皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第十一章 パレルモ王国の陰謀

戦神をジャルカはこれでもかと煽りました

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「このようにクリス様のご活躍によってスカイバード爆破テロは事前に阻止されたのです」
ジャルカが閣議の皆に報告した。

「そう言いつつ、爆破偽装したジャルカの手柄が一番とか思っているのだろう」
ジャンヌがぼそっと言う。

「いえいえ、決してそんな事は。何しろクリス様のお力は相変わらず素晴らしいですからの。何千キロも離れたイエーナの地にウィルを送り込み、役に立たないと判ると即座に雷撃攻撃に切り替えられたのですから」
「ジャルカ爺、それって全く俺が役に立たなかったてことじゃないか」
「まあ、そうですな。クリス様の魔力で転移させてもらって10名ばかしのゴロツキをクリス様の怒りを買う前に処分できなかったのですから」
ジャルカは文句を言うウィルに現実をそのまま伝える。

これにはウィルは何も言えなかった。

「そんな事ないわよ。ウィルは私の意を汲んで飛んでくれたんだから」
クリスが慰める。

「そうですな。そこの皇太子殿下はあまりにも高貴な身分過ぎてクリス様のために飛べなかったのですから。そのくせ、自国でありながら即座に兵士も派遣できない体たらくでしたな」

オーウェンはジャルカの嫌味が旨にグサグサ響いた。

挙句の果てに二人を転移で引き寄せたクリスの目の前で、少女がオーウェンの真上に転移してきて、それを受け取るのに失敗してオーウェンが押し倒したような格好になってしまって更にクリスの顰蹙をかってしまったのだ。
でもあれはオーウェンの上に転移させたクリスが絶対に悪いとオーウェンは思ったのだが、その様子を見て切れてオーウェンに再度もみじマークをつけさせたクリスが怖くて何も言えなかったのだ。

「でも、クリスも知っていたのなら、報告があった時に教えてくれたら良かったのに」
ジャンヌが文句を言った。

「それはなかなか難しいでしょう。姫様に話すとあっという間に広がりますからな。どこにパレルモの屑が隠れているか判ったものではありませんから」
「そんな訳あるか。私も話す相手は選ぶぞ。いくらなんでもパレルモのゴキブリには話さないぞ」
「ちょっとジャンヌ。いくら黒くてもその虫に例えるの止めてよ。パレルモの黒カビでしょ」
以前農業実習でヒルに生き血を吸われて以来、アメリアの虫嫌いは更にパワーアップしていた。

「汚いものには変わらないだろ」
「大ありよ。気色悪いからその名前は出さないで」

「殿下方、下らない喧嘩をしないで下さい。そもそも、パレルモの影です」
グリフイズが二人の間に入って注意した。

「そう、グリフイズ、そのパレルモのクズが動き出した証拠を掴んだのであろう」
ジャルカが振った。

「はい。敵の親玉はパレルモ王国の南部に領地のあるサクサ公爵でした。全世界の影にボフミエ魔導国並びにそれに味方する国の要人を攻撃しろとハッパをかけておりました」
「そう、それで用意した映像をぜひともクリス様に見ていただかないと」
ジャルカが言う。
「私にですか」
不思議そうにクリスが聞いてきた。


「かのシャラザールですらその方ら影を恐れて我らに手出しをしてこなかった」
そこには豚のように太った公爵の体が映っていた。

画面には自慢した顔のサクサ公爵が映る。

クリスは何故これを見せられているか判らなかった。

しかし、これを見て思わずアレクが椅子を後ろに少しずらした。そして、いつでも逃げ出せるように腰を浮かした。

ジャルカは絶対にわざとやっている。

クリス以外の多くの人間がジャルカの意図を理解した。

「その方共の影の働きにより、我がパレルモ王国は世界の裏を支配してきた。かのシャラザールですらその方ら影を恐れて我らに手出しをしてこなかった。にもかかわらず、ボフミエの小娘が我らに手向かおうとしておる。由緒正しきそちら影がバカにされたのだ。このような屈辱、許せるものか。彼の国とそれに与する者共に影の恐怖を知らしめてくれる。いついかなる時もどんなところでも誰から襲われるか判らぬ恐怖、とくと思い知らせるのじゃ」

全文流した後にこれでもかと第二文を汗だらけのサクサ公爵の不潔な顔とともに何度も流したのだ。


「変ですな。これくらい流すと切れて出てくるかと思ったのですが………」
ジャルカのつぶやきに全員絶句した。

戦神を挑発してどうする。

特にアレクは心のなかで叫んでいた。

「ジャルカ様。良く判りました。今回の件は雷撃攻撃して彼らを刺激した私に責任があると言われるのですね。こうなれば私が最前線に立って攻撃にあたります」
決意してクリスが言った。

「いえいえ、クリス様は決して気になさる必要はございませんぞ」
「しかし、ジャルカ様は私によく映像を見ろとおっしゃられましたが」
「敵が何を考えているか知るのも上に立つものの仕事でございます。今回は元々千年前に戦神シャラザールが相手にするのが面倒だからとほうっておかれたのが全ての原因でございます」
「しかし、ジャルカ様。1千年前の事を出されても戦神シャラザールも天で困っていらっしゃいましょう」
「そうですな。こんな豚のクサイ公爵にバカにされているのですから。それもクズを恐れてなど言われて戦神の名が廃りますな」
ジャルカは吐き捨てるように言った。

「ジャルカ。何もそこまで煽らなくても」
たまらずに、皆を代表してジャンヌが言った。

シャラザールにとって自らが恐れて手を出さなかったなどと言われて許せるわけはなかった。このままではいつ怒り心頭のシャラザールが来臨しないとも限らない。そうなったら絶対に皆ただではすまない。絶対に欲求不満のはけ口にまた夜通し特訓が待っているはずだ。下手したら今からパレルモ王国に征伐に出ると言い出しかねなかった。

絶対にパレルモ王国は失敗したのだ。静かにしていればまだ見逃されたかもしれないのに、クリスに、特にシャラザールに逆らうなど馬鹿の骨頂だと皆思った。
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