転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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42:新たな仕事

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 いよいよ寒くなり始めたころ、家には炬燵が出ていた。

 寒くならないようにはできるが、そこら辺は俺の好みだ。四季を感じられた方が違和感があって仕方がない。

 炬燵では俺とエイルとリリスが入っていた。

 いつものように俺はノーパソをいじり、エイルは勉強をしていた。

 残りの一人はゴロゴロとして炬燵を満喫していた。

「あー……炬燵ってヤバすぎー……」

 炬燵を出したその日からリリスは炬燵に顔だけ出して入っている。

 炬燵の魔力に飲まれることは分かり切っていたことだ。こうなるのは仕方がないことだ。しかもダメサキュバスだからな。

「ゆーとー、みかん食べさせてー」
「自分で起きて食べろ。のどに詰まらせるぞ」

 炬燵の上にはここでとれたミカンが置かれている。

 リリスにも炬燵とミカンの合わせ技が通じたらしいが、寝転がりながら食べたいと言い始める。

「むりー」

 ……とんでもない化け物を生み出してしまったかもしれない。

「時間ですね。外に行きましょう」
「そうだな」

 今日は朝からではなく十時から外に行くことになっている。

「リリスさん、行きますよ」

 エイルがそう問いかけてもリリスは一切反応しなかった。

 よく見れば目を閉じていた。

「おい、寝ているフリをするな。さっきまで話していただろうが」

 そう話しかけてもリリスは寝たふりをやめるつもりはないらしい。

「リリスさん、起きてください」

 エイルがそう優しく問いかけてもリリスは起きようとしなかった。

「分かりました。では優斗、二人で行きましょう」
「あぁ、分かった」

 寝たふりをするのはいいけどそうなればどうなるかは分かっているはずだ。

「今日のリリスさんはお酒はなしですね」

 まあそうなるよな。

「それから、冷蔵庫は聖女の魔法でロックしています。もちろんエレベーターにも聖女の魔法で入れないようにしています。リリスさんが隠し持っているお酒も回収しましたのでご心配なく」

 まじか、こいつお酒を隠し持っていたのか。

 どのタイミングでそんなことをしたのかは分からないから油断も隙もない。

 リリスを見ればすごく苦悶している様子だった。

 ここで起きてお酒アリにするか、寝たふりをしてお酒なしになるか。それを考えているのだろうな。

 ていうかエイルはしっかりとオカンをしているな。来たばかりの頃は箱入り娘だったが、まあ真面目というのもあっただろうしお世話することは嫌いではなかったのだろう。

「行きましょう、優斗」
「あぁ」

 エイルは俺と手をつないでリビングから出ようとする。

「おさけのみたぃ……」

 小さな声でリリスがそう訴えてきた。

「それなら手伝ってくれますか?」
「うー……」

 それで悩むということはリリスにとっては畑作業やらを手伝うのは好きではないらしい。というか前々から分かっていたことだ。

 それについてはエイルは分かっている。

「優斗がいた世界には働かざるもの食うべからずという言葉があります。お酒を飲むだけではいけません。何かしてください」

 エイルの問いかけにしばらく黙っていたリリスだが何かを思いついた様子だった。

「それなら、配信者になる」

 リリスの答えは俺すらも予想していなかったものだった。

「配信者、ですか」

 テレビくらいしか世間の情報を見ていないエイルだから配信者についてはあまり知らない。

 だがリリスはスマホをかなり気に入っているから配信者について知っている。

「そう。ゲームをしたり雑談をしたり、リアルタイムで視聴者とお話しする仕事」

 たぶんだが……リリスはそういう配信を見て楽そうだなと思ったんだろうなぁ。

 でも実際は人気が出なければ底辺のままだし……いやでも、リリスみたいな絶世の美女サキュバスだったら、ワンチャンありえるかもしれないか?

「ここでそのようなことが可能なのですか?」
「できるぞ。ここではなんでも出すことができるからな」
「気持ち悪い視線を向けられたり気持ち悪く話しかけられたりするのは無理だけど、画面越しで文字だけならいけると思う」
「それは大丈夫なのですか? 文字だけとは言え他の男性と関わり合いをもって」
「大丈夫だと思う。だって、あたしはサキュバスだ。チヤホヤされたいって感情はあるから」

 まあそこは薄々分かってはいた。

 エイルは俺に視線を向けてきた。

「やってみないことには分からない。だからやってみればいい。俺以外の男は絶対にここには来れないんだからそこは安心できるからな」
「……そうですね。それを仕事にするというのなら、私は止めません」
「じゃあ仕事をするということであたしは寝る。それからお酒も飲む。仕事はしっかりするから安心してねー」

 そう言ってまた寝転がるリリス。

「……大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃなくてもどうにかするさ。だからエイルは安心してくれ」
「はい、優斗がそう仰るのなら」

 まあ色々とルールを決めないといけないなー。
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