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サンタさん、魔術師になる
85 魔力学会(6)
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ちょっとお腹が空いたので、何か食べようかな?
いや、でも、王太子様が来てくれたら、王宮でご飯が食べられるかもしれない。
ウエストポーチに突っ込んだ手を引っ込めて、もう少し待っていよう。
『サンタさん、王宮の馬車が来たわ』って、見張り当番のパトリシアさんが教えてくれた。
……場所が分かるよう、ここは得意の曲でも歌ってアピールしよう。
『サンタや、なんだその歌は?』って、最近覚えたサンドイッチの歌を披露したら、サーク爺が呆れたように言う。
だって、お腹が空いてるんだもんって反論していると、外から「おい、助けに来たぞサンタさん」って、私を呼ぶ男性の声がした。
「どちら様でしょうか?」と、一応確認しておく。
「手紙を受け取った者だが」って、ちょっと不機嫌そうな声が返ってきた。
「すみません、ドアには鍵が掛かっているので、ちょっとばかし壁を壊してもいいですか? 直ぐに修復するので」
私は鉄格子を両手で握って、真下にやって来た王太子様に訊いてみる。
「壁を壊す? はあ? 合鍵を取りに行かせるから待て」
私の姿を確認しようと、小型ランタンを持ち上げた王太子様は、わざわざ合鍵を取りに行くなんて言い出した。
「いいえ、鍵を取りに行くのはダメです。誰かが私を助けたと分かるじゃないですか。それじゃあ、私が痛い思いをした上、ただの閉じ込められ損です。
私は、王太子様から壁を壊す許可と、修復する許可を頂きたいのです」
「何を言っているのか意味が分からん。壁を壊す? 壊せるのならさっさと壊して逃げれば良かったではないか」
どうも意味が通じてないみたいで、ランタンに照らされた王太子の顔は憮然としている。
「それだと、国が管理する建物を破壊した犯罪者になります。私は許可を得て壊したいのです」
攫われた上に犯罪者として捕えられる訳にはいかない。犯人に逆襲できないなんて絶対に嫌だ。
「勝手にしろ! だが、大きな音を出すなよ」
「はーい。頑張ります。用心のため少し下がってお持ちください」
もしもケガでもさせたら大変だから、ちゃんと注意をしておこう。
私は窓の下に移動させた棚から飛び降り、すっかり暗くなった倉庫の中を確認するため、魔核付き杖を取り出して明るく照らす。
そして魔法で棚を元の位置に戻すと、窓の下の壁をコンコンと叩いて、破壊する場所を特定する。
「自分が通れるくらいの大きさでいいか」と呟き、右手に杖を持ったまま、左手を倉庫の壁に当て、「砕けろ」と命令した。
両手だと壁全体が壊れる可能性があるし、片手で魔力を使う練習の成果を試すのに丁度いい。
ガコッと鈍い音がして、レンガの壁に直系50センチくらいの丸い穴が開いた。
「な、なんだと! 本当に壁に穴を開けるとは・・・」
私の言うことを信じてなかった様子の王太子様は、穴から這い出てきた私を見て、「本当に幼女じゃないか!」と、何故か驚いている。
「お約束通り、直ぐに修復しますが、また壊して中に入るので、簡単でいいですよね」
と言いながら返事を待たずに、「修復」と唱えて壁を簡易的に修復する。もちろん杖を右手に持ったままで。
「・・・はあ? 修復? しかも右手の杖を光らせたままだと!」
王太子様も一緒に居た騎士とか側近ぽい人達まで、全員が驚いた顔をして私と壁と杖をまじまじと見る。
……う~ん、なんだか面倒臭い予感が・・・
「助けに来てくださり、本当にありがとうございます。お約束通り、これから王太子様と王子様に、魔力循環と魔力操作をお教えします。
あっ、その前に体育館に寄ってください」
馬車に乗って直ぐに、私は王様との約束と義務を果たすため、魔核に充填させて欲しいと願い出ていて、体育館に向かってもらった。
体育館には夜通し魔術具を警備する、王宮警備隊が居るはずだ。
王太子専用馬車が到着すると、3人の警備兵が慌てて馬車の前で跪いた。
「此処に私が来たことは、口外禁止だ。分かったな!」
「はい、王太子様」
王太子様が警備隊員に命令し、王宮騎士団の副団長だと名乗った人と他の護衛騎士は、馬車付近の警戒にあたるようだ。
王太子様の側近バリウスさんが先に体育館の中に入り、魔術具を守っていた3人の警備兵に、魔核充填する予定を明日の朝から変更すると告げてくれた。
私は急いでステージ下の小部屋に向かい、心配しながら待っているサブリーダーとアレス君に元気な顔を見せた。
「良かった。本当によ、良かったサンタさん」
アレス君は私に抱き付いて泣き出した。リーダーに今後の予定を伝えてもらってはいたけど、凄く心配させちゃったな。
私が攫われる現場に居たんだから当たり前かぁ。私もぎゅって抱きしめよう。
私とアレス君は、15分で王太子宮に到着した。
母様が泣きながら抱き締めてくれたから、なんだか私も泣きたくなって「殴られて痛かったよー」って言いながら泣いてしまった。
王太子妃様の計らいで既に夕食が用意されており、詳しい状況説明の前にご飯を食べさせてもらった。
……さすがお城のご飯。美味しかった。おやつを我慢して正解。
時刻は午後8時。
私を王太子宮で保護したと知らせを受けたアロー公爵が、すっ飛んできた。
私と一緒に保護されたアレス君を見て、アロー公爵は自分の孫だとアレス君を皆に紹介した。
私は皆さんに魔法使いの弟子だと紹介してたので、公爵の孫だと聞かされ凄く驚いていた。
母様は、アレス君が公爵の孫と知り、ちょっと顔色が悪くなったけど、「アレスが世話になる。よろしく頼む」とアロー公爵に言われ、「微力ながら精一杯お世話させていただきます」と答えていた。
母様は王太子夫妻にお礼を言って、心配している兄さまの待つ家に帰った。
王太子様とアロー公爵、騎士副団長と側近のバリウスさんに向かって、私とアレス君は今朝からの一部始終を話していく。
「なんだと、犯人はエルー伯爵家のデモンズだと!」
アロー公爵は、ガタンと音をたて椅子から立ち上がった。
「はい、デモンズは部下に私を攫わせ、資料倉庫に監禁し、明日の学会終了後に平民地区で解放しろと命令していました。
彼の目的は、私が王様に処罰されることと、トレジャーハンター協会のメンツを潰すことだと言っていました」
いや、でも、王太子様が来てくれたら、王宮でご飯が食べられるかもしれない。
ウエストポーチに突っ込んだ手を引っ込めて、もう少し待っていよう。
『サンタさん、王宮の馬車が来たわ』って、見張り当番のパトリシアさんが教えてくれた。
……場所が分かるよう、ここは得意の曲でも歌ってアピールしよう。
『サンタや、なんだその歌は?』って、最近覚えたサンドイッチの歌を披露したら、サーク爺が呆れたように言う。
だって、お腹が空いてるんだもんって反論していると、外から「おい、助けに来たぞサンタさん」って、私を呼ぶ男性の声がした。
「どちら様でしょうか?」と、一応確認しておく。
「手紙を受け取った者だが」って、ちょっと不機嫌そうな声が返ってきた。
「すみません、ドアには鍵が掛かっているので、ちょっとばかし壁を壊してもいいですか? 直ぐに修復するので」
私は鉄格子を両手で握って、真下にやって来た王太子様に訊いてみる。
「壁を壊す? はあ? 合鍵を取りに行かせるから待て」
私の姿を確認しようと、小型ランタンを持ち上げた王太子様は、わざわざ合鍵を取りに行くなんて言い出した。
「いいえ、鍵を取りに行くのはダメです。誰かが私を助けたと分かるじゃないですか。それじゃあ、私が痛い思いをした上、ただの閉じ込められ損です。
私は、王太子様から壁を壊す許可と、修復する許可を頂きたいのです」
「何を言っているのか意味が分からん。壁を壊す? 壊せるのならさっさと壊して逃げれば良かったではないか」
どうも意味が通じてないみたいで、ランタンに照らされた王太子の顔は憮然としている。
「それだと、国が管理する建物を破壊した犯罪者になります。私は許可を得て壊したいのです」
攫われた上に犯罪者として捕えられる訳にはいかない。犯人に逆襲できないなんて絶対に嫌だ。
「勝手にしろ! だが、大きな音を出すなよ」
「はーい。頑張ります。用心のため少し下がってお持ちください」
もしもケガでもさせたら大変だから、ちゃんと注意をしておこう。
私は窓の下に移動させた棚から飛び降り、すっかり暗くなった倉庫の中を確認するため、魔核付き杖を取り出して明るく照らす。
そして魔法で棚を元の位置に戻すと、窓の下の壁をコンコンと叩いて、破壊する場所を特定する。
「自分が通れるくらいの大きさでいいか」と呟き、右手に杖を持ったまま、左手を倉庫の壁に当て、「砕けろ」と命令した。
両手だと壁全体が壊れる可能性があるし、片手で魔力を使う練習の成果を試すのに丁度いい。
ガコッと鈍い音がして、レンガの壁に直系50センチくらいの丸い穴が開いた。
「な、なんだと! 本当に壁に穴を開けるとは・・・」
私の言うことを信じてなかった様子の王太子様は、穴から這い出てきた私を見て、「本当に幼女じゃないか!」と、何故か驚いている。
「お約束通り、直ぐに修復しますが、また壊して中に入るので、簡単でいいですよね」
と言いながら返事を待たずに、「修復」と唱えて壁を簡易的に修復する。もちろん杖を右手に持ったままで。
「・・・はあ? 修復? しかも右手の杖を光らせたままだと!」
王太子様も一緒に居た騎士とか側近ぽい人達まで、全員が驚いた顔をして私と壁と杖をまじまじと見る。
……う~ん、なんだか面倒臭い予感が・・・
「助けに来てくださり、本当にありがとうございます。お約束通り、これから王太子様と王子様に、魔力循環と魔力操作をお教えします。
あっ、その前に体育館に寄ってください」
馬車に乗って直ぐに、私は王様との約束と義務を果たすため、魔核に充填させて欲しいと願い出ていて、体育館に向かってもらった。
体育館には夜通し魔術具を警備する、王宮警備隊が居るはずだ。
王太子専用馬車が到着すると、3人の警備兵が慌てて馬車の前で跪いた。
「此処に私が来たことは、口外禁止だ。分かったな!」
「はい、王太子様」
王太子様が警備隊員に命令し、王宮騎士団の副団長だと名乗った人と他の護衛騎士は、馬車付近の警戒にあたるようだ。
王太子様の側近バリウスさんが先に体育館の中に入り、魔術具を守っていた3人の警備兵に、魔核充填する予定を明日の朝から変更すると告げてくれた。
私は急いでステージ下の小部屋に向かい、心配しながら待っているサブリーダーとアレス君に元気な顔を見せた。
「良かった。本当によ、良かったサンタさん」
アレス君は私に抱き付いて泣き出した。リーダーに今後の予定を伝えてもらってはいたけど、凄く心配させちゃったな。
私が攫われる現場に居たんだから当たり前かぁ。私もぎゅって抱きしめよう。
私とアレス君は、15分で王太子宮に到着した。
母様が泣きながら抱き締めてくれたから、なんだか私も泣きたくなって「殴られて痛かったよー」って言いながら泣いてしまった。
王太子妃様の計らいで既に夕食が用意されており、詳しい状況説明の前にご飯を食べさせてもらった。
……さすがお城のご飯。美味しかった。おやつを我慢して正解。
時刻は午後8時。
私を王太子宮で保護したと知らせを受けたアロー公爵が、すっ飛んできた。
私と一緒に保護されたアレス君を見て、アロー公爵は自分の孫だとアレス君を皆に紹介した。
私は皆さんに魔法使いの弟子だと紹介してたので、公爵の孫だと聞かされ凄く驚いていた。
母様は、アレス君が公爵の孫と知り、ちょっと顔色が悪くなったけど、「アレスが世話になる。よろしく頼む」とアロー公爵に言われ、「微力ながら精一杯お世話させていただきます」と答えていた。
母様は王太子夫妻にお礼を言って、心配している兄さまの待つ家に帰った。
王太子様とアロー公爵、騎士副団長と側近のバリウスさんに向かって、私とアレス君は今朝からの一部始終を話していく。
「なんだと、犯人はエルー伯爵家のデモンズだと!」
アロー公爵は、ガタンと音をたて椅子から立ち上がった。
「はい、デモンズは部下に私を攫わせ、資料倉庫に監禁し、明日の学会終了後に平民地区で解放しろと命令していました。
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