳にもいかない。

 彼女が周囲にすんなりフォンデル公爵家の令嬢として受け入れられたのには少し事情があった。

 当時フォンデル公爵夫人は妊娠しており、そこから考えると彼女と取り替えられた本当のフォンデル公爵家の子がいるはずだ。

 その後のフォンデル公爵夫人の様子からすると恐らくその子はどこかで生きているのだろう。

 一度目の革命後、フォンデル公爵夫人は夫と娘の死を知って取り乱していたようだが、王都での報告を聞くにつれて落ち着きを取り戻して行ったらしい。

 フォンデル公爵領は革命派に徴取されたが、夫人は治癒院で働き、生計を立てていたらしい。

 フォンデル公爵家の本当の子はどこにいるんだ?

 問い質したいが今はその時ではない。

 そして話を今に戻すが、捜索となると騎士団に依頼しなければならない。だが、騎士団長のトライフル侯爵はあのアルノとかいう舞踏会でやらかした息子の父親である。

 一応誠実さが評判となっているようだが、どこまで信じていいものか。

 そんな俺の思考を読んだようにフォンデル公爵が口を開いた。

「トライフル侯爵は団員たちにも慕われております。次男のこともありますがそこで話を曲げることはないでしょう」

 付き合いのあるフォンデル公爵がそう言うのならそうだろうが、それでも保険はかけておきたい。

「ですが万一ということもあります。フォンデル公爵令嬢の名は伏せて捜索を依頼した方がよいのでは?」

「それは勿論。とある貴族の令嬢の行方が知れない、というふうに話を持っていくつもりです。恐らくアレクシアのことではないか、と勘繰られるかもしれませんが、そこは黙認してもらいますよ」

 それだけでは足りない気がする。俺は更に付け加えることにした。

「ではその件に俺の名も出してもらいましょう」

「ユージーン殿?」

「帝国の第二王子の依頼ということにしておけば、この段階でフォンデル公爵令嬢と俺を結びつける輩はいないでしょう」

 ユクトルが王太子から外されることが明らかになった現在、彼女を狙う輩が出て来るのは間違いない。

 だが俺が依頼主ということにしておけば、その牽制にもなるし、彼女が見付かったらすぐにでも婚約して公にしてしまえばいい。

 言葉にはしなかったが、そんな思いが伝わったのかフォンデル公爵が渋い顔になった。

「それはそうかもしれませんが」

 反論しようとしたフォンデル公爵に俺は畳み掛けるように告げた。

「早いか遅いかの違いですよ。フォンデル公爵」

 どちらのせよ彼女と婚約することに変わりはないのだ。



 その後の話し合いの結果、結局俺とフォンデル公爵の連名で捜索願が出されることになり、騎士団に依頼することになるのだが、そこでたまた新たな問題が起きていることなど俺は知るよしもなかった。





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