いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに過ごしたいです!

迷路を跳ぶ狐

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15.こうしていられて

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 ヴァソレリューズ様が僕を抱き寄せて、僕らは向かい合った。

 そして彼は、安心したように笑う。

「…………嬉しい。フェイヴェレル……」
「…………」

 そんな顔して微笑まれると、僕まで力が抜けてしまいそう。すっかり彼に身を任せてしまった僕は、そのまま抱き寄せられた。

 ヴァソレリューズ様の腕の中にいると、あったかくて気持ちいい。その感触にすっかり夢中になってしまっていたら、彼に唇を咥えられた。

「んっ…………!」

 抵抗することなんてできなくて、そのまま身を任せてしまう。すると彼は、僕の唇を押し上げて、中に舌を入れてきた。
 急にそんなことをされて腰が引けていると、彼は僕を抱き寄せて何度も唇を甘噛みして行く。
 ちゅっと音が響いて、奥まで舐られて、だんだん体温が上がっていく。
 彼に身を委ねていると、彼は僕を見下ろして、微笑んだ。

「……これからずっと、恋人だね」
「……ヴァソレリューズ様…………は、はい!!」

 そんな風にしていたら、部屋の扉をコンコン叩いて、執事さんが僕を呼びにきた。もう夕飯の時間らしい。彼は、僕の部屋にヴァソレリューズ様がいるのを見つけて驚いていたけど、その後すぐにヴァソレリューズ様が僕を抱き寄せて、今日から恋人になったんだって言うから、今度は僕の方が、もっと驚いた。







 それから、僕はずっと彼の屋敷にお世話になることになった。
 いつの間にか精霊族の魔法使いも屋敷に来てくれて、僕に仕事を教えてくれる。

 たまに僕がそんな風にして誰かと話していると、ヴァソレリューズ様のやきもちがすごいけど、それすら僕は嬉しい。

 今朝は朝早くからヴァソレリューズ様と二人で魔法の道具が動くか確認して、修復して、魔力を注いだりと忙しい。
 魔法の道具が並んだ部屋のテーブルに並んで座って作業を進めて、僕は、ヴァソレリューズ様に振り向いた。

「あ、あのっ……これ!! この魔法の道具……昼には動くようになりそうです!」
「うん……ありがとう」

 彼は微笑んでお礼を言ってくれているけど、魔法の道具をヴァソレリューズ様が見下ろすと、道具から光が溢れてくる。そこから伸びてきた鎖を、僕は魔力で抑えて千切った。

「ヴァソレリューズ様っ……!! こういうの、やめてください!!」
「……バレたか……」

 そう言って、嬉しそうに笑うヴァソレリューズ様が、僕は好きだ。
 縛られるのは困るけど……

「も、もうやめてくださいねっ……!」

 そう言いながらも、微笑む彼とこうしていられるのが嬉しい。

 そんな内心に気づかれたくなくて、僕は彼から顔を背けるけど、そんな仕草はすぐにヴァソレリューズ様にバレてしまい、彼は僕を抱き寄せる。

「わっ…………!!」
「……今、俺から逃げようとした?」
「そんな……だって…………か、顔を合わせていたら、その……き、緊張するので…………」
「ふーーん…………だったら緊張、解してあげる」

 そう言って、ヴァソレリューズ様は僕の顔を上げると、強くキスしてくる。僕も、つい身を任せてしまいそうになるけど……まだ魔法の道具の修復の途中だ。

「ヴァソレリューズ様っ……あ、あのっ……ダメですっ……魔法の道具の修復が先です!」
「え……? だめ?」
「ダメですっ……!! ま、まだ途中だし……」
「じゃあ、俺も手伝う。終わったらご褒美あげるね?」
「……」

 そんなことを言われると、急に恥ずかしくなってくる。昨日だって、終わったご褒美って言って、いっぱいキスされたんだから。

 僕が頷くと、彼は「じゃあ、早く終わらせちゃおう」と言って、先に作業を始めてしまう。
 こんな風に困ったところもあるけど、こうして暮らせていることが嬉しい。今日は捗りそうだ。僕もすぐに、彼の隣に腰を下ろして、作業に取り掛かった。


*いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに暮らしたいです!*完
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