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サンタさん、目標を決める
38 アロー公爵家の闇(1)
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折角の誕生日会だったけど、アロー公爵家から届いた知らせは、どうやら良くない知らせだったようで、ホッパーさんは作り笑顔で少し席を外すと言って出て行った。
『サーク爺、お願いしていい?』
『了解じゃ』
こういう時に守護霊の存在は有難い。
私が動かなくても、3人の守護霊なら移動して壁もすり抜け状況を確認できる。ただし、私から離れられるのは300メートルくらいだ。
『どうやら、アロー公爵家の嫡男、アレスの父親の体調が良くないようじゃ。
じゃが、アロー公爵はこの町に派遣される調査隊の責任者じゃから、思うように動けんらしい。
しかも調査隊の中に、アレスの命を狙うヒバド伯爵の息のかかった魔術師が紛れ込んでおるようじゃ』
『は~っ、まだアレス君の命を狙っているの? 当の本人は己の手を汚さず、メイドや子飼いの魔術師を使う卑怯者。
それで、アロー公爵はアレス君と父親を会わせるつもり?』
『いや、敵はアレスが公爵や父に会うことを期待して命を狙いにくる。危険じゃから王都には来るなと書いてあったぞ』
ホッパーさんの手紙をこっそり盗み見たサーク爺が、その内容を教えてくれる。
私は皆に覚られないよう、デザートの葡萄を口に運んで「美味しいね」って誤魔化しておく。
私はポーカーフェイスが苦手だから、食べたり食べたり、笑顔で美味しそうに食べることで、自分の感情や念話していることを誤魔化す術を身に付けた。
デザートを食べ終わる頃、副店長がお爺様の耳元で何かを話し、お爺様は頷いて部屋を出ていった。
『今度は俺が行ってくるわ』って、トキニさんが偵察に行ってくれる。
その間、アロー公爵家の事情を何も知らない、新しく仲間になった守護霊のパトリシアさんにサーク爺が色々と説明していく。
『う~ん、毒を盛られたんだ。
どんな毒かは分からないけど、先程話していた【聖なる地】を守っているイオナの木の葉には、毒消し作用があったはずよ』
パトリシアさんは各地を巡る冒険者をしていたので、毒蛇や毒のある動植物などから身を守るため、毒消し作用のある植物の知識を持っていた。
その知識の中に、なんとイオナの木も入っていたらしい。
『えっ、毒消しって解毒のこと? それって、煎じて飲めばいいだけ?』
『そうねえ、記憶が曖昧だから、実物を見たらいろいろ思い出すと思うわ』
パトリシアさんと念話していたら、トキニさんが帰ってきた。
『ホッパーさんはアレスを守るため、調査隊が帰るまでファイト子爵領でアレスを預かって欲しいと頼んどったで。
父親が亡くなれば、次は必ずアレスを狙い、その次は現アロー公爵の命を狙うはずやってホッパーさんが・・・』
『ああ、なんて面倒臭い奴なのヒバド伯爵。息子を次期公爵にしたいんじゃなくて、自分が公爵になりたいってことね。ふう』
ことは緊急を要する事態。だから私は椅子から立ち上がると、アレス君の腕を掴んで「ホッパーさんの所に行くわよアレス君」と言って、強引に移動していく。
そして許可もなくバーンとドアを開けて、ホッパーさんの執務室に突入した。
「ホッパーさん、アレス君のお父さんを急いでゲートルの町に連れてきて!
新しい守護霊のパトリシアさんが、【聖なる地】を守っているイオナの葉に、解毒作用があるって!
いろいろな薬を試してダメだったんなら、ダメもとでイオナの葉を試して欲しいの。王都に居たら、絶対にダメ!」
いきなり部屋に入ってきて、とんでもないことを言う私に、ホッパーさんもお爺様も唖然とした表情で私を見る。
「サンタナリア、大人の大事な話に口を挟むな!」
お爺様は私に厳しい視線を向け、勝手に情報を得た私を本気で叱咤する。
「いえファイト子爵様、サンタさんの話を、解毒の話を詳しく聞かせて欲しいです。あの巨木に解毒作用があるのですか?」
ホッパーさんは私を叱らず、解毒という話の内容に反応して近付いてくる。
「そうみたい。あの木は、他の場所では確認されていないし、今の時代では発見されていない可能性の方が高いから、イオナの葉は試していないと思うの」
「じゃが、危篤状態のホロル様を、この町に移動させるのは不可能だぞサンタナリア」
お爺様は眉を寄せ、私の話を否定する。
「えっ! お父様が危篤なんですか?」
何も知らなかったアレス君が、自分の父親のことを話し合っていると気付き、驚いた表情で私とホッパーさんを見て泣きそうな顔をする。
『サンタさん、焦り過ぎやで。アレスのことも考えてやらなぁアカンでぇ』
『でもトキニさん、アレス君こそ知る権利があるし、命に関することなんだから除け者にするのは違うと思う』
『う~ん、遣り方が悪いぞサンタや。5歳になったばかりじゃ経験値が足りんのじゃろうが、大事なことには根回しとか段取りを考えてから言うもんじゃ』
みんなが私を叱る。
経験不足って・・・仕方ないじゃん。
5歳の幼女が大人と同じように考えられるはずがないし、正解か不正解かなんて考えていたら、時間が無くなっちゃうって思ったんだもん。
「ホッパーさん、教えてください。お父様は、お父様は危険な状態なんですか?」
アレス君が真剣な顔をして、私の前に居るホッパーさんに詰め寄っていく。
「アレス君、危険なのは君も同じだ。今回の調査団を率いているのはアロー公爵様だが、その調査団の中に君の命を狙う悪人が含まれていると、この知らせに書いてあった。
公爵様は、最優先で君を悪人から守れと指示を出された。
ファイト子爵様にご了承いただいたので、調査が終わるまで、ファイト子爵領に身を隠して欲しい」
もう隠すことはできないと判断した様子のホッパーさんは、アレス君に危険なのは父親だけではないと告げ、身を隠して欲しいと言った。
「僕は、お父様に会いたいです。お母さまも亡くし・・・お父様まで・・・そんなの・・・どうして、なんで」
突然あれこれと悪い情報を聞かされたアレス君は、泣きながら父親に会いたいと懇願する。
ホッパーさんもお爺様も、困った顔をしてどうしたものかと思案する。
「私、これから【聖なる地】に行ってくる!」
『サーク爺、お願いしていい?』
『了解じゃ』
こういう時に守護霊の存在は有難い。
私が動かなくても、3人の守護霊なら移動して壁もすり抜け状況を確認できる。ただし、私から離れられるのは300メートルくらいだ。
『どうやら、アロー公爵家の嫡男、アレスの父親の体調が良くないようじゃ。
じゃが、アロー公爵はこの町に派遣される調査隊の責任者じゃから、思うように動けんらしい。
しかも調査隊の中に、アレスの命を狙うヒバド伯爵の息のかかった魔術師が紛れ込んでおるようじゃ』
『は~っ、まだアレス君の命を狙っているの? 当の本人は己の手を汚さず、メイドや子飼いの魔術師を使う卑怯者。
それで、アロー公爵はアレス君と父親を会わせるつもり?』
『いや、敵はアレスが公爵や父に会うことを期待して命を狙いにくる。危険じゃから王都には来るなと書いてあったぞ』
ホッパーさんの手紙をこっそり盗み見たサーク爺が、その内容を教えてくれる。
私は皆に覚られないよう、デザートの葡萄を口に運んで「美味しいね」って誤魔化しておく。
私はポーカーフェイスが苦手だから、食べたり食べたり、笑顔で美味しそうに食べることで、自分の感情や念話していることを誤魔化す術を身に付けた。
デザートを食べ終わる頃、副店長がお爺様の耳元で何かを話し、お爺様は頷いて部屋を出ていった。
『今度は俺が行ってくるわ』って、トキニさんが偵察に行ってくれる。
その間、アロー公爵家の事情を何も知らない、新しく仲間になった守護霊のパトリシアさんにサーク爺が色々と説明していく。
『う~ん、毒を盛られたんだ。
どんな毒かは分からないけど、先程話していた【聖なる地】を守っているイオナの木の葉には、毒消し作用があったはずよ』
パトリシアさんは各地を巡る冒険者をしていたので、毒蛇や毒のある動植物などから身を守るため、毒消し作用のある植物の知識を持っていた。
その知識の中に、なんとイオナの木も入っていたらしい。
『えっ、毒消しって解毒のこと? それって、煎じて飲めばいいだけ?』
『そうねえ、記憶が曖昧だから、実物を見たらいろいろ思い出すと思うわ』
パトリシアさんと念話していたら、トキニさんが帰ってきた。
『ホッパーさんはアレスを守るため、調査隊が帰るまでファイト子爵領でアレスを預かって欲しいと頼んどったで。
父親が亡くなれば、次は必ずアレスを狙い、その次は現アロー公爵の命を狙うはずやってホッパーさんが・・・』
『ああ、なんて面倒臭い奴なのヒバド伯爵。息子を次期公爵にしたいんじゃなくて、自分が公爵になりたいってことね。ふう』
ことは緊急を要する事態。だから私は椅子から立ち上がると、アレス君の腕を掴んで「ホッパーさんの所に行くわよアレス君」と言って、強引に移動していく。
そして許可もなくバーンとドアを開けて、ホッパーさんの執務室に突入した。
「ホッパーさん、アレス君のお父さんを急いでゲートルの町に連れてきて!
新しい守護霊のパトリシアさんが、【聖なる地】を守っているイオナの葉に、解毒作用があるって!
いろいろな薬を試してダメだったんなら、ダメもとでイオナの葉を試して欲しいの。王都に居たら、絶対にダメ!」
いきなり部屋に入ってきて、とんでもないことを言う私に、ホッパーさんもお爺様も唖然とした表情で私を見る。
「サンタナリア、大人の大事な話に口を挟むな!」
お爺様は私に厳しい視線を向け、勝手に情報を得た私を本気で叱咤する。
「いえファイト子爵様、サンタさんの話を、解毒の話を詳しく聞かせて欲しいです。あの巨木に解毒作用があるのですか?」
ホッパーさんは私を叱らず、解毒という話の内容に反応して近付いてくる。
「そうみたい。あの木は、他の場所では確認されていないし、今の時代では発見されていない可能性の方が高いから、イオナの葉は試していないと思うの」
「じゃが、危篤状態のホロル様を、この町に移動させるのは不可能だぞサンタナリア」
お爺様は眉を寄せ、私の話を否定する。
「えっ! お父様が危篤なんですか?」
何も知らなかったアレス君が、自分の父親のことを話し合っていると気付き、驚いた表情で私とホッパーさんを見て泣きそうな顔をする。
『サンタさん、焦り過ぎやで。アレスのことも考えてやらなぁアカンでぇ』
『でもトキニさん、アレス君こそ知る権利があるし、命に関することなんだから除け者にするのは違うと思う』
『う~ん、遣り方が悪いぞサンタや。5歳になったばかりじゃ経験値が足りんのじゃろうが、大事なことには根回しとか段取りを考えてから言うもんじゃ』
みんなが私を叱る。
経験不足って・・・仕方ないじゃん。
5歳の幼女が大人と同じように考えられるはずがないし、正解か不正解かなんて考えていたら、時間が無くなっちゃうって思ったんだもん。
「ホッパーさん、教えてください。お父様は、お父様は危険な状態なんですか?」
アレス君が真剣な顔をして、私の前に居るホッパーさんに詰め寄っていく。
「アレス君、危険なのは君も同じだ。今回の調査団を率いているのはアロー公爵様だが、その調査団の中に君の命を狙う悪人が含まれていると、この知らせに書いてあった。
公爵様は、最優先で君を悪人から守れと指示を出された。
ファイト子爵様にご了承いただいたので、調査が終わるまで、ファイト子爵領に身を隠して欲しい」
もう隠すことはできないと判断した様子のホッパーさんは、アレス君に危険なのは父親だけではないと告げ、身を隠して欲しいと言った。
「僕は、お父様に会いたいです。お母さまも亡くし・・・お父様まで・・・そんなの・・・どうして、なんで」
突然あれこれと悪い情報を聞かされたアレス君は、泣きながら父親に会いたいと懇願する。
ホッパーさんもお爺様も、困った顔をしてどうしたものかと思案する。
「私、これから【聖なる地】に行ってくる!」
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