ひみつのモデルくん

おにぎり

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16.お手伝い

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放課後になり、化学準備室に向かう。
1週間に2回くらいの頻度で櫻木先生のお手伝いをしているのだ。

プリント運びやら、ノートのチェックやらやることはいっぱいなのだが、俺が手伝うあいだも先生は一切休むことがなく仕事をしている。先生って大変な仕事だなとつくづく思う。

それが終わると、先生は決まってお菓子を出してくれる。お菓子は日によってバラバラだけど、毎回本当に美味しい。こんな美味しいお菓子をもらっていいんだろうか。今日のお菓子はスノボールクッキーだ。俺は2人分の紅茶を淹れて、猫のマグカップに注いでいく。俺が白猫ので、先生は黒猫のやつ。毎回恒例だ。

準備が出来たら、二人で席について色々な話をする。この時間が癒しでもある。


「...翠は、日暮と高良と仲良いよな」

「日暮...あ、夕か。はいまぁ、仲はよいですね」

「その、なんだ、あー、好きなのか」

好き。この言葉に、昨日の俺ならまごうことなく頷いていた。二人のことは友達として好きだ。だが、今日とらに聞いた話を思い出し、問い返す。

「それって恋愛感情って事ですかね」

「...あぁ」

「んー俺、人を好きになったことなくて、わかんないんです」

「今まで一度も?」

「はい、一度もです」

さっきまでなんか暗かった先生の瞳が少し明るくなった。なんでだ。

「あー、じゃあ、年上はどう思う?」

好きな人がいるのだろうか。しかも年下の。じゃなきゃこんな相談俺にしないはずだよね。俺に相談するのはちょっと人選ミスだと思う。

「んーー、いいんじゃないですか?...ちなみに何歳差ですか?」

「...十くらい?」

「ショタコンですか」


非難めいた視線を送ると、先生の顔は青くなり、必死で否定してくる。

「いや、違う、断じて、そんなこと、」

そんなに否定されると逆に怪しいんですよセンセイ。

「でも、犯罪だけはしないでくださいよ。俺、先生と話すの好きなんで。先生居なくなったら困ります。お菓子食べれなくなりますし」

先生は細い目をぱち、と瞬きさせ、破顔した。え、何、かわいんですけど?守りたいこの笑顔。そのために、未成年に手を出しそうになったら俺が止めてみせよう。

「お前俺と話すの好きなのか?」

恥ずかしいので否定したいのはやまやまだが、たった今守ると誓ったこの笑顔を三秒で奪うのは本意ではないため、とりあえずコク、と頷く。

「そうですね。好きです」

にこ、と微笑みかけると、先生の様子が変になった。まず何かを堪えるような顔になり、立ち上がり壁に頭を打ち付け始める。

「え、え、?せんせ?」

「...我慢だ我慢大丈夫俺ならできる今襲ったら全てが終わる我慢しろ俺どんなにかわいくとも今はダメだあと三年あと三年」

「え、ちょ、だいじょぶ?」

やっぱりこの人仕事しすぎだよ。休んだ方がいいよ。ちょっともう壊れ始めてるよ。なんかボソボソ呟いてるし。



一旦落ち着いた先生は椅子に座り直しお茶を飲む。

「...頭から血出てますよ?」

「あぁ大丈夫だ。後で保健室行くから」

俺はこの日誓いました。絶対に教師にはなりません。なりたくありません。退職前に死ぬ気しかしません。

っていうか、やっぱイケメンって血流しててもイケメンなんだな。元々色気がある櫻木先生だが血を流してると不穏な雰囲気が出ててかっこいい。シンプル羨ましい。
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