三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん

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王立能力学園・金級ハンター編

175 サンタさん、気持ちを切り替える

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 目覚めた私は最速踏破者の皆に大号泣され、何事ってびっくりしたよ。
 4日も危篤状態になっていたらしく、凄く心配かけちゃった。ごめん。
 アルバの町の多くの人がお見舞いに来てくれて、感謝の言葉とお菓子を貰った。
 嬉しくて、有難くて、私は間違ってなかったって思うことにした。

 ……ただねぇ・・・ガリア教会の大司教様がお怒りで、病み上がりなのに1時間も説教されたよ、とほほ。

 ……でも、教会が私の命を救ってくれたみたいだから、心から感謝して有難く叱られた。


 帰路は絶壁を登って新ロードを戻りながら素材採取したかったんだけど、体力が激減していて、500メートル歩いたら息切れがして諦めた。
 心配掛けた叔父さんと御者のポートさんに謝って、大人しく馬車に揺られた。
 モエナ支部に到着したら、一足先に帰って私を待っていたモエナとゲートル支部のハンターに、もう体は大丈夫かと心配され、たくさんのお見舞いを貰った。

 空間拡張バッグに入れておいた素材を買い取りに出し、大蛇の皮は貰って、それ以外のお金は作戦に参加してくれた仲間に、お礼として奢ることにした。
 これくらいしかお礼できなくてゴメンねって謝ったら、逆に多すぎるぞって怒られた。やっぱりハンター仲間はいい。顔は怖いけど優しい。

「みんなありがとう、大好き!」って擦れた声で乾杯の挨拶したら、何故か半数が涙ぐんでいた。
 はて? 死にかけたことが余程ショックだったのかな。
 でもまあ半数は「いいぞイオナロードの天使様!」とか「蜘蛛は任せろ!」とか「小さな金級ハンター万歳!」って、笑顔でお酒のカップを掲げてたけどね。

 ……みんなありがとう。声が出ない私を励ましてくれてるんだよね。


 なんだか色々あったけど、もう深く考えるのは止めよう。
 あまりにもハンター仲間が心配して、私にごめんなって謝るんだもん。
 私が誘って私が決行した作戦なのに、モエナ支部のハンターもゲートル支部のハンターも、私が死にかける程にショックを受けて倒れたって思ってる。

 そして皆が同じことを言う。
 これは侵略戦争で、いきなり進攻され多くの民を殺されたんだから、こちらが反撃するのは当然であり、何を使って攻撃しようと文句を言われる筋合いもないし、文句言うなら戦争を仕掛けてくるな!って、皆が怒りに燃えて大変だった。

 ついでに、医者を派遣しなかった軍本部とアロー公爵と王太子は一気に評判を落とした。
 意識が戻って、そのことをモエナ伯爵家のヘンリーさんから聞いたんだけど、誰かの悪意で知らせが届かなかったって気がするんだよね私は。
 だって王太子もアロー公爵も、私が王都を消滅させられるって知ってるから。



 翌日、ゲートル支部の仲間たちと、ゲートル支部に戻ってきた。
 出迎えてくれたチーフに、体調が悪いのに無理するなとマジで叱られた。
 でも次の日には、支部で金級ハンター昇級祝いをしてくれて、職員さんたちからお菓子をたくさん貰った。ご馳走さまです。

 金級ハンターになった私は、最速踏破者とは協力パーティー関係となり、正式なメンバーではなくなった。
 今回サブリーダーも金級に昇級し、同じパーティーに金級ハンターは2人までしか登録できないという協会の決まりがあるから、仕方なく承諾した。

 なので私は、アレス君とシリスでパーティー申請をしておいた。
 パーティー名は短く【魔法天使】って、書いておいた。
 因みにアレス君は、中位・魔術師だから銀級ハンターになっている。
 金級か銀級の者がいたら、2人でもパーティーとして登録が認められる。
 シリスも立派なメンバーだから、うちは2人と1匹だ。

 うちのパーティーに入る条件として、最低でも初級魔法使いの資格が必要だと掲示板に書いておいた。メンバーのゴリ押しはお断りだよ。
 まあゲートル支部のハンターたちは、私が大賢者で表向き子爵だって知ってる。
 仲間になりたいとかじゃなく、邪な奴等が私とアレス君に近付かないかを見張ってるって感じだ。

 私は3歳、アレス君は5歳の時からこの町で活動してるから、ハンターや町の住民からしたら子供や孫みたいな存在だ。
 最年少で王立能力学園に入学したことも、王子と友達だってことも、貴族になったのに威張ったりしないことも、町の皆の自慢なんだって言ってくれる。

 ……なんだろう・・・死にかけたからか涙もろくなっちゃった。

『サンタや、これまで急いで走り過ぎたんじゃ。これからは子供らしく楽しめ』

 サーク爺が頑張らせ過ぎたと反省して、これからは学び意外に遊ぶことも大事だなんて言う。

『せやで、俺らも色々と背負わせ過ぎたことを反省しとる』

『そうねトキニさん。なんでも吸収してできてしまうから、欲を出し過ぎたわ』

 トキニさんとパトリシアさんまで、ゴメンと謝ってきた。
 マーガレットさんもダイトンさんもショーニスさんも、自分のやりたいことを押し付けてしまったと反省しながら、のんびり休養したらいいと言ってくれた。

「うん、王様が毎月白金貨2枚くれるし、特許料と空間拡張バッグ販売代金が入るから、お金の心配をしなくて良くなった。
 だから自分のしたいことをする。学園も卒業扱いだから、毎日行く必要もない。勉強するのは嫌いじゃないし、もの作りも好きだからボチボチやるよ」

 私が死にかけて、守護霊の6人は大反省会をしたらしい。
 子供らしさより大賢者として相応しくあれと、厳しくし過ぎたと気付いたそうだ。だから倒れてからというもの、あまり話し掛けてこなくなった。

 ……自分でも気付かない内に、いろいろ限界がきていたのかもしれない。


 体調を崩したので暫く休むと学園長に手紙を送って、ホッパー商会でのんびり過ごすこと5日、ザルツ帝国に奪われていたハッシュ辺境伯領の、北ゲートハンター支部を奪い返したとの情報を聞いた。
 領都ハッシュを奪還した後、直ぐに北ゲートへと兵を送ったけど、抵抗が激しく奪還するまで苦戦したそうだ。

 北ゲート奪還をもって、エイバル王国はザルツ帝国から全てを取り戻し、戦争は終結した。



「発明学科のツクルデ教授と、魔術師学部のエバル教授が呪符にやられた」 

 のんびりタイム6日目、学園に居るはずのアレス君が、疲れた顔をしてとんでもない知らせを持ってきた。
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