5 / 181
1. 出会い
どうしてこんなことに
しおりを挟む
どうしてこんなことになっているんだろう?
魔法競技場の観客席に腰掛けながら、私は現状を再確認する。
私は昨日、ユートを連れて無事に学院に帰還した。それでユートとの縁は切れ、二度と会うこともないと思っていたのに。
「どうしてユートが、編入試験なんか受けているのかしら?」
大きな楕円形の形をしている魔法競技場、その中心にいるのは、間違いなくユートだ。私が高等部に上がってから一か月、こんな時期に編入試験をするなんてどういうことかと思ってきてみたら、まさかの再会を果たしてしまった。向こうはこちらに気づいてはいないだろうが。
時期外れの編入希望者には、他の生徒も注目を集めているようだった。今日の授業は全て終わっており、生徒たちは寮に帰って自由に過ごしても構わない。にも関わらず、かなりの数の生徒が観客席に座っていた。中には上級生の姿もある。
編入試験ではよくある光景だ。生徒同士で競い合ったり、チームを組んで行動することの多いこの学院では、生徒になる可能性のある編入生の実力をあらかじめ知っておくことはかなり重要になる。
特に、この時期になってもチームメンバーが揃っていない生徒にとっては、今回の編入試験は渡りに船だろう。実力のある生徒はほとんどチームを組んでしまっている中、グリマール魔法学院に編入しようとする程度には実力に自信がある者がやってきたのだから。
……まあ、そんな生徒はほとんどいないでしょうけれど。
本来なら放課後に魔法の練習用に開放されている魔法競技場が使えなくなっているのだから、時間が空いてしまったという生徒が大半だろう。実力を見に来たにしても、警戒する気持ちは薄いはずだ。
何しろほとんどの生徒は、中等部からグリマール魔法学院に在学している実力者なのだ。そんな彼らが警戒に値するほどの人材がそう易々と見つかることなんてない。だから時期外れの編入試験を見るのも、少し興味が湧いた、程度の理由のはずだ。そしてそんな興味も、すぐに薄れるのは目に見えていた。
思考が逸れた。私は改めてユートを見る。
多分、学院長先生は最初からユートを編入させるつもりだったのだろう。あの手紙の内容は知らないけれど、その手紙を受けたビャクヤさんがユートをここに送って、そしてこの状況だ。多かれ少なかれ何かしら関係しているに違いない。
けれどまさか、ユートに編入試験を受けさせるだなんて、一体どんな思惑があるんだろう?
「ユートが試験に受かるはずないのに」
◇ ◇ ◇
どうしてこんなことになっているんだろう?
だだっ広い空間、その真ん中に試験官と二人でいる現状を再考察する。
昨日、シルファに連れられて学院に辿り着いた俺は、ここの学院長先生に、確かに手紙を届けることができた。『旅行』がそれで終わりだなんて甘いことをあのじいさんがするはずもないので、手紙を渡し終えた俺は早々に帰路についての心配をしていた。
他人を巻き込むことを嫌うじいさんの性格からして、あの猪魔物は明らかにじいさんの仕業じゃなかったしな。となるとやっぱり、帰りに何かを仕掛けてくるはずだ。
そんなことを考えていた俺に、学院長先生はじいさんからの手紙を俺に読むよう勧めてきた。どうやら何枚かに分けて書かれたじいさんの手紙には、俺に読ませるためのものもあったらしい。
俺は心構えをしつつ、その手紙に目を通した。
『ユートよ、グリマール魔法学院に入学するのじゃ。ちなみにお主がこれを読んでいる頃には、わしはもうあの山を下りておるのでな。帰ってきても誰もおらぬからそのつもりで』
「…………え?」
最初はそこに書かれた内容が分からなかった。二度三度と読み直し、補足や隠された暗号がないことまで確認して、ようやくじいさんからの指示を理解した。
「いや無理だろ!」
そしてそこが学院長室であり目の前に学院長先生がいるにも関わらず、思わず叫んでしまった。
今の俺の実力で、シルファ曰く国内最高峰の魔法学院の一つに入学できるわけがない。そして帰っても稽古をつけてくれるじいさんはいないという。完全に厄介払い、もしくは夜逃げだ。ちなみに、の先の内容の方がよっぽど本題じゃないか。
じいさんは何を考えてるんだ? いつまで経っても成長しない俺に、ついに見切りをつけたのか?
「ユートくん、落ち着いてください」
頭を抱える俺に柔和な笑みを向ける老年の女性は、ここの学院長先生だ。物腰の軟らかい穏やかそうな人だけど、ピンと伸びた背筋や全くブレない体幹はまるで年齢を感じさせない。大きくはなくともはっきりと耳に届くその言葉からもただものじゃない雰囲気が伝わってきて、ついこちらも身構えてしまう。
「す、すみません。その、あまりに荒唐無稽な内容だったので」
「ふふ、そんなことはありませんよ。あなたのことはこの手紙から伺っています。随分と個性的な魔法を使うようですね?」
「まあ、個性的と言えば、そうかもしれませんが」
実際は小さな魔術式でどうにかするための小細工だ。魔術式が大きくならない以上、楕円形にしたところでたかが知れている。発現までの早さには自信はあるけれど、できることは多くない。魔法だけでなく自分の体も併せて使うことで、どうにか魔物相手にも立ち回れるのが現状なんだ。
そんな状態で、あの巨大な猪魔物を倒して見せたシルファや、他のこの学院の生徒たちと肩を並べられるだなんて、到底思えなかった。
「謙遜する必要はありませんよ。荷物の中に、魔物の体の一部が結晶化したものがあったでしょう? 随分と大きいようだけど」
「ああ、これは……」
慌てて背負った荷物から、猪魔物が残した牙を取り出す。あの後、シルファと話し合った結果、二本の牙を一本ずつ分けることとなった。魔物の落とす結晶は珍しく、高価な取引がされることもあるという。俺は二本ともシルファに譲る気でいたが、シルファは頑なにそれを拒んだのだった。
手紙を出す際にその一部を見られたのだろう。けれどそれだけで、どうして結晶だって分かったんだろう? 疑問を抱えながらも、この牙を手に入れるに至った経緯を説明する。
「あらあら、そんなことがあったのね」
「はい。この牙はシルファ、さんが倒した魔物が落としたものなので、俺の実力には関係ありません」
「けれど彼女が魔物を倒す前に、彼女を救ってくれたんでしょう? 大切な生徒を守ってくれて、本当にありがとうございます」
「いえ、そんな……」
深くお辞儀をされ、返答に困る。
「ユートくん、あなたは随分と自分を過小評価しているようだけど、ここの生徒の命を助けられるくらいの実力があるんです。もっと自信を持ってもいいと、私は思いますよ」
「そ、そうですかね?」
不思議なことに、この人にそう言われると、なんとなく自信を持ってもいい気がしてきた。じいさんからは今までに散々実力がないだの才能がないだのと言われ続けてきたけれど、もしかしたらそれはあの山の中でだけの話だったのかもしれない。思えばシルファだって、俺の魔法に驚いていた。
ここでなら、俺の実力もそこまで劣っているわけじゃないのか?
「私としては、是非ともユートくんに、グリマール魔法学院に入学して欲しいと思っているわ」
「入学、してもいいんですか?」
「勿論よ。ただその前に、改めてユートくんの実力を測るための試験をしなくちゃいけないけれどね。でもユートくんなら、きっといい成績を出せると思うわ」
「本当ですか?」
「ええ」
ゆっくりと、けれども力強く頷く学院長先生の姿に、俺は胸の内から沸々と自信が湧いてくるのを感じた。
「ユートくん、グリマール魔法学院の編入試験、受けてくれますか?」
「はい!」
学院長先生は俺の大きな返事に、嬉しそうに目を細めたのだった。
……あの時の俺は、少し冷静さを失っていたと思う。
「それではこれより、グリマール魔法学院、編入試験を始める」
試験官のそんな言葉で、俺は現実に引き戻された。
昨日胸に膨らんでいた希望も、今では随分としぼんでしまっている。学院長先生はああ言ってくれていたけれど、やっぱり今の俺は実力が足りないと思う。
おまけに試験用の装備だとかいう、脛まである金属製の履きなれない靴を履かされたんじゃ、ただでさえ足りない実力も十分には発揮できない。裸足が駄目なのはともかく、せめて俺が履いてきた靴で臨ませてほしかった。
とは言え、試験を受ける以外の選択肢がないのも事実だ。このまま帰ってもじいさんがいないというのなら、微かな希望に賭けるしかない。
そうとも、じいさんからは今までも無理難題を押し付けられてきたじゃないか。最初はいつも、そんなことできるわけないという気持ちが先行したけれど、やってみれば意外とどうにかなったものばかりだった。きっとこの試験も、じいさんなりに勝算があって俺を送り込んだに違いない。だったら俺は、俺にできることを精一杯するだけだ。
そう意気込むと、我ながら単純だと思うが、全身にやる気が漲ってくる気がした。よし、どんな試験でもかかってこい!
「まずは魔術式の大きさを測定します」
……まあそうなるよな。俺は無情な現実をどうにか受け止める心構えをしてから、魔術式を形成した。
魔法競技場の観客席に腰掛けながら、私は現状を再確認する。
私は昨日、ユートを連れて無事に学院に帰還した。それでユートとの縁は切れ、二度と会うこともないと思っていたのに。
「どうしてユートが、編入試験なんか受けているのかしら?」
大きな楕円形の形をしている魔法競技場、その中心にいるのは、間違いなくユートだ。私が高等部に上がってから一か月、こんな時期に編入試験をするなんてどういうことかと思ってきてみたら、まさかの再会を果たしてしまった。向こうはこちらに気づいてはいないだろうが。
時期外れの編入希望者には、他の生徒も注目を集めているようだった。今日の授業は全て終わっており、生徒たちは寮に帰って自由に過ごしても構わない。にも関わらず、かなりの数の生徒が観客席に座っていた。中には上級生の姿もある。
編入試験ではよくある光景だ。生徒同士で競い合ったり、チームを組んで行動することの多いこの学院では、生徒になる可能性のある編入生の実力をあらかじめ知っておくことはかなり重要になる。
特に、この時期になってもチームメンバーが揃っていない生徒にとっては、今回の編入試験は渡りに船だろう。実力のある生徒はほとんどチームを組んでしまっている中、グリマール魔法学院に編入しようとする程度には実力に自信がある者がやってきたのだから。
……まあ、そんな生徒はほとんどいないでしょうけれど。
本来なら放課後に魔法の練習用に開放されている魔法競技場が使えなくなっているのだから、時間が空いてしまったという生徒が大半だろう。実力を見に来たにしても、警戒する気持ちは薄いはずだ。
何しろほとんどの生徒は、中等部からグリマール魔法学院に在学している実力者なのだ。そんな彼らが警戒に値するほどの人材がそう易々と見つかることなんてない。だから時期外れの編入試験を見るのも、少し興味が湧いた、程度の理由のはずだ。そしてそんな興味も、すぐに薄れるのは目に見えていた。
思考が逸れた。私は改めてユートを見る。
多分、学院長先生は最初からユートを編入させるつもりだったのだろう。あの手紙の内容は知らないけれど、その手紙を受けたビャクヤさんがユートをここに送って、そしてこの状況だ。多かれ少なかれ何かしら関係しているに違いない。
けれどまさか、ユートに編入試験を受けさせるだなんて、一体どんな思惑があるんだろう?
「ユートが試験に受かるはずないのに」
◇ ◇ ◇
どうしてこんなことになっているんだろう?
だだっ広い空間、その真ん中に試験官と二人でいる現状を再考察する。
昨日、シルファに連れられて学院に辿り着いた俺は、ここの学院長先生に、確かに手紙を届けることができた。『旅行』がそれで終わりだなんて甘いことをあのじいさんがするはずもないので、手紙を渡し終えた俺は早々に帰路についての心配をしていた。
他人を巻き込むことを嫌うじいさんの性格からして、あの猪魔物は明らかにじいさんの仕業じゃなかったしな。となるとやっぱり、帰りに何かを仕掛けてくるはずだ。
そんなことを考えていた俺に、学院長先生はじいさんからの手紙を俺に読むよう勧めてきた。どうやら何枚かに分けて書かれたじいさんの手紙には、俺に読ませるためのものもあったらしい。
俺は心構えをしつつ、その手紙に目を通した。
『ユートよ、グリマール魔法学院に入学するのじゃ。ちなみにお主がこれを読んでいる頃には、わしはもうあの山を下りておるのでな。帰ってきても誰もおらぬからそのつもりで』
「…………え?」
最初はそこに書かれた内容が分からなかった。二度三度と読み直し、補足や隠された暗号がないことまで確認して、ようやくじいさんからの指示を理解した。
「いや無理だろ!」
そしてそこが学院長室であり目の前に学院長先生がいるにも関わらず、思わず叫んでしまった。
今の俺の実力で、シルファ曰く国内最高峰の魔法学院の一つに入学できるわけがない。そして帰っても稽古をつけてくれるじいさんはいないという。完全に厄介払い、もしくは夜逃げだ。ちなみに、の先の内容の方がよっぽど本題じゃないか。
じいさんは何を考えてるんだ? いつまで経っても成長しない俺に、ついに見切りをつけたのか?
「ユートくん、落ち着いてください」
頭を抱える俺に柔和な笑みを向ける老年の女性は、ここの学院長先生だ。物腰の軟らかい穏やかそうな人だけど、ピンと伸びた背筋や全くブレない体幹はまるで年齢を感じさせない。大きくはなくともはっきりと耳に届くその言葉からもただものじゃない雰囲気が伝わってきて、ついこちらも身構えてしまう。
「す、すみません。その、あまりに荒唐無稽な内容だったので」
「ふふ、そんなことはありませんよ。あなたのことはこの手紙から伺っています。随分と個性的な魔法を使うようですね?」
「まあ、個性的と言えば、そうかもしれませんが」
実際は小さな魔術式でどうにかするための小細工だ。魔術式が大きくならない以上、楕円形にしたところでたかが知れている。発現までの早さには自信はあるけれど、できることは多くない。魔法だけでなく自分の体も併せて使うことで、どうにか魔物相手にも立ち回れるのが現状なんだ。
そんな状態で、あの巨大な猪魔物を倒して見せたシルファや、他のこの学院の生徒たちと肩を並べられるだなんて、到底思えなかった。
「謙遜する必要はありませんよ。荷物の中に、魔物の体の一部が結晶化したものがあったでしょう? 随分と大きいようだけど」
「ああ、これは……」
慌てて背負った荷物から、猪魔物が残した牙を取り出す。あの後、シルファと話し合った結果、二本の牙を一本ずつ分けることとなった。魔物の落とす結晶は珍しく、高価な取引がされることもあるという。俺は二本ともシルファに譲る気でいたが、シルファは頑なにそれを拒んだのだった。
手紙を出す際にその一部を見られたのだろう。けれどそれだけで、どうして結晶だって分かったんだろう? 疑問を抱えながらも、この牙を手に入れるに至った経緯を説明する。
「あらあら、そんなことがあったのね」
「はい。この牙はシルファ、さんが倒した魔物が落としたものなので、俺の実力には関係ありません」
「けれど彼女が魔物を倒す前に、彼女を救ってくれたんでしょう? 大切な生徒を守ってくれて、本当にありがとうございます」
「いえ、そんな……」
深くお辞儀をされ、返答に困る。
「ユートくん、あなたは随分と自分を過小評価しているようだけど、ここの生徒の命を助けられるくらいの実力があるんです。もっと自信を持ってもいいと、私は思いますよ」
「そ、そうですかね?」
不思議なことに、この人にそう言われると、なんとなく自信を持ってもいい気がしてきた。じいさんからは今までに散々実力がないだの才能がないだのと言われ続けてきたけれど、もしかしたらそれはあの山の中でだけの話だったのかもしれない。思えばシルファだって、俺の魔法に驚いていた。
ここでなら、俺の実力もそこまで劣っているわけじゃないのか?
「私としては、是非ともユートくんに、グリマール魔法学院に入学して欲しいと思っているわ」
「入学、してもいいんですか?」
「勿論よ。ただその前に、改めてユートくんの実力を測るための試験をしなくちゃいけないけれどね。でもユートくんなら、きっといい成績を出せると思うわ」
「本当ですか?」
「ええ」
ゆっくりと、けれども力強く頷く学院長先生の姿に、俺は胸の内から沸々と自信が湧いてくるのを感じた。
「ユートくん、グリマール魔法学院の編入試験、受けてくれますか?」
「はい!」
学院長先生は俺の大きな返事に、嬉しそうに目を細めたのだった。
……あの時の俺は、少し冷静さを失っていたと思う。
「それではこれより、グリマール魔法学院、編入試験を始める」
試験官のそんな言葉で、俺は現実に引き戻された。
昨日胸に膨らんでいた希望も、今では随分としぼんでしまっている。学院長先生はああ言ってくれていたけれど、やっぱり今の俺は実力が足りないと思う。
おまけに試験用の装備だとかいう、脛まである金属製の履きなれない靴を履かされたんじゃ、ただでさえ足りない実力も十分には発揮できない。裸足が駄目なのはともかく、せめて俺が履いてきた靴で臨ませてほしかった。
とは言え、試験を受ける以外の選択肢がないのも事実だ。このまま帰ってもじいさんがいないというのなら、微かな希望に賭けるしかない。
そうとも、じいさんからは今までも無理難題を押し付けられてきたじゃないか。最初はいつも、そんなことできるわけないという気持ちが先行したけれど、やってみれば意外とどうにかなったものばかりだった。きっとこの試験も、じいさんなりに勝算があって俺を送り込んだに違いない。だったら俺は、俺にできることを精一杯するだけだ。
そう意気込むと、我ながら単純だと思うが、全身にやる気が漲ってくる気がした。よし、どんな試験でもかかってこい!
「まずは魔術式の大きさを測定します」
……まあそうなるよな。俺は無情な現実をどうにか受け止める心構えをしてから、魔術式を形成した。
0
あなたにおすすめの小説
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。
完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣
織部
ファンタジー
ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。
背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。
母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。
セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。
彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。
セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。
「セラ、ウミ」
「ええ、そうよ。海」
ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します!
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。
救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」
魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。
――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。
「ここ……どこ?」
現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。
救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。
「ほら、食え」
「……いいの?」
焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。
行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。
旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。
「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」
「ウチの子は天才か!?」
ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。
これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。
※若干の百合風味を含みます。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる