三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~

杵築しゅん

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サンタさん、トレジャーハンターになる

20 怒濤のデビュー戦(4)

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 新しく発見されたロードへと足を踏み入れると、何故か微かに風を感じた。

『風を感じるじゃと? それならこのロードは地上に繋がっている可能性がある。煙を出せば風の来る方角が分かるじゃろう』

『これって、皆に言った方がいいの?』

『そうじゃのう、もう既に分かっておるやもしれんが、言うのは構わんじゃろう』

 いつものように一人百面相をしながら頷き、皆に話すことにした。

「サブチーフ、みんな、風を感じるからこのロードは、外に繋がっているかもしれない。煙を出せば方角が分かるよ」

 私は前方に現れた幾つかの側道に視線を向けたまま、皆に気付いたことを話す。

「やはり風か・・・俺も感じたが、それにしてもサンタさん、その知識は何処からくるんだ?」

「サブチーフ、ちょっと話したと思うけど、私には天才魔法使いの師匠がいるよね。その師匠は守護霊みたいに常に私と一緒に居るの。
 だから皆には聞こえなくても、私はよく師匠と会話していて、一人で頷いたりむくれたり怒ったりと百面相してるんだよ。
 目には見えないけど、パーティーメンバーがもう一人居るって思ってね」

 もう面倒だから、私は全てぶっちゃけることにした。
 私がそう思うって言うより、師匠がそう言ってるっていう方が信用度が上がるはずだし、幼児らしからぬ言動や行動は、全てサーク爺のせいにすれば問題なし。
 よっしゃー!

『サンタや、それは違うんじゃないか?』と、サーク爺が文句を言う。

 皆の反応を見ると、ホッパーさんは納得した感じで微笑み、お爺様はなんだか諦めの表情で、魔術師のファーズさんは「素晴らしいです」と何故か感動している。
 サブチーフや【最速踏破者】のメンバーやポーターさんは、首を捻りながら考えているけど、どうやら守護霊を理解するのが難しかったみたい。

「だから私は、よく独り言を言ってると思われるけど、ちゃんと師匠のサーク爺と会話してるから。独り言じゃないから」

「う~ん、よく分からんが、サンタさんの隣に魔法の師匠が居るって思えばいいんだな」

 サブチーフがそう言うと、【最速踏破者】のメンバーは「そういうことか、なるほど」っと言って理解したっぽい。

「ああ、やけに頭がいいと思ったら、師匠の知恵だったんだな」って、リーダーのカーリンさんが納得したように頷く。

「うん、そういうことリーダー。だからね、未確認地底生物は、地底じゃなくて地上の生物の可能性もあるってこと」

 私はにっこり笑って、次に考えられることを予想し意見を言ってみる。

「いや、全然分からんわ! それも師匠の言葉か?」

「ううん、これは私の考え。古代都市の地上は、荒れ地の部分以外は広大な森や深い谷でしょう? だから、そういうこともあるかなって・・・」

 私がリーダーにそう答えると、皆がまたスッと表情を失くし、目をパチパチさせたり、2本指で眉間をぐりぐりしたり、こめかみぐりぐりを始めた。

 ……ん? 私、何か変なこと言った?

「皆さん、サンタさんのことは、天才だと思っていた方が楽ですよ。
 実は私、あることを思い出しました。7年前に国王が、新しい資源を求めて古代都市の地上を調査させたことがあったんです。
 あの時、巨大なトカゲや巨大な鳥、そして地底生物よりも凶暴な獣が出て、多くの兵士が死傷しました。
 現在は、隣国との戦争のこともあり、調査は中止されています」

 そう話すのはホッパーさんだ。
 その調査の時に、ホッパー商会は食料や野営道具の調達を担当したが、全く利益にならず無償で薬まで提供させられ損をしたと、ちょっと毒を吐きながら説明してくれた。

「おお、わしも覚えておる。わしが今のファイト子爵領を任される前のことで、今のファイト子爵領から森に入り、ゲートルの町の方角へ南下したと聞いておる」

 お爺様も当時を思い出しながら、調査は困難を極めたと指揮を執ったロルツラ侯爵から聞いていたようだ。

 もしも本当に地上と繋がっていたら、手に負えない生物と対峙する可能性が高くなる。だからなのか、ブラックワームの時のやる気と闘志は何処かへ消えてしまったみたい。
 深層部へと繋がれば、魔術具などのお宝が眠っている可能性もあるけど、地上じゃあ金目の物は期待できないだろうなって。


「でもさあ、地上の谷とかに繋がっていたら、誰も見たことのない未開の資源があるしれないし、巨大トカゲなら素材としては最高しれないよ。
 私はワクワクする。誰にも発見されていないルートができるって考えたら、凄いことだよね。国にも貢献できるだし」 

「そ、そういうこともある・・・のか?」と、リーダーのカーリンさん。

「そ、そうだよな、地上でもお宝があるかもしれないよな」と、サバンヤさん。

「まあ、あれだ。何処であろうとトレジャーハンターは、お宝を求めて戦うだけだ。なんだか俺も、ちょっとだけワクワクしてきたぞ」と、サブチーフ。

「もしかしたら、地上からなら入れる深層部へのロードだってあるかもしれない。
 未知なるものを探求するのがロマン! 想像力を働かせれば、深い谷にはSランク地底生物の墓場があるかもしれない。
 そしたらさあ、何があると思う?」

 私は皆に視線を向け、黒く微笑みながら問う。

「Sランク地底生物の墓場なら・・・あっ! 魔核、魔核が有るかもしれない」

「はい正解! そう考えたら、このロードが何処に繋がっていても楽しそうでしょう? 風が吹いてる。それだけで、ぼろ儲けの予感がするもの」

 私はリーダーにウインクして、ぼろ儲けする未来を描きニヤリと微笑む。

「あぁ、最後のぼろ儲けって話を聞かなかったら、本当にかっこいいロマン話だったのに、この幼児は本当に・・・今のは絶対に師匠じゃなくて、サンタさんの意見だよな?」

 ……ちょっと、なんで残念な子を見るような視線を私に向けるのサブチーフ?
 ……トレジャーハンターがお宝を求めて何が悪いの? ねえ、何が悪いの?


 ズン、ドス、ドシーン!

 私が口を尖らせてむくれた瞬間、ロードの奥から地響きが伝わってきた。 
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