皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第八章 ボフミエ王宮恋愛編

幕間 クリスの朝の日常風景

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亜熱帯のボフミエの首都ナッツアの春は暑かった。
しかし、朝晩は冷える。
6時の鐘が鳴った。

「うーん」
背伸びしてベッドの布団からクリスは起き出した。

「おはようございます」
そこへ、侍女のアデリナが入ってくる。
「おはよう」
クリスがアデリナに応える。
キングサイズのベッドから起き上がったクリスは洗面台で顔を洗う。
タオルをアデリナが差し出した。
「有難う」
そう言ってクリスが受け取る。
「服装は昨日のお言いつけの通り水色のワンピースで宜しいですか」
アデリナが聞く。
「えっ、良いけれどアデリナ。別に自分の事は一人で出来るわよ。あなた、学校の準備があるでしょう」
「もう準備はバッチリです。だって制服ですし」

アデリナがえんじ色の制服をひらめかせて言う。
この4月からアメリア魔導学園にも中等部が出来て13歳になったアデリナも通っているのだ。
アデリナとしては中等部よりもクリスの侍女としてそのまま働きたがったが、教育は大切だというクリスの方針に則って無理やり通わされていた。クリスは王立高等学園の時から全てのことは一人で出来ており、基本は侍女はいらないのだが、対外的なことや他貴族に対することで周りからの意見もあって一応、ミアとアデリナの二人が侍女だった。最も二人共侍女と言うよりは他部署との折衝等秘書的な役割の方が多かったが。

「お母さんの具合はどう?」
「有難うございます。順調に回復しているみたいで、今週中に退院できるみたいです」
クリスの問いにアデリナが応える。

「良かったわね」
クリスが喜んで言った。魔導爆弾を取り去るためだとは言え、アデリナの母の腹部に剣を突き刺したのは事実なのだ。

「本当にありがとうございました。クリス様でなかったら、母は殺されていました」
「えっまだまだ未熟者なのよ。本来はあんな事しなくても出来るはずだってジャルカ様に言われたから」
アデリナの感謝の表情に対して不満顔でクリスが言う。
「でも、ジャルカ様でも、難しかったって言われました」
「まあ、元気になられて良かったわ」
クリスが照れて言った。

コンコン

そこへノックの音が響いた。
「クリス様。準備はできましたか」
イザベラがノックしてきたのだ。

「はいっ大丈夫です」
アデリナがクリスが頷くのを見て返事する。
リビングでは事務官のイザヘラと騎士のナタリーが待っていた。

そのまま4人で王宮棟の食堂に向かう。執務棟の2階の大食堂とは別に新たに作られたのだ。これ以外に騎士棟にも新たに作られつつあった。
食堂にはアルバートとウィル、フェビアン、ビアンカがいた。
バイキング形式の食事を取って席に着く。
閣僚とその配下の食事場所だ。


「おはようございます」
クリスが挨拶する。
「おはようございます」
皆が返す。

「では今日も食事ができることを感謝していただきます。」
「いただきます」
全員で唱和する。

「では、私から本日のスケジュールの確認をさせて頂きます」
イザベラが資料を皆に魔導メモで回しつつ、言った。食堂で皆で朝食を取りながらスケジュールを確認するのが日課になっていた。

「クリス様は8時から1時間執務室で執務。9時から3時間閣議です。
閣議の主な議題は初等部の設立に伴う問題の洗い出しになるかと」
「あと、攫われて奴隷として働かせられている人々の救援状況ね」
クリスが口を挟む。

「はい。それも大切です。その後12時からの食事の後は13時から1時間執務。14時から3件謁見が入っており、17時より魔導学園にて新入生の歓迎パーティーに出られる予定です」
「内務卿から時間がほしいと連絡が入っておりますが」
「また?」
フェビアンの言葉にイザベラが反応する。

「まあ、執務の間に聞いてみるけど重要なことかしら」
クリスがフェビアンに聞く。
「いや、おそらく少しでも一緒にいたいという意思表示ではないかと」
「却下」
フェビアンの言葉にイザベラが瞬殺する。

「ちょっと待て。イザベラ、クリスに断られるのは判るけど何でお前が断る」
後ろからいきなりオーウェンが顔を出した。
「この忙しい時に何をおっしゃっていらっしゃるんですか。内務卿。ヘルマン様からも聞くなと言われています」
イザベラが言う。

「何、あのヘルマンのやつ」
「どの道大した用事はお有りではないかと存じますが」
「何を言う、イザベラ。これはボフミエ並びにドラフォードにとってとても重大な要件なのだ」
「で、どのような要件なのですか」
白い目をしてイザベラが聞く。

「人口を増やすためにも、出来る限り早く筆頭魔導師様との婚姻を」

「許せん」
その瞬間ウィルがオーウェンに抜剣して切りかかっていた。
「ちょっと待て」
慌てて避けるオーウェン。
「ええい、許さん」
それをウィルは追いかける。二人はそのまま食堂を出て行った。


「このような場でなんと言う事を」
「本当に破廉恥な」
イザベラとナタリーは切れていた。

その当事者のクリスは真っ赤になってブルブル震えていた。
本当に最低ッ、クリスはオーウェンに切れていた。
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