147 / 190
王立能力学園・講師、発明家編
147 信じられない知らせ(1)
しおりを挟む
エルドラ王子、アレス君、学生会役員じゃない側近候補2人と一緒に王宮へ駆け付ける。
王城の内門を通り抜ける直前、窓から外の様子を窺っていたアレス君が、急に大声で馬車を止めた。
「サンタさん、あそこ、あれ、呪符だよ!」
「えっ、どれ?・・・あっ、本当だ。呪術師許すまじ! 絶対ザルツ帝国だ」
私とアレス君は急いで馬車から飛び降り、王宮騎士副団長を連れて呪符を確認する。
確認が終わるまでは、誰も内門を通らないよう警備隊が通行を制限してくれる。
「やっぱり諦めてなかったね」
「そうだねアレス君。これはもう完全に宣戦布告だよ」
「それではやはり、ザルツ帝国の手の者が呪符を?」
二重城壁の内門の大きな木製の観音開きの扉の右側は、緊急時以外閉まっており、左側だけが開かれ馬車を通していた。
閉まっている右扉の中心に、その呪符は堂々と貼られていた。
古代魔法か魔術で隠蔽されてはいるけど、呪符独特の黒い影が私とアレス君には視える。
恐らく呪術師と魔法使いだけが、その禍々しい黒い影を視ることができるんだろうけど、扉の中央に貼るとは自信過剰というか、完全にエイバル王国をバカにしている。
「王様の馬車は、いつも何処に保管されているのですか?」
「はい大賢者様、通常は警備隊本部棟の隣の保管庫です。その隣が厩舎です。
内門より先に進むには、専用入場許可証か警備隊長の許可が必要です。
もしも内門より先にも呪符が仕掛けられていたら、大変なことになります」
王宮騎士副団長は青い顔をして、直ぐに王宮警備隊に緊急招集をかけた。
そして、本日は内門より先には何人も通してはならないと命じ、警備隊長は緊急配備をかけ、各門から出る者の身元確認を念入りに行うよう指示を出した。
内門より先には、王族の住居や国賓をもてなす迎賓館がある。
だから内門より先に入れるのは、王族の住居宮殿で働く者に限られている。
もしもこれより先に呪符が無かったら、犯人は中に入る権限が無かったことになる。でも、もしも中にもあったら、それは身内に裏切り者が居ることになる。
国を動かしている役人たちが働く一般執務棟は、南外門を入って直ぐの所にあり、4階建の巨大な建物だ。
東外門から入ると、騎士団・警備隊棟があり、西外門を入ると軍本部棟が建っている。
北外門は常に閉まっており、王族所有の薬草園や庭園や池があり、許可された特別な者以外は入場できない。中も高い塀で仕切られている。
王族の住居である宮殿に行くためには、東外門から入り騎士団棟と警備隊棟の間の通路を進む必要があり、そこを通れる馬車は、王族の馬車か公爵家の馬車くらいだ。
大臣であっても侯爵であっても、大領地の伯爵であっても、内門の中に入る時は徒歩が当たり前になっている。
……私やアレス君が王太子宮に行く時は、王族の馬車で迎えに来てもらうから、徒歩で内門を潜ったことがなかった。失敗した。
「内門の呪符には、この門を特定馬車に乗車した者が10往復すると倒れ、15往復で死に至る。徒歩で通過する者は50回でケガをし、70回で倒れるって書いてある」
「なんですと! 本当ですかアレス様。王様は特定馬車で10回通られたということか? だが、王宮の外に出る時は殆ど私がお供している。
あっ、あの馬車は12日前に納品された新車で、王様は当日お一人で試乗された」
騎士副団長は拳を強く握り、呪符が貼られたのは王宮の外かもしれないと言いだした。
「私の馬車も今回買い替えた。もしもゲートルの町に行ってなかったら、私も危なかった可能性がある。犯人が新車に呪符を仕掛けたとしても、他の馬車も確認する必要がある」
エルドラ王子が騎士副団長と話している間に、アレス君と私は呪符を灰にした。
これより先は馬車ではなく徒歩で行くことにして、慎重に呪符を探しながら進む。
初めて呪術師や呪符という存在を知った側近候補のシンカー先輩(医学部)とイエタテ先輩(工学部)は、卑怯な遣り方に凄くショックを受けている。
呪符が視えるサーク爺が、先に内門の中に入って呪符を探してくれる。
パトリシアさんとトキニさんとマーガレットさんも、ガリア教会本部で勉強したから呪符が視える。全ての外門や執務棟などを確認してくれることになった。
王様の居所までの道中には、呪符らしいものは見つからなかった。
サーク爺も、ぐるりと外側から見た感じでは呪符は無かったと言っている。
それでも念のため、王宮警備隊の小隊長に教会から聖水を貰ってきて欲しいと頼んでおく。
呪符は解呪できなくても、教会の聖水を振り掛けると何故か効力が薄れたりするから、騎士団の人に定期的に振り掛けてもらおう。
王様の寝室に通されたのは、王子と私とアレス君だけ。
中に入ると、青というより白い顔をした王様が意識が戻らないまま横たわっていた。
私とアレス君は、直ぐに室内や窓やバルコニーに呪符がないかを調べる。
その間に、王子は王様の容態を王宮医師から説明されていた。
室内には医師と王太子だけで、王妃や王太子妃は別室で待機しているという。
呪符が原因だから、できるだけ動くなと王太子が命令したそうだ。
間もなくアロー公爵も駆け付けるらしく、念のため徒歩で内門を通るよう手配しろという騎士副団長の声が聞こえた。
「大賢者様、何か、王様を助ける方法が何かないでしょうか?」
日頃飄々としている王太子が、真剣な表情で訊く。
「う~ん、呼吸は少し早く、苦しそうではない。少しの刺激では反応を示さない。誰かこの症状を知ってる?」
私はわざと声を出して、守護霊のサーク爺とダイトンさん、ショーニスさんに訊いてみる。
呪術師が暗躍していたのは、超古代か高度文明紀くらいだから、サーク爺とショーニスさんが知らなければ打つ手がない。
「た、大変です王太子様、大賢者様!」
そう言って部屋の中に入ってきたのは王宮騎士副団長で、ガリア教会王都支部の教会長を連れている。
「大賢者様、悪い知らせです。本部で呪術について教えた神父が、何者かに殺されたと本部から緊急文が届きました。
そしてザルツ帝国が、エイバル王国に向かって行軍を開始したそうです」
王城の内門を通り抜ける直前、窓から外の様子を窺っていたアレス君が、急に大声で馬車を止めた。
「サンタさん、あそこ、あれ、呪符だよ!」
「えっ、どれ?・・・あっ、本当だ。呪術師許すまじ! 絶対ザルツ帝国だ」
私とアレス君は急いで馬車から飛び降り、王宮騎士副団長を連れて呪符を確認する。
確認が終わるまでは、誰も内門を通らないよう警備隊が通行を制限してくれる。
「やっぱり諦めてなかったね」
「そうだねアレス君。これはもう完全に宣戦布告だよ」
「それではやはり、ザルツ帝国の手の者が呪符を?」
二重城壁の内門の大きな木製の観音開きの扉の右側は、緊急時以外閉まっており、左側だけが開かれ馬車を通していた。
閉まっている右扉の中心に、その呪符は堂々と貼られていた。
古代魔法か魔術で隠蔽されてはいるけど、呪符独特の黒い影が私とアレス君には視える。
恐らく呪術師と魔法使いだけが、その禍々しい黒い影を視ることができるんだろうけど、扉の中央に貼るとは自信過剰というか、完全にエイバル王国をバカにしている。
「王様の馬車は、いつも何処に保管されているのですか?」
「はい大賢者様、通常は警備隊本部棟の隣の保管庫です。その隣が厩舎です。
内門より先に進むには、専用入場許可証か警備隊長の許可が必要です。
もしも内門より先にも呪符が仕掛けられていたら、大変なことになります」
王宮騎士副団長は青い顔をして、直ぐに王宮警備隊に緊急招集をかけた。
そして、本日は内門より先には何人も通してはならないと命じ、警備隊長は緊急配備をかけ、各門から出る者の身元確認を念入りに行うよう指示を出した。
内門より先には、王族の住居や国賓をもてなす迎賓館がある。
だから内門より先に入れるのは、王族の住居宮殿で働く者に限られている。
もしもこれより先に呪符が無かったら、犯人は中に入る権限が無かったことになる。でも、もしも中にもあったら、それは身内に裏切り者が居ることになる。
国を動かしている役人たちが働く一般執務棟は、南外門を入って直ぐの所にあり、4階建の巨大な建物だ。
東外門から入ると、騎士団・警備隊棟があり、西外門を入ると軍本部棟が建っている。
北外門は常に閉まっており、王族所有の薬草園や庭園や池があり、許可された特別な者以外は入場できない。中も高い塀で仕切られている。
王族の住居である宮殿に行くためには、東外門から入り騎士団棟と警備隊棟の間の通路を進む必要があり、そこを通れる馬車は、王族の馬車か公爵家の馬車くらいだ。
大臣であっても侯爵であっても、大領地の伯爵であっても、内門の中に入る時は徒歩が当たり前になっている。
……私やアレス君が王太子宮に行く時は、王族の馬車で迎えに来てもらうから、徒歩で内門を潜ったことがなかった。失敗した。
「内門の呪符には、この門を特定馬車に乗車した者が10往復すると倒れ、15往復で死に至る。徒歩で通過する者は50回でケガをし、70回で倒れるって書いてある」
「なんですと! 本当ですかアレス様。王様は特定馬車で10回通られたということか? だが、王宮の外に出る時は殆ど私がお供している。
あっ、あの馬車は12日前に納品された新車で、王様は当日お一人で試乗された」
騎士副団長は拳を強く握り、呪符が貼られたのは王宮の外かもしれないと言いだした。
「私の馬車も今回買い替えた。もしもゲートルの町に行ってなかったら、私も危なかった可能性がある。犯人が新車に呪符を仕掛けたとしても、他の馬車も確認する必要がある」
エルドラ王子が騎士副団長と話している間に、アレス君と私は呪符を灰にした。
これより先は馬車ではなく徒歩で行くことにして、慎重に呪符を探しながら進む。
初めて呪術師や呪符という存在を知った側近候補のシンカー先輩(医学部)とイエタテ先輩(工学部)は、卑怯な遣り方に凄くショックを受けている。
呪符が視えるサーク爺が、先に内門の中に入って呪符を探してくれる。
パトリシアさんとトキニさんとマーガレットさんも、ガリア教会本部で勉強したから呪符が視える。全ての外門や執務棟などを確認してくれることになった。
王様の居所までの道中には、呪符らしいものは見つからなかった。
サーク爺も、ぐるりと外側から見た感じでは呪符は無かったと言っている。
それでも念のため、王宮警備隊の小隊長に教会から聖水を貰ってきて欲しいと頼んでおく。
呪符は解呪できなくても、教会の聖水を振り掛けると何故か効力が薄れたりするから、騎士団の人に定期的に振り掛けてもらおう。
王様の寝室に通されたのは、王子と私とアレス君だけ。
中に入ると、青というより白い顔をした王様が意識が戻らないまま横たわっていた。
私とアレス君は、直ぐに室内や窓やバルコニーに呪符がないかを調べる。
その間に、王子は王様の容態を王宮医師から説明されていた。
室内には医師と王太子だけで、王妃や王太子妃は別室で待機しているという。
呪符が原因だから、できるだけ動くなと王太子が命令したそうだ。
間もなくアロー公爵も駆け付けるらしく、念のため徒歩で内門を通るよう手配しろという騎士副団長の声が聞こえた。
「大賢者様、何か、王様を助ける方法が何かないでしょうか?」
日頃飄々としている王太子が、真剣な表情で訊く。
「う~ん、呼吸は少し早く、苦しそうではない。少しの刺激では反応を示さない。誰かこの症状を知ってる?」
私はわざと声を出して、守護霊のサーク爺とダイトンさん、ショーニスさんに訊いてみる。
呪術師が暗躍していたのは、超古代か高度文明紀くらいだから、サーク爺とショーニスさんが知らなければ打つ手がない。
「た、大変です王太子様、大賢者様!」
そう言って部屋の中に入ってきたのは王宮騎士副団長で、ガリア教会王都支部の教会長を連れている。
「大賢者様、悪い知らせです。本部で呪術について教えた神父が、何者かに殺されたと本部から緊急文が届きました。
そしてザルツ帝国が、エイバル王国に向かって行軍を開始したそうです」
74
あなたにおすすめの小説
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる