269 / 480
第八章 ボフミエ王宮恋愛編
幕間 クリスの朝の日常風景
しおりを挟む
亜熱帯のボフミエの首都ナッツアの春は暑かった。
しかし、朝晩は冷える。
6時の鐘が鳴った。
「うーん」
背伸びしてベッドの布団からクリスは起き出した。
「おはようございます」
そこへ、侍女のアデリナが入ってくる。
「おはよう」
クリスがアデリナに応える。
キングサイズのベッドから起き上がったクリスは洗面台で顔を洗う。
タオルをアデリナが差し出した。
「有難う」
そう言ってクリスが受け取る。
「服装は昨日のお言いつけの通り水色のワンピースで宜しいですか」
アデリナが聞く。
「えっ、良いけれどアデリナ。別に自分の事は一人で出来るわよ。あなた、学校の準備があるでしょう」
「もう準備はバッチリです。だって制服ですし」
アデリナがえんじ色の制服をひらめかせて言う。
この4月からアメリア魔導学園にも中等部が出来て13歳になったアデリナも通っているのだ。
アデリナとしては中等部よりもクリスの侍女としてそのまま働きたがったが、教育は大切だというクリスの方針に則って無理やり通わされていた。クリスは王立高等学園の時から全てのことは一人で出来ており、基本は侍女はいらないのだが、対外的なことや他貴族に対することで周りからの意見もあって一応、ミアとアデリナの二人が侍女だった。最も二人共侍女と言うよりは他部署との折衝等秘書的な役割の方が多かったが。
「お母さんの具合はどう?」
「有難うございます。順調に回復しているみたいで、今週中に退院できるみたいです」
クリスの問いにアデリナが応える。
「良かったわね」
クリスが喜んで言った。魔導爆弾を取り去るためだとは言え、アデリナの母の腹部に剣を突き刺したのは事実なのだ。
「本当にありがとうございました。クリス様でなかったら、母は殺されていました」
「えっまだまだ未熟者なのよ。本来はあんな事しなくても出来るはずだってジャルカ様に言われたから」
アデリナの感謝の表情に対して不満顔でクリスが言う。
「でも、ジャルカ様でも、難しかったって言われました」
「まあ、元気になられて良かったわ」
クリスが照れて言った。
コンコン
そこへノックの音が響いた。
「クリス様。準備はできましたか」
イザベラがノックしてきたのだ。
「はいっ大丈夫です」
アデリナがクリスが頷くのを見て返事する。
リビングでは事務官のイザヘラと騎士のナタリーが待っていた。
そのまま4人で王宮棟の食堂に向かう。執務棟の2階の大食堂とは別に新たに作られたのだ。これ以外に騎士棟にも新たに作られつつあった。
食堂にはアルバートとウィル、フェビアン、ビアンカがいた。
バイキング形式の食事を取って席に着く。
閣僚とその配下の食事場所だ。
「おはようございます」
クリスが挨拶する。
「おはようございます」
皆が返す。
「では今日も食事ができることを感謝していただきます。」
「いただきます」
全員で唱和する。
「では、私から本日のスケジュールの確認をさせて頂きます」
イザベラが資料を皆に魔導メモで回しつつ、言った。食堂で皆で朝食を取りながらスケジュールを確認するのが日課になっていた。
「クリス様は8時から1時間執務室で執務。9時から3時間閣議です。
閣議の主な議題は初等部の設立に伴う問題の洗い出しになるかと」
「あと、攫われて奴隷として働かせられている人々の救援状況ね」
クリスが口を挟む。
「はい。それも大切です。その後12時からの食事の後は13時から1時間執務。14時から3件謁見が入っており、17時より魔導学園にて新入生の歓迎パーティーに出られる予定です」
「内務卿から時間がほしいと連絡が入っておりますが」
「また?」
フェビアンの言葉にイザベラが反応する。
「まあ、執務の間に聞いてみるけど重要なことかしら」
クリスがフェビアンに聞く。
「いや、おそらく少しでも一緒にいたいという意思表示ではないかと」
「却下」
フェビアンの言葉にイザベラが瞬殺する。
「ちょっと待て。イザベラ、クリスに断られるのは判るけど何でお前が断る」
後ろからいきなりオーウェンが顔を出した。
「この忙しい時に何をおっしゃっていらっしゃるんですか。内務卿。ヘルマン様からも聞くなと言われています」
イザベラが言う。
「何、あのヘルマンのやつ」
「どの道大した用事はお有りではないかと存じますが」
「何を言う、イザベラ。これはボフミエ並びにドラフォードにとってとても重大な要件なのだ」
「で、どのような要件なのですか」
白い目をしてイザベラが聞く。
「人口を増やすためにも、出来る限り早く筆頭魔導師様との婚姻を」
「許せん」
その瞬間ウィルがオーウェンに抜剣して切りかかっていた。
「ちょっと待て」
慌てて避けるオーウェン。
「ええい、許さん」
それをウィルは追いかける。二人はそのまま食堂を出て行った。
「このような場でなんと言う事を」
「本当に破廉恥な」
イザベラとナタリーは切れていた。
その当事者のクリスは真っ赤になってブルブル震えていた。
本当に最低ッ、クリスはオーウェンに切れていた。
しかし、朝晩は冷える。
6時の鐘が鳴った。
「うーん」
背伸びしてベッドの布団からクリスは起き出した。
「おはようございます」
そこへ、侍女のアデリナが入ってくる。
「おはよう」
クリスがアデリナに応える。
キングサイズのベッドから起き上がったクリスは洗面台で顔を洗う。
タオルをアデリナが差し出した。
「有難う」
そう言ってクリスが受け取る。
「服装は昨日のお言いつけの通り水色のワンピースで宜しいですか」
アデリナが聞く。
「えっ、良いけれどアデリナ。別に自分の事は一人で出来るわよ。あなた、学校の準備があるでしょう」
「もう準備はバッチリです。だって制服ですし」
アデリナがえんじ色の制服をひらめかせて言う。
この4月からアメリア魔導学園にも中等部が出来て13歳になったアデリナも通っているのだ。
アデリナとしては中等部よりもクリスの侍女としてそのまま働きたがったが、教育は大切だというクリスの方針に則って無理やり通わされていた。クリスは王立高等学園の時から全てのことは一人で出来ており、基本は侍女はいらないのだが、対外的なことや他貴族に対することで周りからの意見もあって一応、ミアとアデリナの二人が侍女だった。最も二人共侍女と言うよりは他部署との折衝等秘書的な役割の方が多かったが。
「お母さんの具合はどう?」
「有難うございます。順調に回復しているみたいで、今週中に退院できるみたいです」
クリスの問いにアデリナが応える。
「良かったわね」
クリスが喜んで言った。魔導爆弾を取り去るためだとは言え、アデリナの母の腹部に剣を突き刺したのは事実なのだ。
「本当にありがとうございました。クリス様でなかったら、母は殺されていました」
「えっまだまだ未熟者なのよ。本来はあんな事しなくても出来るはずだってジャルカ様に言われたから」
アデリナの感謝の表情に対して不満顔でクリスが言う。
「でも、ジャルカ様でも、難しかったって言われました」
「まあ、元気になられて良かったわ」
クリスが照れて言った。
コンコン
そこへノックの音が響いた。
「クリス様。準備はできましたか」
イザベラがノックしてきたのだ。
「はいっ大丈夫です」
アデリナがクリスが頷くのを見て返事する。
リビングでは事務官のイザヘラと騎士のナタリーが待っていた。
そのまま4人で王宮棟の食堂に向かう。執務棟の2階の大食堂とは別に新たに作られたのだ。これ以外に騎士棟にも新たに作られつつあった。
食堂にはアルバートとウィル、フェビアン、ビアンカがいた。
バイキング形式の食事を取って席に着く。
閣僚とその配下の食事場所だ。
「おはようございます」
クリスが挨拶する。
「おはようございます」
皆が返す。
「では今日も食事ができることを感謝していただきます。」
「いただきます」
全員で唱和する。
「では、私から本日のスケジュールの確認をさせて頂きます」
イザベラが資料を皆に魔導メモで回しつつ、言った。食堂で皆で朝食を取りながらスケジュールを確認するのが日課になっていた。
「クリス様は8時から1時間執務室で執務。9時から3時間閣議です。
閣議の主な議題は初等部の設立に伴う問題の洗い出しになるかと」
「あと、攫われて奴隷として働かせられている人々の救援状況ね」
クリスが口を挟む。
「はい。それも大切です。その後12時からの食事の後は13時から1時間執務。14時から3件謁見が入っており、17時より魔導学園にて新入生の歓迎パーティーに出られる予定です」
「内務卿から時間がほしいと連絡が入っておりますが」
「また?」
フェビアンの言葉にイザベラが反応する。
「まあ、執務の間に聞いてみるけど重要なことかしら」
クリスがフェビアンに聞く。
「いや、おそらく少しでも一緒にいたいという意思表示ではないかと」
「却下」
フェビアンの言葉にイザベラが瞬殺する。
「ちょっと待て。イザベラ、クリスに断られるのは判るけど何でお前が断る」
後ろからいきなりオーウェンが顔を出した。
「この忙しい時に何をおっしゃっていらっしゃるんですか。内務卿。ヘルマン様からも聞くなと言われています」
イザベラが言う。
「何、あのヘルマンのやつ」
「どの道大した用事はお有りではないかと存じますが」
「何を言う、イザベラ。これはボフミエ並びにドラフォードにとってとても重大な要件なのだ」
「で、どのような要件なのですか」
白い目をしてイザベラが聞く。
「人口を増やすためにも、出来る限り早く筆頭魔導師様との婚姻を」
「許せん」
その瞬間ウィルがオーウェンに抜剣して切りかかっていた。
「ちょっと待て」
慌てて避けるオーウェン。
「ええい、許さん」
それをウィルは追いかける。二人はそのまま食堂を出て行った。
「このような場でなんと言う事を」
「本当に破廉恥な」
イザベラとナタリーは切れていた。
その当事者のクリスは真っ赤になってブルブル震えていた。
本当に最低ッ、クリスはオーウェンに切れていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています
鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。
けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。
指示を出さない。
判断を奪わない。
必要以上に関わらない。
「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。
それなのに――
いつの間にか屋敷は落ち着き、
使用人たちは迷わなくなり、
人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。
誰かに依存しない。
誰かを支配しない。
それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。
必要とされなくてもいい。
役に立たなくてもいい。
それでも、ここにいていい。
これは、
「何もしない」ことで壊れなかった関係と、
「奪わない」ことで続いていった日常を描く、
静かでやさしい結婚生活の物語。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで
ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです!
読んでくださって、本当にありがとうございました😊
前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。
婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。
一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが……
ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。
★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。
★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。
2万字程度。なろう様にも投稿しています。
オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン)
レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友)
ティオラ (ヒロインの従姉妹)
メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人)
マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者)
ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)
【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる