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⒉彼は
しおりを挟む通学中に、自分が映るポスターを見つけて、思わずじっと見つめた。
はっと我に返って急いで目をそらす。不審がられたら大変だ。少しの間でさえ油断ができない。ガラスのウィンドゥに映る自分の姿を確認する。外に出るときはマストな黒髪のウィッグは目を隠す長さで、野暮ったさに磨きをかけている。もちろん黒のカラコンを着け、口元を見られないように白の不織布マスクを着用している。少しだけ乱れていた前髪を整え、完全に目が見えないように調整した。
うん、どこからどう見ても平凡な学生だ。クラスに探せば、必ずひとりは居そうな外見。
完璧である。
俺が今向かっているのは、今日から通う白玖龍学園である。白玖龍学園は全寮制の男子校である。中学受験で入学するのがほとんどだ。高校から入学する生徒は外部進学生と言われ、内部進学生とは区別されている。
全国で見ても有名な高校で、もちろん頭の良さはピカイチ。有名企業のご子息や政治家の息子、ハリウッド女優の息子など、数多くの家柄の良い子供たちがこぞって通っている。一般家庭の息子が入るためには、とんでもない学力が必要だ。なんと言っても金持ちが通う高校、質の良い教育、綺麗に整備された校舎、普通に入学すれば一般市民が払える金額じゃない。奨学金制度を使う他ない。
かくいう俺も、死ぬ気で勉強した。そのおかげで、奨学金を見事GET、無償でこの学園に通うことが許されたのである!
義理の家族には猛反対されたが、なんとか説得して通うことを許してくれた。俺がどうしてもこの学園に入りたかった理由は、バイトができるからだ。
ほかの学校を調べてもバイトが禁止のところしかなく、お金を稼ぎたい俺としては、この学園しか選択肢はなかった。
金持ちの坊ちゃんがバイトなんてやるわけが無いため校則に書かれてないだけだと思うのだけど、そんなことは関係ない。
ちなみに俺の家族は、
お義父さん、お義母さん、兄4人、姉1人、弟と妹1人ずつだ。兄弟全員俺に対して過保護すぎてこっちが心配になるほどだ。1番上の兄いわく、「目を離したらすぐになにかしでかすから心配で目が離せない」らしい。
どこの保育園児だ。
昔から過保護だったが、中学の頃に起きたある事件で、さらに過保護になってしまった。
俺がこんな変装をしている理由の一つになった出来事だ。
ようやく学園の門の前までたどり着く。
「、、、ふぇ?」
な、なにこれ、、、?!城ですか??
思わず声が漏れ出てしまった。
校舎が馬鹿みたいにでかいのだ。
あれ、確かこの学園って校舎が4つくらいに分かれてるんだよね?そのうちのひとつってこと?!驚くべきはデカさだけではない。
中世ヨーロッパの城のようなこった細工が施されている。それが派手すぎず、全体で見るとむしろシンプルだ。なのに、近くで見るとその細さに驚く。
こんな所で毎日勉強するの?大丈夫?俺?
思わずフリーズしていると、門のすぐ側に、1人の生徒がうずくまっていた。
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