夢の中の雪

東赤月

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雪像

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「…………」
「…………」
 五度目にもなると、深谷さんも僕が戻ってきても何も言わなくなった。僕は今までと同じように、深谷さんの正面に座って回復を待つ。
 かまくら作りは今のところ順調に進んでいた。けれど素手で行っているせいで、どうしても作業が捗らない。そもそも正しいかまくらの作り方を知っているわけでもないので、作り方自体が非効率的かもしれない。
「……ユキはどうやってかまくらを作ったの?」
 今更ながら、深谷さんに尋ねてみた。
「……知らないわよ。いつの間にかできてたんだし」
「そっか。ありがとう」
 手掛かりはなしか。多分霊力とやらで作ったんだろうな。僕もここで動いているうちに使えるようになったりしないだろうか。
「……寒く、ないの?」
 不意に、深谷さんが小さな声で尋ねる。
「寒いよ」
「なら、どうしてそんなに何度も出られるのよ」
「寒いから」
「意味わかんない」
「説明したはずだけど」
 深谷さんの質問の意図が分からない。かまくらを作って、行動範囲を広げて、暖かい場所を探す。そう言ったじゃないか。
「そうじゃなくて! 外は寒いのに、どうして出れるのって聞いてるの!」
「どうしてって言われてもな……。確かに寒いけど、死ぬわけじゃないし」
「辛く、ないの? 何度も何度も寒い思いをして、休んだらまた外に出て」
「辛いことは辛いけどさ。ここから出るためなら、このくらい我慢できる」
「このくらいって……」
 話をしている間に回復してきた。この繰り返しに体が慣れてきたのか、回復が早くなっているような気がする。
「じゃあ、そういうことだから」
 そう深谷さんに断ってから、またかまくらの外に出る。瞬く間に吹雪が体温を奪っていく。けれどこれも、もう慣れてきた。
 僕は作りかけのかまくらがある場所に歩いていく。
「……?」
 吹雪でよく見えないけど、かまくらの近くに人影があった。ユキかもしれないと警戒するけど、人影が一つじゃないことに気が付く。
「あ」
 身を屈めて近づいていくうちに、人影の正体が判明した。
 それは、深谷さんに会うまでの道のりで目にした雪像たちだった。女の子をかたどった五体の雪像が、作りかけのかまくらに群がっている。
 何をしているんだろうと思ったら、そのうちの一体がおもむろに、かまくらの壁を蹴り始めた。それを合図に、他の雪像もかまくらを壊すような動きを始める。
「ちょ、ちょっと、やめてよ!」
 吹雪でかき消されないよう、叫びながら近づくと、雪像が一斉にこちらを向いた。
「うっ」
 しまった、見つかった。僕が足を止めると、案の定雪像がこちらに向かって歩いてくる。のろのろと歩く姿は、さながらゾンビのようだった。
 捕まったらまずい。本能的にそう感じて、深谷さんのいるかまくらまで走って戻った。
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