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11.少しだけ、待っていて
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砦の周りには、いつも一人くらい見張りがいるはずなんだが、それがいない。代わりに、見慣れない男が立っていた。どうやら殿下の従者らしい。その人は、殿下に向かって頭を下げると、魔法で砦の扉を開いた。
「行こうか」
そう言って僕を招き入れる殿下と一緒に、僕は砦の中に入っていく。
中にまで、殿下の従者らしき人たちが並んでいた。そして誰もが、殿下と、それについて歩く僕に向かって頭を下げている。
何が起こるか分からなくて、警戒しながら歩く僕。その背後から、従者たちもついて来た。
これだけたくさん殿下の従者たちはいるのに、元々この砦にいた奴らが誰もいない。
どうしたんだ……?
あいつらみんな、どこに行ってしまったんだ?
今朝、僕がここに来た時とは、だいぶ様子が違う。砦の奴ら、僕のことをはみ出しものの魔法使いが来た、なんて言って、取り囲んでいたのに。
「……殿下」
呼び止めようとしたけど、既に遅い。
殿下が、奥にあった扉を開ける。その向こうは、地下に向かう階段だ。こんなところに、階段があったんだ。
知らなかった……
僕も、この砦にはよく来ていた。呼びつけられて結界の魔法の道具の管理を押し付けられるくらいで、できるだけ早く逃げるように帰っていたから、よく分からない。
暗い、地下に向かう階段を降りる。すると、そこには大きな扉があって、殿下が魔法で鍵を開けてくれた。
そこは、広い部屋だった。一応テーブルと椅子はあるけど、それだけだ。
殿下は、僕に振り向いて言った。
「少し、ここで待っていてもらえるかな?」
「ここで……? こんなところに僕を連れてきて、どういうつもりですか……ああ、あれですか? 逃さないようにここに繋いでおこうとか……そういう…………」
そう言うつもりで来たのか!!?? 僕をここに繋ぐために!!??
しまったっっ……!!
なんで何も考えずにこんなところについてきているんだ!! 僕の馬鹿!! 罪人の僕をここにつないでおく気かもしれないのに……
くそっ……つい、気づいたら無防備になっていた!
「僕を嵌めたな!?」
「え? 何のこと?」
どうやら、殿下は一方的に僕を疑っているわけではなさそう。すぐに僕を王都に連れて行って断罪して処刑……とは、考えていないんだろう。
だったら僕のことを全面的に信じているかって言ったら、そんな訳ない……
僕をここに連れてきたのは、手始めに、この砦で何があったのか聞くためだ。その間、僕を逃さないようにするために、ここに連れてきたんだ!! 地下に閉じ込めて逃げられないようにして、その間に砦の貴族たちにも、話を聞くんだろう。
……でも……
僕と砦の貴族たちとじゃ、どう考えても砦の貴族たちの方を信じる。だって向こうは地位も名誉もあって、口裏合わせも得意技。僕が太刀打ちできる相手じゃない。殿下だって、立場的に、ここの貴族を蔑ろには扱えないはずだ。
僕に手を出した奴らを断罪って言ってたけど、じゃあ、無条件に僕の言ったことを全面的に信じたかと言えば…………
そんなはず絶対にない!!
殿下が僕を疑えば、断罪されるのは僕の方……
なんだかんだ言って、殿下は王家だ。殿下が言ってくれたこと……本当は嬉しかったけど、そんなことできるはずない。
「あ、あのっ…………!」
裏返った声で呼び止めると、彼は驚いたような顔をする。
「どうしたの?」
「…………僕……で、出直そうかと思うんです! 僕はまだ、殿下を信じさせるだけのものを持っていないというか……」
「大丈夫だよ」
「…………何が…………?」
「だって俺、最初からずっと、ダスフィレトのこと、信じてるから」
「行こうか」
そう言って僕を招き入れる殿下と一緒に、僕は砦の中に入っていく。
中にまで、殿下の従者らしき人たちが並んでいた。そして誰もが、殿下と、それについて歩く僕に向かって頭を下げている。
何が起こるか分からなくて、警戒しながら歩く僕。その背後から、従者たちもついて来た。
これだけたくさん殿下の従者たちはいるのに、元々この砦にいた奴らが誰もいない。
どうしたんだ……?
あいつらみんな、どこに行ってしまったんだ?
今朝、僕がここに来た時とは、だいぶ様子が違う。砦の奴ら、僕のことをはみ出しものの魔法使いが来た、なんて言って、取り囲んでいたのに。
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暗い、地下に向かう階段を降りる。すると、そこには大きな扉があって、殿下が魔法で鍵を開けてくれた。
そこは、広い部屋だった。一応テーブルと椅子はあるけど、それだけだ。
殿下は、僕に振り向いて言った。
「少し、ここで待っていてもらえるかな?」
「ここで……? こんなところに僕を連れてきて、どういうつもりですか……ああ、あれですか? 逃さないようにここに繋いでおこうとか……そういう…………」
そう言うつもりで来たのか!!?? 僕をここに繋ぐために!!??
しまったっっ……!!
なんで何も考えずにこんなところについてきているんだ!! 僕の馬鹿!! 罪人の僕をここにつないでおく気かもしれないのに……
くそっ……つい、気づいたら無防備になっていた!
「僕を嵌めたな!?」
「え? 何のこと?」
どうやら、殿下は一方的に僕を疑っているわけではなさそう。すぐに僕を王都に連れて行って断罪して処刑……とは、考えていないんだろう。
だったら僕のことを全面的に信じているかって言ったら、そんな訳ない……
僕をここに連れてきたのは、手始めに、この砦で何があったのか聞くためだ。その間、僕を逃さないようにするために、ここに連れてきたんだ!! 地下に閉じ込めて逃げられないようにして、その間に砦の貴族たちにも、話を聞くんだろう。
……でも……
僕と砦の貴族たちとじゃ、どう考えても砦の貴族たちの方を信じる。だって向こうは地位も名誉もあって、口裏合わせも得意技。僕が太刀打ちできる相手じゃない。殿下だって、立場的に、ここの貴族を蔑ろには扱えないはずだ。
僕に手を出した奴らを断罪って言ってたけど、じゃあ、無条件に僕の言ったことを全面的に信じたかと言えば…………
そんなはず絶対にない!!
殿下が僕を疑えば、断罪されるのは僕の方……
なんだかんだ言って、殿下は王家だ。殿下が言ってくれたこと……本当は嬉しかったけど、そんなことできるはずない。
「あ、あのっ…………!」
裏返った声で呼び止めると、彼は驚いたような顔をする。
「どうしたの?」
「…………僕……で、出直そうかと思うんです! 僕はまだ、殿下を信じさせるだけのものを持っていないというか……」
「大丈夫だよ」
「…………何が…………?」
「だって俺、最初からずっと、ダスフィレトのこと、信じてるから」
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