15 / 85
ころちゃん視点 破落戸の兄貴に捕まってしまいました
しおりを挟む
俺は皆の寝静まった後で食い物を物色しながら、どうしたものか考えていた。
あのガマガエルをカーラの婿に迎えるなんて絶対に嫌だ。
でも、だからと言って殺すのもどうかとは思う。
ガマガエルが何か良からぬ事を企んでいるなら殺しても良いかとは思うが、今はまだ何も考えてはいないようだ。
と言うか、あのガマガエルがを描く以外の脳があるとは思えなかった。
でもこのままでは、宰相の陰謀によって、カーラがガマガエルと結婚させられるかもしれない。
それだけはなんとしても防がなければ!
俺は取り敢えずここを根城に様子を見ることにした。
最悪見つかってもこの破落戸どもなら、俺を殺さないだろう。
おれはそう思ったのだ。
それにここなら簡単に外に出られる。更に破落戸どもは口が軽そうだ。何か状況が代わったら即座に教えてくれるだろう。
その夜は外を兵士達が必死に探していそうだから、静かにして部屋の中にいた。
その代わりに俺は机の上に破落戸が残した食事をあさったのだ。
食事は王宮程ではなかったが、破落戸の食事としては結構良くて、貴族の食事と遜色の無い味だった。ここの破落戸が宰相に大切にされているのが良くわかった。
俺は少なくともほとぼりが覚めるまで椅子の木箱の中にいることにした。
翌朝は破落戸どもは起きるのが遅かった。
奴らが起きる前にコックの見習い達が、皿を取りに来たのだ。
「あれ、今日はほとんど食事がなくなっている」
「変だよな。いつもは多くの食べ残しがあるのに!」
俺はそれを聞いて少し食べ過ぎたかと、反省した。
「量が少ないのかな」
「後で料理長に文句を言われたら怒られるのは俺等だけど」
「量をもう少し増やすか」
コックらは口々に言いながら出て行った。
まあ、量が増えるのは良いことだ。俺は期待することにした。
そして、昼頃になるとやっと破落戸共が起き出してきたのだ。
皆置かれた食事を始める。
「聞いたか? お館様の坊っちゃんが襲われたって事だったからどんなやつに襲われたのかと警戒したんだが、昨日の子犬に襲われたってことらしいぜ」
一人が言い出した。
「はああああ? あんな子犬に襲われただと?」
「普通は、事実でも言えないだろう」
「ここの奥さんも子犬に吠えられて怒り狂っていたそうだけど、俺なら恥ずかしくて言えないぜ」
「あんな可愛い子犬を襲ったなら判るけど、襲われたって、笑えもしねえや」
「どれだけ弱いんだよ」
「まあ、ガマガエルの坊っちゃんだからな」
「でも、カエルでも下手したらあの子犬より大きいぜ」
「子犬にしたらカエルのお化けだと思って吠えたんじゃないのか?」
「ちげえねえな」
男たちはどっと笑っていた。
しかし、次の瞬間だ。
「おい、ベイル、貴様、また俺の肉を食べたな」
昨日怒っていた確かブルーノとかいう破落戸が、ベイルにまた食って掛かった。
「なんで俺がお前の肉を食べる必要がある?」
ベイルが呆れて言うが、
「だって俺の肉だけないんだぞ。絶対におかしいだろう」
ブルーノは叫んでいた。
しまった。またブルーノのお皿のを食べてしまった。
もう少し我慢すればよかったのだが、目の前にコックたちが準備したお皿を見て我慢できずに食べてしまったのだ。
「俺は少なくとも食べていないぞ。誰か他のやつが食べたんじゃないか?」
「くっそう、誰だ、俺の肉食ったやつは?」
ブルーノが叫ぶが誰一人として返事しない。
「くっそう」
そう言うとブルーのはベイルの座っている俺の忍び込んでいた木箱の椅子を思いっきり蹴り上げたのだ。
「キャン」
俺は思わず悲鳴をあげてしまった。
しまった! やってしまつた。
「貴様、人が座って食べている所の椅子を蹴飛ばしてくれやがって、どういうつもりだ?」
ベイルが立ち上がっ手怒りだした。
「ちょっと待て、ベイル。今何か聞こえたぞ」
「はああああ! 誤魔化すな! 俺は飯食っている時に邪馬されるのが一番嫌なんだよ!」
ベイルが叫ぶが、
「いや、ちょっと待てって」
ブルーノの声がして、
「どこかで何かの鳴き声がしたぞ」
周りをキョロキョロ探す仕草が箱の隙間から見えた。
やばい。俺は完全に固まったのだ。
「ここか」
ブルーノは俺の隠れていた木箱を退けてくれた。
俺は皆の視線の下にさらされてしまったのだ。
やばい! 捕まったらガマガエルに突き出される。
俺は必死に駆け出したのだ。
「おい、扉を閉めろ」
入口のそばにいた男がしなくていいのに扉を締めてくれた。
くっそう、どこかから逃げないと。
「そっちに行ったぞ」
「捕まえろ!」
俺は男の手をかいくぐる。
「おい、そっちだ」
「捕まえた」
と言う男の手を避けて股の間から逃げる。
「「痛い!」」
俺を捕まえようとした男たちが二人でぶつかる。
俺は机の上に飛び乗った。
必死に駈ける。
「ギヤーーーー」
「俺の飯が」
「飯の上に乗るな」
「ワン」
男たちが叫ぶので仕方無しに皿の間を駈ける。
そして、地面に降りて開いている窓から逃げようと、机から飛び降りた時だ。
丁度そこに男の手が現れてガッチリと捕まれてしまったのだ。
「キャン!」
俺は逃れようとして暴れたが、
「もう逃げられないぞ」
とガッシリとつかまれてしまった。
「キャィーーーーン」
俺は悲しく鳴くしか出来なかった。
「ふん、よく見ると可愛いじゃないか!」
なんと俺を捕まえたのは、破落戸共の兄貴分のベイルだった。
「おい、ベイル、俺の肉泥棒をよく捕まえてくれたな。この子犬を焼き肉にでもするか」
ブルーノが言ってくれた。
俺は絶望を感じた。
*********************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ころちゃんの運命やいかに?
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
あのガマガエルをカーラの婿に迎えるなんて絶対に嫌だ。
でも、だからと言って殺すのもどうかとは思う。
ガマガエルが何か良からぬ事を企んでいるなら殺しても良いかとは思うが、今はまだ何も考えてはいないようだ。
と言うか、あのガマガエルがを描く以外の脳があるとは思えなかった。
でもこのままでは、宰相の陰謀によって、カーラがガマガエルと結婚させられるかもしれない。
それだけはなんとしても防がなければ!
俺は取り敢えずここを根城に様子を見ることにした。
最悪見つかってもこの破落戸どもなら、俺を殺さないだろう。
おれはそう思ったのだ。
それにここなら簡単に外に出られる。更に破落戸どもは口が軽そうだ。何か状況が代わったら即座に教えてくれるだろう。
その夜は外を兵士達が必死に探していそうだから、静かにして部屋の中にいた。
その代わりに俺は机の上に破落戸が残した食事をあさったのだ。
食事は王宮程ではなかったが、破落戸の食事としては結構良くて、貴族の食事と遜色の無い味だった。ここの破落戸が宰相に大切にされているのが良くわかった。
俺は少なくともほとぼりが覚めるまで椅子の木箱の中にいることにした。
翌朝は破落戸どもは起きるのが遅かった。
奴らが起きる前にコックの見習い達が、皿を取りに来たのだ。
「あれ、今日はほとんど食事がなくなっている」
「変だよな。いつもは多くの食べ残しがあるのに!」
俺はそれを聞いて少し食べ過ぎたかと、反省した。
「量が少ないのかな」
「後で料理長に文句を言われたら怒られるのは俺等だけど」
「量をもう少し増やすか」
コックらは口々に言いながら出て行った。
まあ、量が増えるのは良いことだ。俺は期待することにした。
そして、昼頃になるとやっと破落戸共が起き出してきたのだ。
皆置かれた食事を始める。
「聞いたか? お館様の坊っちゃんが襲われたって事だったからどんなやつに襲われたのかと警戒したんだが、昨日の子犬に襲われたってことらしいぜ」
一人が言い出した。
「はああああ? あんな子犬に襲われただと?」
「普通は、事実でも言えないだろう」
「ここの奥さんも子犬に吠えられて怒り狂っていたそうだけど、俺なら恥ずかしくて言えないぜ」
「あんな可愛い子犬を襲ったなら判るけど、襲われたって、笑えもしねえや」
「どれだけ弱いんだよ」
「まあ、ガマガエルの坊っちゃんだからな」
「でも、カエルでも下手したらあの子犬より大きいぜ」
「子犬にしたらカエルのお化けだと思って吠えたんじゃないのか?」
「ちげえねえな」
男たちはどっと笑っていた。
しかし、次の瞬間だ。
「おい、ベイル、貴様、また俺の肉を食べたな」
昨日怒っていた確かブルーノとかいう破落戸が、ベイルにまた食って掛かった。
「なんで俺がお前の肉を食べる必要がある?」
ベイルが呆れて言うが、
「だって俺の肉だけないんだぞ。絶対におかしいだろう」
ブルーノは叫んでいた。
しまった。またブルーノのお皿のを食べてしまった。
もう少し我慢すればよかったのだが、目の前にコックたちが準備したお皿を見て我慢できずに食べてしまったのだ。
「俺は少なくとも食べていないぞ。誰か他のやつが食べたんじゃないか?」
「くっそう、誰だ、俺の肉食ったやつは?」
ブルーノが叫ぶが誰一人として返事しない。
「くっそう」
そう言うとブルーのはベイルの座っている俺の忍び込んでいた木箱の椅子を思いっきり蹴り上げたのだ。
「キャン」
俺は思わず悲鳴をあげてしまった。
しまった! やってしまつた。
「貴様、人が座って食べている所の椅子を蹴飛ばしてくれやがって、どういうつもりだ?」
ベイルが立ち上がっ手怒りだした。
「ちょっと待て、ベイル。今何か聞こえたぞ」
「はああああ! 誤魔化すな! 俺は飯食っている時に邪馬されるのが一番嫌なんだよ!」
ベイルが叫ぶが、
「いや、ちょっと待てって」
ブルーノの声がして、
「どこかで何かの鳴き声がしたぞ」
周りをキョロキョロ探す仕草が箱の隙間から見えた。
やばい。俺は完全に固まったのだ。
「ここか」
ブルーノは俺の隠れていた木箱を退けてくれた。
俺は皆の視線の下にさらされてしまったのだ。
やばい! 捕まったらガマガエルに突き出される。
俺は必死に駆け出したのだ。
「おい、扉を閉めろ」
入口のそばにいた男がしなくていいのに扉を締めてくれた。
くっそう、どこかから逃げないと。
「そっちに行ったぞ」
「捕まえろ!」
俺は男の手をかいくぐる。
「おい、そっちだ」
「捕まえた」
と言う男の手を避けて股の間から逃げる。
「「痛い!」」
俺を捕まえようとした男たちが二人でぶつかる。
俺は机の上に飛び乗った。
必死に駈ける。
「ギヤーーーー」
「俺の飯が」
「飯の上に乗るな」
「ワン」
男たちが叫ぶので仕方無しに皿の間を駈ける。
そして、地面に降りて開いている窓から逃げようと、机から飛び降りた時だ。
丁度そこに男の手が現れてガッチリと捕まれてしまったのだ。
「キャン!」
俺は逃れようとして暴れたが、
「もう逃げられないぞ」
とガッシリとつかまれてしまった。
「キャィーーーーン」
俺は悲しく鳴くしか出来なかった。
「ふん、よく見ると可愛いじゃないか!」
なんと俺を捕まえたのは、破落戸共の兄貴分のベイルだった。
「おい、ベイル、俺の肉泥棒をよく捕まえてくれたな。この子犬を焼き肉にでもするか」
ブルーノが言ってくれた。
俺は絶望を感じた。
*********************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
ころちゃんの運命やいかに?
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
48
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は反省しない!
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢リディス・アマリア・フォンテーヌは18歳の時に婚約者である王太子に婚約破棄を告げられる。その後馬車が事故に遭い、気づいたら神様を名乗る少年に16歳まで時を戻されていた。
性格を変えてまで王太子に気に入られようとは思わない。同じことを繰り返すのも馬鹿らしい。それならいっそ魔界で頂点に君臨し全ての国を支配下に置くというのが、良いかもしれない。リディスは決意する。魔界の皇子を私の美貌で虜にしてやろうと。
【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
【完結】公爵令嬢に転生したので両親の決めた相手と結婚して幸せになります!
永倉伊織
恋愛
ヘンリー・フォルティエス公爵の二女として生まれたフィオナ(14歳)は、両親が決めた相手
ルーファウス・ブルーム公爵と結婚する事になった。
だがしかし
フィオナには『昭和・平成・令和』の3つの時代を生きた日本人だった前世の記憶があった。
貴族の両親に逆らっても良い事が無いと悟ったフィオナは、前世の記憶を駆使してルーファウスとの幸せな結婚生活を模索する。
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる