43 / 190
サンタさん、人助けをする
43 遺跡調査(2)
しおりを挟む
ざわつく室内を見回し、トレジャーハンター協会の最高幹部でもある高位・鑑定士のボルロさん52歳が立ち上り、調査団をひと睨みして口を開いた。
「しかも恥ずかしがり屋で、初対面の人間には顔を見られるのを嫌がるため、常日頃からフードを被っている。なにせハンターは強面の者が多いのでな。
高位な立場である皆さんは、まさかこんな幼児を、睨み付けたり脅すような下品なことはされないと信じていますよ。
この子は、私も含め、協会が最も期待している準銀級ハンターですからね」
【聖なる地】へ一緒に行ったことがあるボルロさんが、私を守るために黒い笑顔で皆さんに釘を刺してくれた。
ボルロさん自身も伯爵だけど、元々キース侯爵家の3男で、鑑定士としての功績を広く知られている生粋の高位貴族だ。
おまけに、王立能力学園の特別講師でもあるため、調査団の副責任者に任命されている。
……ボルロさん大好き! いつか魔核を使った拡張型のカバンを作ってあげるね。
まあそんなこんなの対面式だったけど、調査団の大多数はボルロさんと同年代のベテランが多いから、可愛い孫を見るような目で見てくれる人もいた。
明日からの予定を調査団と一緒に話し合い、とりあえず1週間分の計画と、大まかな調査計画を立てた。
問題になったのが発見された扉の件で、魔力持ちでなければ扉の先に進めないという報告に、天文・気象学を専門とするガリア教会大学のメンバーが、自分たちも扉の中に入りたいとごねたことだろうか。
扉の件は、まだ未確認事項も多いので、魔力持ち以外が本当に入れないのかどうかは不明なのだとファーズさんが説明した。
魔術師が入れる場所まで入って、天文・気象学者の調査が必要であると判断したら方法を考えると、調査団の責任者であるアロー公爵が約束した。
……あの人がアレスにいにのお爺様かぁ・・・にいにと同じ金髪にブルーの瞳だ。きっと一緒に並んだら、親族だって一発でバレちゃうな。
……ファイト子爵領に隠れて正解だったよ、アレスにいに。
……私が絶対に、お爺様を守るからね!
そして夕食後、私は支部の3階にある要人専用の応接室で、チーフとサブチーフ、調査団の責任者であるアロー公爵と副責任者であるボルロさんと面会した。
翌朝、私は光猫のシリスを連れ、調査団21人とポーター2人、案内人である魔術師のファーズさんとサブチーフ、そして大事な最速踏破者メンバー6人の合計32人で古代都市ロルツのゲートへと向かう。
地底生物との遭遇を考慮し、護衛としてもっとハンターを同行させた方がいいのではないかと、出発前に学者の皆さんが心配し始めた。
「護衛として是非に参加させて欲しいと要請してきた王宮魔術師団の2人がいる。
余程の自信があって参加したのだろうから、最後尾を任せても大丈夫だろう」
アロー公爵は、少しばかり含みのある言い方で部外者の参加を拒んだ。
現在【聖なる地】は、うち以外のパーティーは立ち入り禁止になっている。
アロー公爵家の乗っ取りを企むヒバド伯爵は、職業選別で【中位・戦略】を授かり、魔術師ではないが【王宮魔術師団】の幹部として在籍している。
だから王宮魔術師団から参加しているラースク子爵40歳と、要注意人物指定しているロールテン19歳は、間違いなくヒバド伯爵の手の者だろう。
バカ息子のナックル24歳も、当然、王宮魔術師団に所属している。
王宮魔術師団の2人は中位・魔術師で、人間と戦うことが仕事だけど、地底生物と1回戦った経験があると自慢していた。
今回の調査団に参加するため、アロー公爵領のゲートがある町で、金級パーティーを同行させて経験を積んだらしい。
……たった1回で経験を積んだって言える? 死にたいのかな?
『まあ、死んでもいいような人間を選出しているんじゃろう。
もしも死ねば、ゲートルの町に来ているバカ息子と、別行動をしている仲間と思われるもう1人の魔術師が、代替え要員として参加するんじゃろう』
バカ息子の監視をしていたサーク爺が、蔑みを込めて言う。
『サンタさんと遠く離れることができんのは残念や。今頃はもう1人の奴とゴソゴソしとるんやないか?』
トキニさんの言うゴソゴソは、他のパーティーに同行させろと頼むことだ。
調査団が来る前に金貨2枚をちらつかせて依頼したけど、誰も国の法を犯してまで【聖なる地】に行こうとはしなかった。
でも、金級パーティーの【選ばれし勇者】は、1人金貨5枚なら考えてもいいと返事をしているらしい(パトリシアさん情報)。
案の定というかガッカリというかゲートの直前で、【選ばれし勇者】パーティーと遭遇した。
彼等はイオナロードの1キロまでしか入らないと書かれた、誓約書にサインをしているところだった。
『様子見かなぁ?』と、私はフードを被ったままでリーダーのボイルを見る。
『いや、顔を売りに来たんちゃうかサンタさん』とトキニさんは言う。
『そうね。もしも地底生物に出会って退治したら、調査団に参加できるかもって話してたから、売り込みなんじゃない。
このパーティーは、自分たちは金級パーティーなのに、何故【聖なる地】に入れないってチーフとサブチーフに度々ごねてたのよね』
俺は伯爵家の子息で金級ハンターなんだと威張り、常に女性を侍らせて大きな顔をしているリーダーボイルのことが、大嫌いなパトリシアさんの口調は冷たい。
ゲートを通過して、予想通り調査団の少し前を進む【選ばれし勇者】たちを見て、私を抱っこしているサブチーフは大きな溜息を吐いた。
どうやらパトリシアさんと同じことを考えてたみたい。
私たち調査団は、先頭を【最速踏破者】6人が務め、直ぐ後ろにサブチーフと抱っこされた私と魔術師のファーズさんが続く。
次に魔術師チーム4人、続いて鑑定士チーム3人(チーフを含む)、歴史学者チーム2人、地質学者チーム2人、天文学者チーム2人、気象学者チーム2人、工業学者チーム6人(内2人はポーター)、最後尾は魔術師チームに所属している王宮魔術師団の2人だ。合計32人の隊列で進んでいる。
「ん? 誰か前方で戦闘中みたいだよサブチーフ」
「しかも恥ずかしがり屋で、初対面の人間には顔を見られるのを嫌がるため、常日頃からフードを被っている。なにせハンターは強面の者が多いのでな。
高位な立場である皆さんは、まさかこんな幼児を、睨み付けたり脅すような下品なことはされないと信じていますよ。
この子は、私も含め、協会が最も期待している準銀級ハンターですからね」
【聖なる地】へ一緒に行ったことがあるボルロさんが、私を守るために黒い笑顔で皆さんに釘を刺してくれた。
ボルロさん自身も伯爵だけど、元々キース侯爵家の3男で、鑑定士としての功績を広く知られている生粋の高位貴族だ。
おまけに、王立能力学園の特別講師でもあるため、調査団の副責任者に任命されている。
……ボルロさん大好き! いつか魔核を使った拡張型のカバンを作ってあげるね。
まあそんなこんなの対面式だったけど、調査団の大多数はボルロさんと同年代のベテランが多いから、可愛い孫を見るような目で見てくれる人もいた。
明日からの予定を調査団と一緒に話し合い、とりあえず1週間分の計画と、大まかな調査計画を立てた。
問題になったのが発見された扉の件で、魔力持ちでなければ扉の先に進めないという報告に、天文・気象学を専門とするガリア教会大学のメンバーが、自分たちも扉の中に入りたいとごねたことだろうか。
扉の件は、まだ未確認事項も多いので、魔力持ち以外が本当に入れないのかどうかは不明なのだとファーズさんが説明した。
魔術師が入れる場所まで入って、天文・気象学者の調査が必要であると判断したら方法を考えると、調査団の責任者であるアロー公爵が約束した。
……あの人がアレスにいにのお爺様かぁ・・・にいにと同じ金髪にブルーの瞳だ。きっと一緒に並んだら、親族だって一発でバレちゃうな。
……ファイト子爵領に隠れて正解だったよ、アレスにいに。
……私が絶対に、お爺様を守るからね!
そして夕食後、私は支部の3階にある要人専用の応接室で、チーフとサブチーフ、調査団の責任者であるアロー公爵と副責任者であるボルロさんと面会した。
翌朝、私は光猫のシリスを連れ、調査団21人とポーター2人、案内人である魔術師のファーズさんとサブチーフ、そして大事な最速踏破者メンバー6人の合計32人で古代都市ロルツのゲートへと向かう。
地底生物との遭遇を考慮し、護衛としてもっとハンターを同行させた方がいいのではないかと、出発前に学者の皆さんが心配し始めた。
「護衛として是非に参加させて欲しいと要請してきた王宮魔術師団の2人がいる。
余程の自信があって参加したのだろうから、最後尾を任せても大丈夫だろう」
アロー公爵は、少しばかり含みのある言い方で部外者の参加を拒んだ。
現在【聖なる地】は、うち以外のパーティーは立ち入り禁止になっている。
アロー公爵家の乗っ取りを企むヒバド伯爵は、職業選別で【中位・戦略】を授かり、魔術師ではないが【王宮魔術師団】の幹部として在籍している。
だから王宮魔術師団から参加しているラースク子爵40歳と、要注意人物指定しているロールテン19歳は、間違いなくヒバド伯爵の手の者だろう。
バカ息子のナックル24歳も、当然、王宮魔術師団に所属している。
王宮魔術師団の2人は中位・魔術師で、人間と戦うことが仕事だけど、地底生物と1回戦った経験があると自慢していた。
今回の調査団に参加するため、アロー公爵領のゲートがある町で、金級パーティーを同行させて経験を積んだらしい。
……たった1回で経験を積んだって言える? 死にたいのかな?
『まあ、死んでもいいような人間を選出しているんじゃろう。
もしも死ねば、ゲートルの町に来ているバカ息子と、別行動をしている仲間と思われるもう1人の魔術師が、代替え要員として参加するんじゃろう』
バカ息子の監視をしていたサーク爺が、蔑みを込めて言う。
『サンタさんと遠く離れることができんのは残念や。今頃はもう1人の奴とゴソゴソしとるんやないか?』
トキニさんの言うゴソゴソは、他のパーティーに同行させろと頼むことだ。
調査団が来る前に金貨2枚をちらつかせて依頼したけど、誰も国の法を犯してまで【聖なる地】に行こうとはしなかった。
でも、金級パーティーの【選ばれし勇者】は、1人金貨5枚なら考えてもいいと返事をしているらしい(パトリシアさん情報)。
案の定というかガッカリというかゲートの直前で、【選ばれし勇者】パーティーと遭遇した。
彼等はイオナロードの1キロまでしか入らないと書かれた、誓約書にサインをしているところだった。
『様子見かなぁ?』と、私はフードを被ったままでリーダーのボイルを見る。
『いや、顔を売りに来たんちゃうかサンタさん』とトキニさんは言う。
『そうね。もしも地底生物に出会って退治したら、調査団に参加できるかもって話してたから、売り込みなんじゃない。
このパーティーは、自分たちは金級パーティーなのに、何故【聖なる地】に入れないってチーフとサブチーフに度々ごねてたのよね』
俺は伯爵家の子息で金級ハンターなんだと威張り、常に女性を侍らせて大きな顔をしているリーダーボイルのことが、大嫌いなパトリシアさんの口調は冷たい。
ゲートを通過して、予想通り調査団の少し前を進む【選ばれし勇者】たちを見て、私を抱っこしているサブチーフは大きな溜息を吐いた。
どうやらパトリシアさんと同じことを考えてたみたい。
私たち調査団は、先頭を【最速踏破者】6人が務め、直ぐ後ろにサブチーフと抱っこされた私と魔術師のファーズさんが続く。
次に魔術師チーム4人、続いて鑑定士チーム3人(チーフを含む)、歴史学者チーム2人、地質学者チーム2人、天文学者チーム2人、気象学者チーム2人、工業学者チーム6人(内2人はポーター)、最後尾は魔術師チームに所属している王宮魔術師団の2人だ。合計32人の隊列で進んでいる。
「ん? 誰か前方で戦闘中みたいだよサブチーフ」
123
あなたにおすすめの小説
スラム街の幼女、魔導書を拾う。
海夏世もみじ
ファンタジー
スラム街でたくましく生きている六歳の幼女エシラはある日、貴族のゴミ捨て場で一冊の本を拾う。その本は一人たりとも契約できた者はいない伝説の魔導書だったが、彼女はなぜか契約できてしまう。
それからというもの、様々なトラブルに巻き込まれいくうちにみるみる強くなり、スラム街から世界へと羽ばたいて行く。
これは、その魔導書で人々の忘れ物を取り戻してゆき、決して忘れない、忘れられない〝忘れじの魔女〟として生きるための物語。
悪女の針仕事〜そのほころび、見逃しません!〜
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
ファンタジー
公爵令嬢として生まれながら、子ども時代からメイドや周囲の陰謀で、次々と濡れ衣を着せられ、「悪女」扱いされてきたミリアム。
第3王子との婚約を聖女に奪われ、聖女への嫌がらせの冤罪で国外追放された後、平民として生き延びる中で、何度も5年前へのロールバック(逆行)を繰り返すことに。
生計をたてる為に、追放後の平民生活で極めた針仕事が、ロールバックが繰り返されることで、針仕事の能力だけは引き継がれ、天才的な実力を手に入れる。
その時女神「アテナ」の加護を得て、2つの力を手にすることに。
「加護縫い」
(縫った布に強力な祝福を込められる)
「嘘のほころびを見抜く力」
(相手の嘘を布のほころびとして視覚的に捉え、引き抜く、または繕うことで、真実を暴いたり修正したりする)
を手にしたミリアムは、5歳の幼女時代まで遡り、2つの力で悪評をぬりかえ、仲違いしていた家族も、加護の力を与えることで協力な味方へと変貌。
さらに、女神から可愛いしもべ「アリアドネ」を授かり、元婚約者と聖女にザマァを狙う中、加護縫いの能力が最も高い人間を王太子妃に迎える決まりのある大国、ルーパート王国の王太子が近付いて来て……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
領主にならないとダメかなぁ。冒険者が良いんです本当は。
さっちさん
ファンタジー
アズベリー領のミーナはとある事情により両親と旅をしてきた。
しかし、事故で両親を亡くし、実は領主だった両親の意志を幼いながらに受け継ぐため、一人旅を続ける事に。
7歳になると同時に叔父様を通して王都を拠点に領地の事ととある事情の為に学園に通い、知識と情報を得る様に言われた。
ミーナも仕方なく、王都に向かい、コレからの事を叔父と話をしようと動き出したところから始まります。
★作品を読んでくださった方ありがとうございます。不定期投稿とはなりますが一生懸命進めていく予定です。
皆様応援よろしくお願いします
幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について
いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。
実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。
ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。
誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。
「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」
彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。
現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。
それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる