僕を振った奴がストーカー気味に口説いてきて面倒臭いので早く追い返したい。執着されても城に戻りたくなんてないんです!

迷路を跳ぶ狐

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40.必要なかったみたいだ

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 報告書の準備ならよくしていた。今でも、砦の状況を報告するために、よく書類の準備はしている。

 食事までの間に、少しくらいは進められそうだ……

 そう思いながら、宰相様と道具の確認を進めていると、管理について、宰相様はいくつか助言をしてくれた。さすが魔法の道具に精通した公爵家の方だ……僕の知らないこともたくさん知っている。

 僕もまだまだだなぁ……

 ここを守ってくれる人も増えて、今度、街の警備隊の方も、今回の捕縛についての報告に来てくれると話していた。僕の方から街に赴きますと言ったけれど、山の状況も見ておきたいらしい。保護された人にも一度山の中の逃亡の道に関して話を聞くらしいし、彼らをここに迎えることもあるだろう。

 今回は宰相様もいらしているし、これから人を迎えたり、魔法の道具や装備を保管することも増えそうだな……

 この砦も、初めて僕がここに来た時の、ほとんど廃墟の状態からは少し良くなったけど……まだまだ足りないこともある。壊れたまま放り出されている魔法の道具も武器も多い。山の美味しいものだって保管しておきたいし……

 これから、もっとこの砦を良くしていきたい。せっかく砦を管理するように言いつけられているんだから。

 そんなことを考えながら棚を見上げていたら、一つの魔法の道具が目にとまった。結界を張るための魔法の道具だ。結界も強化したい……

 この山は魔物もだいぶ少なくなったし、美味しいものもたくさんある、いい場所だと思う。二度と、ここで傷つく人がいないように、これからも街の警備隊とも協力できたらいい。

 そのためにも……町までの外出許可を取りたい。王城に申請をしてみるか……
 これまで、突っぱねられるのが怖かったし、また「幽閉されている分際で図々しい!」って言われるのが嫌だったから、してこなかったけど……

 報告書の準備を進めるうちに、すっかりこれからの砦のことばかり考えしまっていた。そんな状態で魔法の道具を棚に戻そうとしたら、そばにあった道具にぶつけて落としてしまいそうになる。

 わあぁあああっ!! 落ちる!

 あれ、ガラスでできて割れやすいのに!!

 慌てて魔法で受け止めて、なんとか落とさずに済んだ。だけど僕が受け止めたのと同時に、床からふわっと魔法の光と共に風が湧き上がる。

 え……!?? なに!??

 誰かが、魔法で僕の落としそうになったものを受け止めようとしてくれたらしい。

 振り向けば、離れたところで魔法の道具の確認をしていた宰相様が駆け寄ってくる。

「フィルロファルっ……!」
「あ……宰相様…………」

 そうか……宰相様が、僕が魔法の道具を落としそうになったことに気づいて、それを魔法で受け止めようとしてくれたんだ。

 …………だけど、よく気づいたな……

 僕と宰相様、部屋の端から端くらいに距離があったし、この部屋、魔法の道具の保管に使われている倉庫みたいな部屋だけど、かなり広いのに。

 さすが、魔法に精通した公爵家の方ともなると、注意力が違う。僕も、魔法の道具が並んだ棚の前で考え事をするのはやめよう……

「ありがとうございます。宰相様」
「……いや…………俺の助けなんて、必要なかったみたいだね……」
「そんなことありません! 全部大事なものですから!」
「フィルロファル……」
「道具は全部無事です!!」
「……」
「申し訳ございません……僕……ちょっとぼんやりしてて……気をつけます……」
「…………」

 受け止められたから良かったものの、落として壊していたら、また修復しなくてはならなくなるところだった。今日は他にすることもあるし、道具の管理は慎重にしないと!

「あっ……! あのっ……!! 宰相様!! これ……」

 僕は、宰相様から預かっていた装備を差し出した。破れたローブ以外にも、魔法で補修した方が良さそうなものを預かって、修復の魔法をかけておいたんだ。

「魔法で直してみたので、ご確認をお願いします。僕の力で、どこまで修復できたか分かりませんが……魔物と戦う分には十分だと思います」

 渡したものを確認した宰相様は、深く頷いてくれた。

「ありがとう……ずいぶん早かったね……王都へ戻っても、これだけ早くは仕上がらないのに……」
「そ、そうですか??」
「うん………………王都に帰る時に……使えそうだ……」
「お役に立てて、良かったです!! すみません……わざわざここまで来ていただいて……」
「……………………」

 修復ならたくさんしてたからな……武器や防具だって、いくつか修復していたし、役に立てて良かった。これで、ここに来るまでに傷んでしまった宰相様の装備も返すことができた。

 こんなことがないように、魔物や残党が現れても、僕がここを守れるようになりたいな……

 そんなことを考えて顔を背けていたら、宰相様がすぐそばで僕を呼んだ。

「フィルロファル…………」
「は、はい! え……」

 ……なんだか、切羽詰まったような顔をしているような気がしたけど……

 だけど、宰相様はいつもと変わらず、優しげな表情をしているし……気のせいかな……

「……助かったよ。これで……王都にも……安全に帰れる………………」
「は、はい……よかったです……」
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