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侯爵令嬢から言われたことを考えていたら、授業中に涙が止まらなくなってしまいました
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私は公爵家の養女だが、元々たまたまお母様が亡くなるところに居合わせたお父様が、身寄りのなくなった私を哀れんで、公爵家において頂けたのだ。私は公爵家とは何のゆかりもないただの平民だ。
そして、この公爵家に来た時に、公爵家から追い出されないように、必死に力のあるお兄様に気に入られようと私なりに頑張って親しくなったのだ。
その結果お兄様が可愛がってくれるようになったけれど、お兄様も本来私なんか無視しても良いのだ。それを可愛がってくれるからつい私も甘えてしまっているんだけど……本来は私は平民の女の子だ。
到底気楽にお兄様と呼びかけられる存在ではない。
そして歴とした公爵家の嫡男のお兄様と帝国の皇女殿下の婚約の話が出ているのならば、単なる平民出の養女の私はもっとお兄様から距離を取った方が良いだろう。皇女殿下からしたら、どこの馬の骨とも判らない私がお兄様の近くにいることは嫌悪すべき事かもしれない。また、こういう婚約の時は家族全てのことが調べられると聞く。この婚約が決まれば平民で出自の不明な私はこの公爵家から出て行けと言い渡されるかもしれない。
と言うか、皇女殿下からしたら、出て行ってほしいだろう。
私ももう13歳だ。お父様には平民で寄る辺のなかった私をここまで育てて頂いたのだ。出て行けと言われても、恨みを言う筋合いはない。というか、ここまで育てて頂いて感謝しかない。
お兄様にしても、ここまで私の面倒を見てくれたのだ。いろんな無茶をさせられたけれど、今にしたら判る。お兄様としては私がいつか公爵家を追い出された時に、生きていけるように訓練してくれていたのだ。
お兄様に連れられてダンジョンで寝泊まりした事もよくあるので、侍女のニーナがいなくても平民としても少しは生きていけると思う。というか、冒険者としてなら今すぐにも出来るはずだ。
そうだ。最悪家を出るように言われたら、冒険者やればいいや。
私は少し気が楽になった。
でも、前世では病弱だったから学校にはほとんど通えなかった。せっかくこの王立学園に通いだして、前世ほとんど出来なかった友達も沢山出来たのに、公爵家を追い出されて一人で生きるようになったら、さすがにこの学園には通えないと思う。学園の学費は高いのだ。まあ学力は学年一位だから、平民になっても奨学生にはなれると思うけれど、貴族点が0になるからクラスもCクラスになると思う。ピンク頭のいるBクラスは絶対に嫌だし……
というか、学園に通ってお兄様とツェツィーリア様が仲良くするのを見るのは嫌だ。
自分で生活費を稼いで家事とか洗濯とか全てやっていかないといけないとなると、やはり学園に通うのは難しいと思う。生活費を稼ぐのに冒険者しながら学園に通うのはどう考えても難しいだろう。
そうなったらせっかく出来た友達と会うことは出来なくなる。
ビアンカとかフィリーネとかは伯爵令嬢だし、平民になった私なんかと付き合ってくれないだろう。
転生仲間のマリアなら、少しくらい付き合ってくれるかもしれないけれど、マリアなんて呼び捨てでは呼べないと思う。マリアンネ様、いや、フルート子爵令嬢様とでも呼ばないといけないのかも。
一人で生活していくのか……
お母様が死んだときにひとりぼっちになったけれど、その場でお父様が公爵家に連れてきてくれた。
そこには今まで、平民の私にも分け隔て無く接してくれた兄姉がいた。ケチだけど、賢くて色々教えてくれたエックお兄様もいたし、余計な事ばかりばらしてくれる魔物博士を目指しているフランツお兄様もいた。私にはやたら厳しいけど、クラウスの前では途端に役立たずになるお姉様もいた。それに何より、私にはお兄様がいたのだ。無茶な事ばかりいろいろさせられたけど、困ったときは助けてくれる本当に頼りになるお兄様がいたのだ。
でも、お兄様が帝国の皇女殿下と婚約したら、私みたいなどこの馬の骨か判らない女の子はいない方が良いのだ。
そう思った途端に私は少し悲しくなってきた。
そんな時だ。後ろからツンツンとマリアにつつかれた。
「えっ?」
私が振り返ると、
「ユリアーナさん!」
前から歴史のコルネリウス先生が私を呼んでいた。しまった、今は帝国の歴史の時間だった。
「どうしたのですか? ぼうーっとして、ユリアーナさんらしくないですよ」
「す、すみません」
私が謝ると、
「帝国の皇家の家系にはユリアーナさんみたいな銀髪の方が多いのですが、一番銀髪で有名なのは誰ですか?」
コルネリウス先生はそう質問してくれたけれど、私の銀髪はたまたまそうなっているだけで、ここでの例を出すなら帝国の皇女様のツェツィーリア様だ。そう、同じ銀髪でもツェツィーリア様はお兄様と婚約できて、私は追い出されるのだ。
そう思うと悲しくなってきた。
私は目に涙が溜ってきた。
そして、一筋の涙が顔を伝ってきたのだ。
「ゆ、ユリア!」
後ろから慌てたマリアの声がした。
「ゆ、ユリアーナさん、どうしたのですか? 私はマイヤー先生みたいに厳しく叱っていませんよ」
コルネリア先生が動揺してくれた。
「す、すみません」
でも、何故か止めようと必死になるほど、涙が止まらなくなってきた。
私はそのまま泣いてしまったのだ。
そして、この公爵家に来た時に、公爵家から追い出されないように、必死に力のあるお兄様に気に入られようと私なりに頑張って親しくなったのだ。
その結果お兄様が可愛がってくれるようになったけれど、お兄様も本来私なんか無視しても良いのだ。それを可愛がってくれるからつい私も甘えてしまっているんだけど……本来は私は平民の女の子だ。
到底気楽にお兄様と呼びかけられる存在ではない。
そして歴とした公爵家の嫡男のお兄様と帝国の皇女殿下の婚約の話が出ているのならば、単なる平民出の養女の私はもっとお兄様から距離を取った方が良いだろう。皇女殿下からしたら、どこの馬の骨とも判らない私がお兄様の近くにいることは嫌悪すべき事かもしれない。また、こういう婚約の時は家族全てのことが調べられると聞く。この婚約が決まれば平民で出自の不明な私はこの公爵家から出て行けと言い渡されるかもしれない。
と言うか、皇女殿下からしたら、出て行ってほしいだろう。
私ももう13歳だ。お父様には平民で寄る辺のなかった私をここまで育てて頂いたのだ。出て行けと言われても、恨みを言う筋合いはない。というか、ここまで育てて頂いて感謝しかない。
お兄様にしても、ここまで私の面倒を見てくれたのだ。いろんな無茶をさせられたけれど、今にしたら判る。お兄様としては私がいつか公爵家を追い出された時に、生きていけるように訓練してくれていたのだ。
お兄様に連れられてダンジョンで寝泊まりした事もよくあるので、侍女のニーナがいなくても平民としても少しは生きていけると思う。というか、冒険者としてなら今すぐにも出来るはずだ。
そうだ。最悪家を出るように言われたら、冒険者やればいいや。
私は少し気が楽になった。
でも、前世では病弱だったから学校にはほとんど通えなかった。せっかくこの王立学園に通いだして、前世ほとんど出来なかった友達も沢山出来たのに、公爵家を追い出されて一人で生きるようになったら、さすがにこの学園には通えないと思う。学園の学費は高いのだ。まあ学力は学年一位だから、平民になっても奨学生にはなれると思うけれど、貴族点が0になるからクラスもCクラスになると思う。ピンク頭のいるBクラスは絶対に嫌だし……
というか、学園に通ってお兄様とツェツィーリア様が仲良くするのを見るのは嫌だ。
自分で生活費を稼いで家事とか洗濯とか全てやっていかないといけないとなると、やはり学園に通うのは難しいと思う。生活費を稼ぐのに冒険者しながら学園に通うのはどう考えても難しいだろう。
そうなったらせっかく出来た友達と会うことは出来なくなる。
ビアンカとかフィリーネとかは伯爵令嬢だし、平民になった私なんかと付き合ってくれないだろう。
転生仲間のマリアなら、少しくらい付き合ってくれるかもしれないけれど、マリアなんて呼び捨てでは呼べないと思う。マリアンネ様、いや、フルート子爵令嬢様とでも呼ばないといけないのかも。
一人で生活していくのか……
お母様が死んだときにひとりぼっちになったけれど、その場でお父様が公爵家に連れてきてくれた。
そこには今まで、平民の私にも分け隔て無く接してくれた兄姉がいた。ケチだけど、賢くて色々教えてくれたエックお兄様もいたし、余計な事ばかりばらしてくれる魔物博士を目指しているフランツお兄様もいた。私にはやたら厳しいけど、クラウスの前では途端に役立たずになるお姉様もいた。それに何より、私にはお兄様がいたのだ。無茶な事ばかりいろいろさせられたけど、困ったときは助けてくれる本当に頼りになるお兄様がいたのだ。
でも、お兄様が帝国の皇女殿下と婚約したら、私みたいなどこの馬の骨か判らない女の子はいない方が良いのだ。
そう思った途端に私は少し悲しくなってきた。
そんな時だ。後ろからツンツンとマリアにつつかれた。
「えっ?」
私が振り返ると、
「ユリアーナさん!」
前から歴史のコルネリウス先生が私を呼んでいた。しまった、今は帝国の歴史の時間だった。
「どうしたのですか? ぼうーっとして、ユリアーナさんらしくないですよ」
「す、すみません」
私が謝ると、
「帝国の皇家の家系にはユリアーナさんみたいな銀髪の方が多いのですが、一番銀髪で有名なのは誰ですか?」
コルネリウス先生はそう質問してくれたけれど、私の銀髪はたまたまそうなっているだけで、ここでの例を出すなら帝国の皇女様のツェツィーリア様だ。そう、同じ銀髪でもツェツィーリア様はお兄様と婚約できて、私は追い出されるのだ。
そう思うと悲しくなってきた。
私は目に涙が溜ってきた。
そして、一筋の涙が顔を伝ってきたのだ。
「ゆ、ユリア!」
後ろから慌てたマリアの声がした。
「ゆ、ユリアーナさん、どうしたのですか? 私はマイヤー先生みたいに厳しく叱っていませんよ」
コルネリア先生が動揺してくれた。
「す、すみません」
でも、何故か止めようと必死になるほど、涙が止まらなくなってきた。
私はそのまま泣いてしまったのだ。
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