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第54話 (誠視点)裕真製マナポーションの実力
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裕真から必要な物資を手に入れ、俺たちは放置ダンジョンの本格的な調査を開始すると決めた。具体的には未開拓エリアの探索だ。
誰かが滞在していた痕跡を探すのと同時に、魔物の分布や素材となる植物や鉱物がないかまで調べるのが目的である。
鍵は破壊されたため、解錠されたままのドアを開き階段を下って地下一階に到着した。
ここは渋谷ダンジョンとは違って、平原になっていて擬似的な青空まである。誰が、何の目的で作ったのかは不明だが、俺たちには関係ない。暗闇を歩き続けるより探索しやすいという事実があれば、それ以上は学者に任せればいいんだ。
錬金術師が作ったマッパーというディスプレイを見ながら、未踏のエリアに向かって歩く。
後方はバトルアックスを持った光輝、俺と圭子は真ん中だ。先頭は斥候もする信也で、俺たちの数十メートル先を一人で警戒している。
魔物が見つかれば立ち止まる手はずなので、歩いている今は危険じゃない証拠だ。
地下一階に現れる魔物で最も警戒するべき存在はトレント。移動する木で、3メートル前後の大きさがある。頭上から振り下ろされる枝は鞭のようにしなり、直撃すれば車すら一撃で破壊する威力がある。
魔力によって鍛えられた俺たちでも、重傷は避けられない。
他にも湿地帯に住むポイズントード、死肉を漁るデッドバードなども油断できない相手だ。準備不足で戦えば、全滅だってあり得る。
それほど危険なダンジョンなのに得られる素材が魔石だけなので、費用対効果が悪く放置ダンジョン入りしているが、今回の探索で新たな発見があれば状況は一変するだろう。
過去に何度か、放置から人気ダンジョンに変わった例はある。
マッパーで地図を見ていると、難所に近づいてきた。
広い沼地で足首ぐらいまで水に浸かってしまう場所だ。この先が未開拓エリアになっていて、水の侵入を防ぐブーツを履いていなければ先には進めない。
信也は沼の入り口で立ち止まり、俺たちを手招きしている。
「何かあったようね」
「みたいだ。慎重に行くぞ」
いつでもスキルを発動できるようにしながら、音を立てずに歩いて信也の元についた。
沼地にはポイズントードの群れがいた。サイズは一メートルほどで、相変わらずカラフルな色をして、毒々しい見た目をしている。近くには卵らしきものまであって、放置すれば数はさらに増えそうだ。
「どうする?」
信也はスパイクの大盾を構えながら聞いてきた。
「迂回はできそうか?」
「できなくはないが、俺は邪魔がいない今、倒すべきだと思う」
ポイズントードは俺たちに気づいてない。しかも距離はあるのだ。闇魔法のスキルを使えば一方的に攻撃できるだろう。信也の言うことは、将来の危険を減らすという意味で真っ当である。
「圭子と光輝はどう思う?」
「マナポーションもたっぷりあるんだし、倒すに一票ね」
「俺も~。前後で挟まれる可能性を考えたら、ここで殺しちゃおうよ」
全員賛成か。闇魔法スキルを持っている圭子は、気負っている様子はない。いつもと変わらず平常だ。
改めて周囲を見ても近くに魔物はいない。空にもだ。
ヤるなら今だろう。
「わかった。圭子、頼めるか?」
「任せなさい」
体から黒いオーラを出しながら返事をした圭子は、手を前に出すと黒い腕が出現した。
闇魔法スキルで創り出した腕だ。指先には長い爪があって剣よりも鋭い。
黒い腕が伸びると近くにいたポイズントードの頭を貫いた。一撃即死だ。伸びる勢いは衰えず、二匹目、三匹目も倒していく。
「グワッ! グワッ!」
ポイズントードが、仲間に危険を知らせる鳴き声を上げた。
敵がいるとは気づいても、居場所までは見つけられていないようだ。その間にも圭子は黒い腕を操作して、次々とポイズントードを倒しているが、魔力の消費が大きいのか顔色が悪い。
限界が近いのか、腰にぶら下げているマナポーションを飲んだ。
顔色がすぐに良くなったのだが、変化はそれだけじゃなかったみたいである。圭子が驚いた顔をしていた。
「何これ、体の奥底から力が湧いてくるわ」
一本だった黒い腕が、二本、三本と増えていく。
魔力を回復させただけじゃなく、総量が増えているのか!?
ようやく俺たちの居場所を見つけたポイズントードが飛び跳ねて近づいてくるが、増えた黒い腕が伸びて迎撃しているため、盾役の信也は出番がない。
「天宮くんのポーションは最っ高ね! もう離れられないわ! 結婚しましょうっ!!」
珍しく興奮気味になっている圭子には同感だ。
回復ポーションだけじゃなく、他のポーションも市場に出回っている物よりも効果が数段高いのだ。専属は無理だとしても、定期的に購入できるルートは絶対に確保するべきである。
特に今後、クランに入っていない俺たちは上級系統が買いにくくなるので、裕真は俺たちの生命線だといっても過言ではない。
「そろそろ消えなさいっ!」
黒い腕が一気に増えた。天に向かって伸びると、弧を描いて雨のように降り注ぎ、生き残っているポイズントードと卵を貫いた。
マナポーション一つで、これほど戦力が底上げされるのか。
現実離れした光景に言葉が出ない。
市場のバランスを破壊してしまいそうな裕真は、錬金術ギルドが警戒するに値する。
知晴さんは、このことを知っていたから俺たちにも協力するよう依頼したんだろうな。
誰かが滞在していた痕跡を探すのと同時に、魔物の分布や素材となる植物や鉱物がないかまで調べるのが目的である。
鍵は破壊されたため、解錠されたままのドアを開き階段を下って地下一階に到着した。
ここは渋谷ダンジョンとは違って、平原になっていて擬似的な青空まである。誰が、何の目的で作ったのかは不明だが、俺たちには関係ない。暗闇を歩き続けるより探索しやすいという事実があれば、それ以上は学者に任せればいいんだ。
錬金術師が作ったマッパーというディスプレイを見ながら、未踏のエリアに向かって歩く。
後方はバトルアックスを持った光輝、俺と圭子は真ん中だ。先頭は斥候もする信也で、俺たちの数十メートル先を一人で警戒している。
魔物が見つかれば立ち止まる手はずなので、歩いている今は危険じゃない証拠だ。
地下一階に現れる魔物で最も警戒するべき存在はトレント。移動する木で、3メートル前後の大きさがある。頭上から振り下ろされる枝は鞭のようにしなり、直撃すれば車すら一撃で破壊する威力がある。
魔力によって鍛えられた俺たちでも、重傷は避けられない。
他にも湿地帯に住むポイズントード、死肉を漁るデッドバードなども油断できない相手だ。準備不足で戦えば、全滅だってあり得る。
それほど危険なダンジョンなのに得られる素材が魔石だけなので、費用対効果が悪く放置ダンジョン入りしているが、今回の探索で新たな発見があれば状況は一変するだろう。
過去に何度か、放置から人気ダンジョンに変わった例はある。
マッパーで地図を見ていると、難所に近づいてきた。
広い沼地で足首ぐらいまで水に浸かってしまう場所だ。この先が未開拓エリアになっていて、水の侵入を防ぐブーツを履いていなければ先には進めない。
信也は沼の入り口で立ち止まり、俺たちを手招きしている。
「何かあったようね」
「みたいだ。慎重に行くぞ」
いつでもスキルを発動できるようにしながら、音を立てずに歩いて信也の元についた。
沼地にはポイズントードの群れがいた。サイズは一メートルほどで、相変わらずカラフルな色をして、毒々しい見た目をしている。近くには卵らしきものまであって、放置すれば数はさらに増えそうだ。
「どうする?」
信也はスパイクの大盾を構えながら聞いてきた。
「迂回はできそうか?」
「できなくはないが、俺は邪魔がいない今、倒すべきだと思う」
ポイズントードは俺たちに気づいてない。しかも距離はあるのだ。闇魔法のスキルを使えば一方的に攻撃できるだろう。信也の言うことは、将来の危険を減らすという意味で真っ当である。
「圭子と光輝はどう思う?」
「マナポーションもたっぷりあるんだし、倒すに一票ね」
「俺も~。前後で挟まれる可能性を考えたら、ここで殺しちゃおうよ」
全員賛成か。闇魔法スキルを持っている圭子は、気負っている様子はない。いつもと変わらず平常だ。
改めて周囲を見ても近くに魔物はいない。空にもだ。
ヤるなら今だろう。
「わかった。圭子、頼めるか?」
「任せなさい」
体から黒いオーラを出しながら返事をした圭子は、手を前に出すと黒い腕が出現した。
闇魔法スキルで創り出した腕だ。指先には長い爪があって剣よりも鋭い。
黒い腕が伸びると近くにいたポイズントードの頭を貫いた。一撃即死だ。伸びる勢いは衰えず、二匹目、三匹目も倒していく。
「グワッ! グワッ!」
ポイズントードが、仲間に危険を知らせる鳴き声を上げた。
敵がいるとは気づいても、居場所までは見つけられていないようだ。その間にも圭子は黒い腕を操作して、次々とポイズントードを倒しているが、魔力の消費が大きいのか顔色が悪い。
限界が近いのか、腰にぶら下げているマナポーションを飲んだ。
顔色がすぐに良くなったのだが、変化はそれだけじゃなかったみたいである。圭子が驚いた顔をしていた。
「何これ、体の奥底から力が湧いてくるわ」
一本だった黒い腕が、二本、三本と増えていく。
魔力を回復させただけじゃなく、総量が増えているのか!?
ようやく俺たちの居場所を見つけたポイズントードが飛び跳ねて近づいてくるが、増えた黒い腕が伸びて迎撃しているため、盾役の信也は出番がない。
「天宮くんのポーションは最っ高ね! もう離れられないわ! 結婚しましょうっ!!」
珍しく興奮気味になっている圭子には同感だ。
回復ポーションだけじゃなく、他のポーションも市場に出回っている物よりも効果が数段高いのだ。専属は無理だとしても、定期的に購入できるルートは絶対に確保するべきである。
特に今後、クランに入っていない俺たちは上級系統が買いにくくなるので、裕真は俺たちの生命線だといっても過言ではない。
「そろそろ消えなさいっ!」
黒い腕が一気に増えた。天に向かって伸びると、弧を描いて雨のように降り注ぎ、生き残っているポイズントードと卵を貫いた。
マナポーション一つで、これほど戦力が底上げされるのか。
現実離れした光景に言葉が出ない。
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