皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第14章 戦神の逆襲

筆頭魔導師は魔神の遠距離攻撃を耐えきりました

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ドロビッチは謁見の間で、かかとをカツカツ鳴らして歩き回っていた。

「どういうことだ! 儂はノルデイン帝国の宰相だぞ。その儂をいつまで待たすのだ?」
ドロビッチを案内してきたトリポリの文官に怒鳴りつけていた。
ドロビッチは最近帝国からボフミエ魔導国に鞍替えしたトリポリ国王も気に入らなかったし、マーマレードの侯爵令嬢に過ぎないクリスがボフミエ魔導国のトップで、帝国の宰相の自分を待たしていることも許せなかった。

「ふんっ、ドロビッチも偉くなったものだな」
そこにまず、ノルデイン帝国の皇太子でもあるアレクが入ってきた。
「これは皇太子殿下。お久しうございますな」
ドロビッチが声を掛けると
「ドロビッチ、今は私はボフミエ魔導国の外務卿だ。間違えないように」
「しかし、殿下はノルディン帝国の皇太子殿下ではありませんか?」
「よく言うな。既にノルデイン帝国は邪神ゼウスに乗っ取られたと聞くぞ」
「何をおっしゃるのです……」
ドロビッチが反論しようとした時だ。
「ボフミエ魔導国筆頭魔導師、クリスティーナ様お成り」
護衛騎士を先頭に、クリスらが入ってきた。

クリスが中央に立つとその左右にアレクとジャンヌが、更にその横にジャルカとクリスの護衛騎士達が左右に分かれて立つ。

オーウェンはクリスの真後ろについた。
その後ろに隠れるようにしてトリポリ国王も一応ついてきていた。

「これはドロビッチ様。お待たせいたしました」
クリスが微笑んだ。

「本当に。ボフミエ魔導国の我がノルディン帝国に対する扱いがよく判りました」
「何を言う。ドロビッチ。現在戦闘状態のノルディン帝国の使者にお会い頂けたのだ。それだけで感謝せよ」
アレクが上から目線で一喝した。

「しかし、1時間も待たされるのはあまりに、ノルディン帝国を蔑ろにされる行為でしょう」
「何を言うのだ。その方はノルディン帝国というが、実質は邪神ゼウスが乗っ取った魔の国ではないか? 筆頭魔導師様にお会い頂いただけ有り難いと感謝せよ」
アレクは容赦なく責め立てる。

「何を申されるのですか、アレクサンドル様? ゼウス様は元全能神でいらっしゃいますぞ!」
「それがどうしたのじゃ。闇堕ちした全能神など神以下ではないか。素直に地獄で罰を受けていれば良かったものを脱獄し世に悪事を働くなど言語道断。さっさと地獄に帰れと伝えよ」
「何じゃと小僧! 良くも儂にそのような口がきけたものじゃな」
いきなりドロビッチが白目になって口調が地獄の使者もかくやというおどろおどろしい響きに変わった。

「おのれ、出たな。邪神ゼウス」
アレクらが一斉に剣を抜いた。

「ふんっ。赤神の小僧。口だけは一人前じゃの。儂は今や、邪神ではなく魔神じゃ! 更に強くなったのじゃ」
ドロビッチからは凄まじい威圧感が感じられた。
「ほう、ついに禁じ手に手を出されたのですな。ゼウス様」
ジャルカが呆れていった。

「貴様はジャルカか? 儂を裏切ってシャラザールについたのじゃな」
「何をおっしゃいますやら。私は元々シャラザール様に昔よりついておりますぞ。そのシャラザール様に負けて、全能神から魔神に落ちぶれられたゼウス様には言われたくはありませんな」
ジャルカは負けじと言い返した。

「生意気な。これでも喰らえ!」
ゼウスの憑依したドロビッチは雷撃をジャルカに向けて放っていた。

ジャルカは障壁でそれを天井に弾いていた。

ドカーン。

凄まじい爆発音がして天井の建材が落ちてくる。
各自はそれを障壁や剣で弾き飛ばしていた。

爆発の終わった後は天井に穴が開いて、空が見えていた。

「ふんっ、所詮憑依ではこれが限度か?」
ゼウスの自らを嘲るような声がした。

「全能神から邪神におちぶれただけではないのですか?」
「ふんっ、その方と話している時間もないわ」
ジャルカが更に挑発するが、ゼウスは無視した。
「それで、真ん中にいる小娘よ。直ちに降伏せよ。さもないと儂の力の一端を見せてやることになるが」
「お断り申し上げます。闇堕ちした神になど降伏はいたしません」
クリスははっきり断った。

「ふんっ。そうか。人形のくせに言うことは立派ではないか? 良かろう、魔神となった余からの挨拶じゃ。受け取るが良い」
「全員伏せて」
ゼウスの声にクリスが叫んだ。

次の瞬間、ドロビッチは大きく膨れたのだ。
そのドロビッチの周りにクリスが障壁を張る。

ドカーーーーーン
凄まじい爆発が起こった。

クリスの障壁は周りを覆っただけだった。
爆発が床と天井に向かう。
一瞬で残っていた天井が吹き飛ばされていた。
地面にも大きな穴が開く。

黒煙の晴れた後は深い穴と天井のなくなったトリポリ王国の宮殿がかろうじて残っていた。

後ろにいたトリポリ国王は蒼白になっていた。

その時だ。
「クリス様。攻撃がきますぞ」
ジャルカが叫んでいた。
上空から巨大な黒い闇の奔流が襲ってきたのだ。

クリスが一瞬で空に障壁を張る。

ドカーーーーーン
凄まじい衝撃がクリスの障壁に襲いかかった。

クリスは必死に踏ん張って障壁を張り続けたのだ。

黒い闇の奔流がなくなった時、クリスはぐらっとした。
「クリス」
慌ててクリスをオーウェンが抱き止めた。

「さすがクリス様。よく魔神の攻撃を耐えられましたな」
ジャルカがクリスを賞賛した。
「なんとか、耐えきりました」
クリスはそう言うと気絶していた。

「うーむ。魔神と化したゼウスの力は中々侮れませんな」
ジャルカの声に皆少し青くなっていた。
「クリスでギリギリか」
こころなしか、ジャンヌも青くなっていた。
「長距離攻撃でこの威力とは恐れ入ったな」
アレクも首を振っていた。
「まあ、所詮敵はゼウス一人。なんとか皆で力を合わせてやるしかありますまい」
ジャルカの声に全員頷いていた。
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『婚約破棄されたので下剋上することにしました』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/323927894

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