借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた

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第26話 強化ポーションの錬成

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 じーちゃんの家に一泊して翌日になると、脇差の鞘も完成した。赤い色のシンプルな装飾で、俺の趣味にピッタリだ。

 あともう数日泊まっていいと思ったんだけど、ばーちゃんはすぐにタクシーを呼んでしまい別れてしまった。次は葬式で会おうなんて言っていたけど、あれは照れ隠しだと睨んでいる。

 きっと俺が知らないところで、通話や会ったりするんだろうな。

 そうやって一泊二日の旅行が終わると、脇差を腰にぶら下げて離れの倉庫に来た。

 目的は錬金術だ。

 思っていたよりもドラゴンパウダーが残ったので、肉体強化ポーションを作るつもりである。

「マスター、私は師匠のところに行ってきます」

 いつもは作業を見守っているユミだが、今日は用事があるらしい。

 二人で会うほど仲良くなったのか。

 何をするのか気になるけど、今は素材を使うことの方が重要である。ユミに許可を出してから作業を始めることにした。

 強化ポーションは素材を保管している棚から毒性を抜く【中和剤】と、食べたら一瞬だけ力が増強される【ポリンの果実】を取り出す。【ポリンの果実】は、干しているため水分は飛んでいる。ドライフルーツみたいな見た目だ。

 これをすり鉢でゴリゴリと砕いてから、普通のガスコンロの上に錬金術用の小さな鍋を置いて、すりつぶした【ポリンの果実】【エーテル水】【ドラゴンパウダー】を混ぜて煮込む。

 こうすると、【ポリンの果実】が水のエーテルを取り込めて、効果を高められるのだ。

 ある程度、水分が飛んで少しドロドロになったら、火を止めて【中和剤】を投入する。これで【ドラゴンパウダー】の持つ毒性がなくなって、体内に入れても無害になるのだ。

 後は冷やして待つだけ。

 その間に、上級回復ポーションや対冷気ポーションも作っていく。

 これらは販売用だ。沢山売れますようにってお願いしながら、瓶に詰めてポーチ型のマジックバッグにしまった。

 錬金術用の鍋が冷えたので、ようやくスキルの出番である。

「錬金術スキル起動」

 キーワードを唱えると両手が光って、目の前に本が浮かぶ。今まで作ったことのある物のレシピがまとめられている。

 過去に一度登録するためだけに【肉体強化ポーション】を作らせてもらったことがあるので、レシピはある。

 目的のページを開くと床に手をつけた。

 錬金術用の鍋を中心として魔法陣が浮かび上がると、体内から魔力が抜かれていく。しばらくスキルを起動させていると、錬成が終わったようで魔法陣は消えた。

 これで完成だ。

 肉体強化ポーションをスプーンですくって舐めてみる。

 うん。甘い!

 とろみのある感じは、質の良い【ポリンの果実】が入っている証拠だ。

 回復ポーションはやや苦いけど、肉体強化ポーションはジュースとして普通に飲める。

 しばらくして、体の奥底から力が湧き出てきた。ちょっとしか口に入れてないのに効果はハッキリと出ているので、錬金は成功だね。

 ポーション用の瓶に詰めていくと3本も用意できた。ドラゴン討伐で余ったら売るか、もしくは取っておくか悩む。

「ユミは行商しましょうとかいいそうだなぁ~」
「マスター、私がなんですか?」

 声がしたので振り返ると、ピンクのエプロンを着けたユミが立っていた。花のあしらいがあって可愛らしい。ばーちゃんの家にはなかったと思うんだけど、買ってきたのだろうか。

「なんでもない。それより、エプロンなんて着けてどうしたの?」
「師匠に教わって、お昼ご飯を作ったんです」

 自慢げな顔をしていた。

 元々料理はできる精霊ではあるけど、誰かに教わったことはなかった。師匠に師事してもらって自信をつけたのかな。

「他にも素材があるからさ、お昼はなしに……」

 錬金を継続しようとしたら、ユミが眉を下げて悲しそうな顔をしてしまった。

 罪悪感が心をえぐってくる。

 本当は他の錬金もしたいんだけど、強行するほど俺の心は強くない。今回は俺の負けである。

「やっぱり食べよう。お腹ペコペコだ」
「よかった! では行きましょう」

 手を握られてダイニングに連れて行かれた。

 テーブルにはご飯、肉じゃが、味噌汁、厚揚げにタレのかかった食べ物が置かれている。

 俺は洋食よりも和食派なので、好みに合わせてくれたのかな。

 用意された座布団に座ると隣にユミが腰を下ろす。ばーちゃんは正面だ。

「錬金は順調かね?」
「午前中だけで、肉体強化ポーションを作れたよ」
「ふむ、あれか。ドラゴン討伐に活用できそうだね」

 俺の回答にばーちゃんは満足したようだ。

「冷める前に食べようかね。いただきます」
「いただきます」

 ばーちゃんに続いて、俺とユミも言ってから箸を持って食事を始める。

 最初は味噌汁だ。出汁がしっかりと取ってあり、やや薄めだ。味付けは俺の好みである。ワカメは歯ごたえがあって美味いな。

「ユミが作ってくれたの?」
「はい」
「美味しいよ」
「師匠に教わりましたから、当然です」

 素っ気ない態度だったけど、褒め方を失敗してしまったのかな。

 別の切り口がないか考えてみるけど思い浮かばない。お昼ご飯を飛ばそうとしたところから、失敗が続いているように感じる。

 もっとユミを大切に扱うべきだったか。

 反省しながら肉じゃがを食べながら白米を口に入れていると、ユミのスマホが震えた。ディスプレイには知晴さんの名前が出ている。

「急ぎの連絡かもしれません。食事中ですが、電話に出てもよろしいですか?」
「かまわんよ」

 師匠の許可を取ると、ユミは通話とスピーカーのボタンをタップした。

 これで俺たちにも話が聞こえる。

「ユミです。何かありましたか?」
「すぐに出てくれて助かった。討伐部隊の出発日が決まったから、早めに伝えたくてな」

 ついにメンバーが揃ったのかな。

 商売の話は面倒だけど重要なので、俺もしっかり聞いておかないと。
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