皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第八章 ボフミエ王宮恋愛編

東方の戦雲の兆しがあらわれました

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その日の夜から朝にかけてボフミエ南部は嵐が襲っていた。
凄まじい風が吹き荒れて、固定していないものはどんどん飛んでいった。

「大丈夫かしら」
嵐になれないクリスは心配だったが、
「ジパグではこんなのは嵐のうちに入りませんよ」
コレキヨは平然としていた。
「ジパグでは嵐が多いんですね」
「まあ、場所によりますが、夏から秋にかけてはよく来ます。洪水になったり、家屋が倒壊したり大変ですが、こんな嵐ではそこまでひどくなりますまい」
コレキヨは慣れたものだった。
嵐が多少収まった所でクリスらは帰ることにした。

「それでは皇太后様。宜しくお願いいたします」
「判ったよ。この秋までにはボフミエで一番収穫量が上がりそうな稲を見つけておくよ」
「あと、技術指導の方も宜しくお願いします」
「あと、100人くらい、若い者が来るんだね」
「はい。ボフミエの未来をおまかせします」
「判った。こちらは頑張ろう。クリスも東方が少しきな臭いから気をおつけ」
最後は小さい声で皇太后が言った。
「有難うございます。ご忠告頂いて」
クリスがクリスが軽く頭を下げる。
「最ももう掴んでいるんだろ」
皇太后の目は笑っていた。
「まあ、いろんな方もいらっしゃっていますし」
クリスは笑い返した。既にスカイバードに向かったコレキヨや依然王女など今までにボフミエに来なかった面々が来ている。
「まあ、どうするかじっくり考えるんだね」
「有難うございます。出来れば今は国力回復に努めたいところですが、皆さんの意見も聞いて考えます」
クリスは皇太后にそう言うと農業研究センターを出て空港へ向かった。

空港でも風の止むのを待たされた。
クリスは魔導電話を何回か見た。
オーウェンからは何回も電話がかかってきていたみたいだが、嵐の関係で受信状況が悪く、今気付いたのだった。
相も変わらず、依然王女と仲良くやっているようなことはイザベラからは言われた。
その言い訳だろうか。
陳国の王女なら、1侯爵令嬢よりも立場は上だろうとは思うものの、クリスは釈然としなかった。
何か胸が痛い。でも考えないようにしないと……


「どうされたのですか。待ち人からの連絡待ちですか」
「そのような方はいませんわ。皇太子殿下こそ、ジパグで待ち人がいらっしゃるんじゃないのですか」
「まさか、そんなのがいれば財務卿など引き受けませんよ」
コレキヨは笑って言った。
「そうですか。コレキヨ様ほどの人でしたら想い人の1人や2人いてもおかしく無いと思うのですが。なんでしたら呼び寄せて頂いて結構ですよ」
「私としてはクリス様のお側において頂けたら言うことはないのですが」
「まあ、コレキヨ様もお口が上手なのですね」
「本心なんですが」
コレキヨがボソリと呟いた言葉は
「クリス様!準備ができたそうです」
イザベラの大声でかき消された。
「判りました。今行きます」
応えてクリスは立上った。
「コレキヨ様。何かおっしゃいましたか。聞こえなくて」
「いえいえ、何も申しておりませんよ。それよりも参りましょう」
コレキヨがクリスをエスコートしてスカイバードまで歩き出した。



一方、オーウェンはクリスを迎えに行きたかったが、嵐でいろいろ災害が起こっていてそれどころでは無かった。
「内務卿。イルファン川の水位が危険水位を超えたみたいです」
「直ちにイルファン村に避難勧告を。ジャスティン殿。フォロー頼む」
魔導電話を現地のジャスティンと繋いで連絡を取り合う。
「オーウェン殿。この雨だから問題ないとは思うが、一応避難は終了している」
「堤防の決壊しそうなところは」
「今のところ問題はない。もう嵐の山は終わっているし大丈夫だろう」
「了解した。取り敢えず、警戒だけよろしく頼む」
「了解した」
気付いたら、クリスの便の到着時間を過ぎていた。
クリスはそのまま式典会場に直行だろう。
式典の嫌いなジャスティンは嵐にかこつけて帰ってこないみたいだし、ジャンヌは食べ物に釣られてもうスタンバイしているみたいだ。依然は着替えに既に帰したしあとはここをどうするかだ。
「内務卿。ここは僕とロルフがいれば大丈夫ですよ」
「しかし、財務卿が来るんだろう。スミスもいたほうが良いんではないか」
「今日は顔合わせだし、必要ないでしょう。パーティーは苦手なんで」
「いつまでも逃げてられないと思うぞ」
「そうは言っても災害対策中だし、ロルフだけにしておくわけにもいかないよ」
「途中で代われたら代わるよ」
「何言っているんだよ。内務卿が抜けるわけにはいかないだろう」
「まあ、その辺りもおいおい考えるよ」
オーウェンはそう言うと出ていった。


「陛下。ノルディンの動きがきな臭いですぞ」
陳王国の王宮の執務室で周外務大臣が報告していた。
「帝都にいる3個師団が東方に移動を始めたようです」
「3個師団もか」
「我が方は北方に10個師団を展開しており万全だとは存じますが」
「ドラフォードが援軍を出してくれる様子は」
国王が期待を込めて周に言った。
「芳しくはございません」
「辺境の多民族の動きも怪しいとの報告が上がっております」
「重臣の中にも動きが怪しいものもいると」
周りのものが次々に報告する。良い報告は全く無かった。

「依然の方はどうなのだ」
「接触には成功して今は親しくさせて頂いているとは聞いておりますが、いかんせん期間が短すぎるのではないかと。それよりも護衛に付けた词语と悠然が赤い死神の配下に潜り込めたようです」
「赤い死神の」
国王は嫌そうな顔をした。皇太子時代の戦役で国王は赤い死神によって凄惨な敗戦を経験させられていたのだ。
「外務の手伝いをさせてほしいと赤い死神から依頼を受けたと聞いておりますが」
「そのような事をしても良いのか。他国の家臣が」
「元々ボフミエ魔導国の閣僚連中は皆他国の出身です。依然王女も内務の手伝いをされていらっしゃるとか。外務の手伝いをさせる件で赤い死神が陛下に魔導電話での会談を希望しているとのことですが」
「余は合わんぞ。何が楽しくて敵国の赤い死神に会わなればならんのだ」
ゼイゼイ言いながら国王は言った。未だにたまに赤い死神に襲撃された時の夢を見てうなされるのだ。絶対に会いたくなかった。
「词语と悠然の件はいかがしますか」
「それは全然問題ない。是非とも宜しくとその方からお願いしておけ」
「御意」
周外務大臣は頭を下げた。
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