関白の息子!

アイム

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秀頼ルート 黒幕捜査1

新たな決意(エロ度☆☆☆☆☆)

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 座敷牢に向かえば、何時もの徳川娘達に混じって桜もご飯を食べていた。
 いたって普通に見えるが、先ほどの話を聞いた後では無理をしているんじゃないかと思ってしまう。

「桜」

 プイッ

 俺が呼び掛けると、そっぽを向く。
 私、怒ってますとでも言いたげだ。

「おーい、桜ちゃ~ん?」

「そんな子知りません!」

 相当怒っているらしく、顔だけでなく体までそっぽを向く。
 天下人に背中を向けるとはなかなかの度胸だ。
 まぁ、俺達の仲だしね。

「おいおい、じゃぁ、お前は誰だよ」

「私は、忍びの桜しか知りません! 秀頼様が名付けてくれたんです。ご自分の忍びの名として、私を桜、と。女子としての桜なんて私は知りません!」

 おおぅ、これは時間がかかりそうだ。
 それにしても・・・・・・そこまで、忍びであることに拘るのか。

「残りの命が短いからか?」

「っ!? 誰から!」

 驚いて桜が振り返る。

「誰からかは重要じゃない。お前が俺に隠し事をしていたことが問題だ。お前は俺の忍びなんだろう?」

 牢の鍵を開け、中に入る。
 徳川娘たちは話の展開について来れず、とりあえず俺と桜の間の道を開けてくれる。

「聞いてないぞ、俺は」

「・・・・・・忍びとはそういうものです」

 桜の表情が先程までの拗ねた子供の様なものから、真剣なものに変わる。
 完全に受け入れているのだ。

「正確な時間は分かるのか?」

「・・・・・・私は、もう指先に痺れが出だしています。里の記録から計算すれば、あと4年ほどかと。忍びとして動けるのは3年ほどでしょう」

 思っていたよりも短い。
 4年、あとたったの4年。
 それも、3年後には身体が満足に動かなくなる。

「なんで、教えてくれなかった?」

「教えれば毒の耐性を得るための修練を止めさせようとしたかもしれません」

「当たり前だ!」

「ですが、私達がいることで、戦が起きずに多くの兵が死ななくて済むかもしれない。敵大将を殺すだけで、もしかすれば数万のお味方が助かる。いいえ、それだけではない。今の日の本の泰平を脅かしかねない乱の芽を、育つ前に摘むことだって出来る。・・・・・・それは、秀頼様が教えてくださったことです」

 あれは何時だったか・・・・・・。
 確か、徳川家を討って直ぐの花見だ。
 そんなつもりで言ったんじゃない。

 でも、桜はすぐ近くまで迫っている死を受け入れている。

「お梅は、知っているのか?」

「・・・・・・教えていません」

「お梅に毒は・・・・・・」

「当然飲ませていません。あの子は忍びじゃない生き方を出来る娘ですから」

 ・・・・・・どうすればいいのだろうか。
 桜を失いたくはない。

 だが、今の医学ではおそらくどうしようもない。

「桜、これからはお前を忍びとして扱う。側室としての仕事はしなくていい」

「・・・・・・ありがとうございます」

 桜が綺麗な形で正座のままでお辞儀をする。

「ただし、それは3年の間だけだ」

「えっと、元より忍びでいられるのは3年ほどですが・・・・・・」

 桜が言い難そうにおずおずと告げてくる。
 そんなことはさっき聞いたばかりだから分かっている。

「そうじゃない。忍びとしての桜は3年で終わりだ。その後は俺の桜になってもらう」

「・・・・・・申し訳ございません。その頃にはもう杖をつかねば歩けぬ体となっています。陛下の傍においていただくにはあまりにも・・・・・・。どうか、里に戻していただければと。後進の育成を行おうと思います」

 再び桜がお辞儀をしてくる。
 最後の一年は俺の目の届かぬところで、と。

「お前は犬か!」

「フフッ、死に際を見せないところは似ているかもしれませんね。ですが、醜くなる私を見ていてほしくはないのです。お願いでござ――」

「馬鹿言うな! お前の里では毒を抜けないのかもしれない。今の日本の医学では救えないのかもしれない。だがな、朝鮮や明、南蛮やまだ見ぬ国々の医学なら分からん! 幼い頃から毒を飲んで耐性を付ける方法を、王侯貴族がやると言う話を聞いたことがある。王侯貴族が対象なら十分に毒を抜く方法もあるはずだ。そう簡単に俺が諦めると思うなよ!」

 もっとも、それは前世のマンガ知識だ・・・・・・。
 たしか、毒殺が横行した時代の欧州を題材にしたものだっただろうか。
 随分と久しぶりに未来知識が役に立つかもしれない。

「そ、そんな事不可能です」

「言ってろ! 俺が勝手に助けるんだからな。大日本帝国の皇帝にそうそう不可能があると思うなよ!」

 自分の妻さえ助けられない情けない皇帝にはなりたくない。

「絶対に助けてやる。良いな?」

「・・・・・・はい」

 泣き出してしまった桜を優しく抱きしめる。
 強がっていようと死が怖くないわけがない。
 まだまだお梅の成長だって見届けたいはずだ。
 俺だって、お梅にわずか14歳で母を失う悲しみを味あわせたくはない。
 なにより、俺が桜を失いたくない。

 新たな決意を固め、しばらくはそのまま桜を抱きしめていた。


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