普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐

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33.大事な時だけ

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 レヴェリルインはなんだか嬉しそう。彼はその色とりどりの服を持って、僕に近づいてきた。

「どうだ? 可愛いだろう?」

 可愛いのか可愛くないのかなんて、僕には分からないけど……目立つのは無理っ……!! 僕はできるだけ、誰からも隠れていたいんだ。誰にも見つかりたくない。できれば服も、誰にも見られない魔法でもかかっているものがいい。

「…………コフィレグトグス?」

 レヴェリルインが首を傾げている。返事をしなきゃ。

 だけど……い、嫌だとは言えないし……僕、どうすればいいんだ……

 すると、ラウティさんが少し呆れたように言った。

「レヴェリルイン様……それ、絶対に嫌ですよ。だって、その方、目立つの嫌いですよね?」
「そうなのか……?」

 振り向かれて、僕はどうしようか迷った。レヴェリルインが残念そうにしてるから。
 彼が選んだものなら……そうした方がいいのかな……だけど、目立つのは嫌っ……!! ど、どうしようっ……!! 目立たない服がいいけど、レヴェリルインが選んでくれたなら、そうした方がいいような気もするし……

 ずっと答えなかったから、レヴェリルインを少し困らせてしまったらしい。

「コフィレグトグス?」
「…………」
「狼は嫌か?」
「え!?」

 狼って言われたから、レヴェリルインのことかと思った。だけど、よく見たら、レヴェリルインの持っている服、狼の柄がある。服のことか……

 僕は、首を横に振った。

「嫌じゃないのか?」
「は、はい……」
「では、何か望みがあるなら言ってみろ」
「え!?」

 言ってみろって……言っていいの?? 僕が? 僕の好みなんて、言っていいのか……?

 チラッと、レヴェリルインを見上げる。彼は、じっと僕を見下ろしていた。早く答えない僕を怒ったりはしていなくて、笑顔だ。僕の返事を待ってくれているんだ……

「あ、あのっ……! 僕……あの……め……め、目立たない……ものが……」

 ガタガタ震えながら、なんとか言うと、レヴェリルインはラウティさんに振り向いた。

「目立たなくしろ」
「む、難しい質問ですね……じゃあ、こんなのどうです?」

 そう言って、彼は色をアイスブルーにしてくれた。たくさんあった柄は消えて、フードの部分の大きな狼がいる。なんだか、アイスブルーの狼に包まれているみたいだ。

「この辺りは晴れの日が多いので、空の色と重なって、ちょうどいいと思います。なんなら夜は黒くなるようにもできますが……」
「……!」

 僕が何度も頷くと、ラウティさんは服に魔法をかけてくれた。
 試着室に入って着ると、大きな狼の柄のパーカーは、かなりサイズは大きいけど、顔も体も隠れて嬉しい。

「サイズ……合わせましょうか? 魔法で縮められますよ?」

 ラウティさんはそう言ってくれるけど、僕はこのままがいい。だって、誰にも僕の姿を見られたくない。

「あ、えっと…………こ、このまま……」

 呟く僕に、ラウティさんはにっこり笑う。

「分かりました。では、大事な時だけ縮むようにしておくます」
「は、はい……」

 彼は僕の服に魔法をかけてくれる。

 なんでこんなことしてくれるんだろう……

 こんな風にされるの、初めてだ。他の人と同じように扱ってもらうなんて……

「できました。何か不具合があれば、言ってください」
「は、はい…………」
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