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第二章 支配地
第54話 食事の充実
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「ふぅ~。やっぱり白米にお肉だな~」
米を作り薄く切ったお肉で肉巻きおにぎりを作ってもらった。最高の一品で思わず感嘆の声を漏らす。
新居を作ってもらって三日ほどが経った。住み心地が良すぎて王都に行くのが億劫になってしまった。どうせ攻めてくるだろうから待っていてもいいんだよな。
「お~いランカ~」
「あれ? この声はドーシャさん?」
外から声が聞こえてくる。玄関から顔を出すと庭の外からドーシャさんが手を振っているのが見える。
「お帰りなさいドーシャさん」
「本当にいた!? この前まで更地だったのにどうなってるんだい?」
玄関から出てお迎えすると驚いて首を横に振る。ワッカさんとルッカさんも驚いてるな。
「ははは、まあ、色々ありまして」
「ランカのやることにいちいち驚いてたらダメだね。アスノみたいに『凄いんです』ってことにしておこうか」
苦笑いで答えるとドーシャさんがアスノ君の物まねをしてからかってくる。アスノ君は外でも言ってるのか。ルッカさん達も頷いてるぞ。何だか家族の恥部を見ているみたいで恥ずかしいな。
「おっと、そんな事よりも。アドラーやミレドに知らせておいたよ。教会からは連絡は来ていないようだったけど、一つ報告がある。悪い報告だ」
ドーシャさんはその場に座って人差し指を立てて話す。
「勇者を先頭に騎士団が動き出した。目的地はこのニールキャニオンだ。冒険者ギルドに連絡がないってことはギルドは関与することはない。まあ、アドラーがランカを襲うなんてありえなかったけどね」
ドーシャさんの話に微笑む。敵は騎士団と教会ってことか。そうなるとレッドに動いてもらって騎士団も止めてもらえれば勝ち目しかなくなるな。逆に教会が可哀そうな事になりそうだ。
「問題はなくなったってことですね。いつまでも外で話すのもなんですから中に入りましょう」
情報を持ってきてくれた人をいつまでも外で話させるのも悪いので家に誘う。みんなと一緒に家に入って食堂の席に座る。すると早速ドーシャさんはエールを厨房から持ってきて飲み始める。
「ぷは~。ルドマンがいるからあると思ったんだ!」
「おいおいドーシャ、人の家に招待されて早速それかよ!」
豪快にエールを飲むドーシャさんを叱るワッカさん。
「おっと、ランカごめんな。私はお酒が好きなんだ」
「はは、大丈夫ですよ。礼儀作法は人それぞれで。貴族になるつもりもないですし」
一気にエールを飲み干すとドーシャさんは僕に手を合わせて頭を下げる。情報をわざわざオルコッドに戻って持ってきてくれた。それだけでエール以上の働きをしてくれた。報酬もあげたいくらいだ。
「これでルドマンからの武具くらいの働きはできたかな。報酬は期待できないだろうからね」
「あ~、そうですね……」
そういえば、教会の依頼を受けてきたんだよな。その雇い主と敵対することになるかた報酬をもらえるわけもない。やっぱり報酬あげた方がいいな。
「ドーシャさん、ワッカさん、ルッカさん。僕のせいで教会の依頼はなくなったようなものです。なので僕から報酬を」
色々考えてそう声をあげると三人はびっくりした表情になったと思ったら、すぐに大きな笑い声をあげる。
「くはは! 悪いのはランカじゃないんだから金の心配なんかするなよ」
「ぶふっ。そうそう、暇なところを雇ってもらっただけでも儲けものだったんだからよ」
「さっきも言ったけど、ランカにもルドマンにも恩があるんだよ。暇だったからって理由で言ったけどね。本当はあんたらの為に何かできればいいなって思ってたんだ。それが出来て私達は本当に嬉しいんだよ」
ワッカさんルッカさんが笑いながら話すと真剣な表情でドーシャさんが僕を抱きしめていってくれる。
「……と入ったものの先立つものがないと大変なのは確かってことでもらえるものはもらおうかな~」
抱き着いているドーシャさんがそう呟くと、ワッカさんとルッカさんが大きく頷いた。とてもいいことを言ってくれたわけだけど、やはりお金は必要なものだ。あげれるだけあげよう。
「ん~」
ドーシャさん達に報酬をあげることにして、ふと考える。レッドやアスノ君、ルドマン、ノイシュさん達にしっかりと報酬を払えてない。みんなに損をさせているんじゃないだろうか?
「みんなは報酬いる?」
食堂に集まっているみんなに疑問を投げかける。するとみんな少し考えて首を横に振った。
「私達は欲しいものを買わせてもらいました。衣食住もいただいていますし、これ以上の報酬は」
「僕も同じですよ師匠」
アンナさんがノンの頭を撫でながら答えるとアスノ君も頷いて答えてくれる。
その意見にレッドやルドマンも同じ考えの様で大きく頷いてる。
「そうか、満足してくれててよかった」
ホッと胸をなでおろす。
「ふふ、ランカは心配性ね。私も含めてランカには感謝しかないよ」
「レッド。ありがとう」
レッドは頭を撫でて話す。彼女にはまだ感謝されるようなことはしていないんだけどな。
「さあみなさん! 夕食にしましょ。ドーシャさんもお酒だけじゃ楽しめないでしょ」
「おっと! 待ってました~」
僕を微笑ましく見ていたアンナさんが声をあげるとドーシャさんがエールを飲み干す。次から次へと机に料理が並べられていく。これだけの料理をアンナさんとノンだけで作る。二人は死霊術抜きでも優秀だな。
米を作り薄く切ったお肉で肉巻きおにぎりを作ってもらった。最高の一品で思わず感嘆の声を漏らす。
新居を作ってもらって三日ほどが経った。住み心地が良すぎて王都に行くのが億劫になってしまった。どうせ攻めてくるだろうから待っていてもいいんだよな。
「お~いランカ~」
「あれ? この声はドーシャさん?」
外から声が聞こえてくる。玄関から顔を出すと庭の外からドーシャさんが手を振っているのが見える。
「お帰りなさいドーシャさん」
「本当にいた!? この前まで更地だったのにどうなってるんだい?」
玄関から出てお迎えすると驚いて首を横に振る。ワッカさんとルッカさんも驚いてるな。
「ははは、まあ、色々ありまして」
「ランカのやることにいちいち驚いてたらダメだね。アスノみたいに『凄いんです』ってことにしておこうか」
苦笑いで答えるとドーシャさんがアスノ君の物まねをしてからかってくる。アスノ君は外でも言ってるのか。ルッカさん達も頷いてるぞ。何だか家族の恥部を見ているみたいで恥ずかしいな。
「おっと、そんな事よりも。アドラーやミレドに知らせておいたよ。教会からは連絡は来ていないようだったけど、一つ報告がある。悪い報告だ」
ドーシャさんはその場に座って人差し指を立てて話す。
「勇者を先頭に騎士団が動き出した。目的地はこのニールキャニオンだ。冒険者ギルドに連絡がないってことはギルドは関与することはない。まあ、アドラーがランカを襲うなんてありえなかったけどね」
ドーシャさんの話に微笑む。敵は騎士団と教会ってことか。そうなるとレッドに動いてもらって騎士団も止めてもらえれば勝ち目しかなくなるな。逆に教会が可哀そうな事になりそうだ。
「問題はなくなったってことですね。いつまでも外で話すのもなんですから中に入りましょう」
情報を持ってきてくれた人をいつまでも外で話させるのも悪いので家に誘う。みんなと一緒に家に入って食堂の席に座る。すると早速ドーシャさんはエールを厨房から持ってきて飲み始める。
「ぷは~。ルドマンがいるからあると思ったんだ!」
「おいおいドーシャ、人の家に招待されて早速それかよ!」
豪快にエールを飲むドーシャさんを叱るワッカさん。
「おっと、ランカごめんな。私はお酒が好きなんだ」
「はは、大丈夫ですよ。礼儀作法は人それぞれで。貴族になるつもりもないですし」
一気にエールを飲み干すとドーシャさんは僕に手を合わせて頭を下げる。情報をわざわざオルコッドに戻って持ってきてくれた。それだけでエール以上の働きをしてくれた。報酬もあげたいくらいだ。
「これでルドマンからの武具くらいの働きはできたかな。報酬は期待できないだろうからね」
「あ~、そうですね……」
そういえば、教会の依頼を受けてきたんだよな。その雇い主と敵対することになるかた報酬をもらえるわけもない。やっぱり報酬あげた方がいいな。
「ドーシャさん、ワッカさん、ルッカさん。僕のせいで教会の依頼はなくなったようなものです。なので僕から報酬を」
色々考えてそう声をあげると三人はびっくりした表情になったと思ったら、すぐに大きな笑い声をあげる。
「くはは! 悪いのはランカじゃないんだから金の心配なんかするなよ」
「ぶふっ。そうそう、暇なところを雇ってもらっただけでも儲けものだったんだからよ」
「さっきも言ったけど、ランカにもルドマンにも恩があるんだよ。暇だったからって理由で言ったけどね。本当はあんたらの為に何かできればいいなって思ってたんだ。それが出来て私達は本当に嬉しいんだよ」
ワッカさんルッカさんが笑いながら話すと真剣な表情でドーシャさんが僕を抱きしめていってくれる。
「……と入ったものの先立つものがないと大変なのは確かってことでもらえるものはもらおうかな~」
抱き着いているドーシャさんがそう呟くと、ワッカさんとルッカさんが大きく頷いた。とてもいいことを言ってくれたわけだけど、やはりお金は必要なものだ。あげれるだけあげよう。
「ん~」
ドーシャさん達に報酬をあげることにして、ふと考える。レッドやアスノ君、ルドマン、ノイシュさん達にしっかりと報酬を払えてない。みんなに損をさせているんじゃないだろうか?
「みんなは報酬いる?」
食堂に集まっているみんなに疑問を投げかける。するとみんな少し考えて首を横に振った。
「私達は欲しいものを買わせてもらいました。衣食住もいただいていますし、これ以上の報酬は」
「僕も同じですよ師匠」
アンナさんがノンの頭を撫でながら答えるとアスノ君も頷いて答えてくれる。
その意見にレッドやルドマンも同じ考えの様で大きく頷いてる。
「そうか、満足してくれててよかった」
ホッと胸をなでおろす。
「ふふ、ランカは心配性ね。私も含めてランカには感謝しかないよ」
「レッド。ありがとう」
レッドは頭を撫でて話す。彼女にはまだ感謝されるようなことはしていないんだけどな。
「さあみなさん! 夕食にしましょ。ドーシャさんもお酒だけじゃ楽しめないでしょ」
「おっと! 待ってました~」
僕を微笑ましく見ていたアンナさんが声をあげるとドーシャさんがエールを飲み干す。次から次へと机に料理が並べられていく。これだけの料理をアンナさんとノンだけで作る。二人は死霊術抜きでも優秀だな。
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