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12.マネージャー
しおりを挟む今日は放課後にLueurの撮影があるので学校を出てスタジオに向かおうと思い校門まで歩く。その時、校門の脇に1台の車が止まっていた。見覚えのある黒のベンツだ。
...いや、流石にあの人じゃないだろーな。うん。
思いあたる人は約1名いるが、まさかこんな所まで来るわけないしな。うん、やっぱ同じ車ってだけだよね。
そう思いその車を通り過ぎようとした時、運転席の窓がウィーンと開いた。そこから見覚えのある男が顔を出した。藍色のストレートサラサラヘアのイケメン。口元のほくろが艶やかだ。
「翠、迎えに来ました。乗って」
なるべく目立ちたくない俺は急いで助手席に乗り込みシートベルトを閉めた。車は大きい音をたてて発車する。
「...菫さん、今日は歩いてくって連絡したじゃん」
「何言ってんですか。危ないでしょ。襲われるかも」
「そんなワケないでしょ。俺をなんだと思ってんですか」
「んー猫?」
「ニンゲンジャナカッタ...」
この人は藤堂 菫さん。俺のマネージャーだ。俺の変装事情やらを知っている。だいたいいつも無表情でいまいち何を考えているのかわからない不思議な人だ。
この前は公園で四葉のクローバー探しをしている所を目撃してしまった。見なかったふりしたけど。なんなら今車に流れてる曲は『マツケンサンバII』だ。
優しい上にイケメンだから彼女とか居そうだけど、全くその手の話を聞いたことがない。たしかに性格は変わってるからな...。
運転する凛とした横顔に思わず見惚れてしまった。並大抵の女子は助手席に乗ったら菫さんに惚れるんじゃないだろうか。
学園から離れたことを確認すると、マスクとウィッグをとる。やっぱりとったあとは爽快感がある。ウィッグって蒸れるんだよね。マスクも暑いし。
「学校の人にバレるんで迎えやめてください」
「学校どーです?」
「うん話聞いてないね。変装バレてないです。みんな優しいし楽しい」
本当は夕にバレたんだけど、秘密にしてくれるって言ってたから言わなくても大丈夫だろう。
「...俺は、翠はあの学校に行くべきじゃないと思ってますよ」
「なんで」
「狼さんたちがいっぱいいるんで」
「狼?」
「そうです。パクッと食べられちゃうかも」
なんだそれ。やっぱり何考えてんのかさっぱり分からないなこの人。おもしろい。
思わずぷっと吹き出した。菫さんは小さな声でボソッと呟いた。
「そうなったら俺、狼さんやっつけちゃうかも」
「え?なんて言いました?」
「なんでもない。そういえば、昨日俺ガリガリ君の当たり出したんですよ。」
「会話の切り替えが雑過ぎません?おめでとうございます」
ガリガリ君の当たり棒が出る確率って3%くらいじゃなかったっけ。
っていうかこの人ガリガリ君食べるんだ。なんか物を食べてるイメージがないんだよね菫さん。
「ありがとうございます。俺昔から運だけはいいんすよね」
「俺結構悪いですよ」
「へぇ。例えば」
「最近毎回授業で当てられます」
「それは最悪だ」
「担任の先生に愚痴ったら、お菓子くれました。そう考えたらラッキーかも」
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「あ、そろそろスタジオ着きますよ」
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