転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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22:畑

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 エイルさんに具材を切ってもらう手伝いをしてもらった。

 エイルさんは包丁を持つのも初めてだから少したどたどしかったが俺がサポートすることで無事に乗り越えることができた。

「どうでしたか? 自分が作った料理は?」
「私は切ることしかしていませんけど……美味しかったです」

 手伝った料理を食べたことで少し嬉しそうな様子のエイルさん。

「あの、掃除も教えてください」
「そんなに一斉に覚えなくてもいいですよ。今日は料理を手伝ってくれたんですから、明日にしましょう」

 ここはスローライフをするところだ。

 俺ができるし何ならこの箱庭では俺の意思一つで何でもすることができるのだからゆったりとしていればいい。

「ですが……申し訳ないです」
「一つずつ覚えていけばいいですよ。今のエイルさんにはゆったりとまったりとするということが大切ですから」
「ゆったり……そんなことをしてもいいのでしょうか?」
「いいんですよ。今までは頑張りすぎていたんですから今は休む時です。体を鍛える時でも休ませる時間が必要なんですから休むのは重要ですよ」
「……はい、分かりました。ではお言葉に甘えさせてください」

 説得することができてよかった。

 まあ聖女に戻るとしたらスローライフから抜け出せるのかは分からないんだよな。いやエイルさんなら何とかできると思うから大丈夫か。

「好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時にテレビを見ればいいです」
「そ、そのような自堕落なことはできません!」

 さすがに流れでだらけさせることは無理だったか。

「まぁ今日は好きにしてください。テレビを見ていても構いませんよ」

 それを言われたエイルさんはテレビの方に目が吸い寄せられていて分かりやすくて笑みを浮かべてしまう。

「エイルさんはもう少し欲望に忠実になってもいいと思いますよ。今まで聖女として頑張っていた分、これくらいしても神様は許してくれますよ」
「……神が」
「はい、神が。まあそれでも何か働きたいと言うのなら作物を育てますか?」

 今できる異世界でも共通していることは農業くらいしかない。それをエイルさんがするかどうかは分からないけど。

「はい! やりたいです!」

 この感じはやりたかったと思っていたのかな?

「それなら行きましょう。着替えを今から用意しますね」
「はい、ありがとうございます」

 俺はカッコをつけて指パッチンをしてエイルさんの近くに農作業にピッタリな麦わら帽子と服装とタオルが現れた。

「こ、こんなこともできるのですか?」
「ここは俺の世界ですよ。ですからこんなことは簡単にできます」
「……この世界で優斗様は本当に神様なのですね」
「この箱庭に関して言えばそうですね」

 何でもできるが今は言わないでおく。

「着替えてきます!」

 エイルさんは早足で二階にある自室へと向かった。

 俺も動きやすい格好に着替え、エイルさん用に運動靴も用意しておく。

 少ししてエイルさんは二階から降りてくれば、やはり可愛いから何でも似合うなと思ってしまう。

「似合ってますよ」
「そ、そうでしょうか……?」

 もしかして男性からこう言われるのも初めてかもしれないな。

 ……はっ! こ、これは箱入り娘を口説いたら簡単にやれてしまう的な感じか!? そ、それならそれでかなり興奮してきたな。ネタができたな。

「はい、とても。それでは出ましょう」
「はい!」

 とは言えだ。

「昨日はあまり見ていませんでしたが……とても広大ですね」

 俺の家の周りにはかなりの畑が展開されている。

 スローライフと言えば田舎だから手当たり次第に作り上げた。

 ここは俺一人しかいないと思っていたから他に家を作る予定もなかったから見渡せば畑がある状態だ。

 ここに人が来ると分かっていればもう少しだけ手加減はしていた。

 ただまあ別にここは俺の思い通りになるチートな箱庭だ。見渡す限り畑でもすぐに家を建てることができる。

 でもなぁ、スローライフだからそこら辺の手間を楽しむということもあると思う。それに真面目なエイルさんだからそういう苦労を買ってでもしそうだ。

 ……エイルさんが知らないうちに遠くの方に資材用の森を用意しておくか。

「今空いている畑はあっちにありますけど、実っている作物もあります。どうしますか?」
「実っている作物を見てみたいです」
「それじゃあこっちですね」

 元の世界の作物でも口には合うようだが、異世界の作物は全く知らない。

 どういった品種になっているのかが少しだけ気になるところだ。

 俺が向かうところは俺が比較的に好きなトウモロコシ畑だ。

「あの、優斗様」
「はい」
「あれはどのような場所なのですか?」

 エイルさんが示したのはビニールハウスだった。

「あそこはビニールハウス。外と遮断して環境を操作することで別の季節でも作物を育てることができる場所です」
「そんなことが可能なのですか!?」
「入ってみますか?」
「はい!」

 本当にエイルさんは何にでも興味を持つな。それはとてもいいことだから責めはしない。

「うわぁ……少し涼しいですね」

 ビニールハウスに入ればひんやりとした空気が出迎えてくれる。

「ここはイチゴがあるビニールハウスです」
「これが、イチゴですか」

 真っ赤に実っているイチゴをじっと見るエイルさん。

「こういう作物は見たことがありますか?」
「いえ……見たことがありません」

 イチゴが異世界にない、という認識にはならない。

 エイルさんが箱入り娘だから知らない可能性や別の地域にある可能性だってある。

「食べますか?」
「よろしければ食べたいです」

 俺は元の世界では高級品に指定される大きく真っ赤なイチゴを一粒とってエイルさんに渡す。

 ついでに俺も隣にある同じようなイチゴをとる。

 エイルさんは俺の方を見ているから俺がへたをとれば同じようにへたをとった。

 なんだこの可愛い生き物は、と思いながらヘタがあった方から食べればエイルさんも同じようにヘタがあった方にかじりつく。

 俺がこうしているのは先端が甘くなっているからヘタの方から食べている。

「……甘くて、美味しいです」
「それはよかったです」

 俺は一粒食べ終え、エイルさんも味わうように一粒食べ終えた。

 するとエイルさんの顔が少しだけ物欲しそうな顔をしていることに驚いてしまった。

 まだ分かりにくいがそれでも昨日では考えられない感情を出しているエイルさん。

 何だろうか、もしかしたらこういう感情を押さえつけていたのかもしれないな。それが全く別の世界に来てタガが緩くなっているのかもしれない。

 それはそれでスローライフの素質ありということだ。

 俺はイチゴを二つほどとって一つをエイルさんに差し出せば少し顔を赤くしながらも手を差し出して受け取った。

 こういう甘味でも口に合うようでよかった。
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