いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに過ごしたいです!

迷路を跳ぶ狐

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12*ヴァソレリューズ視点*返す?

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「それで? どういうつもりです?」

 領主の城まで飛んで言った俺は、客間に通され領主と向き合うと、すぐにそう尋ねた。そもそも、それ以外に用事なんてない。

 領主様……フェイヴェレルの口から何度その言葉を聞いたか分からない。
 ヴァソレリューズ様……と俺を呼ぶより、ずっと多いじゃないか。

 ……少し、フェイヴェレルは領主を気に入りすぎている……

 彼の心に、俺以外の奴がいるだと?

 そんなことは許さない。

 けれど、とうの領主は、ソファの向かいに座り、キョトンとしている。

「な、何がですが?」
「とぼけないでください…………」

 この男……フェイヴェレルからあれだけの思いを向けられておきながら…………

 何がですか…………だと?

 ……とぼけるのも大概にしろ……

 怒りがそのまま顔に出てしまったらしい。

 領主は「ひっ……!」と声を上げて、青い顔をする。

 だが、これだけは我慢できない。

 なぜそんなにも、領主様を気にするんだ?

 今は、俺がフェイヴェレルの主だ。あいつは、俺のことだけに夢中になっていればいい。

 それなのに…………

「フェイヴェレルが俺の前で何回領主様と言ったか、教えてあげましょうか?」
「い、いや…………そんな回数を聞いたところで、私には何のことだか…………それは単に、その時たまたま私のことを話していたからでは…………」
「あいつがお前のことを話したことなどないっ……!! ただ、この城であったことを話していただけだ……調子に乗るなよ…………」
「ち、調子になど……」
「…………」

 乗っていないというのか? あれだけ彼に名前を呼ばれておきながら。

 それで調子に乗らないはずがない……

 俺はフェイヴェレルに名前を呼ばれると、それだけで本当に幸せなのに……

 この男……やはり、放っておけない。早々に処分しておかなくては。

 フェイヴェレルは、俺のものだ。

「…………フェイヴェレルのことは、俺が引き取ります」
「え…………ま、待ってください! 話が違います!」
「あいつが、ここでどんな扱いを受けていたかは、もう分かっています。そんなところに、あいつを返せると思いますか?」
「……ヴァソレリューズ殿。それは誤解です」
「あいつに危険が迫るようなことを、俺が容認できる訳ないでしょう。彼のことは、こちらで引き取ります。返す気もありませんから。絶対に」
「待ってください! それでは話が違います!!」
「話が違う?」

 俺は、領主を睨みつけた。

 するとその男は、少し悲鳴を上げて下がるが、そんなこと、知ったことじゃない。

 あいつを怯えさせておいて、こんなところにあいつを返すと思っていたのか?

 彼のことを傷つけた奴らは、俺が処刑すると決めている。

 今、この城にいる精霊族の魔法使いだって、俺が送り込んだ。あの男には、証拠集めをさせているところだ。こっそりと。すぐにそれも終わるだろう。ここの状況はかなり悪いようだ。領主は魔法の道具をいくつも管理しているようだが、安全を確認するためであったり、道具に魔力を込めるからと言って回収したものを、二度と返さないようなこともあったらしい。いずれ失脚させる。

 あいつを傷つけておきながら、あいつに何度も名前を呼ばれる奴…………

 そんなこと、許すものか。

 俺は、立ち上がった。

「じゃあ、俺はこれで失礼します。二度と、あいつの前に現れないでください。現れたら殺します」
「お待ちください!!」

 領主が諦め悪く追ってくるが、取り合うつもりなど、まるでない。

 俺は、早くフェイヴェレルのところに帰らなくてはならないのだから。

 こうしている間にも、彼に誰かが近づいているかもしれない。

 あいつの頭の中は、俺だけで埋め尽くされていればいい。他の奴がその心を奪うなんて、許さない。
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