6 / 190
サンタさん、トレジャーハンターになる
6 運命の出会い(1)
しおりを挟む
オバサンさんの優し気な言葉も胡散臭い笑顔も、明らかに普段と違っていて怪しい。怪し過ぎてドン引きだよ。
『間違いなく何か企んでおるようじゃな』と、サーク爺も不審がる。
『まさか殺しはしないと思うけど・・・変な服を買うとかの嫌がらせ?』
私だって良いことが待っているとは思わないけど、本当に隣の領地に行くのなら行ってみたい。
隣のゲートルの町にはトレジャーハンター協会があるし、古代都市ロルツの入場ゲートがある。
絶対に行ってみたいけど、1人で行動するのは無理だろうな。
翌日、オバサンは本当にゲートルの町に私を連れてきた。何故か意地悪ナリスティアも一緒だ。
移動する馬車の中で親子の会話を聞いていたら、ゲートルの町に行く目的が、ナリスティアが使う楽器を買うためだと分かった。
ナリスティアは専門職【芸術・音楽】を授かった、お金のかかるお子様だった。
到着したゲートルの町は、トレジャーハンターらしき人たちがたくさん歩いていて、古代都市から採掘された古代魔術具や一般器具、生活用品や楽器など様々な遺物を売る店が並んでいた。
侯爵領の領都とは違い、服装も着飾っている者は少なく、上品じゃないけど活気のある町みたいで心が躍った。
「サンタナリア、私たちは楽器店に行ってくるから、アナタはこの噴水の前で待っていなさい。分かった?」
オバサンが小声で、人通りの凄く多い噴水の前で私に命令する。
「う~ん、わかっちゃ?」と、私は首をコテンと傾げて答えた。
「嫌だ、この子絶対に理解してないわよお母さま。きっとお腹が空けば勝手に居なくなるわ。人攫いだって居るかもしれないしフフフ」
嬉しそうに私を見下すナリスティアは、こんなみすぼらしい服装じゃ貴族の子だと気付かれることはないしねと付け加え、オバサンと一緒に何処かへ行ってしまった。
『もしかして置き去り?』
『本当に分かり易い奴等じゃ。じゃから馬車の中でフルネームとか住所を言ってみろと、しつこくしておったのじゃな』
『間抜けな私じゃ、絶対に帰ってこられないって思ってるわよね。どうしようかなぁ。そうだ、予防線をはっておこう』
2人が姿を消してから1時間後、隠し持っていてお金を持って近くの屋台へと移動した。
「おばあちゃん、パンくだしゃい。じゅっとオバシャンとニャリシュテアを待ってるけど、にゃかにゃか帰ってこにゃいの。お腹すいたのよ」
「なんだって、こんな小さな子を1人で待たせて帰ってこないのかい?」
「うん、ふんしゅいの前にいにゃしゃいって、ゆってた」
そう言ってパンの代金を優しそうなおばあちゃんに渡すと、おばあちゃんはパンを手渡してくれ、両隣の屋台の人に私の状況を話し相談を始めた。
「ああ、私もずっと気になって見てたんだよ。小さな子が1人でいたからね」
串肉屋のおばさんは、どうやらずっと私を見ていたらしく「置き去りかも」って顔を曇らせた。
「買い物なら普通は一緒に連れて行くだろう? もう少し待っても迎えが来なかったら、警備隊に連絡しよう」
ちょっと怖い顔をした果物売りのおじさんは、私を不憫そうに見て言った。
……この町の人たちって良い人みたいね。なんだか嬉しくなるわ。
結局その後も迎えは来ず、最初に声を掛けたパン屋のおばあちゃんが、もう完売したからと警備隊に連れて行ってくれることになった。
警備隊詰め所への近道だという細い路地を歩いていると、前方から人の争うような声が聞こえてきた。
「ホッパーの旦那、有り金を全て出しな!」
「悪いことは言わねえ、命が大事ならそのカバンと内ポケットの財布を出しな」
滅茶苦茶人相の悪い大柄の男2人が細い路地を塞ぐように立ち、誰かを脅している現場に出くわしてしまった。
後ろ姿の男性は、どうやらホッパーさんという人らしい。
こっちを向いて脅している2人は、私たちの姿を視線に捉えたようで「早くしろ殺すぞ!」と声を荒らげる。
「どうしよう、ホッパー商会の旦那さんだ。善人と有名な旦那さんを襲うなんて」
どうやらおばあちゃんの知人だったみたいで、助けたいけど足が竦んで動けないと震え始めてしまった。
「任せて、おばあちゃん」と私は小声で言って、繋いでいた手を放して前に走り出る。
「危ないよ、戻っておいでー!」と、おばあちゃんの必死な声がするけど、ここで逃げたら絶対に後悔する。
『サンタ、そこらの石を拾ってウインドシュートだ』
『分かった。やっと実戦できる』
「ホッパーさん、しゃがんでー!」と大声で叫び、私は急いで拾った拳大の石を2個握って、悪い奴らの眉間目掛け「ウインドシュート」と唱えて石を投げた。
凄い勢いで石は飛んでいき、2人の男の額に命中しゴンと鈍い音をたてた。
「やったー、命中した」という私の声と「ギャーッ!」と叫ぶ悪人の声が重なる。
強盗犯2人は、額を押さえてしゃがみ込み「何なんだー!」と文句を言う。
「おじさん今の内に、早くこっちへ。逃げるわよ」
振り向いて何が起こったのか分からないって顔をしているホッパーさんに、私は手招きしながら指示だしする。
困惑顔のホッパーさんは、我に返って私の方に移動を始めるけれど、強盗犯もこのまま見逃してはくれず「逃がすか!」と怒鳴って追ってくる。
……うわー、顔面血だらけで気持ち悪い。
『ウインドバーストじゃ』
『了解サーク爺』
ホッパーさんが私の所まで辿り着いたところで、私は「ウインドバースト」と叫んで両手の掌を悪人の方に向け魔法を放った。
石が飛んだ速度と同じくらいの速さで、圧縮された空気の塊が飛んでいく。
目に見えない空気の塊を正面から受けた2人の強盗は吹っ飛び、8メートルくらい先に積まれていた木の箱に激突した。
ドーン、ガラガラと大きな音がして、2人の強盗は気を失った。
「お嬢ちゃん、今のはいったい何だい?」
信じられない光景を見たって顔で、おばあちゃんが尻もちをついて私に質問する。
……あっ、魔法を見られちゃった。
『間違いなく何か企んでおるようじゃな』と、サーク爺も不審がる。
『まさか殺しはしないと思うけど・・・変な服を買うとかの嫌がらせ?』
私だって良いことが待っているとは思わないけど、本当に隣の領地に行くのなら行ってみたい。
隣のゲートルの町にはトレジャーハンター協会があるし、古代都市ロルツの入場ゲートがある。
絶対に行ってみたいけど、1人で行動するのは無理だろうな。
翌日、オバサンは本当にゲートルの町に私を連れてきた。何故か意地悪ナリスティアも一緒だ。
移動する馬車の中で親子の会話を聞いていたら、ゲートルの町に行く目的が、ナリスティアが使う楽器を買うためだと分かった。
ナリスティアは専門職【芸術・音楽】を授かった、お金のかかるお子様だった。
到着したゲートルの町は、トレジャーハンターらしき人たちがたくさん歩いていて、古代都市から採掘された古代魔術具や一般器具、生活用品や楽器など様々な遺物を売る店が並んでいた。
侯爵領の領都とは違い、服装も着飾っている者は少なく、上品じゃないけど活気のある町みたいで心が躍った。
「サンタナリア、私たちは楽器店に行ってくるから、アナタはこの噴水の前で待っていなさい。分かった?」
オバサンが小声で、人通りの凄く多い噴水の前で私に命令する。
「う~ん、わかっちゃ?」と、私は首をコテンと傾げて答えた。
「嫌だ、この子絶対に理解してないわよお母さま。きっとお腹が空けば勝手に居なくなるわ。人攫いだって居るかもしれないしフフフ」
嬉しそうに私を見下すナリスティアは、こんなみすぼらしい服装じゃ貴族の子だと気付かれることはないしねと付け加え、オバサンと一緒に何処かへ行ってしまった。
『もしかして置き去り?』
『本当に分かり易い奴等じゃ。じゃから馬車の中でフルネームとか住所を言ってみろと、しつこくしておったのじゃな』
『間抜けな私じゃ、絶対に帰ってこられないって思ってるわよね。どうしようかなぁ。そうだ、予防線をはっておこう』
2人が姿を消してから1時間後、隠し持っていてお金を持って近くの屋台へと移動した。
「おばあちゃん、パンくだしゃい。じゅっとオバシャンとニャリシュテアを待ってるけど、にゃかにゃか帰ってこにゃいの。お腹すいたのよ」
「なんだって、こんな小さな子を1人で待たせて帰ってこないのかい?」
「うん、ふんしゅいの前にいにゃしゃいって、ゆってた」
そう言ってパンの代金を優しそうなおばあちゃんに渡すと、おばあちゃんはパンを手渡してくれ、両隣の屋台の人に私の状況を話し相談を始めた。
「ああ、私もずっと気になって見てたんだよ。小さな子が1人でいたからね」
串肉屋のおばさんは、どうやらずっと私を見ていたらしく「置き去りかも」って顔を曇らせた。
「買い物なら普通は一緒に連れて行くだろう? もう少し待っても迎えが来なかったら、警備隊に連絡しよう」
ちょっと怖い顔をした果物売りのおじさんは、私を不憫そうに見て言った。
……この町の人たちって良い人みたいね。なんだか嬉しくなるわ。
結局その後も迎えは来ず、最初に声を掛けたパン屋のおばあちゃんが、もう完売したからと警備隊に連れて行ってくれることになった。
警備隊詰め所への近道だという細い路地を歩いていると、前方から人の争うような声が聞こえてきた。
「ホッパーの旦那、有り金を全て出しな!」
「悪いことは言わねえ、命が大事ならそのカバンと内ポケットの財布を出しな」
滅茶苦茶人相の悪い大柄の男2人が細い路地を塞ぐように立ち、誰かを脅している現場に出くわしてしまった。
後ろ姿の男性は、どうやらホッパーさんという人らしい。
こっちを向いて脅している2人は、私たちの姿を視線に捉えたようで「早くしろ殺すぞ!」と声を荒らげる。
「どうしよう、ホッパー商会の旦那さんだ。善人と有名な旦那さんを襲うなんて」
どうやらおばあちゃんの知人だったみたいで、助けたいけど足が竦んで動けないと震え始めてしまった。
「任せて、おばあちゃん」と私は小声で言って、繋いでいた手を放して前に走り出る。
「危ないよ、戻っておいでー!」と、おばあちゃんの必死な声がするけど、ここで逃げたら絶対に後悔する。
『サンタ、そこらの石を拾ってウインドシュートだ』
『分かった。やっと実戦できる』
「ホッパーさん、しゃがんでー!」と大声で叫び、私は急いで拾った拳大の石を2個握って、悪い奴らの眉間目掛け「ウインドシュート」と唱えて石を投げた。
凄い勢いで石は飛んでいき、2人の男の額に命中しゴンと鈍い音をたてた。
「やったー、命中した」という私の声と「ギャーッ!」と叫ぶ悪人の声が重なる。
強盗犯2人は、額を押さえてしゃがみ込み「何なんだー!」と文句を言う。
「おじさん今の内に、早くこっちへ。逃げるわよ」
振り向いて何が起こったのか分からないって顔をしているホッパーさんに、私は手招きしながら指示だしする。
困惑顔のホッパーさんは、我に返って私の方に移動を始めるけれど、強盗犯もこのまま見逃してはくれず「逃がすか!」と怒鳴って追ってくる。
……うわー、顔面血だらけで気持ち悪い。
『ウインドバーストじゃ』
『了解サーク爺』
ホッパーさんが私の所まで辿り着いたところで、私は「ウインドバースト」と叫んで両手の掌を悪人の方に向け魔法を放った。
石が飛んだ速度と同じくらいの速さで、圧縮された空気の塊が飛んでいく。
目に見えない空気の塊を正面から受けた2人の強盗は吹っ飛び、8メートルくらい先に積まれていた木の箱に激突した。
ドーン、ガラガラと大きな音がして、2人の強盗は気を失った。
「お嬢ちゃん、今のはいったい何だい?」
信じられない光景を見たって顔で、おばあちゃんが尻もちをついて私に質問する。
……あっ、魔法を見られちゃった。
152
あなたにおすすめの小説
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる