転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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14:家案内三

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 アイスを食べ終えて頭が痛くならなかった様子のエイルさん。

「じゃあ次行きますよ」
「はい」

 続けて紹介するのは料理には欠かせない火を使う場所。

「これはIHコンロ。食材を加熱するためのものです」
「加熱? こ、これから火が出るのですか……?」
「火は出ません。電気が流れることで加熱されるようになっています」
「電気というのは……?」
「雷のことですね。電磁波とか雷を含んだものを電気といいます。まあ要するにこれは火を使わずに安全に加熱できるということです」
「す、すごいですね……!」

 そういう反応が見たかったんだよ。俺が説明したことはほぼ分かってもらっていないんだろうけど。

「でもこれは火が出ないですから直接加熱みたいなことはできません。専用の器具じゃなければ使えないところが欠点ですね」
「それでもすごいです」

 かなり目を輝かせているエイルさんがまた面白く思えてしまう。

「あとこれは電子レンジ。簡単に温めるためのものです」
「簡単に?」
「この中に温めたいものを入れて分数を指定すれば自動で温めてくれます」
「そ、そんなことが!?」
「でも本格的に温めたいのならコンロを使う方がいいですね。向き不向きというものがありますから」
「……すごいです。用途を細かく分けて使い分けるなんて……」

 現代人の俺にとっては当たり前でも異世界人のエイルさんにとってはそう見えるのか。

「あとで使い方は教えます。次はリビングに行きましょう」

 さて次なるものは大本命でどんな反応をするのか楽しみなものだ。

 リビングで説明するものはテレビくらいしかない。

 あぁ、そう言えばドライヤーとかもあった方がいいか。一応後で説明して使うかどうかはエイルさんの判断に任せよう。

 他はゲーム機ならあるけどそれはエイルさんの興味が向けばだな。家電ではなさそうだし。

 あー、前の世界で今話題のインディーゲームがやりてー。あれってネットでしか発売されていないから買えないんだよなー。

 それはさておきエイルさんの反応を楽しもう。

「リビングはこれです」
「これはいったい……?」
「これはテレビです」
「鏡、ではないのですね」
「違いますよ」

 まあ反射はしているからそういう風に見えなくもない。

「今からこのテレビを使ってみますね」

 俺はリモコンでテレビをつけた。

 すると今の時間帯では午後のドラマをやっていて、殺人事件が起こった現場で刑事たちが現場を見ている場面だった。

「ひ、人が倒れて!」

 それを見たエイルさんはテレビに手を向けて光を出した。

 淡い光で優しい光。たぶん聖女の力……聖女の魔法か。治癒魔法だな。こういう感じなのか。

 魔法を見るのが初めてだからもう少し見てみたいがさすがに止めなければいけない。

「エイルさん、これは劇です」
「げ、劇……し、しかし……これほど鮮明で……人が入っているとしか……」

 エイルさんは信じられない感じでテレビを見ていたからドラマは場面転換する。

「このテレビというものはテレビ局という発信源から送られてくる情報なんです」
「……ここに閉じ込められているわけではないんですよね?」
「そうですよ。壊しても意味ないですからね」

 そんなことはしないとは思うが一応言っておく。

 そしてエイルさんはテレビの裏を見るという感動する行動をとってくれた。

 もうこれはあれだな。テレビで猿や犬がどういう反応をするかみたいな企画を見ている感じで面白い。

 別にエイルさんをバカにしているわけではないからこう思っても大丈夫だろう。
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