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第1章 成長
第12話 夜の狩り
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「……みんな寝たかな」
今日もラッドのテントに泊まらせてもらった。だけど、今日は素直に寝るわけにはいかない。
このテントでいつまでもこの子たちを住まわせるわけにはいかない。この子達と一緒に寝るのはとても楽しいし、幸せを感じた。だけど、違う。
こんな素直でかわいい子達を地べたで寝させるのは、世界が許しても私が許せない。
「ということで夜も魔物を狩る」
寝静まったラッドのテントを静かに出て城壁をジャンプで越える。10メートルを超える城壁を軽々越えて森に入る。木に当たってガサッと音を立てて地面に着地。すぐにダモクレスを取り出して警戒態勢に入る。
「ギャギャギャ!」
「ギャ~ギャ~ギャ~!」
ゴブリン達が騒ぎ出す。月の光が力を与えてるから興奮状態みたい。すぐに私の匂いに気が付いて鼻をクンクンさせて嗅ぎまわる。
「気づかれる前に切り捨てる!」
私はそう言ってゴブリンの背後に回り、ダモクレスで首を狩っていく。風がなでるとゴブリンの首が落ちる。その音でゴブリン達が騒ぎ始める。
「暗いから見えなかったけど、沢山いるね」
身を低くしてただでさえ見つけにくい私の体を更に見つかりにくくする。匂いだけは隠すことができないからゴブリンが鼻を利かせて近づいてくる。私の攻撃範囲に不用意に入ってくるゴブリン。
「はっ!」
一回転して剣を走らせる。5匹のゴブリンの胴体が地面に落ちる。これで7匹。夜の方が魔物が強いのはわかっていたけど、夜の方が数が多くなってる。これも月のマナの影響。
魔物はマナから生まれる。他の生物との性行為でも数は増やせるけど、大体はマナによって生まれる。
マナの多い夜は数が増えやすい。昼になると人に見つかるのを警戒して身を隠していることが多くなるらしい。人の見つかるのは、お腹が空きすぎて出てきてしまう魔物。弱ってるから簡単に狩れる。
「ギャギャギャギャ! ギャ!?」
魔石を回収してインベントリにしまっていると続々とゴブリンが現れる。仲間の死骸を見つけて驚き戸惑うと鼻を利かせて敵を探す。
「はっ! やっ!」
一撫でで2匹のゴブリンを倒して更に4匹のゴブリンを倒した。これで110キット。
「更にお出ましね」
少し声を上げすぎたかな? 目の形をした光が私を見つめてくる。その数は10じゃ利かない。大量にお出ましね。
「ギャ~!」
跳躍してきたゴブリンを切り捨てるとすぐ後ろにゴブリンが現れる。剣を縦に置いたまま突進するとバサッと唐竹割にゴブリンが切れる。
「2! 次!」
ゴブリンの血が体にかかる。狼の胃の中よりはまし、私はどれだけ汚れてもいい。あの子達の宿を手に入れるためならね。
「3! 4! 5!」
雪崩のように畳みかけてくるゴブリン。完全に私を餌だと思ってる。だけど、それもここまで、興奮しているはずのゴブリン達が怖気づく。冷や汗をかき、後ろを振り返る。完全に逃げる体制だ。私はそれを許さない。
「6! 7、8、9、10! ハァハァ……さすがに疲れる。心が」
21もの生物を虐殺。ステータスが高くてもこれだけのことをすると心に響く。息が切れて動悸が激しくなる。銀貨2枚と銅貨20枚。今日はこのくらいにしておこうかな。
「【ウォッシュ】。ふう、さっぱりした」
ゴブリンの魔石を回収し終えて体を綺麗にする。城壁を飛び越えてラッドのテントに帰ってくる。するとユマ君がテントの外で月の光を浴びていた。眠れないのかな?
「ファムさん。どこへ行ってたんですか?」
「えっと……散歩だよ」
「そうですか……」
ユマ君は私の答えを聞いて首を傾げながらも口を閉ざした。
「月の光を浴びてると気持ちいいんです」
私の答えに疑問を感じながらも聞くことはない。彼は両手を広げて月の光を浴びる。
「眠れないの?」
「はい。少しでも兄さん達の為になれるようにと思っていたんですけど、不安で……」
彼の隣に座って問いかける。彼は俯きながらも素直に答えてくれる。
「それじゃ魔法の勉強しましょ」
「はい!」
ユマ君は私の提案を受け入れてウォッシュの魔法を使う。さっき使った時よりもうまく使えてる?
「なんか力が漲る? 月のおかげかな?」
ユマ君は嬉しそうにそう言ってウォッシュを周りにかけていく。1度、2度、3度と魔法をかけて嬉しそうにしてる。
「僕も魔法が使える。これで洗濯ものとかを綺麗にできればお金になるよね」
「ふふ、そうね。でも、無理はしないでね。調子の悪い時はじっとしてること」
ユマ君は頬を高揚させて嬉しそうに声を上げる。
彼に初めて会ったときは這っていたくらいだった。今は調子が良くても悪い時もある。そんなときにむりをしたら大変なことになっちゃう。
でも、目の付け所はいいね。さしずめ【洗濯屋さん】といったところかな? 村でも聞いたことがない。魔法自体が珍しいから生活魔法の使い手もあんまりいないんだろう。
「明日からやってみるよ!」
「ん、頑張ってねユマ君」
月が真上から下ってくる夜。ユマ君は嬉しそうに新たな力を誇った。ジャーメイノに新たな職種が生まれた瞬間かも。
今日もラッドのテントに泊まらせてもらった。だけど、今日は素直に寝るわけにはいかない。
このテントでいつまでもこの子たちを住まわせるわけにはいかない。この子達と一緒に寝るのはとても楽しいし、幸せを感じた。だけど、違う。
こんな素直でかわいい子達を地べたで寝させるのは、世界が許しても私が許せない。
「ということで夜も魔物を狩る」
寝静まったラッドのテントを静かに出て城壁をジャンプで越える。10メートルを超える城壁を軽々越えて森に入る。木に当たってガサッと音を立てて地面に着地。すぐにダモクレスを取り出して警戒態勢に入る。
「ギャギャギャ!」
「ギャ~ギャ~ギャ~!」
ゴブリン達が騒ぎ出す。月の光が力を与えてるから興奮状態みたい。すぐに私の匂いに気が付いて鼻をクンクンさせて嗅ぎまわる。
「気づかれる前に切り捨てる!」
私はそう言ってゴブリンの背後に回り、ダモクレスで首を狩っていく。風がなでるとゴブリンの首が落ちる。その音でゴブリン達が騒ぎ始める。
「暗いから見えなかったけど、沢山いるね」
身を低くしてただでさえ見つけにくい私の体を更に見つかりにくくする。匂いだけは隠すことができないからゴブリンが鼻を利かせて近づいてくる。私の攻撃範囲に不用意に入ってくるゴブリン。
「はっ!」
一回転して剣を走らせる。5匹のゴブリンの胴体が地面に落ちる。これで7匹。夜の方が魔物が強いのはわかっていたけど、夜の方が数が多くなってる。これも月のマナの影響。
魔物はマナから生まれる。他の生物との性行為でも数は増やせるけど、大体はマナによって生まれる。
マナの多い夜は数が増えやすい。昼になると人に見つかるのを警戒して身を隠していることが多くなるらしい。人の見つかるのは、お腹が空きすぎて出てきてしまう魔物。弱ってるから簡単に狩れる。
「ギャギャギャギャ! ギャ!?」
魔石を回収してインベントリにしまっていると続々とゴブリンが現れる。仲間の死骸を見つけて驚き戸惑うと鼻を利かせて敵を探す。
「はっ! やっ!」
一撫でで2匹のゴブリンを倒して更に4匹のゴブリンを倒した。これで110キット。
「更にお出ましね」
少し声を上げすぎたかな? 目の形をした光が私を見つめてくる。その数は10じゃ利かない。大量にお出ましね。
「ギャ~!」
跳躍してきたゴブリンを切り捨てるとすぐ後ろにゴブリンが現れる。剣を縦に置いたまま突進するとバサッと唐竹割にゴブリンが切れる。
「2! 次!」
ゴブリンの血が体にかかる。狼の胃の中よりはまし、私はどれだけ汚れてもいい。あの子達の宿を手に入れるためならね。
「3! 4! 5!」
雪崩のように畳みかけてくるゴブリン。完全に私を餌だと思ってる。だけど、それもここまで、興奮しているはずのゴブリン達が怖気づく。冷や汗をかき、後ろを振り返る。完全に逃げる体制だ。私はそれを許さない。
「6! 7、8、9、10! ハァハァ……さすがに疲れる。心が」
21もの生物を虐殺。ステータスが高くてもこれだけのことをすると心に響く。息が切れて動悸が激しくなる。銀貨2枚と銅貨20枚。今日はこのくらいにしておこうかな。
「【ウォッシュ】。ふう、さっぱりした」
ゴブリンの魔石を回収し終えて体を綺麗にする。城壁を飛び越えてラッドのテントに帰ってくる。するとユマ君がテントの外で月の光を浴びていた。眠れないのかな?
「ファムさん。どこへ行ってたんですか?」
「えっと……散歩だよ」
「そうですか……」
ユマ君は私の答えを聞いて首を傾げながらも口を閉ざした。
「月の光を浴びてると気持ちいいんです」
私の答えに疑問を感じながらも聞くことはない。彼は両手を広げて月の光を浴びる。
「眠れないの?」
「はい。少しでも兄さん達の為になれるようにと思っていたんですけど、不安で……」
彼の隣に座って問いかける。彼は俯きながらも素直に答えてくれる。
「それじゃ魔法の勉強しましょ」
「はい!」
ユマ君は私の提案を受け入れてウォッシュの魔法を使う。さっき使った時よりもうまく使えてる?
「なんか力が漲る? 月のおかげかな?」
ユマ君は嬉しそうにそう言ってウォッシュを周りにかけていく。1度、2度、3度と魔法をかけて嬉しそうにしてる。
「僕も魔法が使える。これで洗濯ものとかを綺麗にできればお金になるよね」
「ふふ、そうね。でも、無理はしないでね。調子の悪い時はじっとしてること」
ユマ君は頬を高揚させて嬉しそうに声を上げる。
彼に初めて会ったときは這っていたくらいだった。今は調子が良くても悪い時もある。そんなときにむりをしたら大変なことになっちゃう。
でも、目の付け所はいいね。さしずめ【洗濯屋さん】といったところかな? 村でも聞いたことがない。魔法自体が珍しいから生活魔法の使い手もあんまりいないんだろう。
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