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千姫ルート 南京城攻略戦2
決着(エロ度☆☆☆☆☆)
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結局のところ、昼頃には戦も終わり、城外の野盗達も加藤・島津の両将に散々に追い払われ、南京城は4万強にもなる日本兵を収容。
見張りは反乱に参加した明兵が当り、日本兵は上海から牽引してきた砲の類を設置する作業へと移る。
しかし、今のところ明軍の襲来は見込まれていないため、一先ず政庁に諸将が集められる。
「先ずは、皆様。本当にありがとうございました。恩賞などは後程陛下により伝えられることかと思います。ですが、それとは別に徳川家を代表し一族を救っていただいた事に心よりの感謝を。私に出来ることであればどのようなことでも礼をさせていただきます。そんなことでご恩に報いることはできないとは思いますが・・・・・・」
その言葉に井頼は一人ドキリと胸を焦がす。
どのようなことでも、とは、彼くらいの年頃の少年には蠱惑的な響きを持つ言葉だ。
「あ、では、本が欲しいです!」
そして、遠慮がないのはお麟くらいの年頃の特徴なのだろう。
「ヌハハッ、では儂は旨い酒を!」
「お、では某もそれで!」
大笑いしながら義弘と清正が言う。
「・・・・・・ぬぅ、儂は、その、禄を」
既に大大名格の2人と違い、基次は一浪人。
暮らしも慎ましいものだったので、禄を望むのは当然のことだ。
「いえ、それは陛下から頂けるでしょう。正直に申しますと、徳川家に雇われるよりよほど良い条件ですよ。もちろん私からも口添えさせていただきますので、高碌で召し抱えていただけるかと――」
「儂は皇后様の下で働きたいのじゃ!」
迷っていたことを告白するように基次が言い出す。
だが、それを言われた千姫は戸惑うほかはない。
「えっと、私は人を雇える立場でもなければ、知行を持っているわけでも無くて・・・・・・」
口ごもってしまうが、そんな事は此処にいる誰もが分かっている。
「じゃぁ、皇后様も知行をいただけばよろしいのでは?」
悪戯っぽい表情でお麟が言い出せば、皆が頷く。
「何を馬鹿な! 私は陛下の妻です。今回は特殊な事情が有ったから指揮を取らせていただきましたが、私の居場所は裏内にしかありません!」
少し、いや、かなり怒った表情で千姫が怒鳴る。
だが、お麟は日本に戻り次第それを秀頼に申し出るつもりだった。
実際、今回の戦果は当初の目的を大きく超えている。
南京城を破壊せずにそのまま活用できるうえに、明の内情に詳しく優秀な策士の獲得、それによる南京の商人や民の帰順など、挙げればきりがない程だ。
徳川の一族を許すだけで終わらせるつもりはお麟にはなかった。
「・・・・・・それで、平八じーじは?」
「ぬはっ!? なぜまたその呼び名で!?」
単純に話題を変えるだしに使われただけだが、その効果は上々で、皆が隠れて笑う。
「ぐむ、わ、儂は主君を助けることだけが望み。それまでは死んでも死に切れませぬ」
「・・・・・・はい。お爺様が見つかった時には、私も出来る限りのことをいたしましょう」
だが、日本軍に捕まれば殺されるのも確か。
残り少ないであろう家康の命をどうするか、その扱いは非常に繊細なものだ。
「それで、井頼殿は?」
未だに声を上げない井頼に千姫が笑みを向ける。
「・・・・・・私は、っ!?」
鋭い痛みに下を見れば、お麟が井頼の太ももを抓って首を振る。
まるで全て見通していて、それは心に秘せと、そう言っているように。
「・・・・・・私にも書物を」
「はぁ、お麟ちゃんといい、本当に好きなんですね。分かりました一杯本を買いましょうね」
呆れたように笑いながら千姫が言う。
井頼の気持ちになど全く気付いていないのだろう。
「それと、信繁殿は?」
「む? 私はただの皇后様の護送係にございます。願わくば、早めの移動をと言うところですか。大阪で陛下がお待ちでございますよ?」
「はい。明日にでも参りましょう。長江を下り、上海で大和に乗り換えて大阪まで参ります」
その言葉に千姫は花が綻ぶような笑顔を見せる。
やっと秀頼に会える。
それをただただ喜ぶように。
井頼はジッとその顔を見つめていた。
さて、政庁に集まった諸将ではあったが、その中に居勝の姿はなかった。
なぜなら彼の戦はまだ終わっていない。
「お願いします!」
既に策も何もなく、ただ商家のまで路上に土下座で願うだけ。
彼を知る者が見れば普段との差に驚くだろう。
「駄目だ!」
そして、普段は温厚な商人の頑なな態度にも驚くしかない。
とは言え、連日居勝を殴り続けた拳は腫れあがってしまい、使う気力がない。
「どうか!」
今日ばかりは認めてもらうまで帰らない。
いや、認めてもらえないならば帰る意味がない。
「季夏を嫁に!」
「くどい!」
だが、商人とて、それを志のために認めたとはいえ、居勝は愛娘の気持ちを利用して売った男。
また同じことをする可能性を考え、とても認めることなど出来ない。
いや、生きて帰らないと思った娘が傷ついて帰ってくるのだ、もう誰にも触れさせたくなどない。
「お父様、私からもお願いいたします。どうか」
「っ!? 季夏!?」
久しぶりに眼にした季夏は日本軍での生活で大分回復はしていたが、それでも南京の頃より大分痩せてしまっていた。
「お前、大丈夫なのか!?」
「はい。日本の方に良くしていただきましたから」
そして、居勝の右隣りに座り、同様に土下座を始める。
「お願いいたします」
それでも反対したい気持ちはあったが、これには商人も折れるしかなかった。
見張りは反乱に参加した明兵が当り、日本兵は上海から牽引してきた砲の類を設置する作業へと移る。
しかし、今のところ明軍の襲来は見込まれていないため、一先ず政庁に諸将が集められる。
「先ずは、皆様。本当にありがとうございました。恩賞などは後程陛下により伝えられることかと思います。ですが、それとは別に徳川家を代表し一族を救っていただいた事に心よりの感謝を。私に出来ることであればどのようなことでも礼をさせていただきます。そんなことでご恩に報いることはできないとは思いますが・・・・・・」
その言葉に井頼は一人ドキリと胸を焦がす。
どのようなことでも、とは、彼くらいの年頃の少年には蠱惑的な響きを持つ言葉だ。
「あ、では、本が欲しいです!」
そして、遠慮がないのはお麟くらいの年頃の特徴なのだろう。
「ヌハハッ、では儂は旨い酒を!」
「お、では某もそれで!」
大笑いしながら義弘と清正が言う。
「・・・・・・ぬぅ、儂は、その、禄を」
既に大大名格の2人と違い、基次は一浪人。
暮らしも慎ましいものだったので、禄を望むのは当然のことだ。
「いえ、それは陛下から頂けるでしょう。正直に申しますと、徳川家に雇われるよりよほど良い条件ですよ。もちろん私からも口添えさせていただきますので、高碌で召し抱えていただけるかと――」
「儂は皇后様の下で働きたいのじゃ!」
迷っていたことを告白するように基次が言い出す。
だが、それを言われた千姫は戸惑うほかはない。
「えっと、私は人を雇える立場でもなければ、知行を持っているわけでも無くて・・・・・・」
口ごもってしまうが、そんな事は此処にいる誰もが分かっている。
「じゃぁ、皇后様も知行をいただけばよろしいのでは?」
悪戯っぽい表情でお麟が言い出せば、皆が頷く。
「何を馬鹿な! 私は陛下の妻です。今回は特殊な事情が有ったから指揮を取らせていただきましたが、私の居場所は裏内にしかありません!」
少し、いや、かなり怒った表情で千姫が怒鳴る。
だが、お麟は日本に戻り次第それを秀頼に申し出るつもりだった。
実際、今回の戦果は当初の目的を大きく超えている。
南京城を破壊せずにそのまま活用できるうえに、明の内情に詳しく優秀な策士の獲得、それによる南京の商人や民の帰順など、挙げればきりがない程だ。
徳川の一族を許すだけで終わらせるつもりはお麟にはなかった。
「・・・・・・それで、平八じーじは?」
「ぬはっ!? なぜまたその呼び名で!?」
単純に話題を変えるだしに使われただけだが、その効果は上々で、皆が隠れて笑う。
「ぐむ、わ、儂は主君を助けることだけが望み。それまでは死んでも死に切れませぬ」
「・・・・・・はい。お爺様が見つかった時には、私も出来る限りのことをいたしましょう」
だが、日本軍に捕まれば殺されるのも確か。
残り少ないであろう家康の命をどうするか、その扱いは非常に繊細なものだ。
「それで、井頼殿は?」
未だに声を上げない井頼に千姫が笑みを向ける。
「・・・・・・私は、っ!?」
鋭い痛みに下を見れば、お麟が井頼の太ももを抓って首を振る。
まるで全て見通していて、それは心に秘せと、そう言っているように。
「・・・・・・私にも書物を」
「はぁ、お麟ちゃんといい、本当に好きなんですね。分かりました一杯本を買いましょうね」
呆れたように笑いながら千姫が言う。
井頼の気持ちになど全く気付いていないのだろう。
「それと、信繁殿は?」
「む? 私はただの皇后様の護送係にございます。願わくば、早めの移動をと言うところですか。大阪で陛下がお待ちでございますよ?」
「はい。明日にでも参りましょう。長江を下り、上海で大和に乗り換えて大阪まで参ります」
その言葉に千姫は花が綻ぶような笑顔を見せる。
やっと秀頼に会える。
それをただただ喜ぶように。
井頼はジッとその顔を見つめていた。
さて、政庁に集まった諸将ではあったが、その中に居勝の姿はなかった。
なぜなら彼の戦はまだ終わっていない。
「お願いします!」
既に策も何もなく、ただ商家のまで路上に土下座で願うだけ。
彼を知る者が見れば普段との差に驚くだろう。
「駄目だ!」
そして、普段は温厚な商人の頑なな態度にも驚くしかない。
とは言え、連日居勝を殴り続けた拳は腫れあがってしまい、使う気力がない。
「どうか!」
今日ばかりは認めてもらうまで帰らない。
いや、認めてもらえないならば帰る意味がない。
「季夏を嫁に!」
「くどい!」
だが、商人とて、それを志のために認めたとはいえ、居勝は愛娘の気持ちを利用して売った男。
また同じことをする可能性を考え、とても認めることなど出来ない。
いや、生きて帰らないと思った娘が傷ついて帰ってくるのだ、もう誰にも触れさせたくなどない。
「お父様、私からもお願いいたします。どうか」
「っ!? 季夏!?」
久しぶりに眼にした季夏は日本軍での生活で大分回復はしていたが、それでも南京の頃より大分痩せてしまっていた。
「お前、大丈夫なのか!?」
「はい。日本の方に良くしていただきましたから」
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