57 / 57
第二章 支配地
第57話 僕はこれから
しおりを挟む
あの夢のような時間を過ごして一週間程が経った。
僕らは今王都、セントラルアルステードにやってきた。
すでに教会はミエルの指導の元腐敗は無くなりつつある。孤児院もニールキャニオンに移すこととなり平和になりつつある。
「まさか、ステファンが騎士団をやめて鍛冶屋になっているとは。現実ってホント凄いな。いろんな道を見せてくれる」
「ふふ、本当に」
王都の道路を歩きながら呟く。レッドは僕の腕を抱き寄せて微笑む。
「む~、師匠! なんか二人とも距離が近くないですか?」
「私も! ランカさん!」
アスノ君がふてくされて頬を膨らませる。レッドの真似をしてアビゲールも腕を抱き寄せてくる。何故かレッドとにらみ合う二人。仲がいいな~。
レッドとアビゲールは師弟関係に落ち着いた。アビゲールは嫌だって言っていたんだけど、僕が説得するとすぐに納得してくれた。これから勇者となる僕には必要な子だからな。今のうちに強くしてあげたい。
「よくぞ参られたランカ君」
僕らが王都にやってきたのはこの人に会うためだ。セントラルアルステードの王、セントラル様。玉座の間について跪いているとセントラル様が迎えてくれた。玉座からわざわざ降りて僕の肩に手を置いてくれる。少し震えているように見えるのは気のせいか?
「此度の教会の不手際は本当にすまなかった。許してほしい」
「あ、はい。それはもう話が済んでいるので。それで今日は」
「おお、許してくれるか。既に話は聞いている。ニールキャニオンに新たな街を作ったとか?」
セントラル様は焦った様子で話を進めていく。すでに町の話は聞いてるみたいだな。
「話が早くて助かります。それで許してもらえれば」
「許すも何もない。許可しよう。別の国とも話は通しておく」
早足に話が進んでいく。何かあったのかな?
「私が話は通しておいたのだ。人間のくせにごちゃごちゃと言っていたのでな」
「あ! ミエル!」
玉座の後ろに光じゃなくて普通の天使の姿で現れるミエル。光の姿じゃないってことはアルステードさんに体を授かったってことかな?
「今回の事でアルステード様に体を承った。感謝するぞ人間のランカ」
「感謝じゃなくて謝罪が欲しい所だけどな」
「ふ、流石はランカ。冗談が上手いな」
「別に冗談じゃないけど」
お礼を言ってくるミエルに本音を話す。彼は何もわかってない様子で鼻で笑う。まったく、これだから天使は。
「す、すごい。天使と対等に話している。対等どころか上から! それに名前も憶えられている!?」
僕とミエルの様子を見てセントラル様が狼狽え始める。なるほど、ミエルに怯えていたわけか。
この後、町となることで名前を付けると言われて【ニールキャッスル】という名前を承った。僕が着けたのを改めてセントラル様が命名してくれた。王様が着けなくちゃ正式につけられないらしい。王族ってめんどくさいな。
そして、ニールキャッスルの名に相応しく城を作ることとなる。
「は~、あれが僕の城になっちゃうのか~」
「なんじゃ? 不満なのか?」
「いや~、不満じゃないんだけどさ」
ルドマンと出来上がっていく城を見上げて話す。城が家ですなんて想像もつかないからな~。小市民な僕には不釣り合いだよな~。
「さて、そろそろ僕はレベル上げに」
「じゃあ、私達も」
僕が呟くとレッドが話に加わる。ルドマンとアスノ君も頷て答えてくれる。
「と言ってもいいレベルあげが出来る所に行くにはまたあいつからアイテムを買わないといけないんだよな」
50レベルを超えた僕らの経験値稼ぎは別次元が好ましい。地獄にいければ一番いいんだよな~。オルコッドのマネーマネーからアイテムを買わないといけない。お金はあるんだけど、いちいち戻るの面倒だな~。
「あいつとは私のことか?」
『!?』
声が聞こえて振り向くと中央に作られた噴水からぬっと出てくるマネーマネー。周りの時間は止まっていない。別の街に現れるなんてゲームじゃ聞いたことないぞ。
「ふ、いつまでもあの街にとどまる理由もないのだ。私は夢を届ける精霊だからな」
マネーマネーの声に確かにと納得してしまう。オルコッドにいなくちゃいけない理由はないよな。でも、なんで僕の街に。
「真新しい噴水の匂いがして来てみたら寂しいお前がいたというわけだ。ほれ、また人からの手紙が欲しくはないか?」
「……別に寂しくないよ」
マネーマネーの声にレッドを抱き寄せて答える。しかめっ面になったマネーマネーにしてやったりと笑みを浮かべる。
「コホン! ふん、流石はランカと言ったところか。それで私から何を買いたいのだ?」
「地獄への門の鍵。【極悪非道の鍵】だよ」
「なに!? や、やはりお前は……死にたいのならば友など作らなければいいのに。金貨20枚だ」
マネーマネーにアイテムの名を言うと涙を流しながらお金を要求してくる。失礼な事ばっかいうくせにお金はしっかりと受け取ってくる。まったく、いい性格してるよな~。
「では、お前の死は無駄にはせんぞランカ。死んでも元気でな。アンデッドとなって蘇ったら会いに来いよ」
「早く帰れ!」
マネーマネーがいつまでも帰らずに元気づけようとしてくる。僕が思わず声を荒らげると鼻で笑って噴水の中へと帰っていった。まったく、あんなにうざい奴だったとは。ゲームじゃわからないことばかりだな。
「ら、ランカ。今の……」
「ああ、みんなには紹介してなかったね。ただの噴水の精霊だよ。みんなは関わらないようにね」
レッドの質問に答えるとみんなポカ~ンと口を開いたまま頷いて答えた。まあ、これで地獄への門を開けるぞ。
「さあ、この世界を更に平和にしていこ~」
『お~』
こうして僕らはこの世界で一番の強さを手に入れていくこととなる。早く勇者になってみんなと一緒に魔王を倒すぞ~。そして、ただのキャラクターだったみんなを幸せにしてやる。
◇
どうもカムイイムカです
最後までランカを見ていただきありがとうございます
平和になったランカ達という事でここでおしまいとなります
これから更なる平和を求めて頑張っていくランカ、彼の前に立ちふさがる者達は苦労するでしょうね
では、最後まで読んでいただきありがとうございました
僕らは今王都、セントラルアルステードにやってきた。
すでに教会はミエルの指導の元腐敗は無くなりつつある。孤児院もニールキャニオンに移すこととなり平和になりつつある。
「まさか、ステファンが騎士団をやめて鍛冶屋になっているとは。現実ってホント凄いな。いろんな道を見せてくれる」
「ふふ、本当に」
王都の道路を歩きながら呟く。レッドは僕の腕を抱き寄せて微笑む。
「む~、師匠! なんか二人とも距離が近くないですか?」
「私も! ランカさん!」
アスノ君がふてくされて頬を膨らませる。レッドの真似をしてアビゲールも腕を抱き寄せてくる。何故かレッドとにらみ合う二人。仲がいいな~。
レッドとアビゲールは師弟関係に落ち着いた。アビゲールは嫌だって言っていたんだけど、僕が説得するとすぐに納得してくれた。これから勇者となる僕には必要な子だからな。今のうちに強くしてあげたい。
「よくぞ参られたランカ君」
僕らが王都にやってきたのはこの人に会うためだ。セントラルアルステードの王、セントラル様。玉座の間について跪いているとセントラル様が迎えてくれた。玉座からわざわざ降りて僕の肩に手を置いてくれる。少し震えているように見えるのは気のせいか?
「此度の教会の不手際は本当にすまなかった。許してほしい」
「あ、はい。それはもう話が済んでいるので。それで今日は」
「おお、許してくれるか。既に話は聞いている。ニールキャニオンに新たな街を作ったとか?」
セントラル様は焦った様子で話を進めていく。すでに町の話は聞いてるみたいだな。
「話が早くて助かります。それで許してもらえれば」
「許すも何もない。許可しよう。別の国とも話は通しておく」
早足に話が進んでいく。何かあったのかな?
「私が話は通しておいたのだ。人間のくせにごちゃごちゃと言っていたのでな」
「あ! ミエル!」
玉座の後ろに光じゃなくて普通の天使の姿で現れるミエル。光の姿じゃないってことはアルステードさんに体を授かったってことかな?
「今回の事でアルステード様に体を承った。感謝するぞ人間のランカ」
「感謝じゃなくて謝罪が欲しい所だけどな」
「ふ、流石はランカ。冗談が上手いな」
「別に冗談じゃないけど」
お礼を言ってくるミエルに本音を話す。彼は何もわかってない様子で鼻で笑う。まったく、これだから天使は。
「す、すごい。天使と対等に話している。対等どころか上から! それに名前も憶えられている!?」
僕とミエルの様子を見てセントラル様が狼狽え始める。なるほど、ミエルに怯えていたわけか。
この後、町となることで名前を付けると言われて【ニールキャッスル】という名前を承った。僕が着けたのを改めてセントラル様が命名してくれた。王様が着けなくちゃ正式につけられないらしい。王族ってめんどくさいな。
そして、ニールキャッスルの名に相応しく城を作ることとなる。
「は~、あれが僕の城になっちゃうのか~」
「なんじゃ? 不満なのか?」
「いや~、不満じゃないんだけどさ」
ルドマンと出来上がっていく城を見上げて話す。城が家ですなんて想像もつかないからな~。小市民な僕には不釣り合いだよな~。
「さて、そろそろ僕はレベル上げに」
「じゃあ、私達も」
僕が呟くとレッドが話に加わる。ルドマンとアスノ君も頷て答えてくれる。
「と言ってもいいレベルあげが出来る所に行くにはまたあいつからアイテムを買わないといけないんだよな」
50レベルを超えた僕らの経験値稼ぎは別次元が好ましい。地獄にいければ一番いいんだよな~。オルコッドのマネーマネーからアイテムを買わないといけない。お金はあるんだけど、いちいち戻るの面倒だな~。
「あいつとは私のことか?」
『!?』
声が聞こえて振り向くと中央に作られた噴水からぬっと出てくるマネーマネー。周りの時間は止まっていない。別の街に現れるなんてゲームじゃ聞いたことないぞ。
「ふ、いつまでもあの街にとどまる理由もないのだ。私は夢を届ける精霊だからな」
マネーマネーの声に確かにと納得してしまう。オルコッドにいなくちゃいけない理由はないよな。でも、なんで僕の街に。
「真新しい噴水の匂いがして来てみたら寂しいお前がいたというわけだ。ほれ、また人からの手紙が欲しくはないか?」
「……別に寂しくないよ」
マネーマネーの声にレッドを抱き寄せて答える。しかめっ面になったマネーマネーにしてやったりと笑みを浮かべる。
「コホン! ふん、流石はランカと言ったところか。それで私から何を買いたいのだ?」
「地獄への門の鍵。【極悪非道の鍵】だよ」
「なに!? や、やはりお前は……死にたいのならば友など作らなければいいのに。金貨20枚だ」
マネーマネーにアイテムの名を言うと涙を流しながらお金を要求してくる。失礼な事ばっかいうくせにお金はしっかりと受け取ってくる。まったく、いい性格してるよな~。
「では、お前の死は無駄にはせんぞランカ。死んでも元気でな。アンデッドとなって蘇ったら会いに来いよ」
「早く帰れ!」
マネーマネーがいつまでも帰らずに元気づけようとしてくる。僕が思わず声を荒らげると鼻で笑って噴水の中へと帰っていった。まったく、あんなにうざい奴だったとは。ゲームじゃわからないことばかりだな。
「ら、ランカ。今の……」
「ああ、みんなには紹介してなかったね。ただの噴水の精霊だよ。みんなは関わらないようにね」
レッドの質問に答えるとみんなポカ~ンと口を開いたまま頷いて答えた。まあ、これで地獄への門を開けるぞ。
「さあ、この世界を更に平和にしていこ~」
『お~』
こうして僕らはこの世界で一番の強さを手に入れていくこととなる。早く勇者になってみんなと一緒に魔王を倒すぞ~。そして、ただのキャラクターだったみんなを幸せにしてやる。
◇
どうもカムイイムカです
最後までランカを見ていただきありがとうございます
平和になったランカ達という事でここでおしまいとなります
これから更なる平和を求めて頑張っていくランカ、彼の前に立ちふさがる者達は苦労するでしょうね
では、最後まで読んでいただきありがとうございました
88
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(28件)
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ
ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた
いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう
その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った
だけど仲間に裏切られてしまった
生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい
そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
更新有り難う御座います。
完結、お疲れ様でした。
ランカ「僕たちの冒険はこれからだ!」
悪役「……ただでは終わランカらな!?」(オチ)
感想ありがとうございます
ダメ王も懲らしめるでしょうねw
楽しく拝読
通りで→道理で
モンスターの進行→侵攻
何度か見かけましたので
感想ご指摘ありがとうございます
楽しんでいただけたなら嬉しいです
更新有り難う御座います。
無理矢理か、騙されているか……。
感想ありがとうございます
知らぬ間にといった感じですね