26 / 56
26:異変
しおりを挟む
エイルさんがこのチートな箱庭に来てから早ひと月が経った。
エイルさんに元の世界のことを教えるのは一週間くらいで終わり、エイルさんが知りたいことはよりコアなものになった。
だからエイルさんのために図書館を用意した。
今のこの空間の中央は俺の実家。その隣には俺が住んでいたアパートがあり、その二つの建物の周りには畑が広がっている。
ちなみに俺が住んでいたアパートは両親に頼んで荷物を回収、解約してもらった。他の異世界に送られた人たちの家族は帰りもしない人を待っているのかと思うと少し切なくなるが俺のせいではない。
図書館の場所は家の隣に作った。畑があったがそこは横にずらして作ったというこの箱庭でなければできないことをした。
下にあるショッピングモールに連れて行こうかと思ったがあそこには大衆向けの本しか売っていないから図書館にした。
エイルさんは図書館から本を持ってきてはリビングで熱心に読むということが日課になっていた。
俺はそんな楽しそうにしているエイルさんが夢中になれるように家事はやると言っているのだがエイルさんはそれを断固拒否して分担してやることになった。
今は今日食べる作物を収穫してからフリーな時間ができたから俺とエイルさんはリビングでそれぞれがくつろいでいた。
俺はノーパソを触り、その正面にエイルさんが図書館から持ってきた本を見ていた。
今は医学の本を読んでいる様子だが、俺にはさっぱりと分からないからもう俺よりも知識があるな、エイルさんは。
俺はと言えばノーパソでいつもみたいに配信や動画を見ているわけではなく、最近のマイブームであるアイテル聖王国の現状を見ていた。
俺のノーパソを作り直してアイテル聖王国をどこからでも見れるようにした。
監視カメラのようなものだがカメラがなくて、重要な会議な場所でもどこでも見ることができ、誰にも気づかれないというものだ。
ハッキリ言えばアイテル聖王国を丸裸にしているようなものだ。
どうしてこれを見ているのかと聞かれれば、最初は暇つぶし程度にアイテル聖王国の事情を知りたくて見てみることにした。
パナケア様が言っていた他の神も加護を打ち切るという言葉が気になってどうなっているのかが知りたかった。
それで見てみればまあかなりまずい状況になっていた。
偽物の聖女が聖女の座に座ってからというもの、国内で起こる異変はなくなったものの魔族や魔物からの攻撃がひどくなっていた。
しかも偽物の聖女の結界というものが脆いものであるから守ることができずにいた。ただその聖女は攻撃には強いらしく攻撃が最大の防御みたいな感じだった。
だから加護を持つ者たちが戦い方を変えざるを得なかった。攻撃的にならなければいけなかった。
そこで今の聖女はどうなのか的な不信感を抱かれている中、ついに加護が打ち切られるという事案が発生した。
最初は何かの不具合かと言われていたが一人、二人と増えていった。
今は魔族の加護持ちを撃破ではなく撃退させるのが手一杯の状態になっている。前までは欲張った魔族は確実に消せていた言い草だ。
こうなった原因は誰か。間違いなく今の聖女になったからだと思う人が大多数になっていた。
さらに言えばエイルさんを今更ながら探そうという動きがみられるが、もうエイルさんはその世界には存在しないから無意味な話だと鼻で笑ってしまった。
ただなぁ、偽物の聖女は別に国を陥れようとしている感じはしない。それはその聖女を注目していれば分かる。
しっかりとアイテル聖王国を守ろうとしているのは間違いなく聖女だ。だが聖女としての力量が全く伴っていないからこんな状況になっている。
俺は当初こいつが魔女で、アイテル聖王国を落とそうと仕組んでいるのかと思った。でも彼女を見ている感じそういうのは感じられない。
……アイテル聖王国を落とそうとしている別の思惑がある? この偽物の聖女はそれに乗せられている?
ま、俺がそれを知ったところでどうしようもない話だ。それにその思惑に気づかずエイルさんを追い出した国の奴らが悪い。
「あっ、お昼ですね。今日は私が作ります!」
「それならお願いします」
「任せてください!」
それよりも今はエイルさんとの共同生活が楽しいからどうでもいい話だ。
もしかしたらエイルさんが殺されかけた国に対してまだ助けたいという気持ちがあるのかもしれないが、俺は何も言わない。
何が正解なのか分からないのだからせめて異世界のことは忘れてほしいと俺はエゴを出す。
エイルさんは俺がプレゼントした可愛らしい動物が刺繍されたエプロンをつけてお昼ご飯を用意し始める。
最近テレビで知ったお気に入りの曲を口ずさみながら料理をしている。
……何だろうか、この新妻感は。
俺がエイルさんの彼氏や旦那さんなら後ろから抱きしめたいくらいには新妻感が爆発している。
あれだな、要はエイルさんができるだけここにいるようにしているだけだ。エイルさんがここを出たいと言えば止めはしないけどそれまではどうにかしてエイルさんとの生活を楽しみたい。
「どうしましたか?」
「いや、可愛いなーって」
「か、かわ……!」
エイルさんのこの初々しい反応も好きだ。
「ッ!?」
エイルさんで楽しんでいたが、不意に箱庭の異変を感じ取った。
エイルさんに元の世界のことを教えるのは一週間くらいで終わり、エイルさんが知りたいことはよりコアなものになった。
だからエイルさんのために図書館を用意した。
今のこの空間の中央は俺の実家。その隣には俺が住んでいたアパートがあり、その二つの建物の周りには畑が広がっている。
ちなみに俺が住んでいたアパートは両親に頼んで荷物を回収、解約してもらった。他の異世界に送られた人たちの家族は帰りもしない人を待っているのかと思うと少し切なくなるが俺のせいではない。
図書館の場所は家の隣に作った。畑があったがそこは横にずらして作ったというこの箱庭でなければできないことをした。
下にあるショッピングモールに連れて行こうかと思ったがあそこには大衆向けの本しか売っていないから図書館にした。
エイルさんは図書館から本を持ってきてはリビングで熱心に読むということが日課になっていた。
俺はそんな楽しそうにしているエイルさんが夢中になれるように家事はやると言っているのだがエイルさんはそれを断固拒否して分担してやることになった。
今は今日食べる作物を収穫してからフリーな時間ができたから俺とエイルさんはリビングでそれぞれがくつろいでいた。
俺はノーパソを触り、その正面にエイルさんが図書館から持ってきた本を見ていた。
今は医学の本を読んでいる様子だが、俺にはさっぱりと分からないからもう俺よりも知識があるな、エイルさんは。
俺はと言えばノーパソでいつもみたいに配信や動画を見ているわけではなく、最近のマイブームであるアイテル聖王国の現状を見ていた。
俺のノーパソを作り直してアイテル聖王国をどこからでも見れるようにした。
監視カメラのようなものだがカメラがなくて、重要な会議な場所でもどこでも見ることができ、誰にも気づかれないというものだ。
ハッキリ言えばアイテル聖王国を丸裸にしているようなものだ。
どうしてこれを見ているのかと聞かれれば、最初は暇つぶし程度にアイテル聖王国の事情を知りたくて見てみることにした。
パナケア様が言っていた他の神も加護を打ち切るという言葉が気になってどうなっているのかが知りたかった。
それで見てみればまあかなりまずい状況になっていた。
偽物の聖女が聖女の座に座ってからというもの、国内で起こる異変はなくなったものの魔族や魔物からの攻撃がひどくなっていた。
しかも偽物の聖女の結界というものが脆いものであるから守ることができずにいた。ただその聖女は攻撃には強いらしく攻撃が最大の防御みたいな感じだった。
だから加護を持つ者たちが戦い方を変えざるを得なかった。攻撃的にならなければいけなかった。
そこで今の聖女はどうなのか的な不信感を抱かれている中、ついに加護が打ち切られるという事案が発生した。
最初は何かの不具合かと言われていたが一人、二人と増えていった。
今は魔族の加護持ちを撃破ではなく撃退させるのが手一杯の状態になっている。前までは欲張った魔族は確実に消せていた言い草だ。
こうなった原因は誰か。間違いなく今の聖女になったからだと思う人が大多数になっていた。
さらに言えばエイルさんを今更ながら探そうという動きがみられるが、もうエイルさんはその世界には存在しないから無意味な話だと鼻で笑ってしまった。
ただなぁ、偽物の聖女は別に国を陥れようとしている感じはしない。それはその聖女を注目していれば分かる。
しっかりとアイテル聖王国を守ろうとしているのは間違いなく聖女だ。だが聖女としての力量が全く伴っていないからこんな状況になっている。
俺は当初こいつが魔女で、アイテル聖王国を落とそうと仕組んでいるのかと思った。でも彼女を見ている感じそういうのは感じられない。
……アイテル聖王国を落とそうとしている別の思惑がある? この偽物の聖女はそれに乗せられている?
ま、俺がそれを知ったところでどうしようもない話だ。それにその思惑に気づかずエイルさんを追い出した国の奴らが悪い。
「あっ、お昼ですね。今日は私が作ります!」
「それならお願いします」
「任せてください!」
それよりも今はエイルさんとの共同生活が楽しいからどうでもいい話だ。
もしかしたらエイルさんが殺されかけた国に対してまだ助けたいという気持ちがあるのかもしれないが、俺は何も言わない。
何が正解なのか分からないのだからせめて異世界のことは忘れてほしいと俺はエゴを出す。
エイルさんは俺がプレゼントした可愛らしい動物が刺繍されたエプロンをつけてお昼ご飯を用意し始める。
最近テレビで知ったお気に入りの曲を口ずさみながら料理をしている。
……何だろうか、この新妻感は。
俺がエイルさんの彼氏や旦那さんなら後ろから抱きしめたいくらいには新妻感が爆発している。
あれだな、要はエイルさんができるだけここにいるようにしているだけだ。エイルさんがここを出たいと言えば止めはしないけどそれまではどうにかしてエイルさんとの生活を楽しみたい。
「どうしましたか?」
「いや、可愛いなーって」
「か、かわ……!」
エイルさんのこの初々しい反応も好きだ。
「ッ!?」
エイルさんで楽しんでいたが、不意に箱庭の異変を感じ取った。
247
あなたにおすすめの小説
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~
Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。
三男。継承権は遠い。期待もされない。
——最高じゃないか。
「今度こそ、のんびり生きよう」
兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。
静かに暮らすつもりだった。
だが、彼には「構造把握」という能力があった。
物事の問題点が、図解のように見える力。
井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。
作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。
気づけば——領地が勝手に発展していた。
「俺ののんびりライフ、どこ行った……」
これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。
{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜
Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。
だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。
赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。
前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、
今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。
記憶を失ったふりをしながら、
静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。
しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。
――これは復讐でも、救済でもない。
自由を求めただけの少年が、
やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。
最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。
重複投稿作品です
小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
異世界のんびり放浪記
立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。
冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。
よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。
小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる