転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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26:異変

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 エイルさんがこのチートな箱庭に来てから早ひと月が経った。

 エイルさんに元の世界のことを教えるのは一週間くらいで終わり、エイルさんが知りたいことはよりコアなものになった。

 だからエイルさんのために図書館を用意した。

 今のこの空間の中央は俺の実家。その隣には俺が住んでいたアパートがあり、その二つの建物の周りには畑が広がっている。

 ちなみに俺が住んでいたアパートは両親に頼んで荷物を回収、解約してもらった。他の異世界に送られた人たちの家族は帰りもしない人を待っているのかと思うと少し切なくなるが俺のせいではない。

 図書館の場所は家の隣に作った。畑があったがそこは横にずらして作ったというこの箱庭でなければできないことをした。

 下にあるショッピングモールに連れて行こうかと思ったがあそこには大衆向けの本しか売っていないから図書館にした。

 エイルさんは図書館から本を持ってきてはリビングで熱心に読むということが日課になっていた。

 俺はそんな楽しそうにしているエイルさんが夢中になれるように家事はやると言っているのだがエイルさんはそれを断固拒否して分担してやることになった。

 今は今日食べる作物を収穫してからフリーな時間ができたから俺とエイルさんはリビングでそれぞれがくつろいでいた。

 俺はノーパソを触り、その正面にエイルさんが図書館から持ってきた本を見ていた。

 今は医学の本を読んでいる様子だが、俺にはさっぱりと分からないからもう俺よりも知識があるな、エイルさんは。

 俺はと言えばノーパソでいつもみたいに配信や動画を見ているわけではなく、最近のマイブームであるアイテル聖王国の現状を見ていた。

 俺のノーパソを作り直してアイテル聖王国をどこからでも見れるようにした。

 監視カメラのようなものだがカメラがなくて、重要な会議な場所でもどこでも見ることができ、誰にも気づかれないというものだ。

 ハッキリ言えばアイテル聖王国を丸裸にしているようなものだ。

 どうしてこれを見ているのかと聞かれれば、最初は暇つぶし程度にアイテル聖王国の事情を知りたくて見てみることにした。

 パナケア様が言っていた他の神も加護を打ち切るという言葉が気になってどうなっているのかが知りたかった。

 それで見てみればまあかなりまずい状況になっていた。

 偽物の聖女が聖女の座に座ってからというもの、国内で起こる異変はなくなったものの魔族や魔物からの攻撃がひどくなっていた。

 しかも偽物の聖女の結界というものが脆いものであるから守ることができずにいた。ただその聖女は攻撃には強いらしく攻撃が最大の防御みたいな感じだった。

 だから加護を持つ者たちが戦い方を変えざるを得なかった。攻撃的にならなければいけなかった。

 そこで今の聖女はどうなのか的な不信感を抱かれている中、ついに加護が打ち切られるという事案が発生した。

 最初は何かの不具合かと言われていたが一人、二人と増えていった。

 今は魔族の加護持ちを撃破ではなく撃退させるのが手一杯の状態になっている。前までは欲張った魔族は確実に消せていた言い草だ。

 こうなった原因は誰か。間違いなく今の聖女になったからだと思う人が大多数になっていた。

 さらに言えばエイルさんを今更ながら探そうという動きがみられるが、もうエイルさんはその世界には存在しないから無意味な話だと鼻で笑ってしまった。

 ただなぁ、偽物の聖女は別に国を陥れようとしている感じはしない。それはその聖女を注目していれば分かる。

 しっかりとアイテル聖王国を守ろうとしているのは間違いなく聖女だ。だが聖女としての力量が全く伴っていないからこんな状況になっている。

 俺は当初こいつが魔女で、アイテル聖王国を落とそうと仕組んでいるのかと思った。でも彼女を見ている感じそういうのは感じられない。

 ……アイテル聖王国を落とそうとしている別の思惑がある? この偽物の聖女はそれに乗せられている?

 ま、俺がそれを知ったところでどうしようもない話だ。それにその思惑に気づかずエイルさんを追い出した国の奴らが悪い。

「あっ、お昼ですね。今日は私が作ります!」
「それならお願いします」
「任せてください!」

 それよりも今はエイルさんとの共同生活が楽しいからどうでもいい話だ。

 もしかしたらエイルさんが殺されかけた国に対してまだ助けたいという気持ちがあるのかもしれないが、俺は何も言わない。

 何が正解なのか分からないのだからせめて異世界のことは忘れてほしいと俺はエゴを出す。

 エイルさんは俺がプレゼントした可愛らしい動物が刺繍されたエプロンをつけてお昼ご飯を用意し始める。

 最近テレビで知ったお気に入りの曲を口ずさみながら料理をしている。

 ……何だろうか、この新妻感は。

 俺がエイルさんの彼氏や旦那さんなら後ろから抱きしめたいくらいには新妻感が爆発している。

 あれだな、要はエイルさんができるだけここにいるようにしているだけだ。エイルさんがここを出たいと言えば止めはしないけどそれまではどうにかしてエイルさんとの生活を楽しみたい。

「どうしましたか?」
「いや、可愛いなーって」
「か、かわ……!」

 エイルさんのこの初々しい反応も好きだ。

「ッ!?」

 エイルさんで楽しんでいたが、不意に箱庭の異変を感じ取った。
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