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35.食事の準備
しおりを挟む僕らは服を買ってから、城のあったところに戻って来た。すると、クレーターがあったところに湖ができている。それに月が写っていた。もう夜だ。
レヴェリルインは、その湖の水に手をつけて言った。
「水の魔法をかけておいてよかった……これで、食事を作れる。ドルニテット」
レヴェリルインに言われて、ドルニテットは買ってきた鍋と、調理道具を伯爵の背中から下ろしていた。
「いい野菜が手に入りました、兄上。ちょっと新鮮すぎますが……」
「今日はそれをスープにするか」
レヴェリルインはそう言って、魔法で薪を集めて火をつける。ぼっと、小さな音がして、火が上がった。
焚き火に照らされて、レヴェリルインが僕に振り向く。
「コフィレグトグス」
「は、はい!!」
「……食事を作る。野菜を洗ってくれるか?」
「はい!!」
頷くと、レヴェリルインはやけに嬉しそうに笑った。
なんだか、今日のレヴェリルインはよく笑う。
こうしていると、城の中にいた時とは、ずいぶん雰囲気が違う……って言っても、僕、毒の魔法を教わっていた時も、それが失敗してからも、ほとんどレヴェリルインと話していないんだ。
レヴェリルインは、僕にカゴいっぱいの、変な形の野菜を渡してくれる。なんだか変わった形の野菜ばっかりで、めちゃくちゃ重い! 人参みたいなのは、僕の身長の半分くらいある……こ、これ、洗うの!??
重さに負けて、今にもカゴを落としそうな僕に、レヴェリルインが心配そうに声をかけてくれた。
「……大丈夫か?」
「は、はいっ……!」
「………………本当に大丈夫か?」
「は……い……」
答えながらも重い……よくレヴェリルインはこんなの片手で運んでたな……
だけど、はいって言っちゃったし、今さらできないなんて言えない。
ずっしり重いものをフラフラしながら湖に向かって運ぶ。だけど結局無理で、カゴを落としてしまう。
「わっ……」
落ちたカゴから、ころころボールみたいに丸い芋が転がっていく。慌てて追って、それをカゴに乗せた。
「も、申し訳ございませんっ……!」
「気にせずゆっくり運べ」
「は、はい……」
なんだかレヴェリルイン、楽しそう……?
背後では、ラックトラートさんが、「では僕たちは森で何か食べられそうなものを探してきます!!」と言って、警備隊の人と森へ入っていった。
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