転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒

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53:説明

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「――そのようなことに、なっているのね」

 俺はひとまずアストレアに頼まれたこと、ここがどういう場所か、魔神病を治す術があることを簡単に説明した。

「はい。だからあなたの体力を回復させて起こしました」
「……この元気な体、久しぶりだわ」

 魔神病が消え、聖杯のおかげで体力がマックスになっていることをかみしめている様子のテミスさん。

「私はカノナス家の一人娘、テミス。この度は命を救っていただいてありがとうございます」

 ベッドから降りたテミスさんがそう言ってお辞儀をしてきた。

 エイルもそうだがかなり見惚れるレベルの作法だった。

「いえ、気にしないでください」
「そういうわけにはいかないわ。何かお礼をしないと気が済まないわ」
「そういうことは領地を救ってからにしましょう」

 エイルが助け舟を出してくれた。

「そうね。えっと……あなたたちの名前を聞かせてもらってもいいかしら」
「俺は優斗です」
「私はエイルと申します」
「優斗にエイルね。それと申し訳ないのだけれど服を用意してほしいわ」

 そう言えばかなりテミスさんの服はボロボロだった。

 今まで意識していなかったが胸やお尻が見えて破廉恥な状態になっている。

「す、すみません。今出します」

 俺はすぐにテミスさんのボロボロな服を綺麗にした状態の服をベッドの上に出した。

「俺は外に出ておきます。着替え終わったら下に来てください」
「どうやって出したのか気になるところだけど、分かったわ」

 俺とエイルは部屋から出てリビングに戻ってきた。

「んー?」

 リビングでスマホを見ていたリリスが俺の方を見て首を傾げ、俺の近くに来た。

 エイルから俺を離したリリスが俺に耳打ちをしてきた。

「あの女に欲情したでしょ」
「……な、何のことだ?」
「サキュバスのあたしにそれを隠そうとしてもむだむだー」

 くそ、サキュバスというのはとんでもない種族だな。最強なんじゃないのか?

 エイルにバレないようにリリスにそのことをいじられていればテミスさんが降りてきた。

 エイルがリビングの扉の前で待っていたことでテミスさんは迷うことなくリビングに来れた。

 黒のドレスを着たテミスさんはまごうことなき貴族だった。

「……不思議なものがたくさんあるわね」

 キョロキョロとして家具を見ていたテミスさんだがリリスに気が付いて目を見開いた。

「魔族!?」
「大丈夫です、テミスさん。ここにいるリリスは大丈夫な魔族ですから」
「そー。悪い魔族じゃないよー」

 ていうか魔族ってなるとそういう反応になるのか。人間と魔族はかなりの溝があるのだろうか。

 いや争っているって言っていたから魔族と分かったらそうなるか。

「……本当に大丈夫なの?」
「大丈夫です。リリスは国を追い出されたので国に所属しているわけでもないですから」
「そー。乗っ取られたー」
「私からも大丈夫だと伝えておきます。リリスさんはここではぐーたらしているサキュバスですから」
「……優斗とエイルがそう言うのなら信じるわ」
「ぐーたらってひどいなー」

 確かにもうぐーたらはしないか。いや配信以外の時間はぐーたらするだろうな。

「それで魔神病を治す術というのは何かしら?」
「これです」

 俺は滅却の神殿をテミスさんに見せる。

「これは神殿つきの領域を作り出す魔道具です。この領域の中では魔神病は存在することができず、魔神病を治す薬が出る魔道具が神殿の中に備え付けられています。これを領地に展開することで魔神病を消し去るというわけです」
「……にわかには信じられないわね。そんな夢のようなものがあるなんて」

 言われてみれば確かにそうだな。俺も突然そんなことを言われても少しの間、信じることはできないだろう。

「でも、魔神病が消えていて体が復活しているから、信じるしかないわね。というかそれを信じないとカノナス領地に未来はない。夢でなければ何でもいいわ」

 テミスさんの領地がどれくらいヤバイのかはまだ分からないがテミスさんの感じから察するに相当ヤバイのだろうな。

「今すぐにこれを持って帰りたいわ。使い方を教えてちょうだい」
「待ってください、まだ説明は終わっていません」

 俺はもう一つの滅却の神殿を取り出した。

「神殿つきの領域が狙われる可能性は大いにあると思います」
「……そうね。でも魔神病で死ぬよりかはマシよ」
「そうならないためにこっちの箱の領域にはルールがつけられています。崇拝対象を崇拝すればするほど力を得て、そうじゃなければ戦うことすらできないというルールが敷かれています」
「それはいいわね。でも崇拝対象は?」
「テミスさんをここに導いたアストレアにお願いしようと思ったんですけど、アストレアができるかどうか分からないみたいなので、その時はこっちでルールをゼロから作ることができます。そうすれば領域のために攻められることもなく、魔神病の薬を安全に売ることだってできます」
「……そこまで考えてくれているのね」
「乗りかかった船ですから」

 エイルにかっこいいところを見せたいし、俺の人生忙しいわけではないからな。

「それで、その二つをもらってもいいのかしら?」
「はい。ですがもしかしたら何か不備があるかもしれないので俺も行きます」

 その方がこの神殿を展開する説明をする必要もないからな。

「本気ですか? 優斗」
「なにがだ?」

 暗い顔をしたエイルにそんなことを問われた。

「魔神病がある場所に向かうのですよ? そこに向かうのは覚悟を決めないといけません」

 あぁ、そのことで心配してくれているのか。

「大丈夫だ。万全の準備をして行く。だからエイルはここで待っていてくれ」
「何を言っているのですか?」

 急にニコニコとしたエイルだが完全に怒っている。

「優斗が危険な場所に赴くのに私がいかないわけがありませんよ?」
「あぁ……そうだな」

 怒るという感情の出し方が苦手なんだろうな。だから笑いながら怒りを発露している。

「それならあたしも行くしかないかー」
「魔族だからここに残った方がいいだろ」
「そこはほら、優斗が何とかしてくれるでしょ?」
「はいはい、分かった」
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