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第14章 戦神の逆襲
陳王国は戦神が地獄の審判を司ることになった事に恐怖して、大半の軍が出陣する事となりました
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「周外務卿、ノルディン帝国に遺憾の意を伝えたか?」
陳国王は確認した。
「はっ陛下。確かに連絡いたしましたが、ノルディン帝国から返事はありません」
「まあ、ないであろう。今の実質的主は魔神と化したゼウス様だそうだからな」
「全能神様が魔神になるなどどういう事なのでしょうか?」
外務卿は不思議そうに首をかしげた。
「それは儂も判らん」
国王も首を振った。国王の目には隈ができていた。
情勢の急激な変化について行けないのだ。
元々ノルディン帝国は侵略国家で陳国もその圧力に気を休める暇もなかったが、クリスの援助で撃退してからは圧力が少なくなった。安心していたところに今回の出来事だ。
何でも、ノルディン皇帝が闇堕ちして魔王になり、そこに、地獄を脱獄した全能神のゼウスが地獄の兵士達を連れて合流し占拠したとのことだった。そして、そのゼウスに対して戦神シャラザールらが攻撃、大半を撃滅したとの報告を受けていた。ほっとしたその矢先に今度はゼウスがむ魔神に進化したとの報が入ってきたのだ。
魔神は悪魔の親玉だ。いくら戦神シャラザールが強いといえども魔神には勝てないだろうとみられていた。
そこに、ボフミエ魔導国からその魔神の治める国に出兵要請が来てもそう簡単に聞けるものではなかった。会議は紛糾したが、結論は出なかったのだ。
そして、陳国ではとりあえず、抗議をすると言うことで決着した。
「ボフミエ魔導国には申し訳ないが、魔神に逆らう訳にもいかん」
国王は苦渋の決断をしたのだった。
そこへ魔導電話の着信音がした。
「陛下、ボフミエ魔導国から通信です」
「判った。繋いでくれ」
兵士の声に国王は一瞬、いやそうな顔をしたが、慌てて表情を消すと頷いた。
「これはこれは陳国王。息災でなによりですな」
そこにはボフミエ魔導国のアレクが写っていた。相も変わらず、目は鋭く、周りに与える威圧感は画面越しでも十分に感じられた。
「外務卿もお元気そうで何よりですな」
陳国王は愛想笑いをした。
「まあ、余計な挨拶は省きましょう。陳国としては何個師団派遣していただくことが決まったのですかな。先日、国の存亡の折り、我が筆頭魔導師様に助けられたこと、よもや忘れたとはおっしゃらないでしょうな」
そう言ってアレクは笑ったが、目は笑っていなかった。
「今、諸方面と打ち合わせ中です」
国王はその目に見据えられて、背筋がぞくりとしたが、ここは一応そう答えておくことにした。
間違っても赤い死に神の前で本当のことを言うわけにも行かないと、国王は冷や汗が出た。
「そういう、外交辞令は良いのです。既にドラフォードからは10個師団の派遣が決まっている。この前救われた陳国からは最低でも6個師団は出してもらわないと困る」
「な、何ですと、我が陳国は独立国。他国にそこまで指図されるいわれはござらん」
陳国王は赤い死に神に対してなんとか抗議したのだ。
「ほう、陳国王。陳国はクリス様にその国を救っていただきながら、その恩を忘れると言われるのか? 宋襄の仁を標榜していらっしゃるクリス様が聞かれたらなんとおっしゃられような」
目を怒らせてアレクが国王を睨み付けた。
「いや、だから全く出陣しないとは申しておらん。現在調整中で……」
アレクに追求されて陳国王はもうタジタジとなっていた。
「まあ、良い。陳国王、貴様の国のおいぼれ無能将軍どもに伝えておけ」
いきなり声高にアレクが宣言した。
「なんじゃと」
「いくらノルディン帝国の皇太子とはいえ言葉が過ぎよう」
「もっとも今はノルディン帝国の皇帝は魔神ゼウス様。皇太子などもう形もないわ」
無能将軍と言われて国王の周りの将軍達が騒ぎ出したが、珍しくアレクは無視して事実を伝えた。
「今、シャラザール様は地獄を制圧、地獄の王となられたのだ」
「えっ、シャラザール様が地獄の王に?」
陳国王は開いた口が塞がらなかった。
「此度、その方等が出陣せねば当然地獄の閻魔ならぬシャラザール様がどう思われような」
そこまで口に出すとアレクは黙ったのだ。
陳国王の周りの無能と呼ばれた将軍は騒いでいたが、戦神が閻魔に成り代わったと聞いて途端に静かになっていた。
軍に入っているので死ぬ可能性は当然他のものに比べれば高かった。それに将軍の多くはある程度の年齢で、当然死は若い者に比べれば近かったのだ。
そして、陳国戦において、戦神には徹底的にしごかれた恐怖があった。
そんな戦神シャラザールが死んだら必ず通る地獄の審判をしているのだ。
将軍達はぎょっとした。
「それでなくても、シャラザール様は厳しいお方だ。その方等が助けていただいたにもかかわらず、裏切ったと知られれば、激怒されることは必定、地獄行きは確実だな。怒り狂ったシャラザール様は嬉々として、その方等を訓練と称して無間地獄に叩き落とされて、自ら何度も成敗されるかも知れんな」
そう言うと高らかに赤い死に神は笑ってくれたのだ。
それを聞いていた将軍達は蒼白になっていた。
人間いつか必ず死ぬのだ。死んだ後は天国で幸せに暮らしたいと思うのが人情なのに、死んだ後まで地獄の特訓という名の地獄の責め苦にさいなまれると聞いて将軍達は慌てだした。
それも無限にだ。
「陛下。儂は直ちに出陣に賛成いたします」
「我が軍も早急に出陣の準備を」
「我が軍も出陣します」
「何を言う、今回は朕も出陣するぞ」
朕王国は国王親政で大半の軍を率いてノルディンに出陣することが決まったのだった。
*************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
戦神を恐れること神のごとき。と言っても戦神も神でした。
続きが気になる方はお気に入り登録、感想等をして頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾
続きは今夜の予定です。
陳国王は確認した。
「はっ陛下。確かに連絡いたしましたが、ノルディン帝国から返事はありません」
「まあ、ないであろう。今の実質的主は魔神と化したゼウス様だそうだからな」
「全能神様が魔神になるなどどういう事なのでしょうか?」
外務卿は不思議そうに首をかしげた。
「それは儂も判らん」
国王も首を振った。国王の目には隈ができていた。
情勢の急激な変化について行けないのだ。
元々ノルディン帝国は侵略国家で陳国もその圧力に気を休める暇もなかったが、クリスの援助で撃退してからは圧力が少なくなった。安心していたところに今回の出来事だ。
何でも、ノルディン皇帝が闇堕ちして魔王になり、そこに、地獄を脱獄した全能神のゼウスが地獄の兵士達を連れて合流し占拠したとのことだった。そして、そのゼウスに対して戦神シャラザールらが攻撃、大半を撃滅したとの報告を受けていた。ほっとしたその矢先に今度はゼウスがむ魔神に進化したとの報が入ってきたのだ。
魔神は悪魔の親玉だ。いくら戦神シャラザールが強いといえども魔神には勝てないだろうとみられていた。
そこに、ボフミエ魔導国からその魔神の治める国に出兵要請が来てもそう簡単に聞けるものではなかった。会議は紛糾したが、結論は出なかったのだ。
そして、陳国ではとりあえず、抗議をすると言うことで決着した。
「ボフミエ魔導国には申し訳ないが、魔神に逆らう訳にもいかん」
国王は苦渋の決断をしたのだった。
そこへ魔導電話の着信音がした。
「陛下、ボフミエ魔導国から通信です」
「判った。繋いでくれ」
兵士の声に国王は一瞬、いやそうな顔をしたが、慌てて表情を消すと頷いた。
「これはこれは陳国王。息災でなによりですな」
そこにはボフミエ魔導国のアレクが写っていた。相も変わらず、目は鋭く、周りに与える威圧感は画面越しでも十分に感じられた。
「外務卿もお元気そうで何よりですな」
陳国王は愛想笑いをした。
「まあ、余計な挨拶は省きましょう。陳国としては何個師団派遣していただくことが決まったのですかな。先日、国の存亡の折り、我が筆頭魔導師様に助けられたこと、よもや忘れたとはおっしゃらないでしょうな」
そう言ってアレクは笑ったが、目は笑っていなかった。
「今、諸方面と打ち合わせ中です」
国王はその目に見据えられて、背筋がぞくりとしたが、ここは一応そう答えておくことにした。
間違っても赤い死に神の前で本当のことを言うわけにも行かないと、国王は冷や汗が出た。
「そういう、外交辞令は良いのです。既にドラフォードからは10個師団の派遣が決まっている。この前救われた陳国からは最低でも6個師団は出してもらわないと困る」
「な、何ですと、我が陳国は独立国。他国にそこまで指図されるいわれはござらん」
陳国王は赤い死に神に対してなんとか抗議したのだ。
「ほう、陳国王。陳国はクリス様にその国を救っていただきながら、その恩を忘れると言われるのか? 宋襄の仁を標榜していらっしゃるクリス様が聞かれたらなんとおっしゃられような」
目を怒らせてアレクが国王を睨み付けた。
「いや、だから全く出陣しないとは申しておらん。現在調整中で……」
アレクに追求されて陳国王はもうタジタジとなっていた。
「まあ、良い。陳国王、貴様の国のおいぼれ無能将軍どもに伝えておけ」
いきなり声高にアレクが宣言した。
「なんじゃと」
「いくらノルディン帝国の皇太子とはいえ言葉が過ぎよう」
「もっとも今はノルディン帝国の皇帝は魔神ゼウス様。皇太子などもう形もないわ」
無能将軍と言われて国王の周りの将軍達が騒ぎ出したが、珍しくアレクは無視して事実を伝えた。
「今、シャラザール様は地獄を制圧、地獄の王となられたのだ」
「えっ、シャラザール様が地獄の王に?」
陳国王は開いた口が塞がらなかった。
「此度、その方等が出陣せねば当然地獄の閻魔ならぬシャラザール様がどう思われような」
そこまで口に出すとアレクは黙ったのだ。
陳国王の周りの無能と呼ばれた将軍は騒いでいたが、戦神が閻魔に成り代わったと聞いて途端に静かになっていた。
軍に入っているので死ぬ可能性は当然他のものに比べれば高かった。それに将軍の多くはある程度の年齢で、当然死は若い者に比べれば近かったのだ。
そして、陳国戦において、戦神には徹底的にしごかれた恐怖があった。
そんな戦神シャラザールが死んだら必ず通る地獄の審判をしているのだ。
将軍達はぎょっとした。
「それでなくても、シャラザール様は厳しいお方だ。その方等が助けていただいたにもかかわらず、裏切ったと知られれば、激怒されることは必定、地獄行きは確実だな。怒り狂ったシャラザール様は嬉々として、その方等を訓練と称して無間地獄に叩き落とされて、自ら何度も成敗されるかも知れんな」
そう言うと高らかに赤い死に神は笑ってくれたのだ。
それを聞いていた将軍達は蒼白になっていた。
人間いつか必ず死ぬのだ。死んだ後は天国で幸せに暮らしたいと思うのが人情なのに、死んだ後まで地獄の特訓という名の地獄の責め苦にさいなまれると聞いて将軍達は慌てだした。
それも無限にだ。
「陛下。儂は直ちに出陣に賛成いたします」
「我が軍も早急に出陣の準備を」
「我が軍も出陣します」
「何を言う、今回は朕も出陣するぞ」
朕王国は国王親政で大半の軍を率いてノルディンに出陣することが決まったのだった。
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ここまで読んでいただいてありがとうございます。
戦神を恐れること神のごとき。と言っても戦神も神でした。
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続きは今夜の予定です。
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