2 / 85
宰相の妻が子犬に吠えられて逃げていきました
しおりを挟む
それから私は毎日ころちゃんの面倒を見た。
ころちゃんは賢くてトイレも一回で覚えたし、なんか好き嫌いなく食べているんだけど、子犬の食事つてこんなの良いの? 言うくらい普通に食べている。
本来ならば、母乳とか飲んでいるときだと思うのに!
普通に肉とかも平気で食べている。
犬用の食事よりも私と一緒の食事を取りたがるんだけど……
「うーん、ころちゃん可愛い!」
私はころチャンを抱っこしてもふもふしている。
本当にころちゃんは癒やされるのだ。
何故か胸に抱くと赤くなっているような気がするんだけど、気の所為だと思う。
そんな私はころちゃんをお散歩にだした。
「ころちゃん、そんなに走っちゃダメよ!」
久々のお外でころちゃんははしゃぎまわったのだ。
私は必死に追いかけたが、ころちゃんはどんどん走っていった。
「ころちゃん、やっと捕まえたわ」
私がやっところちゃんを捕まえると、
「まあ、王女殿下。何をしていらっしゃるの? また、地味な服を着られて」
アレイダの呆れた声がした。
やってしまった。ころちゃんが勝手に走っていくから、前からアレイダ達がやってくるのに気づかなかったのだ。
アレイダは目の覚めるような真っ赤な生地に金ピカのラインが入ったとても派手な衣装を着ていた。
私はそれを見て思わず目が点になってしまった。
あなたの派手な衣装に比べたら誰でも地味よ!
思わず口に出してしまいそうだった。
「ゲッ」
「すげえ」
私の後ろの護衛騎士たちが私に代わって呟いているけど。
「そうでしょう。アレイダ様は素晴らしいのです」
なんかその声を褒めている声と聞き違えて、取り巻きの一人がヨイショしていたけれど……
今日は昨日とは違って私は普通の水色のドレスを着ていたのだ。どう見ても私のほうがまともだと思うんたけど……
「ところで何なのですか、その小さいものは?」
アレイダが聞いていた。
「可愛いでしょ。ころちゃんというのですわ」
私が自慢していってやった。
そう、ころちゃんは可愛いのだ。
「なんか小さすぎて、すぐに死んでしまいそうですわね」
アレイダがムッとすることを言ってくれた。
さすがの穏便な私も思わず言い返しそうになった。
「キャンキャン」
ころちゃんが私の代わりに抗議してくれたから、私は黙っていたけれど……
「ボールみたいにコロコロ転がしたら面白そうだからころちゃんですか?」
アレイダが変なことを聞いてきた。
「そんな訳無いでしょう。アレイダ様は子犬を見たことがないのですか?」
思わず私が聞くと、
「えっ、この小さいのが犬なんですか」
驚いてアレイダはころちゃんを二度見した。
本当に見たことが無かったみたいだ。
少し近づいてきたので、私はまた、わがまま言われて取られたら嫌だから、さっところちゃんを腕の中に隠したのだった。
「まあ、王女殿下。隠されるなんて、大人気ありませんわ。気にせずとも取ったりしませんわよ」
アレイダは笑ってくれたが、そんな事は判らない。
アレイダの侍女のコリーがずいっと前に出てきたのだから。コリーは触りたくて仕方がないように顔をしているし。
「アレイダ。まだ、こんな所にいましたの? お父様がお呼びですよ」
私は後ろから来た人物を見てげんなりした。
ドーラ・レーネン元皇女。ノース帝国の側室の娘で、現宰相の妻だ。彼女はキンキラキンの緑色の蛍光色のドレスを着ていた。見ていて本当に眩しい!
「ああら、これはカーラ王女殿下ではございませんか?」
嫌味なことは娘以上だ。
「あまりにも地味なので、いらっしゃることが判りませんでしたわ」
早速嫌味を言ってくれた。
いやいや、あなた達二人のクリスマス色コンビに比べたら、皆、地味になるわよ!
私はそう言いたかった。
「本当にノース帝国でしたら、その地味な安物の衣装は男爵令嬢が着るものでしてよ」
確かに帝国の皇女殿下の衣装に比べたら安物かもしれないが、この衣装は動きやすくて良いのだ。
と言うか、一国の王女を帝国の男爵家と比べるな!いくらなんでもそれはないはずだ。
最も帝国は広大な領土を持つているから下手したら大きな男爵家だったら、この国以上の領地を持つ男爵家がいるかもしれない?
まあ、それはないと思うけれど、そもそも、そんなに帝国の自慢がしたければ、こんなちっぽけな国の宰相の妻なんかにならなければ良かったのに! 選ばなければ帝国貴族に嫁げただろう。
私のことを帝国の男爵以下だというのならば、その部下の宰相はそれ以下のはずだ。
私の素直な疑問だ。
絶対に口が裂けても言えないけれど……
「あら、その手に抱えているものは何なんですか」
ドーラが目ざとく見つけて覗いてきた。
「わんわん!」
いきなりころちゃんが吠えてくれたのだ。
吠えるのも可愛いと私は思ったのに!
「キャーーーー!」
ドーラは驚いて、その場に尻もちを付いてしまったのだ。
「えっ?」
私は驚いてしまった。
そんなに驚くようなことだったろうか?
「ま、まあ、あなたよくも帝国の元皇女の私に犬をけしかけましたわね」
こめかみを引きつらせながらドーラが怒ってきた。
「わんわん!」
「キャーーーー、もう近づけないで」
私の腕の中でころちゃんがまた可愛く吠えてくれた。
ドーラが必死に後ずさっていくんだけど、何故に?
吠えているころちゃんもとても可愛いのに!
私達はアレイダも含めて唖然とドーラを見ていた。
「カーラ王女、覚えていなさいよ!」
遠くから叫んで
「わんわん!」
ころちゃんに吠えられて慌てて逃げていったのだ。
「ちょっとお母様」
慌ててアレイダとその取り巻きも追いかけていった。
「ドーラ様は何に驚かれたのかしら。ころちゃんはこんなに可愛いのに?」
私がサーヤに聞くと、サーヤは肩をすくめてくれた。
「まあ、とてもいい気味に見えましたけど」
サーヤの後ろの騎士たちも頷いていた。
その点は私も否定しなかった。
でも、ドーラがこのことを黙っているわけはなかったのだ。
****************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
本日まだまだ投稿する予定です
ころちゃんは賢くてトイレも一回で覚えたし、なんか好き嫌いなく食べているんだけど、子犬の食事つてこんなの良いの? 言うくらい普通に食べている。
本来ならば、母乳とか飲んでいるときだと思うのに!
普通に肉とかも平気で食べている。
犬用の食事よりも私と一緒の食事を取りたがるんだけど……
「うーん、ころちゃん可愛い!」
私はころチャンを抱っこしてもふもふしている。
本当にころちゃんは癒やされるのだ。
何故か胸に抱くと赤くなっているような気がするんだけど、気の所為だと思う。
そんな私はころちゃんをお散歩にだした。
「ころちゃん、そんなに走っちゃダメよ!」
久々のお外でころちゃんははしゃぎまわったのだ。
私は必死に追いかけたが、ころちゃんはどんどん走っていった。
「ころちゃん、やっと捕まえたわ」
私がやっところちゃんを捕まえると、
「まあ、王女殿下。何をしていらっしゃるの? また、地味な服を着られて」
アレイダの呆れた声がした。
やってしまった。ころちゃんが勝手に走っていくから、前からアレイダ達がやってくるのに気づかなかったのだ。
アレイダは目の覚めるような真っ赤な生地に金ピカのラインが入ったとても派手な衣装を着ていた。
私はそれを見て思わず目が点になってしまった。
あなたの派手な衣装に比べたら誰でも地味よ!
思わず口に出してしまいそうだった。
「ゲッ」
「すげえ」
私の後ろの護衛騎士たちが私に代わって呟いているけど。
「そうでしょう。アレイダ様は素晴らしいのです」
なんかその声を褒めている声と聞き違えて、取り巻きの一人がヨイショしていたけれど……
今日は昨日とは違って私は普通の水色のドレスを着ていたのだ。どう見ても私のほうがまともだと思うんたけど……
「ところで何なのですか、その小さいものは?」
アレイダが聞いていた。
「可愛いでしょ。ころちゃんというのですわ」
私が自慢していってやった。
そう、ころちゃんは可愛いのだ。
「なんか小さすぎて、すぐに死んでしまいそうですわね」
アレイダがムッとすることを言ってくれた。
さすがの穏便な私も思わず言い返しそうになった。
「キャンキャン」
ころちゃんが私の代わりに抗議してくれたから、私は黙っていたけれど……
「ボールみたいにコロコロ転がしたら面白そうだからころちゃんですか?」
アレイダが変なことを聞いてきた。
「そんな訳無いでしょう。アレイダ様は子犬を見たことがないのですか?」
思わず私が聞くと、
「えっ、この小さいのが犬なんですか」
驚いてアレイダはころちゃんを二度見した。
本当に見たことが無かったみたいだ。
少し近づいてきたので、私はまた、わがまま言われて取られたら嫌だから、さっところちゃんを腕の中に隠したのだった。
「まあ、王女殿下。隠されるなんて、大人気ありませんわ。気にせずとも取ったりしませんわよ」
アレイダは笑ってくれたが、そんな事は判らない。
アレイダの侍女のコリーがずいっと前に出てきたのだから。コリーは触りたくて仕方がないように顔をしているし。
「アレイダ。まだ、こんな所にいましたの? お父様がお呼びですよ」
私は後ろから来た人物を見てげんなりした。
ドーラ・レーネン元皇女。ノース帝国の側室の娘で、現宰相の妻だ。彼女はキンキラキンの緑色の蛍光色のドレスを着ていた。見ていて本当に眩しい!
「ああら、これはカーラ王女殿下ではございませんか?」
嫌味なことは娘以上だ。
「あまりにも地味なので、いらっしゃることが判りませんでしたわ」
早速嫌味を言ってくれた。
いやいや、あなた達二人のクリスマス色コンビに比べたら、皆、地味になるわよ!
私はそう言いたかった。
「本当にノース帝国でしたら、その地味な安物の衣装は男爵令嬢が着るものでしてよ」
確かに帝国の皇女殿下の衣装に比べたら安物かもしれないが、この衣装は動きやすくて良いのだ。
と言うか、一国の王女を帝国の男爵家と比べるな!いくらなんでもそれはないはずだ。
最も帝国は広大な領土を持つているから下手したら大きな男爵家だったら、この国以上の領地を持つ男爵家がいるかもしれない?
まあ、それはないと思うけれど、そもそも、そんなに帝国の自慢がしたければ、こんなちっぽけな国の宰相の妻なんかにならなければ良かったのに! 選ばなければ帝国貴族に嫁げただろう。
私のことを帝国の男爵以下だというのならば、その部下の宰相はそれ以下のはずだ。
私の素直な疑問だ。
絶対に口が裂けても言えないけれど……
「あら、その手に抱えているものは何なんですか」
ドーラが目ざとく見つけて覗いてきた。
「わんわん!」
いきなりころちゃんが吠えてくれたのだ。
吠えるのも可愛いと私は思ったのに!
「キャーーーー!」
ドーラは驚いて、その場に尻もちを付いてしまったのだ。
「えっ?」
私は驚いてしまった。
そんなに驚くようなことだったろうか?
「ま、まあ、あなたよくも帝国の元皇女の私に犬をけしかけましたわね」
こめかみを引きつらせながらドーラが怒ってきた。
「わんわん!」
「キャーーーー、もう近づけないで」
私の腕の中でころちゃんがまた可愛く吠えてくれた。
ドーラが必死に後ずさっていくんだけど、何故に?
吠えているころちゃんもとても可愛いのに!
私達はアレイダも含めて唖然とドーラを見ていた。
「カーラ王女、覚えていなさいよ!」
遠くから叫んで
「わんわん!」
ころちゃんに吠えられて慌てて逃げていったのだ。
「ちょっとお母様」
慌ててアレイダとその取り巻きも追いかけていった。
「ドーラ様は何に驚かれたのかしら。ころちゃんはこんなに可愛いのに?」
私がサーヤに聞くと、サーヤは肩をすくめてくれた。
「まあ、とてもいい気味に見えましたけど」
サーヤの後ろの騎士たちも頷いていた。
その点は私も否定しなかった。
でも、ドーラがこのことを黙っているわけはなかったのだ。
****************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
本日まだまだ投稿する予定です
68
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる