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第一章 ゲームの世界へ
第16話 改めてよろしく
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「結果的にはよかったな」
鉱山からの帰り道、夕日が落ちてきている中呟く。みんなも頷いて街道を進んでいく。
ハイプリーストからの戦利品は【スクロール】に回復魔法の【ハイヒール】が封じられている物だった。アイテム合成で防具に着けることが出来る魔法だ。防具の耐久値を回復もできて、着ている人のHPを回復させてくれる効果を付けられる。
これで防具を作れる。防具はどうしても耐久値が下がりやすいから先送りにしていたんだよな。着ているだけで耐久値が下がるっていう仕様があったからね。
「ランカ。改めて私を君のパーティーに入れてくれないか?」
「え?」
先頭を歩いていたレッドが振り返って、お願いしてくる。第二騎士団長が冒険者のパーティーに入るなんて大丈夫なのか?
「ランカ達と同行することが王国の為になる。私はそう思ったんだ。この剣を見てね」
「そういうことね」
レッドは僕を育てることで国の武具の性能が上がっていくと思ったわけだ。確かにすべての生産者がEランクの装備しか作れなくなってしまっているわけだから、彼女の考えは間違ってはいないか。
「もちろん、ステファンへ知らせは走らせる。生産者も強くならなくてはいけないと」
レッドはそこまで考えをまとめていたのか。頭がいい人は察しが良くて困るな。
「儂が同行しているから察したのか?」
「はい。鍛冶職人を同行させるメリットはありません。そこから推測しました」
疑問に思ったルドマンさんが聞くと大きく頷いて答えるレッド。僕としては強いレッドがいてくれれば、みんなのレベル上げが簡単になるからいいんだけど。
「……僕は嫌ですね~」
「アスノ君?」
アスノ君が怪訝な表情をレッドに向ける。
「師匠の腕を利用しようとしているだけですよね? そんなの仲間じゃありません!」
彼はそういってレッドを睨みつける。
「利用していると言われれば否定はできないな。現に剣をもらってしまっているのだから」
「やっぱり!」
「だが、それは君たちも同じでしょ?」
レッドが声をあげるとアスノ君が頷く。彼女は続けて話すとアスノ君が僕に視線を向けてくる。
「ゴブリンハイプリーストを大量に倒した。それを君たちだけで倒せた? 無理でしょ?」
「そ、それは」
「私の見立てでは無理だと思うけど?」
レッドの言葉にぐうの音もでないアスノ君。これは勝負ありだな。
「町に着いた。儂は店に戻るぞ」
「あ、はい」
いつの間にか町に帰ってきた。ルドマンさんが僕らと別れて店に帰っていく。アスノ君とレッドはそっぽを向き合ってるな。
「まあ、細かい話は宿屋でね」
「「……」」
声をかけるけどふたりとも無言で僕に着いてくるのみ。仲良くしてほしいんだけどな。
「へいお待ち! おいおい、お前達暗いな。何かあったのか?」
「「……」」
ガーフさんの宿屋に帰ってきて食堂に席に着くと早速ガーフさんが料理を机に並べてくれた。彼の声に無言で答える二人。僕は苦笑いを浮かべて銀貨を手渡す。
「まあなんだ? 人生いろいろ、嫌な事もあるだろうけどよ。仲間内くらいは明るくいこうぜ」
ガーフさんはそう言って厨房に帰っていく。スズさんも心配そうに厨房から顔を覗かせてる。
「ガーフさんの言う通りだよ。仲間内くらいは」
「師匠、レッドさんはまだ仲間じゃないですよね?」
「え? あ、ははは」
二人を説得しようと声をあげるけどアスノ君に否定されてしまった。思わず笑ってごまかすと彼はそっぽを向く。なんで彼はそんなにレッドを嫌うんだ? 鉱山で一緒に戦った時はこんな感じじゃなかったのにな。
「……私には弟がいるんだ」
「え?」
アスノ君が無言で料理に手を伸ばすとレッドが口を開いた。レッドの弟か、病気なんだよな。
「弟、ホワイトは死んでしまった。お父様にそう聞いていた」
ええ!? ゲームの話と違う?
「だから弟に似ているランカを代わりに守ってあげたくなってしまった」
「似てるってそのことだったのか」
レッドの話を聞いて納得する。似ているって呟いていたもんな。ゲームの時にはレッドの弟は出てこなかった。僕に似ていたなんて初めて聞いたな。
「身勝手な願いだった。ごめんなさい。パーティーの話はなかったことにしていい」
レッドは涙を浮かべて謝ってくる。なんか可哀そうだ。どうにかしてあげたい。
そう思ってアスノ君を見ると俯いている。なぜか彼は小刻みに体を震わせてる?
「うう、う」
アスノ君が顔をあげると涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになっていた。泣いてたのか!?
「師匠! 彼女をパーティーに入れてあげましょう! 可哀そうです!」
「はい?」
アスノ君の言葉に思わず声が漏れる。いやいや、反対していたのは君だけなんだけど?
「いいのか?」
「はい! こちらこそお願いします!」
「ありがとう!」
僕を抜きで話を進める二人。握手を交わしながら二人は僕を見つめてくる。ぐっちゃぐちゃなアスノ君と綺麗に涙をこぼすレッド。アスノ君はチョロいな~。
仲良くなった二人と夕食を楽しんだ。二人はすぐに打ち解け合った。
仲良きことは美しきかな、かな?
鉱山からの帰り道、夕日が落ちてきている中呟く。みんなも頷いて街道を進んでいく。
ハイプリーストからの戦利品は【スクロール】に回復魔法の【ハイヒール】が封じられている物だった。アイテム合成で防具に着けることが出来る魔法だ。防具の耐久値を回復もできて、着ている人のHPを回復させてくれる効果を付けられる。
これで防具を作れる。防具はどうしても耐久値が下がりやすいから先送りにしていたんだよな。着ているだけで耐久値が下がるっていう仕様があったからね。
「ランカ。改めて私を君のパーティーに入れてくれないか?」
「え?」
先頭を歩いていたレッドが振り返って、お願いしてくる。第二騎士団長が冒険者のパーティーに入るなんて大丈夫なのか?
「ランカ達と同行することが王国の為になる。私はそう思ったんだ。この剣を見てね」
「そういうことね」
レッドは僕を育てることで国の武具の性能が上がっていくと思ったわけだ。確かにすべての生産者がEランクの装備しか作れなくなってしまっているわけだから、彼女の考えは間違ってはいないか。
「もちろん、ステファンへ知らせは走らせる。生産者も強くならなくてはいけないと」
レッドはそこまで考えをまとめていたのか。頭がいい人は察しが良くて困るな。
「儂が同行しているから察したのか?」
「はい。鍛冶職人を同行させるメリットはありません。そこから推測しました」
疑問に思ったルドマンさんが聞くと大きく頷いて答えるレッド。僕としては強いレッドがいてくれれば、みんなのレベル上げが簡単になるからいいんだけど。
「……僕は嫌ですね~」
「アスノ君?」
アスノ君が怪訝な表情をレッドに向ける。
「師匠の腕を利用しようとしているだけですよね? そんなの仲間じゃありません!」
彼はそういってレッドを睨みつける。
「利用していると言われれば否定はできないな。現に剣をもらってしまっているのだから」
「やっぱり!」
「だが、それは君たちも同じでしょ?」
レッドが声をあげるとアスノ君が頷く。彼女は続けて話すとアスノ君が僕に視線を向けてくる。
「ゴブリンハイプリーストを大量に倒した。それを君たちだけで倒せた? 無理でしょ?」
「そ、それは」
「私の見立てでは無理だと思うけど?」
レッドの言葉にぐうの音もでないアスノ君。これは勝負ありだな。
「町に着いた。儂は店に戻るぞ」
「あ、はい」
いつの間にか町に帰ってきた。ルドマンさんが僕らと別れて店に帰っていく。アスノ君とレッドはそっぽを向き合ってるな。
「まあ、細かい話は宿屋でね」
「「……」」
声をかけるけどふたりとも無言で僕に着いてくるのみ。仲良くしてほしいんだけどな。
「へいお待ち! おいおい、お前達暗いな。何かあったのか?」
「「……」」
ガーフさんの宿屋に帰ってきて食堂に席に着くと早速ガーフさんが料理を机に並べてくれた。彼の声に無言で答える二人。僕は苦笑いを浮かべて銀貨を手渡す。
「まあなんだ? 人生いろいろ、嫌な事もあるだろうけどよ。仲間内くらいは明るくいこうぜ」
ガーフさんはそう言って厨房に帰っていく。スズさんも心配そうに厨房から顔を覗かせてる。
「ガーフさんの言う通りだよ。仲間内くらいは」
「師匠、レッドさんはまだ仲間じゃないですよね?」
「え? あ、ははは」
二人を説得しようと声をあげるけどアスノ君に否定されてしまった。思わず笑ってごまかすと彼はそっぽを向く。なんで彼はそんなにレッドを嫌うんだ? 鉱山で一緒に戦った時はこんな感じじゃなかったのにな。
「……私には弟がいるんだ」
「え?」
アスノ君が無言で料理に手を伸ばすとレッドが口を開いた。レッドの弟か、病気なんだよな。
「弟、ホワイトは死んでしまった。お父様にそう聞いていた」
ええ!? ゲームの話と違う?
「だから弟に似ているランカを代わりに守ってあげたくなってしまった」
「似てるってそのことだったのか」
レッドの話を聞いて納得する。似ているって呟いていたもんな。ゲームの時にはレッドの弟は出てこなかった。僕に似ていたなんて初めて聞いたな。
「身勝手な願いだった。ごめんなさい。パーティーの話はなかったことにしていい」
レッドは涙を浮かべて謝ってくる。なんか可哀そうだ。どうにかしてあげたい。
そう思ってアスノ君を見ると俯いている。なぜか彼は小刻みに体を震わせてる?
「うう、う」
アスノ君が顔をあげると涙と鼻水でぐっちゃぐちゃになっていた。泣いてたのか!?
「師匠! 彼女をパーティーに入れてあげましょう! 可哀そうです!」
「はい?」
アスノ君の言葉に思わず声が漏れる。いやいや、反対していたのは君だけなんだけど?
「いいのか?」
「はい! こちらこそお願いします!」
「ありがとう!」
僕を抜きで話を進める二人。握手を交わしながら二人は僕を見つめてくる。ぐっちゃぐちゃなアスノ君と綺麗に涙をこぼすレッド。アスノ君はチョロいな~。
仲良くなった二人と夕食を楽しんだ。二人はすぐに打ち解け合った。
仲良きことは美しきかな、かな?
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