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第一章 ゲームの世界へ
第19話 新たな武具
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「ふふふ、カッコよくて強い防具。いいね~」
ルドマンさんの武器が町に行き渡って次の日。ミスリルの鎧を着てる自分の姿に心酔。鏡がないから全貌は分からないけど、ミスリルの鎧がかっこいいから大丈夫だろう。
「師匠! 入りますよ~」
「私も入るぞ」
アスノ君とレッドがノックをしてすぐに入ってくる。ノックしてくれるのは偉いんだけど、返事を待たずに入っちゃ駄目でしょ。
「やっぱりかっこいいです師匠!」
「ん、王都の騎士も真っ青だな」
二人に普通に褒められて頬が緩む。しかし、二人はお世辞を言っている可能性もある。顔をキリっとさせて……って無理だ。ミスリルの鎧、小手はカッコよすぎる。
「今日も近くの森に行くんですか師匠?」
「へ? ああ、今日の予定ね。そうだな~」
大体の装備は出来上がったからな~。あとはレベルだけど、折角レッドもパーティーに加わったわけだし、遠出をしてもいいかもな。
ポーションもたんまりと用意した。低級ポーションは99個、中級ポーションもしっかりと99個、上級は10個でラストエリクサーは2個。そうだ、ラストエリクサーをレッドに渡しておこう。弟が見つかったら使うことになるかもしれないから。
「とりあえずこれをレッドに」
「え? なに? このポーション? 見たことないけど?」
「ラストエリクサーだよ」
「はぁ!?」
無造作に手渡すとレッドは驚き戸惑う。
「わ、私の聞き間違いかしら? ら、ラストエリクサーといった?」
「え? うんそうだけど……知ってるの?」
レッドは片手で持っていたラストエリクサーを大事そうに抱えだす。震える手のまま机に置くと僕につかみかかってきてベッドに押し倒された。
「ラストエリクサーは町全体の病気人や怪我人を治すと言われている伝説のポーションよ!」
「ええ!? そんな広範囲を!?」
レッドが知っているってことは騎士団は知っているってことか。ゲームのころに存在していなかったアイテムが現実になって存在しているってなんか凄いな。ってことは今使うとオスターも治っちゃうのか。折角決意を秘めてるのにやっちゃうのは可哀そうだな。
「師匠、レッドさん。その僕もいるのでそういったイチャイチャは困ります……」
「「は!?」」
押し倒されたまま考え込んでいるとアスノ君が顔を真っ赤にして声をあげた。すかさずベッドから降りると二人で顔を真っ赤にしてしまう。耳まで熱い、あこがれのレッドに押し倒されるなんてどんなシチュエーションだよ。
「コホン! そ、それでこれをなんで私に?」
「君の弟さんに出会ったら使う事になる。という事だけ言っておくよ。それ以外でも使っていいけどね」
レッドが咳ばらいを一つして聞いてくる。理由を濁して伝えると彼女は『訳が分からない』と言って、大事に腰に下げたポーションカバンにしまう。インベントリがないと大変だな。
「師匠! 僕にはないんですか?」
「へ? あ~っとじゃあ、これをあげるよ」
「やった~。師匠からのプレゼントだ~」
アスノ君が指を咥えて見つめてくるものだから上級ポーションを手渡した。既に中級ポーションを持たせているんだけど、彼は凄い喜んでいる。今度、ちゃんとしたプレゼントをあげないとな。
「さて、今後の予定だけど、レベル上げがおもな目的になるわけ。なので遠出を考えています」
話を本題に戻す。アスノ君もレッドも真面目に聞いてくれてる。
「【ニールキャニオン】が程よいかな」
【ニールキャニオン】と言われる峡谷が歩いて一日くらいの距離にある。そこにはワイバーンと言われる空飛ぶトカゲが住んでいて、経験値が程よいはず。ちゃんとフィールドボスも沸くはずだから経験値が美味しい。
「……馬車を買った方がいいんじゃないか? 野営をするのだろ?」
「ああ、そうか。それを考えてなかった」
ゲームだと野営なんて考えないで夜も歩いていた。レッドの指摘で現実的な考えに切り替える。
「って事は二日ほど歩かないとダメか」
「ああ、だから馬車が必要だ。馬車なら一日で行けるはず」
歩くよりは早く行けるってわけだ。さらに野営も出来る。馬車か、考えてもなかったな~。
「馬車っていくらくらいするの?」
「ん~、そうだな。もちろん高い物は高いけど、馬が金貨1枚だから金貨2枚もあれば買えるかな」
値段を聞くと答えてくれるレッド。この世界の常識を持っている人がいると助かるな。
馬車が金貨2枚で買えるのか、改めてマネーマネーがお金に汚いと再認識したよ。
「じゃあ、早速買いに行こうか」
そういって宿屋を後にする。
「ここで馬車が売ってるのか」
馬屋という看板が飾ってあるお店に到着。馬と馬車はセットなんだな。
「馬だけで金貨1枚、馬車も含めると金貨2枚だな」
「レッドの言っていた通りだ。買います」
お店の人と話して馬車を購入。ホクホク顔の店主さん。手を振って見送ってくれる。いい人だな。
「ふと思ったけれど、ランカは御者も出来るの?」
「え? ああ、馬を操る人か……。僕は無理だよ」
馬車の横でレッドの質問に答える。無理だと伝えてレッドを見ると首を横に振る。
「私も無理だぞ。馬には乗れるけど、御者はやったことがない」
「同じようなものでしょ?」
「何を言ってる! 御者と乗馬は違うぞ」
レッドが力強く否定してくる。でも、どうしよう。御者なんてできないぞ。
「ふっふっふ。お困りですね師匠」
「この声は! アスノ君! まさか!」
「そのまさかです!」
二人で困っていると馬車の中からアスノ君の声が聞こえてくる。彼は声と共に御者席に座ると馬を操り円を描くように歩かせ始めた。す、すごいぞアスノ君。
「実は鍛冶がダメって言われて少しの間は荷物運びをさせられていました。なので御者みたいなことをしていた経験があります」
「なるほど」
重いものを運ぶにも便利な馬車だもんな。アスノ君はトラウマに思っているかもしれないけど、彼はちゃんと過去を力に変えてるな。
「じゃあ、馬車も御者も準備万端だな。あとはルドマンさんが来れるかだ」
今や忙しい身のルドマンさん。レベルを上げる為とは言え、往復二日の旅だ。レベル上げで二日は欲しい所だから四日は考えないといけない。その間、鍛冶屋がいないのは町として成り立たないかもしれない。
「ん? いいぞ。儂も偶には羽を伸ばさんとな」
ルドマンさんのお店に来て開口一番に聞いたら二つ返事で帰ってきた。
忙しい身だからこそ、羽を伸ばさないとね。
ルドマンさんの武器が町に行き渡って次の日。ミスリルの鎧を着てる自分の姿に心酔。鏡がないから全貌は分からないけど、ミスリルの鎧がかっこいいから大丈夫だろう。
「師匠! 入りますよ~」
「私も入るぞ」
アスノ君とレッドがノックをしてすぐに入ってくる。ノックしてくれるのは偉いんだけど、返事を待たずに入っちゃ駄目でしょ。
「やっぱりかっこいいです師匠!」
「ん、王都の騎士も真っ青だな」
二人に普通に褒められて頬が緩む。しかし、二人はお世辞を言っている可能性もある。顔をキリっとさせて……って無理だ。ミスリルの鎧、小手はカッコよすぎる。
「今日も近くの森に行くんですか師匠?」
「へ? ああ、今日の予定ね。そうだな~」
大体の装備は出来上がったからな~。あとはレベルだけど、折角レッドもパーティーに加わったわけだし、遠出をしてもいいかもな。
ポーションもたんまりと用意した。低級ポーションは99個、中級ポーションもしっかりと99個、上級は10個でラストエリクサーは2個。そうだ、ラストエリクサーをレッドに渡しておこう。弟が見つかったら使うことになるかもしれないから。
「とりあえずこれをレッドに」
「え? なに? このポーション? 見たことないけど?」
「ラストエリクサーだよ」
「はぁ!?」
無造作に手渡すとレッドは驚き戸惑う。
「わ、私の聞き間違いかしら? ら、ラストエリクサーといった?」
「え? うんそうだけど……知ってるの?」
レッドは片手で持っていたラストエリクサーを大事そうに抱えだす。震える手のまま机に置くと僕につかみかかってきてベッドに押し倒された。
「ラストエリクサーは町全体の病気人や怪我人を治すと言われている伝説のポーションよ!」
「ええ!? そんな広範囲を!?」
レッドが知っているってことは騎士団は知っているってことか。ゲームのころに存在していなかったアイテムが現実になって存在しているってなんか凄いな。ってことは今使うとオスターも治っちゃうのか。折角決意を秘めてるのにやっちゃうのは可哀そうだな。
「師匠、レッドさん。その僕もいるのでそういったイチャイチャは困ります……」
「「は!?」」
押し倒されたまま考え込んでいるとアスノ君が顔を真っ赤にして声をあげた。すかさずベッドから降りると二人で顔を真っ赤にしてしまう。耳まで熱い、あこがれのレッドに押し倒されるなんてどんなシチュエーションだよ。
「コホン! そ、それでこれをなんで私に?」
「君の弟さんに出会ったら使う事になる。という事だけ言っておくよ。それ以外でも使っていいけどね」
レッドが咳ばらいを一つして聞いてくる。理由を濁して伝えると彼女は『訳が分からない』と言って、大事に腰に下げたポーションカバンにしまう。インベントリがないと大変だな。
「師匠! 僕にはないんですか?」
「へ? あ~っとじゃあ、これをあげるよ」
「やった~。師匠からのプレゼントだ~」
アスノ君が指を咥えて見つめてくるものだから上級ポーションを手渡した。既に中級ポーションを持たせているんだけど、彼は凄い喜んでいる。今度、ちゃんとしたプレゼントをあげないとな。
「さて、今後の予定だけど、レベル上げがおもな目的になるわけ。なので遠出を考えています」
話を本題に戻す。アスノ君もレッドも真面目に聞いてくれてる。
「【ニールキャニオン】が程よいかな」
【ニールキャニオン】と言われる峡谷が歩いて一日くらいの距離にある。そこにはワイバーンと言われる空飛ぶトカゲが住んでいて、経験値が程よいはず。ちゃんとフィールドボスも沸くはずだから経験値が美味しい。
「……馬車を買った方がいいんじゃないか? 野営をするのだろ?」
「ああ、そうか。それを考えてなかった」
ゲームだと野営なんて考えないで夜も歩いていた。レッドの指摘で現実的な考えに切り替える。
「って事は二日ほど歩かないとダメか」
「ああ、だから馬車が必要だ。馬車なら一日で行けるはず」
歩くよりは早く行けるってわけだ。さらに野営も出来る。馬車か、考えてもなかったな~。
「馬車っていくらくらいするの?」
「ん~、そうだな。もちろん高い物は高いけど、馬が金貨1枚だから金貨2枚もあれば買えるかな」
値段を聞くと答えてくれるレッド。この世界の常識を持っている人がいると助かるな。
馬車が金貨2枚で買えるのか、改めてマネーマネーがお金に汚いと再認識したよ。
「じゃあ、早速買いに行こうか」
そういって宿屋を後にする。
「ここで馬車が売ってるのか」
馬屋という看板が飾ってあるお店に到着。馬と馬車はセットなんだな。
「馬だけで金貨1枚、馬車も含めると金貨2枚だな」
「レッドの言っていた通りだ。買います」
お店の人と話して馬車を購入。ホクホク顔の店主さん。手を振って見送ってくれる。いい人だな。
「ふと思ったけれど、ランカは御者も出来るの?」
「え? ああ、馬を操る人か……。僕は無理だよ」
馬車の横でレッドの質問に答える。無理だと伝えてレッドを見ると首を横に振る。
「私も無理だぞ。馬には乗れるけど、御者はやったことがない」
「同じようなものでしょ?」
「何を言ってる! 御者と乗馬は違うぞ」
レッドが力強く否定してくる。でも、どうしよう。御者なんてできないぞ。
「ふっふっふ。お困りですね師匠」
「この声は! アスノ君! まさか!」
「そのまさかです!」
二人で困っていると馬車の中からアスノ君の声が聞こえてくる。彼は声と共に御者席に座ると馬を操り円を描くように歩かせ始めた。す、すごいぞアスノ君。
「実は鍛冶がダメって言われて少しの間は荷物運びをさせられていました。なので御者みたいなことをしていた経験があります」
「なるほど」
重いものを運ぶにも便利な馬車だもんな。アスノ君はトラウマに思っているかもしれないけど、彼はちゃんと過去を力に変えてるな。
「じゃあ、馬車も御者も準備万端だな。あとはルドマンさんが来れるかだ」
今や忙しい身のルドマンさん。レベルを上げる為とは言え、往復二日の旅だ。レベル上げで二日は欲しい所だから四日は考えないといけない。その間、鍛冶屋がいないのは町として成り立たないかもしれない。
「ん? いいぞ。儂も偶には羽を伸ばさんとな」
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忙しい身だからこそ、羽を伸ばさないとね。
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