皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
306 / 480
第十章 マーマレード元皇太子の反撃

クリスは子離れできていない父に邪魔されてゆっくり出来ませんでした

しおりを挟む
「クリス。お父様はお前が帰ってきて嬉しいよ」
転移で領地の屋敷に帰ってきた父はクリスに抱きついてきた。

「お父様久しぶりです」
そう言うクリスはどこかよそよそしい。

「クリス冷たいぞ。お父様は決してボフミエに食糧援助をケチったのではないのだよ」
「はいっ。それは存じ上げております。その後6万トンも貸していただきましたし、大変感謝致しております」
「クリス、なんだ、その他人行儀な話し方は」
ミハイル卿は泣き出さんがばかりだった。

「あなた、クリスにも筆頭魔導師としての立場があるのよ」
「そんな、お父様はお前をそんなものにつけた覚えはないぞ」
エルンストは憤慨して言った。やっと皇太子妃から開放できたと思ったら今度は攫われてボフミエの筆頭魔道士にさせられるなど、父としては許せなかった。

「お父様。それは致し方ないことです。ボフミエの3魔道士にもお願いされましたし」
「何で娘をあんな魔窟に送らなければならなかったんだ。どのみちいけ好かない公爵とかにいじめられているのだろう。暴風王女に赤い死神、陰険皇太子にわがまま皇太子とロクな奴らがいないではないか。そいつらに好き放題されて、心労のあまり帰ってきたのだろう」
エルンストは決めつけていった。確かに、下にいるメンバーは我が強くて本来ならばクリスが上に立つのはおかしかった。エルンストにはいじめられるクリスの姿が思い浮かんだ。

「皆さんには良くしていただいておりますわ。何かあればお姉様方が守って頂けますから」
「それが心配なんだろう。あのがさつな暴風王女や赤い死神に囲まれてクリスがちゃんと生きていけるかどうか毎日どんなに心配していると思っているんだ。今回はやめて帰ってきたのかい」
期待を込めて侯爵は聞いた。

「いえ、少しお母様と相談したいことが出来たので」
「えっお父様には相談できないのかい」
ショックを受けた顔でエルンストが言う。

「あなた、あんまりクリスに突っかかるとクリスはすぐに帰ってしまいますよ」
「えっ、そうなのかい」
シャーロットの言葉にエルンストは慌てた。

「だからすぐに着替えていらして」
シャーロットは娘べったりのミハイル卿をなんとかクリスから引き離した。

ミハイル卿は全然子離れできていない父親だった。

結局クリスはその日はゆっくりなど出来ずに延々父の愚痴を聞くことなってしまった。



一方ザール教国ではスカイバードの発射台が急ピッチで建設されていた。

内務と魔導部隊とクリスの親衛隊が共同で作っていた。

「まあ、なにもないとは思いますけど、クリス様の騎士の我々だけがここにいるというのは良くないでしょう」
と、アルバートらクリス付きの騎士たちも現場で接続作業等に魔術も使って工事の手伝いに入っていた。
こちらに既に5機のスカイバードが着陸しており、その機体も早急にボフミエに返す必要もあった。

「オーウェン様。明日にはスカイバードの発射台は完成します」
「そうか、ならば明日にはマーマレードに行けるな」
スティーブの言葉に期待してオーウェンが言った。

「内務卿、まさか僕らをほってマーマレードに行くつもりでは否でしょうね」
「えっ、行っては駄目か」
スティーブの冷たい言葉にオーウェンは驚いて言う。

「当たり前でしょ。今オーウェン様に抜けられたら仕事が滞ります」
スティーブらが怒って言う。

「でもクリスが」
「クリス様は実家に里帰りしていらっしゃるだけでしょう。別に危険はないでしょう」
「そうは言っても」
「明日はウィル様やアルバート様らクリス付きの人たちが向かいますから問題ないです」
「そうですよ。きっちり仕事しましょうね。それでなくても内務卿が倒れられて仕事が遅れているんですから。そもそもクリス様に余計なことをしたのは内務卿でしょう」
スティーブとロルフになだめすかされる。

「だから気になるんだ」
「この状態で行くんですか」
山積みになった書類の山を見ながらスティーブが言う。
「そうですよ。本当に怒りますよ」
部下たちは容赦がなかった。

くっそう、クリスに早いこと謝りたいのに。

オーウェンは何度も電話したのに電話にはクリスは全く出なかった。
でも、この状態を見てはしばらく行けそうになかった。
オーウェンはイザベラに頼み込んでよろしく頼むしか無いようだった。
しおりを挟む
感想 93

あなたにおすすめの小説

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで

ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです! 読んでくださって、本当にありがとうございました😊 前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。 婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。 一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが…… ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。 ★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。 ★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。 2万字程度。なろう様にも投稿しています。 オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン) レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友) ティオラ (ヒロインの従姉妹) メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人) マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者) ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜

早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

処理中です...