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サンタさん、目標を決める
25 魔術の練習
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今日の午後から、魔法の指導と魔術の勉強が始まる。
私が魔法を教えるのは魔術師のファーズさんと、アレス(アンタレス)君。
アンタレス君とは、サンタさん、アレス君と呼び合うことにした。
私のことを師匠って呼んでたから、互いに呼び名を変えたんだよね。
3日後の午前には、ホッパーさんの依頼を受けた家庭教師がやってくる。
私とアレス君の生活は、勉強も含めてどんどん充実していく。
家庭教師のお兄さんは、昨年王立高学園の教育学部を卒業したばかりで、本当はアロー公爵家で家庭教師として働く予定だったみたい。
でも、教えるはずのトーラス君10歳は、体調を崩して母方の実家に静養に行ってしまったとか。
私とアレス君は、暗殺や毒殺を企む公爵様の弟ヒバド伯爵から身を守るため、極秘でトーラス君を公爵邸から移動させたって、ホッパーさんから聞いて真相を知っている。
ホッパーさんはアレス君を守るためにも、アロー公爵家の事情を私に隠さないで話すことにしたそうだ。
そしてできることなら、アレス君に魔法を伝授し、共に【高位・魔術師】を目指して欲しいのだと、幼児である私に心の内を明かしてくれた。
新ロード探索から帰って、ホッパーさんは私を18歳くらいの大人扱いするつもりだと笑って言っていた。
サーク爺も、幼児扱いされるより話が通じる分、共に対策が立てられると歓迎している。
さて今日は、先に私が魔法についてファーズさんに教える。
その間アレス君は、魔力循環と手のひらに魔力を集める練習をしている。
ファーズさんには、魔法とは何かってところから説明するんだけど、アレス君と違って魔術の概念が強いせいか、年齢的に柔軟に考えられないのか、基本的なところで躓いてしまう。
それでもアレス君と一緒に魔力循環を始めたら、「これが魔力かぁ!」って凄く驚いていた。今まで魔力を正しく感じることなく魔術を使っていたなんて、私の方が驚きだよ。
ファーズさんによると魔術は、正しい詠唱の言葉と正確な魔法陣を覚えることから学び、職業選別で魔術師を授かった人なら、それだけで魔術が使えるんだって。
でもその分、新しい魔術を開発することは難しく、これまで使われてきた詠唱と魔法陣をたくさん使えて、高度な魔法陣を発動できる魔術師が【高位・魔術師】として認められるらしい。
だから私の魔法を見て目から鱗で、魔法陣なしで物体を破壊するなんて信じられなかったって。
2日目は、私とアレス君が先に魔術の基礎を教わった。
と言っても詠唱の定型文を覚えたら、アレス君は難なく下位・魔術師レベルをクリアし、私は試しに中位・魔術師レベルの詠唱をしたら発動できた。
もちろんファーズさんは目が点だったよ。
たった1回の講義で、しかも初日で発動させた私とアレス君にね。
……う~ん、これって努力とか血の滲むような訓練とかって必要?
……ああ、私もアレス君も、発動させる魔術を具体的に想像し、頭の中でイメージしてから詠唱する癖ができてるからだ。
魔法使いは、先に頭の中で発動させる魔法のイメージをしっかり描いて、そのイメージに合った詠唱を自由に行う。
でも魔術を学ぶ新人は、頭の中に発動後のイメージじゃなく言葉を思い浮かべてしまうから、発動まで3か月くらい時間がかかるんだろうな。
「あのねファーズさん、私はこの石を空中に浮かせる時、「石よ浮け」って命じるけど、アレス君は「石よ30センチ上に浮け」って詠唱するのよね。
同じ魔法を行使するのに、詠唱は同じじゃない。
それでも魔法が使えるのは、頭の中で石を浮かせることをずっとイメージしてるからだよ」
「なんと、たったそれだけで石が浮くのですか?」
半信半疑、でも、折角だから魔法を使えるようになりたいと真摯に願うファーズさんは、魔術師として学んできた詠唱を考えないようにして「石よ、膝の高さまで上がれ」と言って魔法を発動させようとした。
すると拳大の石は、ひゅんと膝の高さまで上がって直ぐに落ちた。
「あっ、上がった! えっ、何故、何故直ぐに落ちるんだ?」
喜び半分、残念さ半分って感じで、ファーズさんが私に問う。
「あのね、魔法を発動させる時に、石が止まるイメージを持たなきゃダメなんだよ。う~ん、次は、石よ、膝の高さまで上がって止まれって言ってみて」
私の話を聞いたファーズさんは、分かったと頷いて直ぐに試してみる。
すると今度は、ちゃんと石が空中に止まってくれた。
「なんてことだ! これだけで、たったこれだけで魔法は発動する。
これまで使ってきた魔術の詠唱は・・・いったい何だったんだー!」
ああ、ファーズさんが泣き崩れちゃった。
「でもねファーズさん、魔法は魔術と違って魔力量が重要なんだよ。
サーク爺がね、ファーズさんは、まあまあ魔力量があるから直ぐに使えるようになったけど、魔力量が少ないと血の滲む訓練で魔力量を上げなきゃいけないんだって。
良かったね、血の滲む訓練はしなくていいみたいだよ」
泣きながら地面を叩いているファーズさんに、私は笑顔を向けて言った。
そこからのファーズさんの飲み込みは早かった。
でも私の5分の1くらいの魔力量(サーク爺の見立て)のファーズさんは、【ウインドシュート】で石を飛ばせる距離が、私の3分の1くらいだった。
せめて10メートルは飛ばせるようになりたいと、これから頑張るらしい。
自分で考えた詠唱「風よ石を10メートル飛ばせ」とか、「風よ目に見えぬ速さで石を5メートル飛ばせ」って感じで、いろいろ試してみるようだ。
2日目からアレス君も石飛ばしの練習を始めたけど、なかなか上手くいかない。
ファーズさんは元々動力系の魔術が得意だったから、物体を動かすイメージが作り易かったようだ。
『サンタよ、アレスは風属性が得意ではないのかもしれん。水属性で水を飛ばすよう指示してみてはどうじゃ?』
『水属性? 私が苦手な属性ね。分かった。言ってみる』
そこからアレス君の快進撃が始まるんだけど、アレス君は【水】と【土】属性に優れていると分かった。
私? 私は全属性が使えるはずだってサーク爺が言ってたけど、まだ【風】と【炎】と【念力】しか使えない。
私が魔法を教えるのは魔術師のファーズさんと、アレス(アンタレス)君。
アンタレス君とは、サンタさん、アレス君と呼び合うことにした。
私のことを師匠って呼んでたから、互いに呼び名を変えたんだよね。
3日後の午前には、ホッパーさんの依頼を受けた家庭教師がやってくる。
私とアレス君の生活は、勉強も含めてどんどん充実していく。
家庭教師のお兄さんは、昨年王立高学園の教育学部を卒業したばかりで、本当はアロー公爵家で家庭教師として働く予定だったみたい。
でも、教えるはずのトーラス君10歳は、体調を崩して母方の実家に静養に行ってしまったとか。
私とアレス君は、暗殺や毒殺を企む公爵様の弟ヒバド伯爵から身を守るため、極秘でトーラス君を公爵邸から移動させたって、ホッパーさんから聞いて真相を知っている。
ホッパーさんはアレス君を守るためにも、アロー公爵家の事情を私に隠さないで話すことにしたそうだ。
そしてできることなら、アレス君に魔法を伝授し、共に【高位・魔術師】を目指して欲しいのだと、幼児である私に心の内を明かしてくれた。
新ロード探索から帰って、ホッパーさんは私を18歳くらいの大人扱いするつもりだと笑って言っていた。
サーク爺も、幼児扱いされるより話が通じる分、共に対策が立てられると歓迎している。
さて今日は、先に私が魔法についてファーズさんに教える。
その間アレス君は、魔力循環と手のひらに魔力を集める練習をしている。
ファーズさんには、魔法とは何かってところから説明するんだけど、アレス君と違って魔術の概念が強いせいか、年齢的に柔軟に考えられないのか、基本的なところで躓いてしまう。
それでもアレス君と一緒に魔力循環を始めたら、「これが魔力かぁ!」って凄く驚いていた。今まで魔力を正しく感じることなく魔術を使っていたなんて、私の方が驚きだよ。
ファーズさんによると魔術は、正しい詠唱の言葉と正確な魔法陣を覚えることから学び、職業選別で魔術師を授かった人なら、それだけで魔術が使えるんだって。
でもその分、新しい魔術を開発することは難しく、これまで使われてきた詠唱と魔法陣をたくさん使えて、高度な魔法陣を発動できる魔術師が【高位・魔術師】として認められるらしい。
だから私の魔法を見て目から鱗で、魔法陣なしで物体を破壊するなんて信じられなかったって。
2日目は、私とアレス君が先に魔術の基礎を教わった。
と言っても詠唱の定型文を覚えたら、アレス君は難なく下位・魔術師レベルをクリアし、私は試しに中位・魔術師レベルの詠唱をしたら発動できた。
もちろんファーズさんは目が点だったよ。
たった1回の講義で、しかも初日で発動させた私とアレス君にね。
……う~ん、これって努力とか血の滲むような訓練とかって必要?
……ああ、私もアレス君も、発動させる魔術を具体的に想像し、頭の中でイメージしてから詠唱する癖ができてるからだ。
魔法使いは、先に頭の中で発動させる魔法のイメージをしっかり描いて、そのイメージに合った詠唱を自由に行う。
でも魔術を学ぶ新人は、頭の中に発動後のイメージじゃなく言葉を思い浮かべてしまうから、発動まで3か月くらい時間がかかるんだろうな。
「あのねファーズさん、私はこの石を空中に浮かせる時、「石よ浮け」って命じるけど、アレス君は「石よ30センチ上に浮け」って詠唱するのよね。
同じ魔法を行使するのに、詠唱は同じじゃない。
それでも魔法が使えるのは、頭の中で石を浮かせることをずっとイメージしてるからだよ」
「なんと、たったそれだけで石が浮くのですか?」
半信半疑、でも、折角だから魔法を使えるようになりたいと真摯に願うファーズさんは、魔術師として学んできた詠唱を考えないようにして「石よ、膝の高さまで上がれ」と言って魔法を発動させようとした。
すると拳大の石は、ひゅんと膝の高さまで上がって直ぐに落ちた。
「あっ、上がった! えっ、何故、何故直ぐに落ちるんだ?」
喜び半分、残念さ半分って感じで、ファーズさんが私に問う。
「あのね、魔法を発動させる時に、石が止まるイメージを持たなきゃダメなんだよ。う~ん、次は、石よ、膝の高さまで上がって止まれって言ってみて」
私の話を聞いたファーズさんは、分かったと頷いて直ぐに試してみる。
すると今度は、ちゃんと石が空中に止まってくれた。
「なんてことだ! これだけで、たったこれだけで魔法は発動する。
これまで使ってきた魔術の詠唱は・・・いったい何だったんだー!」
ああ、ファーズさんが泣き崩れちゃった。
「でもねファーズさん、魔法は魔術と違って魔力量が重要なんだよ。
サーク爺がね、ファーズさんは、まあまあ魔力量があるから直ぐに使えるようになったけど、魔力量が少ないと血の滲む訓練で魔力量を上げなきゃいけないんだって。
良かったね、血の滲む訓練はしなくていいみたいだよ」
泣きながら地面を叩いているファーズさんに、私は笑顔を向けて言った。
そこからのファーズさんの飲み込みは早かった。
でも私の5分の1くらいの魔力量(サーク爺の見立て)のファーズさんは、【ウインドシュート】で石を飛ばせる距離が、私の3分の1くらいだった。
せめて10メートルは飛ばせるようになりたいと、これから頑張るらしい。
自分で考えた詠唱「風よ石を10メートル飛ばせ」とか、「風よ目に見えぬ速さで石を5メートル飛ばせ」って感じで、いろいろ試してみるようだ。
2日目からアレス君も石飛ばしの練習を始めたけど、なかなか上手くいかない。
ファーズさんは元々動力系の魔術が得意だったから、物体を動かすイメージが作り易かったようだ。
『サンタよ、アレスは風属性が得意ではないのかもしれん。水属性で水を飛ばすよう指示してみてはどうじゃ?』
『水属性? 私が苦手な属性ね。分かった。言ってみる』
そこからアレス君の快進撃が始まるんだけど、アレス君は【水】と【土】属性に優れていると分かった。
私? 私は全属性が使えるはずだってサーク爺が言ってたけど、まだ【風】と【炎】と【念力】しか使えない。
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