152 / 190
王立能力学園・講師、発明家編
152 未使用の魔術具(3)
しおりを挟む
お誘いした教授たちの準備とか私の下準備の時間もあって、全員が集合したのは昼前くらいだった。
学園を出発する時に学園長が、集合した30人の前で私を大賢者だと紹介した。
知っていたのは学部長くらいだったから、それはそれは驚愕の視線を向けられたけど、8割の人は安堵の表情に変わっていった。
「まあ、8歳の天才に脅威を感じていた教授や講師にしたら、サンタさんが大賢者だった方が納得するんだと思うよ。
8歳の子供が何故講師に?とか、3つの学部で教壇に立っているのが納得できなかった者たちは、これでライバル視する必要も、葛藤する必要もなくなるからね」
アレス君は、これで自分も大きな顔をして大賢者様の弟子だと名乗れるよって付け加えて笑った。
……う~ん、アレス君がどんどん大人になっていく気がする。
今朝、王の名で国民に知らされたのは【国境に向けザルツ帝国が行軍を始めた。我が国は直ぐに国境の守りを固め応戦する。全ての国民は最大限の協力をし勝利のために尽せ】という内容だった。
馬車の窓から見える王都の人々は、不安そうな表情はしているけど、それ程の危機感があるようには見えない。
この発表の中には敵軍の国境までの日数とか、敵軍の1万という人数が入っていない。
確かに大混乱にはならないだろう。国の発表としては正解なのかもしれない。
私は大賢者だけど、こんな時にどう動くのが正しくて、どうあるべきなのかが分からない。
守護霊の皆は、自分にできる精一杯をすればいいとアドバイスしてくれた。
魔法使いの私にできること、学園の講師である私にできること、発明家の私にできること、この3つが私が持つ手札。
使える魔術具があるかどうかも分からないけど、今できるのは希望を持つこと。
多少時間はかかると思う。何の魔術具かを鑑定し、実際に起動してみなければ有用かどうか判断できない。
高度文明紀の先人に感謝しながら、なんとしてもこの難局を打破できる魔術具を探しだし、国境に送らなきゃいけない。
……それが今、私にできることだって信じよう。
……守護霊が知恵を貸してくれて、アレス君が側で支えてくれる。私は幸運だ。
到着した王城内は、戦争の準備で慌ただしく人が行き交っていた。
食料を納入する業者の荷馬車が何台も外門を通り抜け、商業連合の旗を掲げた荷馬車には様々な物資が積まれている。
「サンタさん、この先が王宮の魔術具置き場です。
ドアの鍵は王太子様がお持ちで、忙しく動かれているため閉めることができなかったので、念のため軍の兵士に警護させています。
おや? 何故誰も居ない? 私が学園に戻る時に2人の兵が居たはずだが」
地下に向かう階段を下り、進んでいた薄暗い廊下の角を曲がった所で、案内役のツクルデ教授が首を捻った。
「みんな止まって。もしかして敵が侵入している可能性もあるから、私の守護霊に様子を探ってもらうわ」
呪術師がどさくさに紛れて潜入していたら大変だから、ここは念には念を入れて用心すべきだよね。
「守護霊?」って、私の【過去・輪廻】を知らない皆さんが小さな声を上げるけど、今は説明する時間がない。
『サンタさん、軍服を着た2人の男が魔術具を物色しとるで』
『盗む気満々で持ち出せる大きさの魔術具を探してるわ。もう少し待って現行犯で捕えた方がいいと思うわよ』
様子を見に行ったトキニさんとパトリシアさんが、驚きの報告をしてくれた。
「どうやら泥棒が侵入しているようです」
「なんじゃと!」
私の隣に居たツクルデ教授が、驚いて声を上げた。
「しっ、静かに。戦争が始まって混乱しているからって、火事場の泥棒行為は許せません。でも、泥棒は軍の制服を着ているようなので、現行犯で捕える必要があります」
私はそう言って、皆に何もしないようごにょごにょと小さな声で指示を出す。
総勢30名の集団だから、誰か一人でも勝手な行動をしたら泥棒に言い逃れされてしまうから、ここは任せて欲しい。
こっそり中を覗くと、暗くて広い空間に大小50台くらいの魔術具が並べてあるのが、ぼんやりと見えた。
リーダーらしき男が小型ランプ片手に、「できるだけ高額そうな物を選べ」って命令している。
「ねえ、扉を守らずに何をしているの?」
私はツクルデ教授とメーナイ教授を扉の直ぐ外に待たせて、魔術具置き場にそっと入って声を掛け、持っていた広域ランプで部屋中を照らした。
「だ、誰だお前は! 誰の許可を得て入ってきた!」
突然声を掛けられ、いきなり明るくなって驚いたリーダーぽい男が、私を見て大声で怒鳴った。
大きな台車には、既に50センチ四方の魔術具が積んである。
「私? 私は王太子様の命を受け、王立能力学園から魔術具鑑定の手伝いに来た学生だけど?」
「王立能力学園? あぁ、学者の手伝いか。我々は警護の一般兵ではなく、元王宮魔術師団の偉い魔術師だ。上官の命令で必要な魔術具を取りにきた」
リーダーぽい泥棒は、茶色の軍服の胸に下位・魔術師の証であるバッジを付け、上官の命令だと嘘をついた。
軍に編成されても、魔術師は偉く特別だと勘違いしている者たちは、未だに元王宮魔術師団だと名乗っているって、王子から聞いていたけどその通りだった。
「へ~っ、上官の命令ねえ・・・それで、上官はどんな魔術具を持ってこいと命じたのかしら? 素人に魔術具の判別ができるとは思えないけど?」
「なんだと! 工学部の学生風情が偉そうに。我々は急いで命令を遂行しなければならない。お前は自分の仕事をしろ!」
リーダーぽい男は、自分で抱えられる重さの魔術具を台車に積んで怒鳴った。
私の胸に付いている魔術師学部の講師バッジが分からないってことは、王立能力学園の卒業生じゃないってことね。まあ、下位・魔術師だもんね。
同じく下位・魔術師のバッジを付けているもう1人の男に、「行くぞ!」と命じて部屋を出て行こうとするけど、積んだ魔術具が重くて1人では台車が押せなかった。
「おい、押すのを手伝え」
焦っている様子のリーダーぽい男が、もう1人の男に命じる。
「ねえ、国の魔術具を勝手に盗むのは重罪よ」
私は台車の前を塞ぐように立ち、軽く睨んでズバッと切り込んだ。
学園を出発する時に学園長が、集合した30人の前で私を大賢者だと紹介した。
知っていたのは学部長くらいだったから、それはそれは驚愕の視線を向けられたけど、8割の人は安堵の表情に変わっていった。
「まあ、8歳の天才に脅威を感じていた教授や講師にしたら、サンタさんが大賢者だった方が納得するんだと思うよ。
8歳の子供が何故講師に?とか、3つの学部で教壇に立っているのが納得できなかった者たちは、これでライバル視する必要も、葛藤する必要もなくなるからね」
アレス君は、これで自分も大きな顔をして大賢者様の弟子だと名乗れるよって付け加えて笑った。
……う~ん、アレス君がどんどん大人になっていく気がする。
今朝、王の名で国民に知らされたのは【国境に向けザルツ帝国が行軍を始めた。我が国は直ぐに国境の守りを固め応戦する。全ての国民は最大限の協力をし勝利のために尽せ】という内容だった。
馬車の窓から見える王都の人々は、不安そうな表情はしているけど、それ程の危機感があるようには見えない。
この発表の中には敵軍の国境までの日数とか、敵軍の1万という人数が入っていない。
確かに大混乱にはならないだろう。国の発表としては正解なのかもしれない。
私は大賢者だけど、こんな時にどう動くのが正しくて、どうあるべきなのかが分からない。
守護霊の皆は、自分にできる精一杯をすればいいとアドバイスしてくれた。
魔法使いの私にできること、学園の講師である私にできること、発明家の私にできること、この3つが私が持つ手札。
使える魔術具があるかどうかも分からないけど、今できるのは希望を持つこと。
多少時間はかかると思う。何の魔術具かを鑑定し、実際に起動してみなければ有用かどうか判断できない。
高度文明紀の先人に感謝しながら、なんとしてもこの難局を打破できる魔術具を探しだし、国境に送らなきゃいけない。
……それが今、私にできることだって信じよう。
……守護霊が知恵を貸してくれて、アレス君が側で支えてくれる。私は幸運だ。
到着した王城内は、戦争の準備で慌ただしく人が行き交っていた。
食料を納入する業者の荷馬車が何台も外門を通り抜け、商業連合の旗を掲げた荷馬車には様々な物資が積まれている。
「サンタさん、この先が王宮の魔術具置き場です。
ドアの鍵は王太子様がお持ちで、忙しく動かれているため閉めることができなかったので、念のため軍の兵士に警護させています。
おや? 何故誰も居ない? 私が学園に戻る時に2人の兵が居たはずだが」
地下に向かう階段を下り、進んでいた薄暗い廊下の角を曲がった所で、案内役のツクルデ教授が首を捻った。
「みんな止まって。もしかして敵が侵入している可能性もあるから、私の守護霊に様子を探ってもらうわ」
呪術師がどさくさに紛れて潜入していたら大変だから、ここは念には念を入れて用心すべきだよね。
「守護霊?」って、私の【過去・輪廻】を知らない皆さんが小さな声を上げるけど、今は説明する時間がない。
『サンタさん、軍服を着た2人の男が魔術具を物色しとるで』
『盗む気満々で持ち出せる大きさの魔術具を探してるわ。もう少し待って現行犯で捕えた方がいいと思うわよ』
様子を見に行ったトキニさんとパトリシアさんが、驚きの報告をしてくれた。
「どうやら泥棒が侵入しているようです」
「なんじゃと!」
私の隣に居たツクルデ教授が、驚いて声を上げた。
「しっ、静かに。戦争が始まって混乱しているからって、火事場の泥棒行為は許せません。でも、泥棒は軍の制服を着ているようなので、現行犯で捕える必要があります」
私はそう言って、皆に何もしないようごにょごにょと小さな声で指示を出す。
総勢30名の集団だから、誰か一人でも勝手な行動をしたら泥棒に言い逃れされてしまうから、ここは任せて欲しい。
こっそり中を覗くと、暗くて広い空間に大小50台くらいの魔術具が並べてあるのが、ぼんやりと見えた。
リーダーらしき男が小型ランプ片手に、「できるだけ高額そうな物を選べ」って命令している。
「ねえ、扉を守らずに何をしているの?」
私はツクルデ教授とメーナイ教授を扉の直ぐ外に待たせて、魔術具置き場にそっと入って声を掛け、持っていた広域ランプで部屋中を照らした。
「だ、誰だお前は! 誰の許可を得て入ってきた!」
突然声を掛けられ、いきなり明るくなって驚いたリーダーぽい男が、私を見て大声で怒鳴った。
大きな台車には、既に50センチ四方の魔術具が積んである。
「私? 私は王太子様の命を受け、王立能力学園から魔術具鑑定の手伝いに来た学生だけど?」
「王立能力学園? あぁ、学者の手伝いか。我々は警護の一般兵ではなく、元王宮魔術師団の偉い魔術師だ。上官の命令で必要な魔術具を取りにきた」
リーダーぽい泥棒は、茶色の軍服の胸に下位・魔術師の証であるバッジを付け、上官の命令だと嘘をついた。
軍に編成されても、魔術師は偉く特別だと勘違いしている者たちは、未だに元王宮魔術師団だと名乗っているって、王子から聞いていたけどその通りだった。
「へ~っ、上官の命令ねえ・・・それで、上官はどんな魔術具を持ってこいと命じたのかしら? 素人に魔術具の判別ができるとは思えないけど?」
「なんだと! 工学部の学生風情が偉そうに。我々は急いで命令を遂行しなければならない。お前は自分の仕事をしろ!」
リーダーぽい男は、自分で抱えられる重さの魔術具を台車に積んで怒鳴った。
私の胸に付いている魔術師学部の講師バッジが分からないってことは、王立能力学園の卒業生じゃないってことね。まあ、下位・魔術師だもんね。
同じく下位・魔術師のバッジを付けているもう1人の男に、「行くぞ!」と命じて部屋を出て行こうとするけど、積んだ魔術具が重くて1人では台車が押せなかった。
「おい、押すのを手伝え」
焦っている様子のリーダーぽい男が、もう1人の男に命じる。
「ねえ、国の魔術具を勝手に盗むのは重罪よ」
私は台車の前を塞ぐように立ち、軽く睨んでズバッと切り込んだ。
82
あなたにおすすめの小説
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる