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王立能力学園・金級ハンター編
177 新たな戦い(2)
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午後からツクルデ教授の葬儀に参列すると兄さまから聞き、私は止まらない涙を根性で拭いて、学園の制服に着替えて教会に向かうことにした。
まだ葬儀まで2時間あるけど、参列者が来る前にツクルデ教授のお顔が見たいし、ゆっくりお別れがしたい。
「これは、私に売られた喧嘩だわ」
「いや違うよサンタさん。僕とサンタさんとアロー公爵家に売られた喧嘩だよ」
馬車の中で怒りの感情をなんとか抑えながら呟くと、アレス君が直ぐに反応して訂正する。
「戦争には2度と関わらないと大司教様に誓ったけど、これは喧嘩。しかも因縁の喧嘩。今度こそ決着をつけなきゃいけない」
「ああそうだ。そして必ず僕たちが勝つ!」
「いや、ちょっと待てサンタ。お前は病み上がりだろう? 無理しちゃだめだ、落ち着け! ゴホン、それに学園だって喧嘩を売られてるぞ」
兄さまが慌てて口を挟み、学園も喧嘩を売られてると主張する。
……確かに、工学部や魔術師学部の教授や学生は、絶対に許せないと怒っているに違いない。特に発明学科は、私を含め皆が悲しみに暮れているはず。
「先ずは学園内の呪符の処理ね。犯人は分かってるんだから、何処までも追い掛けて・・・いや違う。あの陰険な呪術師はまだ王都に居る。そして事の成り行きをニヤニヤしながら眺めているはず」
「ああ、きっとそうだ。アロー公爵屋敷に執拗に呪符を貼る奴だ。自分の呪術に絶対的な自信があるんだろう」
フフフ、フフフフと、私とアレス君は黒く微笑みながら、今度こそ仕留めると互いに顔を見合わせて頷く。
「兄さまには言ってなかったけど、アレス君のお母さんを殺したり、私とアレス君を攫って殺そうとしたヒバド伯爵は、ザルツ帝国から侵入したヨカランという呪術師の執事にそそのかされたの。
裏でヒバド伯爵やバカ息子を操っていたヨカランこそが真の犯人。
学園の仲間や教授、王族や王宮で働く者を呪い、今回の戦争では2人の辺境伯様も呪符で殺されているわ」
「な、なんだって、それじゃあその呪術師は、国を挙げて捜索し捕らえるべき犯人じゃないか。勝手なことをする前に、ちゃんと王子や王様に相談するんだ」
ちょうど教会に到着したタイミングで、兄さまが勝手するなと注意する。
「大賢者であられるサンタさんを、アルバの町を奪還した英雄であるサンタさんを、見殺しにしようとするような輩に気を使う必要などないでしょう」
正門前で先に馬車を降りたアレス君が、私をエスコートするように手を指し伸べながら辛辣に言い放つ。これは相当怒ってるわぁ。
「少し早めに来て正解だったわ。アイツ、教会の正門にまで呪符を貼ってるじゃない。警備隊長、申し訳ないけど柵を乗り越えて、神父様に事情を話して数人に聖水を持ってくるよう伝えてくれる?」
高さ5メートルはある正門の門柱、その左右両方の高さ1.5メートルくらいの場所に、黒く禍々しい呪符が貼ってあり、私はそれを睨みつけながらカーレイル叔父さんにお願いする。
「えっ、正門に、教会の正門に呪符を? 神を畏れることもないのか」
「ザルツ帝国の王族はガリア神の信者ではないそうだから、畏れることもないのでしょう。フッ、ガリア教会にも喧嘩を売るとは怖いものなしね」
驚いている叔父さんに、ザルツ帝国の王族と教会は反目していることを教える。
『みんなお願い。手分けして呪符を探して場所を教えて。サーク爺は見付けた呪符の内容を教えてね』
『了解』
守護霊の皆の声が揃う。嬉しそうに任せろと言って、トキニさんを見張りに残して移動していった。
「サンタさん、ここで僕たちが呪符を処理するのは止めておこう。
神父が呪符に気付いて処理するか、聖水を掛けるようにしなくちゃいけない。
今回はガリア教会も絶対に喧嘩を買う。本部で神父を殺されてるし、教会を陥れる罰当たりには神罰が必要だと、大司教様も仰るだろう」
アレス君はそう言うと、近くを巡回していた警備兵2人を見付けて駆け寄り、身分証を見せて何やらごにょごにょと指示を出す。
王都の警備隊は教会の斜め前にも詰め所があり、アレス君から指示を受けた警備兵の1人は詰め所へと走り、もう一人は教会の正門前を守るように立つ。
「呪符に聖水をかけて剝がすまで、誰も教会に入れないよう指示を出した。それと、王宮の本部から応援を呼んでもらった」
公爵代理として働いたからか、なんだかアレス君が急に大人になったみたいで頼もしい。
「確かに応援は必要ね。ツクルデ教授を慕う卒業生や教師や在校生が、きっとたくさん参列するはずだから、誰一人としてヤツの思い通りにさせないよう、入場制限やもしもの時の備えは要るわね」
私はよく知っている教会マップを思い出しノートに描きながら、警備兵を配置すべき箇所に印を付けていく。
「あっ、エルドラ王子も参列される予定だ。まだ時間があるから僕はこのことを王宮に知らせに行く。馬車を使ってもいいかいサンタ?
それから、葬儀の開始時間を1時間遅らせるよう頼んでおいてくれ」
「了解よ兄さま。参列者の選別に1時間は必要だもの」
私はそう答えて、まるで正門の前で受付でもするかのように、リュックからテーブルと椅子を取り出して置く。
そして澄ました顔をして椅子に座り、教会長への指示をノートに記入していく。
守護霊の皆が集めてきた呪符の情報も、正門の門柱の呪符内容も、描いた教会マップに書き込んでいく。
そうこうしていると、叔父さんが副教会長と3人の神父を連れ戻ってきた。
敵が何処から見ているか分からないので、さも受付の打ち合わせをしているかのように装い、副教会長にノートを見せながら指示を出していく。
副教会長は深く頷くと、早速作戦を開始する。
「これから王族をお迎えする。失礼がないよう正門を今一度掃除するように!」
副教会長は大きな声で指示を出し、連れてきた神父2人が門柱に聖水を掛けていく。
「な、何だこれは! 副教会長様、何か得体の知れない紙が貼ってあります!」
私のよく知る神父様が大袈裟に演技しながら、聖水に濡れて姿を現した呪符を指さし叫んだ。
「なんだと、まさかそれは本部から通達があった呪符ではないか? 大変だ、教会長を呼んできなさい」
まだ葬儀まで2時間あるけど、参列者が来る前にツクルデ教授のお顔が見たいし、ゆっくりお別れがしたい。
「これは、私に売られた喧嘩だわ」
「いや違うよサンタさん。僕とサンタさんとアロー公爵家に売られた喧嘩だよ」
馬車の中で怒りの感情をなんとか抑えながら呟くと、アレス君が直ぐに反応して訂正する。
「戦争には2度と関わらないと大司教様に誓ったけど、これは喧嘩。しかも因縁の喧嘩。今度こそ決着をつけなきゃいけない」
「ああそうだ。そして必ず僕たちが勝つ!」
「いや、ちょっと待てサンタ。お前は病み上がりだろう? 無理しちゃだめだ、落ち着け! ゴホン、それに学園だって喧嘩を売られてるぞ」
兄さまが慌てて口を挟み、学園も喧嘩を売られてると主張する。
……確かに、工学部や魔術師学部の教授や学生は、絶対に許せないと怒っているに違いない。特に発明学科は、私を含め皆が悲しみに暮れているはず。
「先ずは学園内の呪符の処理ね。犯人は分かってるんだから、何処までも追い掛けて・・・いや違う。あの陰険な呪術師はまだ王都に居る。そして事の成り行きをニヤニヤしながら眺めているはず」
「ああ、きっとそうだ。アロー公爵屋敷に執拗に呪符を貼る奴だ。自分の呪術に絶対的な自信があるんだろう」
フフフ、フフフフと、私とアレス君は黒く微笑みながら、今度こそ仕留めると互いに顔を見合わせて頷く。
「兄さまには言ってなかったけど、アレス君のお母さんを殺したり、私とアレス君を攫って殺そうとしたヒバド伯爵は、ザルツ帝国から侵入したヨカランという呪術師の執事にそそのかされたの。
裏でヒバド伯爵やバカ息子を操っていたヨカランこそが真の犯人。
学園の仲間や教授、王族や王宮で働く者を呪い、今回の戦争では2人の辺境伯様も呪符で殺されているわ」
「な、なんだって、それじゃあその呪術師は、国を挙げて捜索し捕らえるべき犯人じゃないか。勝手なことをする前に、ちゃんと王子や王様に相談するんだ」
ちょうど教会に到着したタイミングで、兄さまが勝手するなと注意する。
「大賢者であられるサンタさんを、アルバの町を奪還した英雄であるサンタさんを、見殺しにしようとするような輩に気を使う必要などないでしょう」
正門前で先に馬車を降りたアレス君が、私をエスコートするように手を指し伸べながら辛辣に言い放つ。これは相当怒ってるわぁ。
「少し早めに来て正解だったわ。アイツ、教会の正門にまで呪符を貼ってるじゃない。警備隊長、申し訳ないけど柵を乗り越えて、神父様に事情を話して数人に聖水を持ってくるよう伝えてくれる?」
高さ5メートルはある正門の門柱、その左右両方の高さ1.5メートルくらいの場所に、黒く禍々しい呪符が貼ってあり、私はそれを睨みつけながらカーレイル叔父さんにお願いする。
「えっ、正門に、教会の正門に呪符を? 神を畏れることもないのか」
「ザルツ帝国の王族はガリア神の信者ではないそうだから、畏れることもないのでしょう。フッ、ガリア教会にも喧嘩を売るとは怖いものなしね」
驚いている叔父さんに、ザルツ帝国の王族と教会は反目していることを教える。
『みんなお願い。手分けして呪符を探して場所を教えて。サーク爺は見付けた呪符の内容を教えてね』
『了解』
守護霊の皆の声が揃う。嬉しそうに任せろと言って、トキニさんを見張りに残して移動していった。
「サンタさん、ここで僕たちが呪符を処理するのは止めておこう。
神父が呪符に気付いて処理するか、聖水を掛けるようにしなくちゃいけない。
今回はガリア教会も絶対に喧嘩を買う。本部で神父を殺されてるし、教会を陥れる罰当たりには神罰が必要だと、大司教様も仰るだろう」
アレス君はそう言うと、近くを巡回していた警備兵2人を見付けて駆け寄り、身分証を見せて何やらごにょごにょと指示を出す。
王都の警備隊は教会の斜め前にも詰め所があり、アレス君から指示を受けた警備兵の1人は詰め所へと走り、もう一人は教会の正門前を守るように立つ。
「呪符に聖水をかけて剝がすまで、誰も教会に入れないよう指示を出した。それと、王宮の本部から応援を呼んでもらった」
公爵代理として働いたからか、なんだかアレス君が急に大人になったみたいで頼もしい。
「確かに応援は必要ね。ツクルデ教授を慕う卒業生や教師や在校生が、きっとたくさん参列するはずだから、誰一人としてヤツの思い通りにさせないよう、入場制限やもしもの時の備えは要るわね」
私はよく知っている教会マップを思い出しノートに描きながら、警備兵を配置すべき箇所に印を付けていく。
「あっ、エルドラ王子も参列される予定だ。まだ時間があるから僕はこのことを王宮に知らせに行く。馬車を使ってもいいかいサンタ?
それから、葬儀の開始時間を1時間遅らせるよう頼んでおいてくれ」
「了解よ兄さま。参列者の選別に1時間は必要だもの」
私はそう答えて、まるで正門の前で受付でもするかのように、リュックからテーブルと椅子を取り出して置く。
そして澄ました顔をして椅子に座り、教会長への指示をノートに記入していく。
守護霊の皆が集めてきた呪符の情報も、正門の門柱の呪符内容も、描いた教会マップに書き込んでいく。
そうこうしていると、叔父さんが副教会長と3人の神父を連れ戻ってきた。
敵が何処から見ているか分からないので、さも受付の打ち合わせをしているかのように装い、副教会長にノートを見せながら指示を出していく。
副教会長は深く頷くと、早速作戦を開始する。
「これから王族をお迎えする。失礼がないよう正門を今一度掃除するように!」
副教会長は大きな声で指示を出し、連れてきた神父2人が門柱に聖水を掛けていく。
「な、何だこれは! 副教会長様、何か得体の知れない紙が貼ってあります!」
私のよく知る神父様が大袈裟に演技しながら、聖水に濡れて姿を現した呪符を指さし叫んだ。
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