三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん

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王立能力学園・講師、発明家編

140 サンタさん、イオナロードに苦戦する(2)

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 やって来ましたゲートルの町。
 キラキラの王宮の馬車は目立つ。馬だって普通の馬じゃないし、御者2人は王宮騎士団から選ばれた者で、きちんと制服を着ている。
 事前に領主にも代官にも知らせておいたらしく、ロルツラ侯爵や護衛がホッパー商会で待っていた。

「これじゃあ、王族が来ましたってバレバレだねアレス君」

「ゲートルの町はどちらかと言うと田舎だから、何事だって皆が集まっちゃうよねサンタさん。この町に悪人はほぼ居ないけど、ホッパー商会には護衛が居た方がいいと思うよ」

 どうやらロルツラ侯爵が護衛を用意してくれたみたいで、商会の前に3人、商会の周辺にも5人くらい警備隊の制服の人が居る。
 これから2週間、ホッパー商会の2階と3階の一部は貸し切り状態になる。
 みんなに迷惑掛けちゃうなぁ・・・ごめんね。

「僕だってさぁ、たまには王都の外に出てみたいんだよ!
 いつも4人一緒なのに、ゲートルの町に行く時は仲間外れじゃないか。
 今回頑張って魔法の訓練もするし、古代都市ロルツやトレジャーハンターの勉強だってする。
 夏季休暇までに下位・魔術師の資格を魔法で取って、僕もトレジャーハンターになる!」

 馬車を降りる直前、最近エアーシュートができるようになったエルドラ王子が、トレジャーハンターになる!宣言をする。

 ……ああ、セイエス先輩が微妙な顔で王子を見てる・・・気の毒。

 セイエス先輩は事務畑の側近じゃなくて完全に護衛だから、絶対に巻き込まれるパターンだ。
 気付いたら、このメンバーでパーティー組んでたりして・・・全員が魔法使いってあり? いや、王子はないない・・・ないよね?


 そして初日、イオナロード1.5キロ地点にあるセーフティルームで、何故か他の金級パーティーに絡まれた。
 絡んできたのは、ハッシュ辺境伯領のハンターで、国境がきな臭くなってきたので移動してきたらしい。
 トレジャーハンターにも、戦争の影響が出てるんだ・・・は~っ。

「なんだこのパーティーは、子供が2人も居るじゃないか。人手不足か? 人気がないにも程があるだろう。ガハハ。
 お嬢ちゃん、このロードは新人や鉄級は入れないんだぞ。しかもペット連れ?
 イオナロードは難易度が高いって聞いてきたのに、ガキやペットを連れていても大丈夫だとは、噂って大したことないな。フン!」

 うわ~、久し振りに見たわガラの悪いバカ。
 最速踏破者は、現在ゲートル最強の金級パーティーなんだけど、初めてイオナロードに挑戦するみたいだから知らないのかな? 
 それとも知ってて喧嘩売ってるのかな?
 まあリーダーもサブリーダーも完全無視だけど。

 ゲートルの町の他の金級パーティー【選ばれし勇者】や、銀級パーティーの半分は、先日の地上生物の侵入騒ぎで休業状態になっている。
 バカの相手をする暇はないけど、下位・魔術師のローブを着た魔術師も居るから、焼け焦げたり細切れじゃない、上質な素材を販売してくれるなら大歓迎よ。


 今日は2.5キロ地点を中心に活動し、二泊三日で私が作ったセイフティールームにお泊りする。
 残念ながら【聖なる地】は、調査目的以外では入れないから、王子と一緒の時は【聖なる地】の簡易宿泊所に一泊する。

「おや、久し振りだねサンタさん。おかえり。この先の側道には地上に通じる扉があるから、もしも挑戦するなら届け出てくれ」

 ゲートル支部の職員さんが、にこにこ笑いながら2キロゲートを通してくれる。
 うち以外のパーティーは、2キロ地点より先には入れないから邪魔も入らない。
 さあ、気合を入れて採取するわよ!


 大した地底生物に遭遇できなかったので、翌日は午後から地上に出てみた。
 初挑戦となる扉だったけど、切実に空間拡張バッグの素材が欲しいから、皆に無理言って挑戦した。
 地上に出るなり光猫のシリスが威嚇を始め、異様な気配を感じて360度を警戒できるよう円形の厳戒態勢をとった。

『サンタさん、あれはヤバイで。見たこともないトカゲ・・・いや、アースドラゴンちゅう奴やないか?』

『間違いないわトキニさん。私の時代には生息していたわ。まさかまだ生きていたなんて・・・あれは厄介かも』

 視界に入ってきた奴は、巨大トカゲと同じくらいの大きさだけど外見が全く違う生物で、トキニさんとパトリシアさんが危険だと警告する。

「なんだあれは!」とリーダーは叫び、腰を低くして直ぐに剣を構える。

「トキニさんとパトリシアさんが、あれはアースドラゴンだって」

「はあ? アースドラゴン? いや、それは伝説の生き物だろう?」

 サブリーダーが得意のナイフを構えて、信じられないと首を振る。

「素材としては一級品だけど、凄く堅そうよね」

「そこ? そこなのかサンタさん」

「いやだってリーダー、あの黒光りする部分は最高じゃない? ごつごつした部分は要らないけど」

 じわじわと距離を縮めてくるアースドラゴンを睨みながら、戦い方を考える。

「試しに僕が、ちょっと大き目の石で攻撃してみるよ」

「そうね、いろいろ試すしかないわね。皆は下がって!」

 アレス君とシリスと私だけ残り、皆には扉まで戻ってもらう。
 あの化け物には剣やナイフは通用しそうにない。
 アレス君は近くの岩を魔法で砕き、手ごろな大きさの尖った石を数個同時に、アースドラゴンに向けエアーシュートで攻撃した。

 ごつごつした部分には効果がなかったけど、胸や手の部分には刺さったようで、グギーッと声を上げ、怒りの形相でアレス君を見て突進してきた。

「素材より命! とにかく倒そうアレス君!」
「了解サンタさん!」

 そこから死闘が開始された。
 光猫シリスも頑張ってくれるけど、シリスの牙でもダメージがなく、瞳を狙うけど想像以上に動きが早くて大苦戦する。

 ……止まってくれたら飛び乗って頭を砕けるのに・・・

『サンタや、口の中を狙ってみるのじゃ』って、サーク爺が指示をだした。

「口の中? でも、どうやって口を開けさせるの?!」って叫んだ時、アレス君が大きなファイヤーボールをアースドラゴンに向け放った。
 炎は顔面に命中し、アースドラゴンは炎を払うように顔を左右に振り、そして大きく口を開け グギャーッ!と咆哮を上げた。

『今じゃ!』

「ええぇーっ!」って叫んで、無我夢中で氷魔法を放つ。  
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