41 / 41
41.二度とこんなことがないように
しおりを挟む
宰相様は、周りにある道具の方に向き直る。
「……この砦にあるものは、ほとんど壊れたものばかりだったはずだ。全部……君が修復したんだろ?」
「……はい……防具も武器も、魔法の道具だって…………ここには、いいものがたくさんありましたから……」
「…………ごめん……」
「え…………?」
「君が、幽閉されたこの砦でどんな状況下に置かれているのか……もっと……知ろうとするべきだった…………王都を君が発ってから、俺は、幽閉された君にできるだけのことをしたつもりになっていただけだったみたいだ」
「……あっ…………それはっ………………! や、やめてくださいっっ……!」
宰相様が幽閉された僕に送ったものは、一つも僕に届いてない。この砦に来た奴らに奪われてしまったんだ。
宰相様は、そのことを気にしていらっしゃるんだ……
だけどそれは、僕の監視をするなんて言ってこの砦に入り込んで、横から勝手に奪って行った奴らのせいだ。
宰相様だって……公爵家だって、被害に遭っていたんじゃないか。
「やめてくださいっ……! 宰相様がそのようなことをおっしゃる必要なんてありません!!」
「……フィルロファル……」
「あ、あのっ……!! 宰相様たちが奪われたものは、もう……すべて帰って来たのですか?」
「…………ああ……そうだな。だいたい帰ってきたよ。図々しい奴らだ……君に渡るはずのものは、ほとんど奪われていたんだから…………それどころか、ここ以外にも、あの街のような場所にいくつも拠点を作って、複数の貴族相手に、似たようなことをしていたらしい。ここにいたのは、横領グループの、ほんの一部だ。王都にあった拠点も、少し前に俺が潰した」
「…………存じ上げております。あっ……あのっ……!」
「……? なに?」
「この砦からなくなったものは……ロステウィス様の一族が、僕に送ってくださったもの……なのですよね?」
「……ああ」
「公爵家が、僕にそんなことをしてくださっているなんて、知りませんでした……せっかく僕に渡してくれたのに……僕には受け取ることができなくて………………本当に、ごめんなさい……」
「……フィルロファル……? 君が謝るようなことじゃない……奴らは幽閉された君が枷で拘束されて抵抗できないことを分かった上で、邪魔になれば君を殺してしまおうとしていたんだ。王都には事故死だと言うつもりだったらしい。それなのに、君が俺に詫びるのは、どう考えてもおかしいだろう」
「…………それでも、僕は………………」
話している間に、ゾワゾワと怒りや悔しさが湧いてくる。
ここにいて、僕を砦の端に追いやり、僕の顔を見るなり殴って虐げていた奴らは、僕を利用して、公爵家から魔法の道具を奪っていたんだ。
「公爵家の方がしてくださったこと……本当に、感謝しています。横領事件の解決には、僕も全力で協力します。僕からも、公爵家からも……奪うだけ奪って逃げるなんて………………そんなこと、絶対に許せません」
「…………フィルロファル……」
「だから…………」
僕は、顔を上げ、目の前の宰相様と顔を合わせた。
彼らが僕のためにしてくれたことが、一部の貴族の私利私欲のために利用された。僕の存在は完全に足蹴にされて、公爵家から奪うために利用されていたんだ。
憤らずにはいられなかった。
「二度と……あんなことがないようにっ……! もう二度と、ここが利用されることなんてないように……こ、ここは、僕に任せてくださいませんか!?」
「え…………?」
宰相様が驚いて、目を丸くしている。
それでも、僕は続けた。
「ここは、僕の砦です……ですから、宰相様……僕にここを守ること……砦の主としての任務を任せていただきたいのです! 僕では力不足だと思われるかもしれません……だけど僕だって、ここを守りたいと思っているんです。そのための用意だって、ずっと……続けているんです!」
「…………フィルロファル……」
「もちろん、僕はまだ、幽閉されている身です。ここの主にしろとは申し上げているわけではありません。ただ、僕に……ここの平穏を守ることを任せていただきたいのです!」
「……この砦にあるものは、ほとんど壊れたものばかりだったはずだ。全部……君が修復したんだろ?」
「……はい……防具も武器も、魔法の道具だって…………ここには、いいものがたくさんありましたから……」
「…………ごめん……」
「え…………?」
「君が、幽閉されたこの砦でどんな状況下に置かれているのか……もっと……知ろうとするべきだった…………王都を君が発ってから、俺は、幽閉された君にできるだけのことをしたつもりになっていただけだったみたいだ」
「……あっ…………それはっ………………! や、やめてくださいっっ……!」
宰相様が幽閉された僕に送ったものは、一つも僕に届いてない。この砦に来た奴らに奪われてしまったんだ。
宰相様は、そのことを気にしていらっしゃるんだ……
だけどそれは、僕の監視をするなんて言ってこの砦に入り込んで、横から勝手に奪って行った奴らのせいだ。
宰相様だって……公爵家だって、被害に遭っていたんじゃないか。
「やめてくださいっ……! 宰相様がそのようなことをおっしゃる必要なんてありません!!」
「……フィルロファル……」
「あ、あのっ……!! 宰相様たちが奪われたものは、もう……すべて帰って来たのですか?」
「…………ああ……そうだな。だいたい帰ってきたよ。図々しい奴らだ……君に渡るはずのものは、ほとんど奪われていたんだから…………それどころか、ここ以外にも、あの街のような場所にいくつも拠点を作って、複数の貴族相手に、似たようなことをしていたらしい。ここにいたのは、横領グループの、ほんの一部だ。王都にあった拠点も、少し前に俺が潰した」
「…………存じ上げております。あっ……あのっ……!」
「……? なに?」
「この砦からなくなったものは……ロステウィス様の一族が、僕に送ってくださったもの……なのですよね?」
「……ああ」
「公爵家が、僕にそんなことをしてくださっているなんて、知りませんでした……せっかく僕に渡してくれたのに……僕には受け取ることができなくて………………本当に、ごめんなさい……」
「……フィルロファル……? 君が謝るようなことじゃない……奴らは幽閉された君が枷で拘束されて抵抗できないことを分かった上で、邪魔になれば君を殺してしまおうとしていたんだ。王都には事故死だと言うつもりだったらしい。それなのに、君が俺に詫びるのは、どう考えてもおかしいだろう」
「…………それでも、僕は………………」
話している間に、ゾワゾワと怒りや悔しさが湧いてくる。
ここにいて、僕を砦の端に追いやり、僕の顔を見るなり殴って虐げていた奴らは、僕を利用して、公爵家から魔法の道具を奪っていたんだ。
「公爵家の方がしてくださったこと……本当に、感謝しています。横領事件の解決には、僕も全力で協力します。僕からも、公爵家からも……奪うだけ奪って逃げるなんて………………そんなこと、絶対に許せません」
「…………フィルロファル……」
「だから…………」
僕は、顔を上げ、目の前の宰相様と顔を合わせた。
彼らが僕のためにしてくれたことが、一部の貴族の私利私欲のために利用された。僕の存在は完全に足蹴にされて、公爵家から奪うために利用されていたんだ。
憤らずにはいられなかった。
「二度と……あんなことがないようにっ……! もう二度と、ここが利用されることなんてないように……こ、ここは、僕に任せてくださいませんか!?」
「え…………?」
宰相様が驚いて、目を丸くしている。
それでも、僕は続けた。
「ここは、僕の砦です……ですから、宰相様……僕にここを守ること……砦の主としての任務を任せていただきたいのです! 僕では力不足だと思われるかもしれません……だけど僕だって、ここを守りたいと思っているんです。そのための用意だって、ずっと……続けているんです!」
「…………フィルロファル……」
「もちろん、僕はまだ、幽閉されている身です。ここの主にしろとは申し上げているわけではありません。ただ、僕に……ここの平穏を守ることを任せていただきたいのです!」
173
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~
黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。
─── からの~数年後 ────
俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。
ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。
「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」
そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か?
まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。
この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。
多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。
普通は……。
異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。
勇者?そんな物ロベルトには関係無い。
魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。
とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。
はてさて一体どうなるの?
と、言う話。ここに開幕!
● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。
● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。
【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
運命よりも先に、愛してしまった
AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。
しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、
2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。
その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
一人、辺境の地に置いていかれたので、迎えが来るまで生き延びたいと思います
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
大きなスタンビートが来るため、領民全てを引き連れ避難する事になった。
しかし、着替えを手伝っていたメイドが別のメイドに駆り出された後、光を避けるためにクローゼットの奥に行き、朝早く起こされ、まだまだ眠かった僕はそのまま寝てしまった。用事を済ませたメイドが部屋に戻ってきた時、目に付く場所に僕が居なかったので先に行ったと思い、開けっ放しだったクローゼットを閉めて、メイドも急いで外へ向かった。
全員が揃ったと思った一行はそのまま領地を後にした。
クローゼットの中に幼い子供が一人、取り残されている事を知らないまま
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
お前が結婚した日、俺も結婚した。
jun
BL
十年付き合った慎吾に、「子供が出来た」と告げられた俺は、翌日同棲していたマンションを出た。
新しい引っ越し先を見つける為に入った不動産屋は、やたらとフレンドリー。
年下の直人、中学の同級生で妻となった志帆、そして別れた恋人の慎吾と妻の美咲、絡まりまくった糸を解すことは出来るのか。そして本田 蓮こと俺が最後に選んだのは・・・。
*現代日本のようでも架空の世界のお話しです。気になる箇所が多々あると思いますが、さら〜っと読んで頂けると有り難いです。
*初回2話、本編書き終わるまでは1日1話、10時投稿となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ご感想、ありがとうございます! 面白いと言っていただき、嬉しいです!(*≧∀≦*)
しばらく攻めは後悔が続きます(〃ω〃)この先も完結まで紆余曲折ある予定なので、楽しんでいただけると幸いです!(*≧∀≦*)
ご感想、ありがとうございます! 返信が遅れてしまい、大変申し訳ございません! m(_ _)mこちらでまとめて返信させていただきます!
すみません!! m(_ _)mこの作品は、宰相さまがずっとストーカー気味に迫ってくるけど全く受けがなびかないという状態が続き、少しずつ振り向いてもらう話になります! m(_ _)m受けはなかなか振り向かず、宰相としては話してくれますが、恋愛の相手としては見向きもしないので、死ぬほど頑張ってもらう予定です……(>_<)
タグ、いくつか追加しました! 後からすみません……読んでいただく方にとって、分かりにくい状態になっていたと気づきましたΣ(゚д゚lll)遅いですね……(>_<)しかも返信も遅れてしまい、申し訳ないですm(_ _)m感想を書いていただき、本当にありがとうございます!
一旦、タグとあらすじを見直してみます! いただいたご意見は、これから作品を投稿していく際の参考にさせていただきます! 貴重なご意見とご感想をいただき、心より感謝いたします!!m(_ _)m