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王立能力学園・工学部発明学科編
121 2つの受験(6)
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◇◇ 審判 エバル教授 ◇◇
デモンズの放った炎の魔術は【中位・魔術師】中レベルで、炎の属性持ちなら誰でも使える技だった。
この場に居る殆どの者は、そのことを知っている。
もしもサンタさんが、予想通りの無能で全敗していたら、子供相手に大人気ないと言われたかもしれない。
だが、自分が全敗しているのにコレ?
あれだけの大口と罵倒のあとでこの程度?って、魔術師協会の同僚たちは疑念を通り越し恥ずかしくなっているだろう。
魔術師協会幹部のレベルがコレ?って思われるのは、きっと心外だろう。
ある者は上司であるデモンズを軽蔑し、ある者は部下であるデモンズに対する怒りを必死に堪えている。
……どうせ最初から勝敗は分かっておった。大事なのは、これからサンタさんが使う技だ。いったいどんな素晴らしい技を見せてくれるか楽しみだ。
皆の視線がサンタさんに向けられ、誰も彼もどんな技が披露されるのかと、期待で瞳を輝かせている。
……あぁ良かった。こっそり見学に来ていて本当に良かった。
「エアーアタック」と言って、サンタさんは空中を歩き始めた。
始めはゆっくりと、そして次第に高さを上げ、デモンズが打ち上げた炎と同じ高さに到達すると、2メートルくらいの巨大な水の玉を作り「雨となり降り注げ!」と命じて、夏の太陽に照らされた皆の頭上に雨を降らせ虹を作った。
見たこともない技と美しい虹に、感動して言葉もでない。
かく言う私も同じだ。
エアーアタックは1度だけ見たことがあるが、あの高さまで登る魔術を、いや魔法を発動させながら、2つ目の魔法を同時に発動し、そしてその魔法を応用し雨を降らせた。
……信じられない。空中で留まれることも奇跡だが、同時にいくつもの魔法を発動させるなんてこと、魔術師では到底できないし、もう神の御業の域だ。
パチパチとエルドラ王子が拍手をし、それに気付いた者も拍手を始める。
その拍手は会場中に広がり、「ワーッ!」という歓声とともに空気を震わせた。
ゆっくりと下りてきたサンタさんに、私は堪らず握手を求め、アレス君は抱き付いていく。
「エバル教授、判定をお願いします」と、最後まで冷静なサンタさんの声に、当然私は10点の札を上げ、次いで【合格】と書かれた札を高く上げた。
「勝者サンタ! 全種目に勝利し、本日の【中位・魔術師】に合格したと宣言する。また、先程行われたアンタレス君も合格と判定し直し、大事な試験の審判が多大な迷惑を掛けたことを謝罪する」
私は大きな声で宣言し、2人の合格を祝して「おめでとう」と声を掛け拍手をした。
再び会場内に拍手が鳴り響き、エルドラ王子は満足そうに微笑んで、王宮騎士団を連れて退場していった。
皆は王子に向かって礼をとり、自国の王子に尊敬の眼差しを向ける。
対戦はサンタさんの圧勝で幕を閉じ、私は気分よく審判の札を返しに行く。
早く2人の合格証を発行してもらい、今日見たあの魔法を教えて貰おう。
無事にサンタさんが【中位・魔術師】に合格したから、明日から本格的に魔法が解禁されると思うと、ワクワクする気持ちが止まらない。
「有り得ない、有り得ない。違う、こんなこと許されるはずがない!」
頭を大きく振り体をゆらりと揺らしながら、敗者デモンズは叫んだ。
初めて目にしたサンタさんの素晴らしい魔法と、敬愛する王子に感動していた見学者たちは、すっかり忘れていたデモンズの叫びを聞き、眉を寄せ顔を歪めていく。
「いい加減にしろ!」
「もう負けを認めろ!」
「大人として恥ずかしくないのか!」
容赦ない声がデモンズに向って飛ぶ。
魔術師協会の職員や魔術師たちは、これ以上の恥は曝せないとデモンズに近付いていく。
「お前だけは、お前だけは許さない!」
狂気の表情で叫んだデモンズは、両手をサンタさんに向ける。
「危ないサンタさん!」と、アレス君の悲痛な叫び声がして、私は我が目を疑った。
なんと、信じられないことにデモンズは、無抵抗のサンタさんに向かって炎魔術の詠唱をしていたのだ。
「キャーッ!」とか「やめろー!」という声がする。
デモンズの攻撃を阻止するため、私は覚えたばかりの氷魔法を無我夢中で放つ。
魔術の詠唱なんかしていたら、サンタさんが大変なことになってしまう。
放った氷は、真っ直ぐデモンズに向かって飛び、数発がデモンズに命中した。
でも、でも、サンタさんに向けて放たれた炎には届かなかった。
ダメだ、間に合わない! 誰もが、最悪の事態を想像して目を瞑る。
「上昇トルネード」と、サンタさんの声が聞こえた気がする。
勇気を出して目を開けると、何事も無かったようにサンタさんが立っていて、両手を空に向けている。
ん? と空を見上げると、そこにはデモンズが放ったと思われる炎が渦を巻き、次第に小さくなりながら空高く昇っていくのが見えた。
「ウワーッ」と、再び大歓声が上がる。
皆は、良かった良かったと言いながら、無事に生きていたサンタさんを見て泣き出したり、隣の者と抱き合ってい喜んでいる。
視線をデモンズに向けると、私が放った氷は右肩と右足に命中しており、職員たちに取り押さえられていた。
サンタさんは死にそうな目に遭ったというのに、すたすたと歩いてデモンズの側まで行き、最後の止めを刺す。
「私ね、アナタの命令で攫われ倉庫に閉じ込められた時、高いお金を出して初めて買った大事なドレスを、その汚い足で踏みつけられ、足跡をつけられたのよね。
だから今日は、私が貴方の大事な魔術師の証であるローブを踏んであげるわ。
もう2度と着ることはないでしょうけど、これで誘拐の罪は許してあげるわ」
グリグリと嬉しそうにローブを踏んでいるサンタさんの姿に、正直ちょっと引い・・・いや、流石3倍返しを公言する魔法使いだと感心した。
魔力学会の時に攫われて殴られたと聞いていたが、コイツが犯人だったのか。
フン、もっと攻撃しておくべきだった。
厳正であるべき魔術師試験で起こった前代未聞の魔術対決と、魔術師協会の悪人を完膚なきまでに叩き潰した少女の話は、瞬く間に王立能力学園魔術師学部の学生たちに知れ渡った。
……あぁぁ、なんで魔術師学部に入学してくれないんだサンタさん。私に、もっと魔法を教えてくれー!
デモンズの放った炎の魔術は【中位・魔術師】中レベルで、炎の属性持ちなら誰でも使える技だった。
この場に居る殆どの者は、そのことを知っている。
もしもサンタさんが、予想通りの無能で全敗していたら、子供相手に大人気ないと言われたかもしれない。
だが、自分が全敗しているのにコレ?
あれだけの大口と罵倒のあとでこの程度?って、魔術師協会の同僚たちは疑念を通り越し恥ずかしくなっているだろう。
魔術師協会幹部のレベルがコレ?って思われるのは、きっと心外だろう。
ある者は上司であるデモンズを軽蔑し、ある者は部下であるデモンズに対する怒りを必死に堪えている。
……どうせ最初から勝敗は分かっておった。大事なのは、これからサンタさんが使う技だ。いったいどんな素晴らしい技を見せてくれるか楽しみだ。
皆の視線がサンタさんに向けられ、誰も彼もどんな技が披露されるのかと、期待で瞳を輝かせている。
……あぁ良かった。こっそり見学に来ていて本当に良かった。
「エアーアタック」と言って、サンタさんは空中を歩き始めた。
始めはゆっくりと、そして次第に高さを上げ、デモンズが打ち上げた炎と同じ高さに到達すると、2メートルくらいの巨大な水の玉を作り「雨となり降り注げ!」と命じて、夏の太陽に照らされた皆の頭上に雨を降らせ虹を作った。
見たこともない技と美しい虹に、感動して言葉もでない。
かく言う私も同じだ。
エアーアタックは1度だけ見たことがあるが、あの高さまで登る魔術を、いや魔法を発動させながら、2つ目の魔法を同時に発動し、そしてその魔法を応用し雨を降らせた。
……信じられない。空中で留まれることも奇跡だが、同時にいくつもの魔法を発動させるなんてこと、魔術師では到底できないし、もう神の御業の域だ。
パチパチとエルドラ王子が拍手をし、それに気付いた者も拍手を始める。
その拍手は会場中に広がり、「ワーッ!」という歓声とともに空気を震わせた。
ゆっくりと下りてきたサンタさんに、私は堪らず握手を求め、アレス君は抱き付いていく。
「エバル教授、判定をお願いします」と、最後まで冷静なサンタさんの声に、当然私は10点の札を上げ、次いで【合格】と書かれた札を高く上げた。
「勝者サンタ! 全種目に勝利し、本日の【中位・魔術師】に合格したと宣言する。また、先程行われたアンタレス君も合格と判定し直し、大事な試験の審判が多大な迷惑を掛けたことを謝罪する」
私は大きな声で宣言し、2人の合格を祝して「おめでとう」と声を掛け拍手をした。
再び会場内に拍手が鳴り響き、エルドラ王子は満足そうに微笑んで、王宮騎士団を連れて退場していった。
皆は王子に向かって礼をとり、自国の王子に尊敬の眼差しを向ける。
対戦はサンタさんの圧勝で幕を閉じ、私は気分よく審判の札を返しに行く。
早く2人の合格証を発行してもらい、今日見たあの魔法を教えて貰おう。
無事にサンタさんが【中位・魔術師】に合格したから、明日から本格的に魔法が解禁されると思うと、ワクワクする気持ちが止まらない。
「有り得ない、有り得ない。違う、こんなこと許されるはずがない!」
頭を大きく振り体をゆらりと揺らしながら、敗者デモンズは叫んだ。
初めて目にしたサンタさんの素晴らしい魔法と、敬愛する王子に感動していた見学者たちは、すっかり忘れていたデモンズの叫びを聞き、眉を寄せ顔を歪めていく。
「いい加減にしろ!」
「もう負けを認めろ!」
「大人として恥ずかしくないのか!」
容赦ない声がデモンズに向って飛ぶ。
魔術師協会の職員や魔術師たちは、これ以上の恥は曝せないとデモンズに近付いていく。
「お前だけは、お前だけは許さない!」
狂気の表情で叫んだデモンズは、両手をサンタさんに向ける。
「危ないサンタさん!」と、アレス君の悲痛な叫び声がして、私は我が目を疑った。
なんと、信じられないことにデモンズは、無抵抗のサンタさんに向かって炎魔術の詠唱をしていたのだ。
「キャーッ!」とか「やめろー!」という声がする。
デモンズの攻撃を阻止するため、私は覚えたばかりの氷魔法を無我夢中で放つ。
魔術の詠唱なんかしていたら、サンタさんが大変なことになってしまう。
放った氷は、真っ直ぐデモンズに向かって飛び、数発がデモンズに命中した。
でも、でも、サンタさんに向けて放たれた炎には届かなかった。
ダメだ、間に合わない! 誰もが、最悪の事態を想像して目を瞑る。
「上昇トルネード」と、サンタさんの声が聞こえた気がする。
勇気を出して目を開けると、何事も無かったようにサンタさんが立っていて、両手を空に向けている。
ん? と空を見上げると、そこにはデモンズが放ったと思われる炎が渦を巻き、次第に小さくなりながら空高く昇っていくのが見えた。
「ウワーッ」と、再び大歓声が上がる。
皆は、良かった良かったと言いながら、無事に生きていたサンタさんを見て泣き出したり、隣の者と抱き合ってい喜んでいる。
視線をデモンズに向けると、私が放った氷は右肩と右足に命中しており、職員たちに取り押さえられていた。
サンタさんは死にそうな目に遭ったというのに、すたすたと歩いてデモンズの側まで行き、最後の止めを刺す。
「私ね、アナタの命令で攫われ倉庫に閉じ込められた時、高いお金を出して初めて買った大事なドレスを、その汚い足で踏みつけられ、足跡をつけられたのよね。
だから今日は、私が貴方の大事な魔術師の証であるローブを踏んであげるわ。
もう2度と着ることはないでしょうけど、これで誘拐の罪は許してあげるわ」
グリグリと嬉しそうにローブを踏んでいるサンタさんの姿に、正直ちょっと引い・・・いや、流石3倍返しを公言する魔法使いだと感心した。
魔力学会の時に攫われて殴られたと聞いていたが、コイツが犯人だったのか。
フン、もっと攻撃しておくべきだった。
厳正であるべき魔術師試験で起こった前代未聞の魔術対決と、魔術師協会の悪人を完膚なきまでに叩き潰した少女の話は、瞬く間に王立能力学園魔術師学部の学生たちに知れ渡った。
……あぁぁ、なんで魔術師学部に入学してくれないんだサンタさん。私に、もっと魔法を教えてくれー!
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